- 更新日 : 2024年8月8日
利益とは?種類や上げる方法を解説
利益とは収益から費用を差し引いたもののことで、利益を上げることが目的の一つとなる企業にとって、重要な経営指標です。また、損益計算書では売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、および当期純利益の5種類の利益を算出・記載し、それぞれに重要な意味があります。この記事では利益の定義や種類、および利益を上げる方法を解説します。
目次
利益とはそもそも何か?
最初に、利益とはそもそも何なのか、その基本的な定義と売上との違いについて見ていきましょう。
利益の基本的な定義
利益とは、収益から費用を差し引いたものとして定義できます。わかりやすくいえば「儲け」といえる部分です。会社の経営状態を知るうえで重要な指標であり、決算書の一つである損益計算書に記載されます。企業は利益を上げることが目的の一つといえるため、利益の把握と分析は企業を経営していくうえで重要です。
投資家や株主にとっても、利益は企業の事業がうまくいっているかを判断する指標となります。銀行から融資を受ける際には、利益が出ておらず赤字では、融資を断られる可能性もあるでしょう。
なお、損益計算書において利益は、後述のとおり売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益の5種類あります。
利益と売上の違い
利益と混同されやすい言葉として売上(売上高)があります。利益と売上はどう違うのでしょうか。
売上高とは、商品の販売やサービスの提供の対価として受け取ったお金のことです。たとえば、単価が1,000円の商品を1つ売れば、売上高は1,000円、100個売れば10万円となります。
ただし、商品の販売には仕入や販売などの費用がかかります。売上高から仕入や販売のための費用を差し引いたものが、利益です。
1,000円の商品を販売するために700円の費用がかかるなら、利益は商品1つあたり300円です。もし1,000円以上の費用がかかるのなら、商品をいくら売って売上が上がっても、利益はマイナスになってしまいます。
利益の種類
損益計算書に記載される5種類の利益、売上総利益と営業利益、経常利益、税引前当期純利益、および当期純利益のそれぞれについて、ここで詳しく見ていきましょう。
売上総利益

売上総利益とは、売上高から売上原価を差し引いた金額で、「粗利益」とも呼ばれます。
売上原価は売上に対応したコストのことを指し、
または
となるため、売上原価=仕入原価や当期製品製造原価ではありません。
売上総利益は、経営状態のおよその目安をつけるために重要な指標です。その企業の「真の稼ぐ力」を表すといわれることもあり、一般に業界や業種ごとに標準値が見られます。
営業利益

営業利益は、その企業本来の営業活動から生み出された儲けのことで、営業成績を表します。小売店なら、そのお店で販売されている商品を売って稼いだ利益のことです。
営業利益は、売上総利益から販売費および一般管理費(=販管費)を差し引いた金額として求められます。
販売費は、商品や製品を販売するためにかかった費用のことで、具体的には営業マンの給料や交通費、広告宣伝費、販売促進費などの経費です。一般管理費は会社全体を維持・管理するためにかかった費用のことで、役員報酬や、総務部など管理部門の給料、事務所家賃や水道光熱費など、販売とは直接関係がない経費です。(工場など製造部門の給料は売上原価に含まれます)
営業利益は顧客獲得コストと顧客維持コストの、コントロール力が反映されるといわれます。
なお、営業利益については、下記にて詳細を解説していますので、そちらもご確認ください。
経常利益

経常利益とは、本業での利益である営業利益から、運用損益など本業以外での損益(営業外損益)を差し引いたもののことです。
営業外損益のうち営業外収益には受取利息や受取配当金、有価証券売却益などが、営業外費用には支払利息や有価証券売却損などが含まれます。ただし、固定資産の売却や災害による損失など、臨時的に発生する収益や費用は含まれません。
経常利益は、営業外の収益や金融費用などを反映した、企業活動の平常時における総合的な収益力を表します。
なお、経常利益については、下記にて詳細を解説していますので、そちらもご確認ください。
税引前当期純利益

税引前当期純利益は、経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引いたものとして求められます。
特別利益は固定資産の売却益など、特別損失は災害による損失などです。
税引前純利益は、当期で臨時的に発生した特殊事情を反映した場合の、税金を差し引く前の利益となります。最終的な利益ではないものの、単年の経営成績を正確に把握できることがメリットです。
税引前当期純利益については、下記にて詳細を解説していますので、そちらもご確認ください。
当期純利益

当期純利益は、税引前当期純利益から法人税等を差し引いたもので、企業の最終的な経営成績を表します。
当期純利益がプラスであれば「黒字」、マイナスであれば当期純損失といい、「赤字」となります。
なお、当期純利益については、下記にて詳細を解説していますので、そちらもご確認ください。
利益を上げる方法
以上で、「利益」の定義と、損益計算書にある5種類の利益について解説してきました。ところで、利益を上げるためにはどうすれば良いのでしょうか?
コストの削減
利益とは、前述のとおり「収益-費用(コスト)」のことです。したがって、コストを削減すれば利益は上がることになります。
コストには、これまで見てきたとおり売上原価や販管費、営業外費用、特別損失などがあります。これらを一つ一つ見直し、削減すべきものを削減することで、利益を上げられるでしょう。
価格戦略の再考
「収益-費用」である利益は、収益を上げることによっても上げられます。収益のうち本業での営業活動から生まれる売上高は「販売単価×販売数量」となるため、価格戦略を再考して販売単価を上げることが、利益改善効果が最も高い方法です。
ただし、商品・サービスの内容が変わらないのに単純に値上げしてしまえば、リピーターが減少する恐れがあります。値上げに際しては、何らかの付加価値を付ける必要があるでしょう。
利益の意味を理解して、しっかり利益を上げていこう
収益から費用を差し引いたものである利益は、損益計算書においては売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益の5種類を算出します。これら5種類の利益はそれぞれに重要な意味があり、分析により会社の経営状態が把握できます。利益の意味を理解して経営状態を分析し、しっかりと利益を上げていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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