- 更新日 : 2026年3月11日
純資産とは?総資産との違いや内訳、マイナスのリスクを解説
純資産は「資産から負債を引いた自己資金」で、プラスであれば借入金の返済に問題がないことがわかります。
総資産は現金・在庫・固定資産などすべての合計で、純資産は貸借対照表の右下にある純資産の部のみを指します。
「純資産」とは、企業が所有する資産の総額から負債の総額を差し引いたものです。「返済義務のない自己資金」であり、会社の価値のうち株主に帰属するものを表しています。財務状態の健全性を評価するのに用いられます。
本記事では純資産と総資産の違いや内訳、決算書において見るべきポイント、マイナスになった場合のリスクをわかりやすく解説していきます。
目次
純資産とは?
純資産とは資産から負債を控除したものをいいます。必ずしも同じ意味ではありませんが自己資本と言われることもあります。これがプラスであれば、会社は帳簿上、借入金の返済に問題がないことを意味します。
貸借対照表(B/S)では、右下の「純資産の部」に記載され、株主からの出資や、創業から現在までに積み上げた利益などが含まれます。

貸借対照表(B/S)では、資産は左側に記載します。
会社のお金がどのような形態で運用されているのかを表しています。
一方、右側には負債及び純資産を記載します。
会社のお金がどこから調達されてきたのかを表しています。
負債及び純資産を「総資本」と呼び、総資本のうち他人資本である「負債」を除いた部分が純資産です。
純資産には株主資本(資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式)の他、評価・換算差額等、新株予約権、非支配株主持分(連結貸借対照表に限る)が含まれます。
経営においては、負債と純資産のバランス(自己資本比率)を適正に保つことが求められます。
総資産と純資産の違い
総資産とは資産合計のことです。
貸借対照表では、左側すべてを指し、会社が保有する現金預金から在庫、固定資産などの合計額です。これに対し、純資産は貸借対照表の右下部分のみを指します。

総資産は「流動資産」「固定資産」「繰延資産」に区分されます。
流動資産
- 現金、預金、売掛金など
- 製品、商品、原材料など
固定資産
繰延資産
企業会計原則では繰延資産に属するものとして、創立費・開業費・新株交付費・社債発行費・開発費の5つが定められています。
前述したように総資産は資産合計であり、貸借対照表上は左側「会社の資金の運用」を表しています。
また、純資産は、貸借対照表上では右側「資金の調達」を表しています。
このようなイメージを持つことで貸借対照表を大局的に見ることができるようになります。
純資産の内訳
純資産の部は大きく「株主資本」「評価・換算差額等」「新株予約権」の3つに分かれています。決算書上では、この株主資本の中に、資本金や利益剰余金、自己株式といった項目が含まれます。
- 株主資本
- 資本金
- 資本剰余金
- 利益剰余金
- 自己株式
- 評価・換算差額等
- 新株予約権
それぞれの項目がどのような意味を持つのか、具体的に見ていきましょう。
資本金
事業を運営するための基礎になる資金のことで、株主が会社へ払い込みや給付した財産の額です。会社設立時や増資時に設定します。
登記簿謄本にも記載されるため、会社の規模や体力を対外的に示す役割を持ちます。
なお、払い込まれた資金の全額を資本金にする必要はありません。
会社法では、払込金額の2分の1を超えない額を資本金として組み入れずに「資本準備金」として計上することも可能です。
資本剰余金
株主から集めた資金のうち、資本金に組み入れなかった部分や、資本取引から生じた計算差額のことです。貸借対照表上では資本の部に「資本準備金」と「それ以外の資本剰余金」とにわけて記載されます。
※株主資本が資本金より大きい場合、その超過額を剰余金といいます。
利益剰余金
創業から現在までに会社が稼いだ利益の蓄積(内部留保)です。会社の利益から生まれた剰余金のことで、利益準備金、その他利益剰余金などで構成されています。
赤字が続くとここが減少し、マイナスになると純資産全体に影響します。
- 利益準備金
配当を行う際、会社法により積み立てが義務付けられています。 - その他利益剰余金(繰越利益剰余金など)
過去の利益の合計から、配当を差し引いて手元に残ったお金です。これを「任意積立金」として特定の目的(新工場建設など)のために確保したり、翌期以降に繰り越したりします。
自己株式
会社が保有している自社の株式のことで、株式会社は株主から株の取得・保有・処分等ができます。
これは会社にとっての資産ではなく、実質的な資本の払い戻し(会社から株主へお金を返すこと)とみなされます。そのため、純資産の部においてはマイナス項目(控除項目)として、金額の先頭に「▲」や「△」を付けて表示されます。
評価・換算差額等
資産価値の変動によって生じた「含み益」や「含み損」です。 「その他有価証券評価差額金」などが該当します。例えば、その他有価証券として保有している上場株式の時価が変動した場合、その差額はまだ売却して利益確定していないため、損益計算書には入れず、ここに計上します。
新株予約権
あらかじめ決められた価格で株式を購入できる権利のことです。役員や従業員に付与されるストックオプションも新株予約権として計上されます。
将来的に権利行使されれば「株主資本(資本金など)」に変わりますが、現時点では未確定の権利であるため、株主資本とは区別して記載されます。
純資産の計算方法と見方
純資産は「資産合計 - 負債合計」で算出されます。
決算書(貸借対照表)を作成する際は、会計ソフトが自動計算しますが、仕組みを理解しておくことは大切です。
基本計算式
例えば、現金や建物が合計1億円(総資産)あり、借入金や未払金が7,000万円(総負債)ある場合、純資産は3,000万円となります。
貸借対照表での確認手順
決算書の右下、「純資産の部」の合計額(純資産合計)を確認してください。
貸借対照表は左右の金額が必ず一致します(資産の部合計 = 負債の部合計 + 純資産の部合計)。「純資産の部」の数字を見ることで、会社に残っている正味の資産額がわかります。
純資産で見るべきポイント
決算書を見たとき、資本金額が大きいと安定した会社のように思いがちですが、決してそうではありません。なぜなら資本金は現在の会社の価値を表すものではないからです。
貸借対照表をみるときは、最初に総資産をみて自社がどれくらいの規模なのか把握し、それから負債合計、純資産合計…と、大きい数字から小さい数字に着目していくとよいでしょう。
ここでは、総資産・純資産から会社の安全性を見るポイントの財務指標も、いくつか列挙しておきます。
自己資本比率
総資本に占める自己資本の割合のことです。
この比率が高いほど自己資本が充実し借金への依存度が低く、経営が安定しているとみなされます。
自己資本利益率(ROE)
自己資本に対する当期純利益の割合です。ROEとも呼ばれます。
この比率が高いほど、企業の収益力が高いとみなされます。
総資産利益率(ROA)
資産に対する利益の割合です。ROAとも呼ばれます。
この比率が高いほど、元手に対して効率よく稼げているとみなされます。
負債比率
自己資本と比べ、負債が多いかどうかを見る指標です。
100%を超えていると負債が自己資本を上回っていることになり、借金への依存度が高いことを意味します。
固定比率
会社が保有する固定資産(ビルや機械など)をどれだけ自己資本(純資産)でまかなっているかを見る指標です。
100%以下の場合、自己資本でまかなえていることを意味しており、資金繰りのリスクが少ないということになります。
固定長期適合率
固定資産を調達するための資金を、自己資本と長期の他人資本でどの程度まかなっているかを見る指標です。
100%以下の場合、自己資本と長期の他人資本でまかなわれていることを意味するため、100%以下であることが望ましいと考えられています。
利益剰余金比率
会社がこれまで稼いだ利益のうち、どれくらいが使われずに残っているかを見る指標です。
この比率が高いほど、安全性の高い会社といえます。
借入金依存度
その会社がどれだけ借入金に依存しているのかを見る指標です。
この比率が高いほど、借金への依存度が高い会社といえます。
純資産がマイナスの場合はどうなる?
純資産がマイナスになる状態を債務超過と呼び、会社経営においてリスクが高い状態を示します。
これは、会社が保有する現金や建物などの総資産をすべて処分しても、借入金などの負債を返済しきれない状態です。純資産がマイナスであるということは、過去の赤字の蓄積が資本金を上回ってしまっていることを意味し、早急な対策が必要な段階といえます。
純資産がマイナスの大きなリスクとして、金融機関や取引先からの信用力が低下することが挙げられます。 銀行などの金融機関は、融資先を評価する際に純資産の額を重視します。そのため債務超過に陥ると、返済能力に懸念があると判断され、格付けが下がります。その結果、新規の融資審査が通りにくくなったり、既存融資の条件変更を求められたりと、資金繰りが厳しくなる可能性があります。
また、新規の取引先が信用調査を行った際、債務超過であることが判明すれば、支払い能力を不安視されることがあります。掛け取引(後払い)を見送られたり、取引条件が厳しくなったりと、事業運営に支障が出るケースも考えられます。
純資産を増やすためには?
純資産を増やすには「税引後利益を増やす」か「資本政策を見直す」必要があります。純資産の増加は、企業価値の向上に直結します。
以下の視点でアクションプランを検討してください。
1. 利益剰余金の最大化(節税とのバランス)
適正に法人税を支払い、内部留保を厚くすることが、財務体質の強化になります。
中小企業では「税金を払いたくない」という理由で経費を増やし、利益を圧縮するケースがあります。しかし、利益が出なければ純資産(利益剰余金)は増えません。純資産が増えないと銀行格付けが上がらず、将来の融資条件が改善しないことがあります。 成長を目指す段階では、利益を出して純資産を積み増す判断も必要です。
2. 計画的な増資
オーナー社長の個人資産を会社へ注入することで、安全性を高められます。
金融機関からの評価が低い、あるいは債務超過の懸念がある場合は、増資を検討します。また、経営陣からの役員借入金がある場合、それを資本金に振り替える(DES)ことで、キャッシュを動かさずに純資産を増やす方法も選択肢の一つです。
資産・負債・資本を正確に把握し適正なバランスを
自己資本比率が高いほど(つまり純資産が多い)会社は安定しているとみなされますが、すべて会社の運転資金をすべて自己資本でまかなうことは現実的ではありません。
他人資本(負債)もまた、必要不可欠でしょう。
大事なのは資産・負債・純資産の数字と意味を正確に把握し、適正なバランスを取りながら健全な経営を目指すことです。
【期間限定】会計ソフト移行で最大70万円ポイント還元!
オンプレミス型・インストール型をご利用の企業様へ。 移行作業をプロに任せる「導入支援サービス(サクセスプラン)」の費用相当額が、最大70万円分ポイント還元されるお得なキャンペーンを実施中です。
最後までこの記事をお読みの方に人気のガイド3選
最後に、ここまでこの記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。こちらもすべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
固定資産管理と減価償却の基本
固定資産管理の基本知識や流れ、ソフトウェアやシステム資産の管理と減価償却のポイントなどを解説した分かりやすいガイドです。
基本版の1冊として、多くの経理担当者の方にダウンロードいただいていおります。
経理のための固定資産管理見直しガイド
表計算ソフトでの固定資産管理に限界を感じる企業も多いのではないでしょうか。
経理業務における固定資産管理の見直しを検討している企業向けに、基本的な固定資産管理の業務の流れと、効率的な管理方法を詳しく解説した人気のガイドです。
マネーフォワード クラウド固定資産 サービス資料
マネーフォワード クラウド固定資産は、固定資産に関わる担当者全員がラクになる、複数台帳管理可能なクラウド型固定資産管理システムです。
クラウド上で資産の情報を一括管理できるため、最新の情報がすぐに見つかります。償却資産税申告書や法人税別表十六などの帳票が出力可能で、固定資産管理〜税務申告までを効率化します。
よくある質問
純資産とは?
資産から負債を控除したもののことで、自己資本、正味の財産(正味財産)ともいいます。詳しくはこちらをご覧ください。
総資産とは?
資産合計のことであり、負債・資本合計「総資本」に対する呼び方です。詳しくはこちらをご覧ください。
総資産と純資産の違いは?
総資産は資産合計であり、貸借対照表上は左側「会社の資金の運用」を表しているのに対し、純資産は貸借対照表上では右側「資金の調達」を表しています。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
資産の関連記事
会計の基本の関連記事
新着記事
- # 会計・経理業務
請求書支払いの効率化はどう進める?手順と自動化のポイントを解説
請求書支払いの効率化はどう進める? 請求書支払いの効率化は、業務フローの標準化とシステムによる自動化の組み合わせで実現できます。 受領形式をPDF等の電子データに統一 AI-OCR…
詳しくみる - # 会計・経理業務
請求書を一括で振込できる?マナーや手数料の負担、効率化の手順を解説
請求書を一括で振込できる? 同一取引先への複数請求書は、事前に合意があれば合算して一括で振り込めます。 内訳を明記した支払通知書の送付がマナー 振込先口座が異なる場合は個別対応が原…
詳しくみる - # 会計・経理業務
振込代行サービスとは?比較ポイントや手数料を安く抑える方法を解説
振込代行サービスとは? 企業の送金業務を外部へ委託し、手数料削減と経理業務の効率化を同時に実現する仕組みです。 大口契約の活用により手数料を半額以下に CSV連携で入力業務をなくし…
詳しくみる - # 会計・経理業務
振込代行サービスのセキュリティは安全?仕組みや管理方法を解説
振込代行のセキュリティは安全? 銀行同等の暗号化と法的な保全措置により極めて安全です。 全通信をSSL暗号化し盗聴・改ざんを防止 倒産時も信託保全で預かり金を全額保護 社内でも権限…
詳しくみる - # 会計・経理業務
振込手数料を削減するには?法人のコスト対策と見直し術を解説
振込手数料を削減するには? 振込手数料の削減には、ネット銀行への移行や振込代行サービスの活用が最も効果的です。 ネット銀行活用で窓口より約30〜50%のコスト削減が可能 同行宛口座…
詳しくみる - # 会計・経理業務
振込作業を効率化するには?経理の支払い業務をラクにする方法
振込作業を効率化するには? 銀行APIや全銀データを活用し、会計ソフトと銀行口座をシステム接続することで実現します。 API連携で手入力とログインの手間を削減 AI-OCRで請求書…
詳しくみる
会計の注目テーマ
- 損益分岐点
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 決算報告書
- 財務分析
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理の仕事
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 勘定科目 交際費
- 法人の節税
- 法人税 節税
- 給付金
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 原価計算 棚卸資産評価
- 勘定科目 引当金
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 仕訳 仮勘定
- 仕訳 のれん
- 一括償却資産
- 工具器具備品
- 勘定科目 地代家賃
- リース取引
- 中小企業 業務課題
- 税理士
- 原価計算
- 軽減税率
- 簡易課税
- 法人税申告
- 税務調査
- 貸倒引当金
- 売掛金 会計処理
- 電子帳簿保存法
- 粉飾決算
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 会計ソフト 運用
- 利益
- 経理 効率化
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 勘定科目 負債
- 予算管理
- 勘定科目 流動資産
- 棚卸
- 資金繰り
- 会計システム
- 原価計算 売上原価
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店 経理
- 電子帳簿保存法 保存要件
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支計算書
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 仕訳 固定資産
- 消費税
- 借地権
- 役員報酬
- 中小企業
- 勘定科目 損害
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 仕訳 金融商品
- 決算
- 預金
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 仕訳 仕入
- 経費精算
- 経費精算 領収書
- 勘定科目 資産
- 原価計算 原価率
- 電子帳簿保存法 対応
- 電子帳簿保存法 対応 ケース別
- 減価償却 機械 設備
- 勘定科目 旅費交通費
- 旅費交通費
- 減価償却 少額資産
- 勘定科目 資本
- 小口現金
- 電子取引
- 勘定科目 固定資産 車両
- 個人事業主 経費 固定資産
- 勘定科目 固定資産 PC
- 勘定科目 固定資産 建物
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 連結納税
- 勘定科目 保険料
- 督促状
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- M&A 資本政策
- 決算公告
- 決算業務
- スキャナ保存
- 仕訳 経費
- 経費精算 効率化
- 債権
- 電子記録債権
- 売掛金回収
- 口座振替
- 確定申告 法人
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 決済代行
- 財務会計
- 小切手
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- 消費税 会計処理
- ファクタリング
- 償却資産
- 会計基準
- 法人税 関連税



