• 更新日 : 2026年3月11日

【図解】経常利益とは?決算書の記載場所や計算方法、他の利益との違い

Point経常利益(けいじょうりえき)とは?

経常利益とは、本業と財務活動を含めた、企業が通常業務全体で稼ぐ力を示す利益指標です。

  • 計算式: 「営業利益営業外収益営業外費用」で算出
  • 特徴: 臨時損益を除いた、会社の「基礎体力」がわかる
  • 目安: 中小企業の全産業平均率は7.76%(令和7年調査)

営業利益との違いは、本業の成果だけでなく、借入利息や受取配当金など「財務活動の損益」が含まれる点です。

経常利益(けいじょうりえき)とは、企業が本業を含めた通常行っているすべての業務で得た利益のことです。本業の儲けである営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いて算出されます。投資家や金融機関が企業を評価する際にも重視される指標です。

この記事では、経常利益の意味や計算方法、分析方法、売上総利益や営業利益など他の利益との違いを解説します。

経常利益とは?

経常利益とは、企業が通常行っているすべての業務で得た利益のことです。本業のみで得られた営業利益とは異なり、本業以外で得られた利益である、有価証券の売却や貸付利息で得られた利益も含まれます。

ただし、「企業が毎年どれくらい稼げるか」を示す指標であるため、臨時の土地などの売却益や災害による損失など、毎年発生するものではない損益は含まれません。あくまでも、通常行われる事業活動で得られた利益のみが含まれます。

経常利益は決算書のどこに記載されているか?

経常利益は損益計算書で確認できる

経常利益の額は、損益計算書(P/L)に記載されます。

経常利益は損益計算書(P/L)で確認できる

経常利益は、決算書の一つである「損益計算書(P/L)」に記載されています。 損益計算書には5つの利益が表示されますが、上から順に「売上総利益」「営業利益」、その次に「経常利益」がきます。

決算書のうち、企業の収益や費用の各項目が記載されているのは損益計算書です。経常利益は、企業の収益から、原価や営業に必要な費用(販売費及び一般管理費)に営業外の収支を加減して算出する利益で、損益計算書類の項目のひとつとして表示されています。

損益計算書の5段階利益の3番目に記載されている

損益計算書は、収益と費用の各項目のほか、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益の5つの利益の項目で構成されています。経常利益は、損益計算書の上から3番目の項目として表示されます。

  1. 売上総利益(商品やサービスの収益力)
  2. 営業利益(本業の収益力)
  3. 経常利益(会社全体の収益力)← ここ
  4. 税引前当期純利益(臨時損益を含めた利益)
  5. 当期純利益(税金を差し引いた最終的な手残り)

この順番で計算が進むため、経常利益は「本業の成果」に「財務の成果」を足し引きした後の数字として表示されます。

経常利益の計算方法と求め方は?

経常利益の計算方法1

経常利益の計算方法は、営業利益に営業外収益を足し、営業外費用を差し引きます。計算式にすれば以下のとおりです。

経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

本業で稼いだ利益(営業利益)に、本業以外で入ってきたお金を足し、本業以外で出ていったお金を引くというシンプルな構造です。

【営業利益】

営業利益とは、本業のみによって得られた利益のことです。売上高から売上原価と、販売費及び一般管理費(販管費)を差し引いて求められます。

【営業外収益】

営業外収益とは、本業以外の活動から経常的に発生する収益の事です。主に財務活動や不動産運用などから生じます。具体的には受取配当金や受取利息、為替差益、有価証券売却益、不動産賃貸料(不動産賃貸を本業としていない会社の場合)などがあります。

【営業外費用】

営業外費用とは、本業以外の活動で経常的に発生する費用のことです。具体的には支払利息や為替差損、有価証券売却損貸倒損失などがあります。

経常利益率の目安と業種別平均は?

企業の収益性を測る指標として「売上高経常利益率」が使われます。売上高のうち、どれくらいが経常利益として残ったかを示す割合です。

売上高経常利益率(%) = 経常利益 / 売上高 × 100

この数値が高いほど、コストコントロールや財務戦略が上手くいっており、安定した経営ができていると判断されます。

中小企業庁が実施した「令和7年中小企業実態基本調査(令和6年度決算実績)」によると、全産業の平均は7.76% です。

自社の数値が良いか悪いかを判断するには、同業種の平均と比較するとよいでしょう。

主な産業別の平均値は以下の通りです。

産業分類売上高経常利益率(平均)
鉱業、採石業、砂利採取業28.93%
製造業9.58%
電気・ガス業6.05%
情報通信業6.05%
情報通信業10.59%
卸売業5.59%
小売業4.58%
クレジットカード業、割賦金融業9.69%
物品賃貸業6.94%
学術研究,専門・技術サービス業6.56%
飲食サービス業5.01%
生活関連サービス業,娯楽業10.28%
サービス業1.43%

出典:2025年企業活動基本調査速報ー2024年度実績ー調査結果の概要|e-Start

IT系や不動産など、原価率が低い、あるいは資産運用要素が強い業種は高くなる傾向にあります。自社の業種の平均値と比較し、乖離がある場合は原因を探りましょう。

経常利益から経営状態を分析するには?

経常利益は、臨時的な損益を含まない「会社としての基礎体力」を表す数値です。そのため、営業利益や純利益と比較したり、時系列で追ったりすることで、会社の経営状態を多角的に診断できます。 ここでは、5つの分析視点を解説します。

1. 営業利益とのバランスで「収益構造」を見る

本業の収益である「営業利益」と、財務活動を含めた「経常利益」の大小関係を比較することで、会社の資金構造や課題が可視化されます。

  • 営業利益 ≒ 経常利益 の場合
    本業の利益がそのまま会社の利益として残っています。借入金が少なく、本業以外の不要なコストがかかっていない状態と言えます。
  • 営業利益 > 経常利益 の差が大きい場合
    本業は好調であるにもかかわらず、経常利益が減少している状態です。主な原因は借入金の支払利息などが挙げられます。過剰な借入が利益を圧迫している可能性があるため、借り換えや遊休資産の売却など、財務体質の改善が必要です。
  • 営業利益 < 経常利益 の差が大きい場合
    本業の利益以上に、会社全体の利益が出ています。不動産収入や配当金、為替差益などが業績に貢献している状態です。表面的には良好に見えますが、本業の不振を財務収益で補填しているだけのケースもあるため、楽観視は禁物です。

2. 税引前当期純利益との比較で「本来の実力」を見る

経常利益を「税引前当期純利益」と比較すると、その利益が実力によるものか、一過性の特殊要因によるものかが判別できます。

  • 税引前当期純利益の方が大きい場合
    土地の売却益など、その期だけの一時的な「特別利益」によって利益が押し上げられています。これらを「恒常的な業績」と評価せず、ベースとなる経常利益を見て実力を評価する必要があります。
  • 経常利益の方が大きい場合
    災害損失や事業構造改革費用など、一時的な「特別損失」が発生している場合があります。最終的な利益が低くても、経常利益が十分に確保できていれば、本業と財務を含めた基礎体力は保たれていると判断できます。

3. 経常利益が赤字(マイナス)の場合の原因分析

経常利益がマイナスになっている場合、会社として通常の事業活動で資金流出が続いているリスクの高い状態ですが、その原因は大きく2つに分けられます。

適切な対策を講じるために、どちらに該当するかを見極めましょう。

  • 原因A:本業が赤字(営業赤字)である
    商品販売の不振、あるいは経費構造の高止まりにより、本業で損失が出ている状態です。財務以前に、ビジネスモデル自体の抜本的な見直しが必要です。
  • 原因B:営業黒字だが、営業外費用が大きすぎる
    本業では利益が出ているにもかかわらず、借入金の利息負担や為替差損などが重く、赤字に転落している状態です。過剰債務に陥っている可能性があり、金融機関とのリスケジュール(返済条件変更)交渉や、資産売却による債務圧縮などを行う必要があります。

4. 売上高経常利益率で「収益性」を判定する

売上高に対する経常利益の割合を見ることで、企業の「収益性」を客観的に数値化できます。 

計算式は以下のとおりです。

売上高経常利益率(%) = 経常利益 ÷ 売上高 × 100

売上高経常利益率が高いほど、売上原価や販管費、営業外損失(利息など)が相対的に小さく、効率よく利益を残せていると判断されます。自社の過去の数値と比較して推移を見たり、同業他社の平均値と比較したりすることで、業界内での立ち位置を確認できます。

5. 長期推移で「財務体質の変化」を追う

単年度だけでなく、過去3〜5年の推移を確認することも重要です。 例えば、「営業利益は横ばいだが、経常利益は減少傾向にある」という場合、借入金が年々増加し、利息負担が増している可能性があります。逆に、経常利益率が徐々に改善していれば、借入返済が進み、財務体質が強化されていると考えられます。 長期計画や新製品の投入が、会社全体の収益力にどう貢献しているかを判断する材料にもなります。

経常利益を増やすための改善策は?

経常利益を増やすには、借入利息などの「営業外費用を減らす」ことと、本業の儲けである「営業利益を増やす」ことが有効です。 財務面と事業面の両方を見直すことで、強い経営体質を作れます。

営業外費用(支払利息など)の削減

経常利益を圧迫する大きな要因である「支払利息」を削減することで、直接的に利益を確保します。 本業が順調でも金利負担が重い場合は、以下の財務対策を検討してください。

  • 金利の交渉 取引のある金融機関と交渉し、金利の引き下げを依頼します。業績が改善傾向にあるタイミングで行うと効果的です。
  • 借り換え(リファイナンス) より条件の良い(低金利の)金融機関へ借入をまとめることで、月々の支払利息を圧縮します。
  • 不要資産の売却と返済 利益を生まない遊休資産(使っていない土地やゴルフ会員権など)を売却し、借入金の元本返済に充てます。元本が減れば、将来支払う利息負担も減少します。

本業の収益構造の見直し

根本的な解決策として、売上拡大とコスト削減を行い、ベースとなる営業利益そのものを底上げします。 営業利益が増えれば、多少の営業外費用があっても経常利益はプラスになります。

  • 販管費(固定費)の削減
    効果の薄い広告宣伝費の見直しや、業務効率化による残業代の削減などを行います。これらは営業利益を増やし、結果として経常利益の改善に直結します。
  • 営業外収益の確保(資金運用)
    余剰資金がある場合は、普通預金に眠らせておかず、リスクの低い定期預金や債券運用に回します。わずかでも受取利息(営業外収益)を増やすことで、支払利息との差を埋める工夫ができます。

経常利益と他の利益との違いは?

損益計算書には経常利益のほかに、売上総利益や営業利益、税引前当期純利益、および当期純利益が記載されます。これらの意味と、経常利益との違いを見ていきましょう。

売上総利益との違い

経常利益と他の利益との違い

売上総利益は「粗利益」とも呼ばれ、売上高から売上原価を差し引いた金額です。売上原価には、商品仕入高や材料費などが該当します。経営がうまくいっているかのおよその目安を付けるために利用され、「真の稼ぐ力を表す」といわれる指標です。業種や業態ごとに標準値が見られます。

営業利益との違い

営業利益との違い

営業利益とは、本業で稼ぎ出した利益のことです。売上総利益から販売費及び一般管理費(販管費)を差し引いて求められます。販管費には、広告宣伝費や従業員の給料、販売手数料、交通費水道光熱費租税公課、家賃などが該当します。

営業利益は、顧客獲得コストや顧客維持コストが反映される指標です。また、前述のとおり営業利益に営業外収益を加え、営業外損失を差し引けば、経常利益が求められます。

税引前当期純利益との違い

税引前当期純利益との違い

税引前当期純利益とは、当期の特殊事情を反映した場合の、税金を差し引く前の利益のことです。経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引いて求められます。特別利益・損失とは、通常の企業活動では発生しない臨時的な損益のことで、土地の売却益や災害の被害額などのことです。

当期純利益との違い

当期純利益との違い

当期純利益とは、企業の最終成果を現わす税引後の利益です。税引前当期純利益から、法人税などを差し引いて求められます。貸借対照表の純資産に反映される金額です。

【比較表】5つの利益の違いまとめ

利益の種類計算の概要指標の意味
売上総利益売上 - 原価商品・サービスの競争力
営業利益粗利 - 販管費本業(事業そのもの)の稼ぐ力
経常利益営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用会社全体(財務含む)の恒常的な実力
税引前当期純利益経常利益 + 特別利益 - 特別損失臨時要因を含めたその年の全成績
当期純利益税引前利益 - 税金最終的な手残り

経常利益の分析を経営に活かしていこう

営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いて求められる経常利益は、企業が通常行っているすべての業務で得た利益として、投資家や金融機関が企業を評価する際にも重視されます。幅広い年数や他社、営業利益、当期純利益との比較や、売上高経常利益率の算出により、さまざまな分析も可能です。経常利益の分析を経営に活かしていきましょう。

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