- 作成日 : 2026年1月19日
法人にかかる税金の種類一覧!税率や計算シミュレーション、赤字でも発生する税金などを解説
会社設立や決算において、経営者が頭を悩ませるのが税金です。法人税は、国に納めるものや地方自治体に納めるものなど、複数の種類で構成されています。
この記事では、法人が納めるべき税金の種類を体系的に整理し、それぞれの税率や計算の仕組み、さらには経費にできるか否かまで詳しく解説します。全体像を把握し、適切な資金繰りと節税対策にお役立てください。
目次
法人が納付すべき税金の種類【一覧表】
法人が納付すべき税金は、大きく分けて「利益(所得)にかかる税金」と「保有資産や取引にかかる税金」の2種類があります。
これらを整理すると、以下の表のようになります。
| 分類 | 税目の名称 | 納付先 | 課税対象(基準) |
|---|---|---|---|
| 利益にかかる税金 | 法人税 | 国 | 会社の所得(利益) |
| 地方法人税 | 国 | 法人税額 | |
| 法人住民税 | 都道府県・市町村 | 法人税額(ただし、均等割は資本金や従業員数によって決まる) | |
| 法人事業税 | 都道府県 | 会社の所得(利益) | |
| 特別法人事業税 | 都道府県(ただし国税) | 法人事業税額 | |
| その他 | 消費税 | 国・地方 | 商品・サービスの取引 |
| 固定資産税 | 市町村 | 土地・家屋・償却資産 | |
| 印紙税 | 国 | 契約書・領収書等の文書 | |
| 自動車税 | 都道府県 | 保有する自動車 |
特に利益にかかる税金は、国税と地方税が入り混じっており複雑です。それぞれの特徴を見ていきましょう。
法人の利益に対してかかる税金は?
法人の利益(所得)に対して課される主要な税金は以下の5つです。これらは黒字の場合に支払負担が大きくなります。
1. 法人税(国税)
法人税とは、法人の事業活動によって得られた所得(利益)に対して課される国税であり、会社の税金の中で最も基本的かつ大きな割合を占めるものです。
- 課税対象
課税所得(益金から損金を差し引いた額) - 税率(普通法人・資本金1億円以下)
- 年800万円以下の部分:15%
- 年800万円超の部分:23.2%
赤字(欠損)の場合は原則として発生しません。また、青色申告であれば赤字を翌年以降(最大10年間)に繰り越して、将来の黒字と相殺することが可能です。
2. 地方法人税(国税)
地方法人税は、名前に「地方」と付きますが、国に納める国税です。地域間の税収格差を是正するために設けられた税金で、以前は地方自治体に納めていた住民税の一部が国税化されたものです。
- 課税対象:所得金額ではなく法人税額が基準
- 税率:10.3%
3. 法人住民税(地方税)
事業所を置く自治体に納める、「会費」のような性質を持つ税金です。会社が行政サービスを受ける対価として、都道府県と市町村に納めます。
- 課税対象
- 法人税割:法人税額に応じて課税される部分
- 均等割:資本金や従業員数に応じて定額で課される部分
- 税率
- 法人税割:7.0%(標準税率)
- 均等割:最低約7万円
4. 法人事業税(地方税)
事業を行う法人が、公共サービスの経費を負担するための税金です。道路や消防などの公共サービスを利用して事業を行っていることに対する対価としての性質を持ちます。
- 課税対象:原則として会社の所得(利益)
- 税率:約3.5%〜7.0%程度
最大の特徴は、法人税や住民税と異なり、事業税は支払った事業年度の「損金(経費)」に算入できる点です。これにより、翌期の法人税等の負担を軽減する効果があります。
※資本金1億円超の大企業には、赤字でも課税される「外形標準課税」が適用されます。
5. 特別法人事業税(国税)
法人事業税と一緒に申告・納付しますが、区分は「国税」です。法人事業税の一部を分離し、国税として徴収した後に地方へ再配分するための税金です。
- 課税対象:法人事業税額(所得割額)
- 税率:37%(中小法人の場合)
手続き上は法人事業税とセットで扱われます。法人事業税と同様に支払った事業年度で損金算入できる点に注意が必要です。
法人の利益に関わらず発生する税金は?
主要な5つの税金以外にも、資産の保有や契約行為、取引に対して発生する税金があります。これらは赤字であっても支払い義務が生じるため注意が必要です。
1. 消費税・地方消費税
消費税は、会社が「消費者から預かった税金」を代わりに納める制度であり、会社の損益とは無関係に発生します。
- 課税対象:商品・サービスの取引(課税売上)
- 税率:10%(標準税率)または8%(軽減税率)
- 納税額:「売上で預かった消費税」-「経費で支払った消費税」の差額(原則課税の場合)
原則として、前々事業年度の課税売上高が1,000万円を超えると納税義務が生じます。預り金的な性格を持つため、赤字決算であっても資金繰りを圧迫する最大の要因となりがちです。
2. 固定資産税・償却資産税
資産を持っているだけで、毎年課税される地方税です。毎年1月1日時点で法人が所有している土地、建物、償却資産に対して課されます。
- 課税対象:土地、家屋、償却資産(機械装置、パソコン、備品など)
- 税率:1.4%(標準税率)
利益が出ていなくても、資産を持っているだけで毎年課税されます。
3. 印紙税
印紙税は、契約書や領収書などの文書を作成した際に課される国税です。
- 課税対象:「課税文書」(請負契約書、約束手形、5万円以上の領収書など)
- 税率:文書の種類や記載金額に応じて変動
収入印紙を貼り、消印を押すことで納税完了となります。
参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
4. 自動車税
自動車税は、社用車を保有している場合に、都道府県に対して納める税金です。毎年4月1日時点の所有者に対して課税されます。
- 課税対象:法人が保有する自動車
- 税率:排気量や用途(営業用・自家用)によって変動
トラックや営業車を多く保有する企業にとっては大きな固定費となります。
赤字でも支払いが必要な税金は?
以下の税金は、会社の業績に関係なく支払いが必要です。
- 法人住民税の均等割(最低年間約7万円)
- 消費税・地方消費税
- 固定資産税・償却資産税
- 印紙税・自動車税
「会社が赤字なら税金はゼロ」というのはよくある誤解です。固定費として確実にキャッシュアウトするため、赤字決算が予想される場合でも資金確保が不可欠です。
法人税等の実効税率は何パーセント?
法人税等の税率を足し合わせ、会社の実質的な税負担率を示したものを「実効税率」と呼びます。中小法人(資本金1億円以下)の一般的なケースを想定した基本的な税率は以下の通りです。
- 法人税
- 年800万円以下の部分:15.0%
- 年800万円超の部分:23.2%
- 地方法人税:法人税額の 10.3%
- 法人住民税:法人税割 7.0% + 均等割(定額)
- 事業税等:所得の 約3.5%〜7.0%(所得額により段階的に変動)
これらを総合して計算すると、日本の中小法人の実効税率は、およそ30%〜34%程度となります。つまり、会社の利益の約3割は税金として支払う必要があると認識しておくと良いでしょう。
法人税額の計算シミュレーション
では、実際にどれくらいの税金がかかるのか、モデルケースを使ってざっくりシミュレーションしてみましょう。
- 資本金:1,000万円未満
- 東京都内の普通法人(従業員50人以下)
- 年間の課税所得(利益):1,000万円
計算ステップ
- 法人税額:(800万×15%) + (200万×23.2%) = 166.4万円
- 地方法人税額:166.4万 × 10.3% = 約17.1万円
- 法人住民税:(166.4万×7.0%) + 均等割7万円 = 約18.6万円
- 事業税・特別事業税:段階税率を適用して概算 = 約67.4万円
利益が1,000万円の場合、約270万円(利益の約27%)が納税額となります。
※上記は概算です。正確な数字は自治体の税率や調整計算により異なります。
法人税の年間スケジュール・納付期限は?
税金の支払いは特定の日付に集中します。資金不足にならないよう、以下の年間スケジュールを把握しておきましょう。
- 決算日(3月31日の場合)
事業年度の終了日です。
ここから2ヶ月以内に申告・納付を行う必要があります。 - 確定申告・納付期限(5月31日)
決算日の翌日から2ヶ月以内です。
法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税、消費税を納付します。 - 中間申告・納付(11月30日)
前年度の法人税額が20万円を超える場合、事業年度開始から6ヶ月経過した日から2ヶ月以内に行います。
前期の実績に基づいて納税する「予定申告」と、半期の仮決算を行って納税する「仮決算による中間申告」のいずれかを選択できます。
納付が遅れた場合のリスク
納付期限を1日でも過ぎると「延滞税」がかかります。また、申告自体を行わなかった場合は「無申告加算税」が課される可能性があります。どうしても期限内に納付が難しい場合は、放置せず早めに税務署へ相談しましょう。
法人にかかる税金の種類を正しく理解しよう
法人が納める税金は種類が多く複雑ですが、以下の2点に分けて理解することが重要です。
- 法人税、地方法人税、法人住民税(法人税割)、法人事業税など
- 利益の約30%が税金として出ていくイメージ
- 法人住民税(均等割)、消費税、固定資産税など
- 業績に関わらずキャッシュアウトするため、事前の資金確保が最優先
税制は毎年のように改正が行われます。「今回はどの税金がいくらかかるのか」「もっと節税できる方法はないか」といった疑問については、最新の情報を確認するか、専門家である税理士へ相談することをおすすめします。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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