• 更新日 : 2026年3月19日

決算業務とは?全体の流れや注意すべきポイント、効率化のコツを解説

Point決算業務とは?

決算業務とは、1年間の取引をまとめて財務諸表を作成し、企業の経営成績と財務状態を確定させる経理の最重要業務です。

  • 主な業務:帳簿の確定や決算整理仕訳を行い、貸借対照表損益計算書などの決算書類を作成します。
  • 期限の遵守:原則として決算日から2ヶ月以内に、税金の計算、申告および納税を完了させる義務があります。
  • 効率化のコツ:日々の記帳に加え、月次決算を徹底することで年次決算時の作業負担を大幅に軽減できます。

法改正により、2026年度以降は資本金1億円以下の法人でも親会社の規模等で外形標準課税の対象となる場合があるため、自社の適用区分を正しく判定し、正確な税金計算を行うことが不可欠です。

決算業務とは、当該事業年度の年次決算に向けて、決算書類を作成する業務を指します。年次決算は多くの経理作業の中でも重要度が高く、作業には正確性、スピードも求められます。

本記事では、決算業務における作業内容や一連の流れ、スケジュール感や効率化のコツなどを詳しく解説します。

決算業務とは?

決算業務とは決算に向けて決算書類を作成するために、企業の経営状況や財務状況を把握して年間の全取引をまとめる業務です。決算業務は年次決算(本決算)のほか、月次決算や四半期決算、中間決算などがあり、年次決算は、会社法等の規定により株式会社などの法人に作成が求められるものです。

一般社団法人や公益法人等についても、それぞれの根拠法令に従って計算書類を作成する義務があります。

なお、国や地方自治体は企業会計とは別の公会計の仕組みに基づいて決算を行います。

年次決算業務では、決算日時点での資産、負債、純資産の状況をまとめた貸借対照表と、事業年度の収益と損益計算をまとめた損益計算書を作成しなければなりません。上場企業では、この2点に加え会社のお金の流れを把握するキャッシュ・フロー計算書の作成義務もあります。

決算業務の流れとスケジュールは?

年次決算において、経理担当者が実際に行う経理業務の流れと、スケジュールを見ていきましょう。

一般的には、以下のフローで決算業務を進めていきます。

  1. 決算残高の確定、決算整理仕訳を行う
  2. 税金を計算する
  3. 決算書の作成
  4. 株主総会などで承認を受ける
  5. 法人税などの申告書を作成・提出
  6. 法人税などを納付

それぞれの内容について、詳しくご紹介しましょう。

決算残高の確定、決算整理仕訳を行う

決算業務を行うには、まず決算残高を確定させる必要があります。決算残高の確定とは、決算日における各勘定項目の残高が、実際の残高と一致しているかを確認する作業です。これは、帳簿で管理しているすべての勘定項目で実施しなければなりません。決算残高が誤っていると税額にも影響が出て、納税漏れが発生するリスクがあります。

決算残高の確定の流れの中で仕訳作業が必要になり、これを「決算整理仕訳」と呼びます。決算整理仕訳は年次決算だけでなく、月次決算や四半期決算でも必要に応じて行います。期中仕訳と決算時における情報のずれを修正することが目的です。

決算整理仕訳は、売掛金買掛金の金額を決算日に合わせて修正、前払金や固定資産や棚卸資産の処理などを行い、通常業務と決算を区別します。

決算残高が確定したら、勘定科目内訳明細書を作成します。勘定科目内訳明細書は法人税申告書の添付書類として提出する必要がある書類で、決算書類である貸借対照表と損益計算書の各勘定項目の明細を記したものです。

決算書作成の下準備である決算残高の確定は決算業務のスタート地点ともいえるため、できるだけ早く、決算月から1ヶ月以内には着手しましょう。また決算整理仕訳は業種や企業の規模によって作業量が大きく異なり、取引が多くなるほど作業量が多くなります。そのためある程度、日程に余裕を持たせておくことが望ましいでしょう。

税金を計算する

確定した決算残高を基に、税金の計算を行います。決算残高や税額が誤っていると税務署から指摘されることになる可能性もあるため、慎重を期してミスのないように作業しましょう。 年次決算業務で行う税金の計算は消費税、法人税で、それぞれの計算方法は以下のとおりです。ここで挙げた税金は、事業年度終了から2ヶ月以内に納税しなければなりません。

  • 消費税(原則課税の場合):売り上げにかかる消費税額-仕入れや経費にかかる消費税額
  • 法人税:課税所得(益金-損金)× 法人税率
  • 地方法人税:法人税 × 地方法人税率
  • 法人住民税:均等割 + 法人税割(法人税✕住民税割率)※都道府県・市町村それぞれに必要
  • 法人事業税:課税標準額(所得など)× 法人事業税率
  • 特別法人事業税(地方法人事業税):法人事業税×標準税率(※令和8年度以降、順次名称や枠組みが整理されます)

法人税率は課税所得の金額によって異なります。資本金1億円以下の法人であっても、親法人の規模等により外形標準課税の対象となる場合があるため、自社の適用区分を正しく判定する必要があります。

また法人住民税の均等割、法人税割の税率や基準となる条件は、地域によって差があるため注意が必要です。 税金を計算するスケジュール感は、決算書の作成と同時進行しながら決算の翌月いっぱい程度と見ておきましょう。

参考:法人税の税率|国税庁

決算書の作成

決算月の翌月後半ごろには、確定残高を基に決算書の作成に着手しましょう。決算書には、主に貸借対照表と損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表の5つの書類があります。

  • 貸借対照表:バランスシートとも呼ばれる、事業における一時点の資産、負債、純資産の状態を表すもの
  • 損益計算書:当該事業年度の収益、費用および利益を表す書類
  • キャッシュ・フロー計算書:当該事業年度における現金の流れを表す書類
  • 株主資本等変動計算書:1年を通した株主資本の変動を表す書類
  • 個別注記表:各書類の注記事項を一覧にしてまとめた書類

その中でも特に重要視されるのが、「財務三表」と呼ばれる貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の3つです。ただし、キャッシュ・フロー計算書は基本的に上場企業のみの作成義務であるため、非上場の企業は作成しないことも多くあります。

決算書の作成期限は事業年度終了から3ヶ月以内ではあるものの、先述した法人税の申告期限が事業年度終了から2ヶ月以内です。そのため、決算書の作成も実質2ヶ月以内には終わらせる必要があります。

株主総会などで承認を受ける

決算書ができたら、決算承認の手続きに入ります。決算承認の手続きは会社のタイプによって異なります。会計監査人設置会社を除く監査役設置会社では監査役に、会計監査人設置会社では監査役と会計監査人の監査を受けます。

取締役会設置会社においては、監査役などの監査を受け、その後に決算承認取締役会の承認を受けなければなりません。その後、株主総会の承認を受ける流れです。

株主が一人であるなど、株主総会を実際に開催することがない会社の場合は税理士とのやり取りで決算を確定させ、その日を株主総会の承認日とするケースがほとんどです。

合同会社では株主総会はありませんが、会社法に基づき計算書類を作成し、社員の承認を受ける必要があります。法人税などの申告書を作成・提出

法人税の確定申告を行うのは、事業年度の終了日翌日から2ヶ月以内で、申告期限延長の届出を出している場合は3ヶ月以内です。期限に当たる日が土日祝日に当たるケースでは、その次の平日が期限になります。

決算確定後に申告書類を確定し、期限内に申請しましょう。申請期限を過ぎた場合は延滞税が発生することもあります。

税金の申告先は税金の種類によって異なり、法人税と地方法人税、消費税は所轄税務署、法人事業税、特別法人事業税は都道府県税事務所です。

法人住民税は法人都道府県民税と法人市町村民税に分けられ、法人都道府県民税は都道府県税事務所、法人市町村民税は市町村役場に申告します。

法人税などを納付

年次決算に伴う確定申告で納付する税金の納付期限は、先述した申告期限と同じ決算期日の翌日から2ヶ月以内です。

申告期限の延長を申請している場合でも、納付期限は延長されないため概算の納付金額を計算し、見込額を納付しなければなりません。

見込納付額と確定額に差が出た場合には、差額の納付、または還付手続きが必要です。

決算業務で経理担当が注意すべきポイントは?

決算業務を行ううえで、注意するべきポイントについて詳しくご紹介します。

データや請求書などの整理は日常的に行う

年次決算業務は時間の制限があるうえ、作業量が多いため日頃からデータや請求書などをきちんと処理し、整理しておくことが大切です。

データ探しや請求書探しなどに時間がとられると、決算業務に回せる時間が減り期限までに間に合わなくなる可能性も出てくるかもしれません。データはその都度精査し正確性を保つことに加え、整理して管理し必要なデータをすぐに取り出せる状態にしておきましょう。

月次決算での確認作業を徹底する

月次決算は月ごとに行う決算であり、年次決算とは違い法律によって義務付けられている業務ではありません。業務内容としては年次決算で行う業務とほぼ変わりなく、単位が事業年度ではなく1ヶ月に変わる程度です。

任意で行うものであるため、月次決算をしない場合よりも業務負担が増えるように感じるかもしれません。しかし月単位で確実な決算業務を行っておくと、年次決算の際には月次決算のまとめ作業でよく、年次決算時の業務負担を大きく減らせる可能性があります。

処理の誤りなどを発見しやすく、年次決算の精度が上がることも正確な月次決算をするメリットといえます。そのため月次決算を実施して、確認作業を徹底しましょう。

可能な限り前倒しで作業する

年次決算業務は重要度が高く、ミスが許されない業務でもあります。正確性が求められることに加え業務量も多いため、あらかじめスケジュールを組んで作業の手順を確認しておくことはもちろん、できるだけ前倒しにして作業を進めるように心がけましょう。

スケジュールに余裕を持たせることが、心の余裕にもつながりミス発生の予防にも貢献します。

決算業務を効率化するコツは?

決算業務は複雑で業務量が多く、経理担当者の負担が大きい作業でもあります。そこで、決算業務を効率化させるためにできることをご紹介します。

作業内容を整理し、優先順位を決める

決算期になって急に慌てて決算業務に着手するのではなく、決算期に入る前に決算業務にはどのような作業があるのか、どの作業にどの程度の時間がかかるのかをまず把握しておきましょう。

長年決算業務に携わっているベテランの方なら、ある程度目安がつくでしょう。しかしそうでない場合は、事前に作業内容が理解できていないと何から手を付けていいのか混乱し、作業に必要以上の時間がかかる可能性もあります。あらかじめ手順を確認し、優先順位を決めることで効率よくスムーズに決算業務を進められます。

予備日を含めたスケジュールを組む

そもそもの決算業務のスケジュールに、余裕を持たせておくことも正確な決算業務を行うコツのひとつといえます。

決算業務はあらゆる経理作業の中で、特に重要度が高い業務のひとつです。通常時とは異なる体制を組み、期日ぎりぎりではなく何らかのトラブルが起こっても対応ができる余裕があるよう、予備日を含めたスケジュールを組みましょう。

会計システムやアウトソーシングの導入を検討する

人員不足などで決算業務の負担があまりにも大きいと感じるのであれば、会計システムやクラウドソフトを導入することを検討してみましょう。日々の取引や請求書の管理などを自動化し、作業効率が上がるだけでなく正確性も増すため、年次決算業務もスムーズになります。

決算業務をアウトソーシングするのも、ひとつの方法です。費用はかかるもののプロに依頼することで決算書のミスが減り、経理の負担も減らせます。

決算業務におけるミスの実態と効率化の必要性

マネーフォワードは、決算業務に関与している実務担当者や管理職を対象に、決算に関する実態調査を実施しました。

決算ミスの原因と業務への影響

決算業務において確定前の数値に誤りや修正が発生した経験を持つ層に対し、その主な原因を尋ねたところ、最も多かったのは「手入力によるミス(入力漏れ、桁間違いなど)」で、40.8%でした。

次いで、「組織変更や新規事業に伴う複雑な会計処理の増加」が28.3%、「関連部署からの報告漏れ・情報共有の遅延」が26.5%となっています。 また、ミスが発生した際の業務への影響について尋ねたところ、最も大きかったのは「修正対応による残業時間の増加・過重労働」で、29.3%でした。

ミスを防ぎ業務負担を減らすには

この調査結果から、決算業務においては手入力による人的なミスが頻発しており、ミスの修正作業が経理担当者の長時間の残業や過重労働に直結していることがわかります。 

決算業務は期限が決められているうえに、正確性が求められる重要な業務です。担当者の心理的・肉体的な負担を軽減し、ミスのない決算書を作成するためには、日々の月次決算での確認作業を徹底するだけでなく、手作業そのものを削減できる会計システムやクラウドソフトの導入が、効率化の重要なコツといえます。

出典:マネーフォワードクラウド、決算数値の誤りや修正が発生する主な原因【決算に関する調査データ】(回答者:決算業務で数値の誤りや修正を経験している635名、集計期間:2026年2月実施)

法人決算のチェックリストは?

決算業務は、ミスが許されない重要な業務です。一つひとつの作業を確認しながら、確実にこなしていくことが求められます。

マネーフォワード クラウド会計では、セブンセンス税理士法人が実際に使用している法人決算チェックリストをご用意しています。リストに沿って確認することで、抜けや漏れのない法人決算の申告が可能です。

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重要度が高い決算業務には万全の準備で臨もう

決算業務は、財務状況を正確に把握し、納税義務を果たすための極めて重要な工程です。年次決算に向けては、残高確定から決算書の作成、税金計算、申告・納付まで多岐にわたる作業を期限内に進めなければなりません。

ミスを防ぎ効率化するには、月次決算による日頃の整理と、最新の税制改正を反映したスケジューリングが不可欠です。会計システムやチェックリストも活用し、余裕を持った準備で円滑な決算を目指しましょう。

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