• 更新日 : 2025年8月22日

大阪で経理代行サービスを依頼するには?依頼先や対応範囲、費用などを解説

大阪府で事業を営む方々、日々の経理業務に追われ、本業に集中できないと感じることはないでしょうか。人材の確保や、インボイス制度電子帳簿保存法といった度重なる法改正への対応は、特に中小企業や個人事業主にとって大きな負担となりがちです。

こうした課題を解決し、事業成長を後押しするのが「経理代行サービス」です。本記事では、大阪府で経理代行の利用を検討している方に向けて、サービスの対応範囲から料金相場、メリット、注意点、そして自社に最適なパートナーを見つけるための選び方のポイントまでを分かりやすく解説します。

大阪で経理代行を依頼できる税理士事務所や会計事務所

大阪府の事業者が経理代行サービスの利用を検討している場合、税理士事務所や会計事務所に相談が可能です。

マネーフォワード クラウドの税理士検索ページで都道府県を「大阪」に絞り、得意分野の「経理代行」にチェックを入れて検索すると、以下のような事務所が経理代行サービスを提供しています。

    大阪府に拠点がない税理士事務所であっても、国内であれば全国対応している事務所もあります。経理代行サービスを提供しており、全国対応が可能な主な事務所は、以下の通りです。

    また、税理士や公認会計士と連携して、経理代行サービスを提供している会社もあります。経理代行サービスの利用を検討している場合は、このような事務所・会社に相談すると良いでしょう。

    大阪における経理代行サービスの料金相場(目安)

    大阪府では、オフィス賃料や最低賃金が全国でも高水準にあることに加え、国際貿易・卸小売・中小製造業が集積しています。そのため、外貨取引や精緻な原価計算、多店舗・ECサイトの売上・在庫管理といった高度な専門知識が求められる案件が多く、要件に応じて料金が上振れする傾向があります。

    ここでは、大阪府内で経理代行を依頼する際の一般的な料金体系を、依頼内容ごとに詳しく解説します。なお、記載した料金はあくまで一般的な目安です。実際の料金は、仕訳件数、従業員数、訪問の有無、使用する会計ソフトの種類、年末調整や各種申告業務を含むか否かなど、多くの条件によって変動します。

    依頼内容料金相場の目安
    記帳代行月額5,000円~45,000円程度。1仕訳50円~100円が中心です。証憑が未整理な場合や部門別管理、特急対応などでは単価が上振れします。作業範囲の広い「丸投げ」の場合、500仕訳で60,000円程度になるケースもあります。
    給与計算、年末調整【給与計算】月額基本料金10,000円~30,000円 + 従業員1名あたり500円~2,000円。従業員単価は1,000円~1,500円程度が多く見られます。【年末調整】基本料金10,000円~20,000円 + 従業員1名あたり1,000円~3,000円。法定調書合計表の作成などは別途料金となる場合があります。
    請求書処理代行単純な発行作業で1件500円~2,000円が目安です。承認フローや入金消込、督促まで含む場合は1件1,000円~3,000円程度まで幅が広がります。※SaaSを利用した郵送代行など、サービス形態によって料金は大きく異なります。
    月次決算代行月額20,000円~50,000円程度が中心的な価格帯です。(小規模な場合は15,000円程度からのケースもあります)。レポートの粒度や訪問頻度、部門別会計の有無などで料金は変動します。
    決算申告年額100,000円~200,000円程度が相場です。例えば、年間売上高1,000万円までなら100,000~180,000円、3,000万円までなら150,000~250,000円といったように、企業の規模に応じて料金が設定されます。「月次顧問料の4~6ヶ月分」を目安とする事務所も多く見られます。

    経理代行サービスとは?

    経理代行とは、企業の経理業務を外部の専門家へ委託できるサービスです。経理担当者を自社で雇用するのではなく、必要な業務を必要な分だけアウトソーシングできるため、特に中小企業やスタートアップ、個人事業主にとって柔軟で効率的な経営体制を築くための強力なパートナーとなり得ます。

    業務範囲は日々の記帳や給与計算、会社法に基づく決算書作成の補助、年末調整の事務処理支援まで多岐にわたります。ただし、税理士の独占業務である税務申告書の作成は含まれず、年末調整などの最終責任は委託元の会社が負う点に注意が必要です。

    記帳代行との違い

    経理代行と混同されやすいサービスに「記帳代行」があります。記帳代行が領収書などをもとに会計帳簿を作成する業務が中心であるのに対し、経理代行はそれに加え、給与計算や請求書発行、支払い管理など、より広範な経理事務までをカバーします。

    つまり、記帳代行は経理代行という大きな枠組みの一部と位置づけることができます。

    税理士の独占業務と注意点

    税務申告書の作成・税務代理・税務相談は、税理士の独占業務です(税理士法第2条)。税理士でない者は、有償・無償を問わず、これらの業務を「業として」(反復継続する意思をもって)行うことは法律で禁じられています(同法第52条)。

    一方で、納税者本人が自分で申告書を作成・提出することは何ら問題ありません。重要なのは、税理士以外の第三者が、本人に代わって「業として」これらの業務を行えないという点です。 このため、経理代行会社が申告業務まで請け負う際は、提携する税理士と連携して対応するのが一般的です。

    出典:税理士法 | e-Gov 法令検索

    経理代行の主なサービス対応範囲

    経理代行サービスは、企業のニーズに合わせてさまざまな業務を依頼できます。一般的なサービス範囲は以下の通りです。

    記帳業務

    「記帳業務」とは、売上や経費の支払い、預金通帳の入出金といった、日々の事業活動におけるすべてのお金の動きを、簿記のルールに従って会計帳簿に記録していく作業です。

    法人は、法律に基づき会計帳簿を作成し、一定期間保存することが義務付けられています。また、主に個人事業主が対象となりますが、青色申告の特別控除を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

    • 65万円控除:複式簿記での記帳、貸借対照表(B/S)・損益計算書(P/L)の添付、期限内申告に加え「e-Taxによる電子申告」または「優良な電子帳簿保存」のいずれかを満たす
    • 55万円控除:上記の電子申告・電子帳簿保存の要件を満たさないが、複式簿記など基本的な要件は満たす
    • 10万円控除:上記の要件に満たない青色申告者

    この業務には簿記の専門知識が不可欠です。もし社内に経理知識を持つ人材がいない場合、既存の従業員を教育するか、新たに経験者を採用する必要がありますが、それには時間もコストもかかります。

    経理代行サービスに記帳業務を委託すれば、そうした負担を解消できます。企業側は、クラウドシステムやスキャンを通じて領収書や請求書などのデータを提供します。専門家はそれに基づき経理処理を行いますが、取引内容に不明な点があれば、都度確認のやり取りが発生します。 正確な経理処理のためには、依頼者側の協力も不可欠です。

    給与計算

    役員報酬や従業員への給与支払いは、毎月決まった時期に必ず発生する重要な業務です。給与計算を正しく行うためには、所得税や住民税源泉徴収社会保険料(健康保険・厚生年金)、労働保険料雇用保険・労災保険)の計算など、税務から労務まで幅広い知識が求められます。

    経理代行サービスを利用する場合、タイムカードなどの勤怠データや従業員の扶養情報などを提供することで、これらの複雑な計算をすべて任せることが可能です。多くのサービスでは毎月の給与明細書の作成まで対応可能ですが、基本プランに含まれずオプション扱いとなる場合もあるため、契約前に確認が必要です。

    年末調整

    従業員を雇用している事業主には、毎月の給与から所得税を天引きして国に納める「源泉徴収」の義務があります。そして年に一度、1年間の給与総額に対する本来の所得税額を確定させ、源泉徴収してきた合計額との差額を精算する手続きが「年末調整」です。

    年末調整では、従業員から回収した「扶養控除等申告書」や「保険料控除申告書」などの書類に基づき、一人ひとりの控除額を反映させて正確な年税額を算出しなければなりません。 経理代行サービスに依頼すれば、これらの煩雑な書類のチェックから税額計算、過不足額の精算まで、年末に集中しがちな業務をまとめて代行してもらえます。

    決算・申告業務

    法人は事業年度ごとに、個人事業主は暦年ごとに、その期間の経営成績と財政状態をまとめた「決算書」を作成し、それに基づいて税額を計算して税務署に「確定申告」を行う必要があります。決算・申告業務は、簿記の知識に加えて法人税法消費税法といった専門的な税務知識が不可欠であり、事業者自身で行うには非常にハードルが高い業務と言えます。

    日頃から記帳代行を依頼していれば、そのデータをもとにスムーズに決算・申告の準備を進めることが可能です。報酬を得て他人の申告書を作成・提出することは税理士の独占業務であるため、経理代行会社は提携する税理士と連携して対応するのが一般的です。記帳は代行会社、最終的な申告は税理士という役割分担になります。

    経理代行サービスを利用するメリット

    経理代行サービスを導入することで、具体的にどのようなメリットが得られるのかを確認していきましょう。

    1. コア業務への集中と生産性の向上

    経理代行サービスを導入することで、請求書の発行や経費精算、記帳といった経理業務から解放されます。その結果、経営者は本来注力すべき事業戦略の策定や営業活動といったコア業務に時間とリソースを集中できます。

    例えば、月次決算が早期化すれば経営判断のスピードが上がり、経理担当者を雇用する人件費と比較してコストを抑えられるなど、企業全体の生産性向上が期待できます。

    2. 経理担当者の採用・育成コストの削減

    経理担当者を一人雇用する場合、給与や社会保険料だけでなく、求人広告費や教育・研修費用など、多くのコストが発生します。理代行を利用すれば、これらのコスト削減につながる可能性があります。特に、経理担当者の採用が難しい地域や、業務量の変動が大きい場合に有効です。

    3. 専門家による高品質で正確な経理処理

    経理代行サービスを提供する業者は、経理・会計の専門家です。専門知識と豊富な経験に基づき、正確で質の高い経理処理が期待できます。人為的なミスを防ぎ、月次決算などを通じて自社の経営状況を正確かつ迅速に把握できるようになるでしょう。

    4. 複雑な法改正へのスムーズな対応

    近年、インボイス制度や電子帳簿保存法など、経理・税務に関する法改正が頻繁に行われています。これらの最新情報に自社だけで対応し続けるのは大きな負担です。経理の専門家である代行業者に任せることで、法改正へ迅速・適切に対応しやすくなり、申告誤りなどによる追徴課税のリスクを低減できます。

    経理代行サービスを利用する際の注意点

    多くのメリットがある一方で、経理代行の利用にはいくつかの注意点も存在します。契約後に後悔しないためにも、以下のポイントを事前に確認しておきましょう。

    1. 情報漏洩のリスク

    経理業務を委託するということは、売上や経費、取引先情報といった企業の機密情報を外部に渡すことになります。これらの情報には、売上や原価といった経営の根幹をなす数字から、取引先との契約内容、従業員の給与といった極めて繊細なデータまで含まれます。

    万が一これらの情報が外部に漏洩すれば、直接的な金銭被害だけでなく、社会的な信用の失墜や競争上の不利につながる深刻な事態に発展しかねません。

    2. 丸投げによる社内ノウハウの空洞化

    経理業務をすべて「丸投げ」してしまうと、社内に経理に関する知識やノウハウが蓄積されにくくなる可能性があります。将来的に経理部門を内製化したいと考えている場合は、業者と連携し、業務フローを可視化してもらうなど、情報共有の仕組みを整えておくことが重要です。

    3. コミュニケーションの重要性と業務範囲の明確化

    円滑に業務を進めるためには、代行業者との定期的なコミュニケーションが不可欠です。報告・連絡・相談のルールを事前に決めておきましょう。また、「どこからどこまでの業務を依頼するのか」という業務範囲を契約前に明確に定義しておくことで、「やってもらえると思っていた業務が範囲外だった」といったトラブルを防ぐことができます。

    自社に合った経理代行サービスの選び方

    自社の成長を共に支えてくれる最適なパートナーを見つけるために、以下の視点でサービスを比較検討しましょう。

    1. 自社の依頼目的と業務範囲を明確にする

    まず、なぜ経理代行を導入したいのか、目的を整理することが重要です。単に日々の記帳を効率化したいのか、それとも専門的な原価計算や、補助金・助成金の申請までサポートしてほしいのか。自社の業種特性(製造業、IT、小売・サービス業、物流業など)と合わせて、「依頼したい業務のゴール」を明確にすることで、必要なサービスを提供してくれる業者を的確に絞り込めます。

    2. 地域・産業特性への理解度を確認する

    大阪は「商都」として知られ、多種多様な産業が集積するため、自社のビジネス領域に深い知見を持つパートナーを選ぶことが成功の鍵となります。

    例えば、年間商品販売額で全国トップクラスの規模を誇る卸売・小売業では、多店舗展開やECサイトにおける在庫・売上管理、インバウンド向けの免税販売など、複雑な会計処理への対応力が求められます。

    また、事業所密度が全国トップクラスである東大阪市に代表される「ものづくりの街」では、中小製造業特有の精緻な原価計算が重要です。さらに、医薬品・化学工業における研究開発費の会計処理、大阪港を拠点とする国際貿易に伴う外貨建て取引、そしてホテルの客室稼働率が全国1位になるほどインバウンド需要が旺盛な観光・飲食業におけるOTA手数料の会計処理など、専門的な知見が強みとなります。

    こうした地域・産業特性への深い理解は、金融機関との融資相談においても有利に働くことがあります。 例えば、地域の金融機関は融資の際に企業の事業内容や成長性を評価する傾向があり、そうした観点を理解したパートナーであれば、金融機関が求める水準の事業計画書や資金繰り表の作成が期待でき、融資相談などが円滑に進む可能性があります。

    3. 料金体系の透明性と費用対効果を見極める

    必ず複数の業者から見積もりを取り、サービス内容と料金のバランスを慎重に比較しましょう。「月額〇円~」といった表示だけでなく、仕訳数や従業員数に応じた追加料金の有無、決算料が別途必要なのかなど、料金体系の細部まで確認することが大切です。単に安いだけでなく、自社が得られるメリットとの費用対効果で判断しましょう。

    4. セキュリティ対策の信頼性を評価する

    東大阪市などに集積する中小製造業が持つ独自の技術情報、国際的な商取引で扱われる契約・決済情報、国内外から訪れる膨大な数の観光客の個人情報など、大阪府の企業が扱う情報には極めて高い機密性が求められます。

    「プライバシーマーク(Pマーク)」や「ISMS(ISO27001)」認証の有無は、客観的な判断材料になります。あわせて、これらの認証の有無だけでなく、通信・データの暗号化といった技術的な対策、担当者へのセキュリティ教育、そして契約書に盛り込まれる機密保持契約の具体的な内容までを直接確認し、総合的に評価することが大切です。

    まとめ

    本記事では、大阪府で経理代行サービスの利用を検討している経営者や担当者の方に向けて、サービスの対応範囲から料金相場、メリット、注意点、そして自社に最適なパートナーを見つけるための選び方のポイントまでを解説しました。

    経理代行は、単なる業務の外注ではありません。煩雑な経理業務から解放され、貴重な経営資源をコア業務に集中させるための戦略的なパートナーです。 自社の課題を明確にし、本記事でご紹介したポイントを参考に、ぜひ貴社に最適な経理代行サービスを見つけて、事業のさらなる発展にお役立てください。


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