- 更新日 : 2025年2月20日
設備投資効率とは?計算方法や目安、上げる方法を解説
設備投資効率は、企業の生産設備と付加価値の関係を評価する指標です。設備投資効率を評価することで、企業の有する有形固定資産がどれだけ効率良く活用されているかがわかります。この記事では、設備投資効率の計算方法や目安、設備投資効率を上げる方法について解説します。
設備投資効率とは
設備投資効率は、企業の生産設備がどれほどの付加価値を生み出しているかを評価する指標です。設備投資効率が高いほど、生産設備が効果的に使われていると評価できます。設備投資効率が低い場合は、改善策を検討する必要があるでしょう。
設備投資効率の計算方法
設備投資効率は、以下の計算式で求めることができます。
付加価値額とは、企業の生産活動で新たに創出された価値のことです。付加価値額は以下の計算式で求めることができます。
付加価値額を算出する際の人件費は、従業員の給与や賞与の額に、役員報酬と福利厚生費を加算した金額です。付加価値額を簡便的に求める方法として、以下の計算式で求めることもできます。
有形固定資産は建設仮勘定を除いた、土地やその他の有形固定資産の合計額です。有形固定資産の額は、期首と期末の平均を用います。期中に有形固定資産の加除が生じたり、減価償却により期末時に有形固定資産の額が変動したりするためです。
設備投資効率の目安
設備投資効率は、どのくらいを目指すべきなのでしょうか。財務省によると、2022年度の全業種の設備投資効率の平均は66.1%で、製造業の平均は78.2%、非製造業の平均は62.7%でした。他の業種と比較すると、製造業は設備投資効率が高いことがわかります。平均値は、目指す設備投資効率を検討する際の目安になるでしょう。
出典:設備投資効率|財務省
設備投資効率を上げるには
設備投資効率は、付加価値額と有形固定資産の額をもとに算出されます。設備投資効率の計算式から、付加価値額を増やす、あるいは有形固定資産の額を減少させることで、設備投資効率が向上することがわかります。
付加価値額を増やす方法として現実的なのは、営業利益を伸ばすことです。営業利益は、販路拡大により売上高を向上させたり、原価率を下げたり、無駄な販管費を削減したりすることで向上します。
有形固定資産の圧縮については、まずは不要な有形固定資産の洗い出しや投資案件の精査などが考えられます。また、生産設備の状態も重要です。設備投資効率が良好な企業の共通点として、設備年齢が安定的に維持されていることが挙げられます。設備年齢が高くなると、生産性の低下や品質の低下により同業他社との競争に負け、付加価値額が減少します。生産設備の修繕やメンテナンスを行い、生産設備を適切に維持することが重要です。
設備投資効率が一時的に上昇するものの、生産設備の高齢化が懸念される場合は、設備投資の新規取得や入れ替えなどの検討も必要です。
設備投資効率で企業の生産設備の活用度合を評価しよう
企業が保有する有形固定資産に無駄がないかを確認する方法の一つに、設備投資効率の測定があります。設備投資効率は、企業が投下した生産設備によってどのくらいの付加価値が生み出されているかを評価する指標です。有形固定資産が利益にどれだけ貢献できているかがわかるため、経営の無駄を把握したい場合などに活用しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
土地や建物にかかる固定資産税の計算方法
固定資産税とは、土地・建物などの所有者に課される税金で、市町村(東京23区だけは東京都)から送られてくる納税通知書に書かれた金額を4回に分けて支払います。ここでは、固定資産の概要や価格の決め方、計算方法を紹介します。 固定資産税とは 固定資…
詳しくみる領収書をスプレッドシートで作成する方法!テンプレートの活用法も解説
領収書をスプレッドシートで作成することにより、無料で手軽に領収書を作成し、複数の端末からアクセスが可能です。関係者との情報共有も簡単にできるため、ビジネスにおいて効率的な管理を必要としているケースでは重宝します。 本記事では、スプレッドシー…
詳しくみる賃上げ促進税制とは?概要や対象、活用のメリットを解説
賃上げ促進税制は、従業員の給与引き上げを促進するための制度です。令和4年度税制改正で創設された賃上げ促進税制ですが、令和6年度税制改正によってさらに3年延長し、かつ拡充しました。 本記事では、賃上げ促進税制の概要、従来の賃上げ促進税制との違…
詳しくみる任意監査とは?メリット・デメリットや法定監査との違い
会社で行う監査とは、経営や財務状況について検証し、結果を報告することです。 監査の一つである「任意監査」とは、会社が自主的に行う監査のことです。法定監査とは異なり、行う会社の規模などの定めはありません。 この記事では、任意監査の種類やそれぞ…
詳しくみる会計処理って具体的に何?業務の流れや経理処理との違い
経理に配属されると「経理処理」や「会計処理」という言葉を聞くことが多いと思います。 これらの用語に厳密な定義はありませんが、経理の業務の1つに会計処理があります。 この記事では、会計処理についての流れから原則までを説明していきます。 会計処…
詳しくみる【2020~2021年度】コロナによる固定資産税の猶予・減免 対象者や申請方法は?
毎年4~6月頃は「固定資産税の納期」と記憶している事業者も多いことでしょう。ところが、2020年は新型コロナウイルスにより経営難に陥り、納税どころではないという事業者が少なくありません。 そういった事業者の税負担を軽減するために、政府は新型…
詳しくみる