- 更新日 : 2026年1月8日
特別損益とは?特別損失と特別利益として計上される具体例とともに解説
損益計算書において、企業が通常行っている業務で得た利益である経常利益に、特別利益を加え、特別損失を差し引いて税引前当期純利益を計算します。この経常利益の次の段階における、特別利益と特別損失を合わせて特別損益と呼びます。この記事では、特別損失や特別利益の具体例を交えてわかりやすく解説します。
特別損益とは
企業会計原則において、損益計算書は企業の経営成績を明らかにするため、一会計期間に属するすべての収益とこれに対応するすべての費用とを記載して経常利益を表示し、これに特別損益に属する項目を加減して当期純利益を表示しなければならないとされています。(「企業会計原則」第二・一)」
損益計算書において、経常利益までは当期の業績を反映した「費用」や「収益」を認識するのに対し、特別損益は会社の経常的な業務内容とは関係なく、その期だけに例外的に生じた多額な「損失」や「利益」を意味します。
「費用」と「損失」の違いは、売上に貢献するかどうかという考えもありますが、一般に広義に費用といえば、原価、費用、損失を指すように費用の一分類とするほうが考えやすいと思います。
また、「収益」は企業の営業活動によって生じたもので下の式が成り立ちます。したがって、原則的に特別利益として計上されるものからは費用が控除されています。

上記のように損益計算書には5つの利益が表示していますが、営業損益と経常損益は当期の収益力を表示し、そして純損益計算では当期に発生した例外的な取引を表示しています。
企業会計原則注解12において、特別損益として「臨時損益」と「前期損益修正」の2項目が挙がっていますが、2011年からは「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」を適用することとなり、「前期損益修正」項目については事実上、消滅しました。
ただし、「中小企業の会計に関する指針」等に従い会計処理をする中小企業については、「前期損益修正」の科目で修正処理を使うことは可能です。
したがって、特別損益は実質、会社の当期の業務活動に関係せず、規則的また反復的に生じることのない臨時の利益や損失のこととなります。
特別損失となるもの
省略して「特損」と呼ばれることもある特別損失ですが、特別損失として計上される要件としては、次の2点があげられます。
- 例外的な又は異常な事象に基づくこと
- 多額であること
そして、特別損益のうち、実際の計上例が多いのは圧倒的に特別損失の方です。
国際的な会計基準との比較可能性を高めるため、将来のリスク(不確実性)の財務諸表への開示が進み、減損会計や時価会計などを取り入れた特別損失を使った処理も多く見受けられます。また、自然災害や新型コロナウイルス感染症による企業への影響のように、臨時的で発生が予期できない大きな損害も特別損失として計上されます。
特別損失の具体例
特別損失として企業会計原則注解12にには次のような例があります。
- 不動産などの固定資産売却損や固定資産除去損
- 長期間保有している株式や証券売却による売却損
- 火災や自然災害、盗難などによる損失
しかしながら、異常な事象は予期できないものであり、例えば次のようなもので計上要件に当てはまれば特別損失として計上されることとなります。
- 在庫商品等の評価減
- 休業による損失、リストラ費用
- 減損損失
- 情報漏えい対応費用
- 損害賠償対応費用
特別利益となるもの
一般に特別利益は、企業の経常的な事業活動とは直接関係なく、その期にだけに例外的に発生した臨時的な利益のことをいいます。特別損失と同様に、例外的な又は異常な事象に基づくことや多額であることが要件となります。
しかしながら、特別利益は特別損失と異なり、前年度に繰り入れた引当金の戻入益として特別利益で計上することがあります。「中小企業の会計に関する指針」においても、貸倒引当金の戻入については「取崩額の方が多い場合は、その取崩差額を特別利益に計上する」として特別利益を利用することが示されています。
特別利益の具体例
特別利益も特別損失同様に、企業会計原則注解12から次のような例があります。
- 不動産などの固定資産売却益
- 長期間保有している株式や証券売却による売却益
他にも保険差損益や投資有価証券評価損益などがあります。今般のコロナ関連の給付金や助成金についての表示を営業外収益ではなく、特別利益に計上した企業もあります。
特別損益が多額の時に気を付けるべきこと
特別損失の中でも、多大の特別損失の計上は会社の利益を大きく変えてしまいます。その場合に注意すべき点としては、計上した特別損失が法人税法上損金として認められるかどうかです。
例えば、同じ特別損失であっても固定資産の売却損であれば法人税法上、特別のことがない限り損金不算入とされることはありません。しかしながら、減損損失の場合は「固定資産の評価損」と認識され、法人税法上損は原則として損金不算入とされています。
したがって、多大の減損損失を計上しても税務上は損金不算入となり、法人税が課税されることにつながります。減損の対象となる固定資産が建物などの減価償却資産であれば、減価償却期間にわたって損金不算入とされた金額が認められて会計との差異は徐々に解消しますが、土地の減損だとその土地を売却等するまで、損金不算入とされたままになります。
特別損益と会計のグローバル化
2011年の東日本大震災の影響で、わが国は国際会計基準の強制適用を延期し、同じころアメリカもヨーロッパなどを中心とする国際会計基準の適用を見送りました。その後、わが国は国際会計基準の強制適用を当面見送ることになりました。
実は、国際会計基準や米国基準には我が国の会計制度が持つ「特別損益」の区分はありません。
国際的な会計基準がわが国に浸透しない理由の一つには、この特別損益の存在も無視できません。
普段の業務ではあまり目にする機会の少ない特別損益ですが、会計のしくみの中では目立つ位置にあることがわかったのではと思います。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
電子帳簿保存法 徹底解説(2025年10月 最新版)
電子帳簿保存法は、1998年の制定以降、これまでに何度も改正を重ねてきました。特に直近数年は大きな改正が続いた上に、現在も国税庁による一問一答の追加・改定が続いており、常に最新情報の把握が必要です。
70P以上にわたるボリュームであることから、ダウンロードいただいた方から大好評をいただいている1冊です。
インボイス制度 徹底解説(2024/10 最新版)
インボイス制度は施行後もさまざまな実務論点が浮上し、国税庁によるQ&Aの追加・改訂が続いています。これを受けて、「結局どうすればいいのか、わからなくなってしまった」という疑問の声も多く聞かれるようになりました。
そこで、インボイス制度を改めて整理し、実務上の落とし穴や対応のヒントまで網羅的に解説した最新資料を作成しました。問題なく制度対応できているかの確認や、新人社員向けの教育用など、様々な用途にご活用いただける充実の資料です。
マネーフォワード クラウド会計Plus サービス資料
マネーフォワード クラウド会計Plusは、データの自動取得、自動仕訳、自動学習の3つの自動化で経理業務が効率化できる会計ソフトです。
仕訳承認フローや業務分担にあわせた詳細な権限設定が可能で、内部統制を強化したい企業におすすめです。
マネーフォワード クラウド経費 サービス資料
マネーフォワード クラウド経費を利用すると、申請者も承認者も経費精算処理の時間が削減でき、ペーパーレスでテレワークも可能に。
経理業務はチェック業務や仕訳連携・振込業務の効率化が実現でき、一連の流れがリモートで運用できます。
よくある質問
特別損益とは?
会社の当期の業務活動に関係せず、規則的また反復的に生じることのない臨時の利益や損失のことをいいます。詳しくはこちらをご覧ください。
特別損失となるケースは?
例外的な又は異常な事象に基づくこと、また多額であることです。詳しくはこちらをご覧ください。
特別利益となるケースは?
特別損失と同様に、例外的な又は異常な事象に基づくことや多額であることが要件となります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
軽減税率対策補助金は3種類 対象者や申請期限を解説
2019年10月1日より、消費税が8%から10%に引き上げられます。そこで多くの事業者の頭を悩ませているのが増税とあわせて導入される軽減税率です。 軽減税率によって一部品目は消費税…
詳しくみる会計システムとは?主な種類と機能について
企業の会計業務は、適切な会計処理に加え、債権債務の管理や経営に合った管理が必要など、複雑です。多くの企業では、複雑な会計処理を効率良く済ませられるようにするため、会計システムが用い…
詳しくみるみなし解散とは?対象となる会社や通知が届いた際の対処法を解説
みなし解散とは、会社または法人が解散したものとみなされることです。休眠状態にあると認められる会社については、みなし解散の登記が行われることがあります。みなし解散の通知を受けたときは…
詳しくみる設備投資効率とは?計算方法や目安、上げる方法を解説
設備投資効率は、企業の生産設備と付加価値の関係を評価する指標です。設備投資効率を評価することで、企業の有する有形固定資産がどれだけ効率良く活用されているかがわかります。この記事では…
詳しくみる税務調査の結果は遅い?通知までの流れ・期間と対処法を解説
税務調査を受けたあと、「なかなか結果が届かないけれど大丈夫なのか」と不安になる方は多いでしょう。 税務調査は、調査官が帳簿や契約書を確認し、審査を経て結果通知が出されるため、その場…
詳しくみる支払明細書とは?意味や書き方、領収書・請求書との違い、無料テンプレートも
支払明細書というと、クレジットカードを使用した際などに発行されるものが思い浮かぶのではないでしょうか。しかし、会社同士の取引でも支払明細書を発行することがあり、さらには領収書や請求…
詳しくみる会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引



