- 更新日 : 2026年3月12日
【図解】利益率の計算方法とは?業界の目安や収益性を分析する方法
売上高に対する利益の割合を示す、企業の収益性を測る指標です。
売上高に対する利益の割合を利益率といいます。利益率は、売上高総利益率、売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高税引前当期純利益率、売上高当期純利益率の5種類に分類されます。会社がどれだけの利益を出しているのか、会社の収益性を知るための重要な指標です。
この記事では利益率の種類や特徴とそれぞれの計算の仕方、利益率の目安について解説していきます。
目次
利益率とは?

利益率は、売上高に対する利益の割合を示す指標です。利益率の計算で用いる利益とは、収益の額から費用の額を差し引いた額を指します。
利益率には種類があり、売上高と比較する利益の段階によって、収益分析における意味が異なります。
利益率の種類と計算方法
利益率には5つの段階があり、それぞれ計算式「利益 ÷ 売上高 × 100」を用いて算出します。
利益率には、次の5種類があります。
- 売上高総利益率
- 売上高営業利益率
- 売上高経常利益率
- 売上高税引前当期純利益率
- 売上高当期純利益率
それぞれの意味や計算方法について詳しく見ていきましょう。
売上高総利益率
売上高総利益率とは、以下の計算式により算出した利益率です。
売上高総利益率の計算で用いる売上総利益は、売上高から売上原価(または製造原価)を差し引いた利益額です。粗利ともいわれます。
売上高総利益率でわかるのは、企業のブランド力や競争率の高さです。商品やサービスの利益がどの程度の規模であるか、純粋な営業力を測るのに適しています。
ただし、売上総利益は景気の影響を受けやすく、景気が悪いと売上高総利益率が下がる傾向にあるため、景気の動向を考慮に入れた判断をする必要があります。
(売上高総利益率の計算例)
当期の売上高は5,000万円、仕入高は3,500万円、期首商品棚卸高は500万円、期末商品棚卸高は300万円だった場合。
※売上原価は、期首商品棚卸高+仕入高-期末商品棚卸高で計算
売上高営業利益率
売上高営業利益率は、本業による利益の割合です。売上高総利益率では、売上高と原価の差額である売上総利益を比較対象にしますが、売上高営業利益率ではさらに広い範囲で事業の利益を判断します。
売上高営業利益率は、売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いた営業利益を用いて算出します。販売費および一般管理費とは、事業運営上必要な事務所の家賃や地代、事務所の水道光熱費、従業員へ支払う給与や賞与、商品やサービスの販売にかかった広告販売費、取引先とのやり取りに必要な通信費(切手代や電話料など)など、事業に必要な費用を指します。
売上高営業利益率を計算することで、本業の収益力がわかります。
(売上高営業利益率の計算例)
当期の売上高は5,000万円、売上総利益は1,300万円、販売費および一般管理費は1,000万円であった場合。
売上高経常利益率
売上高経常利益率は、売上高に占める経常利益の割合です。経常利益とは、営業利益に財務活動により発生した損益(本業以外の活動で生じた収益や借入金返済にかかる利息などの費用)を加えたものになります。突発的に発生するものは含まれず、事業上経常的に発生する範囲で算出された利益が経常利益です。
売上高経常利益率を計算することで、通常の経営活動による収益力がわかります。
売上高経常利益率の求め方は以下の通りです。
(売上高経常利益率の計算例)
当期の売上高は5,000万円、営業利益は300万円、営業外収益は100万円、営業外費用は200万円であった。
売上高税引前当期純利益率
売上高税引前当期純利益率は、売上高に対する税引前当期純利益の割合です。税引前当期純利益は、経常利益から特別損失を差し引き、特別利益を加えた利益額です。
法人税等を控除する前の利益の額を指しており、その事業年度で売上に対し生み出した利益の規模がわかります。
(売上高税引前当期純利益率の計算例)
当期の売上高は5,000万円、経常利益は200万円、特別利益は100万円、特別損失は50万円であった場合。
売上高当期純利益率
売上高当期純利益率とは、売上高に占める当期純利益の割合であり、当該事業年度の最終的な利益率です。計算で用いる当期純利益は、税引前当期純利益から法人税等を差し引いた残額を表します。
(売上高当期純利益率の計算例)
当期の売上高は5,000万円、税引前当期純利益は250万円、法人税等(法人税等調整額含む)は50万円であった。
【業種別の平均値】利益率の目安は?
公的な調査では、本業における利益や企業の経常的な利益がわかることから、一般的に売上高営業利益率や売上高経常利益率が用いられています。
2025年企業活動基本調査(2024年度実績)によると、主要産業の売上高営業利益率は4.9%、売上高経常利益率は7.6%であることがわかりました。
【2024年度実績】主要産業の売上高営業利益率と売上高経常利益率
| 業種区分 | 売上高営業利益率 | 売上高経常利益率 |
|---|---|---|
| 合計(全産業) | 4.9% | 7.6% |
| 製造業 | 5.6% | 9.6% |
| 卸売業 | 3.1% | 5.6% |
| 小売業 | 4.2% | 4.6% |
参照:2025年経済産業省企業活動基本調査速報(2024年度実績)|経済産業省
主な業界別では、製造業で売上高営業利益率5.6%、売上高経常利益率9.6%、卸売業で売上高営業利益率3.1%、売上高経常利益率5.6%、小売業で売上高営業利益率4.2%、売上高経常利益率4.6%でした。営業外収益の多さなど、業界によっても利益率に違いがあることがわかります。
利益率の改善方法は?
利益率を向上させるには、売上を増やす施策と並行して、売上原価や販管費などのコスト構造を詳細に見直す必要があります。
マーケティングの強化で売上を伸ばす
マーケティングとは、売れる仕組みを構築することです。企業が積極的に営業をかけなくても売れる状態を理想としています。
マーケティングを成功させるために重要なのは、顧客ニーズです。需要を把握して顧客の求める価値を提供することで、顧客の満足度が高まり、商品やサービスがより売れるようになります。
マーケティング強化のためには、市場や競合などの分析を行った上で顧客にどのような価値を提供していけるか、戦略の立案や適切な実践のプロセスが重要です。実践後も、顧客のニーズが満たされているか評価を行います。
販売品目を見直す
利益率を改善するには、販売している商品やサービスの見直しを定期的に行います。
注視したいのが販売ロスです。商品販売における販売ロスを縮小するために、季節商品は仕入予算を立てるなどして過剰在庫にならないように管理します。支店が個別に仕入を行うことで販売ロスが生じている場合は、本社でまとめて仕入を行い支店に配分するのも方法のひとつでしょう。
利益率を伸ばすためには、利益率のよい商品に入れ替えるなど、品目自体の見直しも検討します。利益率の高い品目が売れない場合は、商品の見直しだけでなく、ほかの商品とのセット販売なども検討してみましょう。
仕入先を見直す
売上高に占める売上原価の額が大きく利益を圧迫している場合は、仕入の適正化を検討します。仕入先を変更しないのであれば、購入条件の見直しや大量発注による価格の交渉などが考えられるでしょう。
BtoB向けのECサイトを利用した仕入や共同仕入れを活用したメーカーからの直接仕入れなど、仕入先自体の変更も選択肢にあります。
自社製品を販売する場合は、商品構造の変更による原価の削減、製造工数や工法などの見直しによる不良の低減などによる生産性向上も考えられるでしょう。
広告宣伝を適正化する
広告宣伝は企業やブランドの認知向上や顧客の購買意欲の向上に役立つため、力を入れることで、売上の拡大や利益の増加が期待できます。
成長期の大企業では売上の半分近くを広告宣伝費として支出している事例も見られるため、企業の成長フェーズによっては広告宣伝に力を入れるべき局面もあるでしょう。しかし、広告宣伝ばかりに費用を割いてしまうと、経営を圧迫してしまう可能性もあります。
広告宣伝費は、コストパフォーマンスの優れたものに絞って適正化することが利益率の改善のためには重要です。売上や利益につながっているか定期的に評価を行い、効果が見られない方法は別の方法に変更、または取りやめるなどして広告宣伝費の無駄がないよう管理します。
外注を検討する
業務を外注することで、必要な人材をそろえたり、業務に必要な環境を整えたりする必要がなくなるためです。
特に、人件費に占める割合が高い場合は、業務を外注したり、外注に代わるツールの導入を行ったりすることが、利益率の改善に役立ちます。
利益率を分析するポイントは?
利益率の分析では、単年度の数値だけでなく、過去からの推移や他社との比較、および労働生産性などの多角的な指標を組み合わせることが成果につながります。
推移を確認する
利益率は、企業の経営判断にもかかわる重要な要素です。しかし、一事業年度の利益率を確認しただけでは適切な判断が下せないことがあります。
一時的に利益率が高い可能性、もしくは一時的に利益率が低い可能性もあるためです。例えば、設備投資が一時的に縮小されたことで利益率が高まっている可能性があります。一方、利益率が一時的に低い要因としては、燃料費の変動による原料費の高騰、感染症などを要因とした消費活動の縮小などが考えられます。
利益率を分析して経営判断に活用するためには、過去の推移と比較して、変動の要因を把握することが重要です。
他社と比較する
同業他社との比較も分析のポイントです。同業のシェア率の高い優良企業と利益率を比較することで、自社の商売がうまくいっているか、ひとつの判断基準になります。また、なぜ同業他社では利益率が高いのか分析することによって、自社の問題点や改善点の把握にも役立ちます。
ほかの指標と組み合わせる
利益率を把握するだけにとどまらず、ほかの指標と組み合わせることで、経営状況を多角的に分析できます。
例えば、当期純利益と自己資本を用いることでROE(自己資本利益率)がわかります。ROEは、利益を獲得するために自己資本がどれくらい効率よく活用されているかを測る指標です。
また、平均販売価格や年間の販売数量、平均仕入価格などと利益率を比較することで、利益率の変動の要因を究明するのに役立ちます。
収益性と付加価値を高める指標とは?
企業の持続的な成長には、利益率の向上だけでなく、生み出した付加価値額やその分配率を最適化することが求められます。
収益分析をより深めるためには、以下の指標にも注目しましょう。
付加価値額とは?
付加価値額は、企業が事業活動を通じて新たに生み出した価値の総額です。経済産業省の調査(2025年経済産業省企業活動基本調査速報:2024 年度実績)によると、全産業合計の付加価値額は159.8兆円で、前年度から3.6%増加しました。
計算式は以下の通りです。
売上高付加価値率
売上高に対する付加価値(営業利益や給与などの合計)の割合を指します。この数値が高いほど、独自の技術力やブランド価値によって効率よく付加価値を生み出せていると判断できます。改善を図る際は、他社と差別化された高単価商品の開発や、業務効率の改善による原価低減といった手法を組み合わせることが求められます。
労働生産性
従業員一人当たりが創出した付加価値額を示す指標です。この金額が大きいほど、個々の従業員が効率的に成果を出している良好な状態といえます。向上させるやり方としては、ITツールの活用による事務作業の自動化や、無駄を省いた生産ラインの再構築、専門知識の習得支援による業務レベルの底上げ等が挙げられます。
労働分配率
生み出した付加価値のうち、どの程度を人件費に配分したかを示す指標です。この比率が高すぎる状態が続くと経営を圧迫し、低すぎると従業員の意欲低下を招くため、業界水準に合わせた適正な範囲での維持が求められます。付加価値の増大に連動して給与水準を調整し、安定した分配比率を保つ見方が健全な経営につながります。
利益率が高水準であっても、労働生産性が向上していなければ将来的な成長を妨げる要因になりかねません。これらの数値を多角的に把握し、バランスの取れた経営を目指しましょう。
参照:2025年経済産業省企業活動基本調査速報(2024年度実績)|経済産業省
利益率を把握して経営改善を図ろう
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