• 更新日 : 2026年2月24日

新リース会計基準における貸手・借手の仕訳処理は?具体例で解説!

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Point新リース会計基準における貸手・借手の仕訳処理は?

新リース会計基準の仕訳は、借手は原則全契約を資産計上し、貸手は従来の区分処理をおおむね維持します。

  • 借手は「使用権資産」と「リース負債」を計上
  • 貸手は転リースの判定が「使用権資産」基準へ
  • 総額300万円以下の契約は例外として費用処理可

借手と貸手で会計処理は一致しないため、借手が資産計上しても、貸手は賃貸借処理を行うケースが生じます。

2027年4月1日から始まる「新リース会計基準」により、リースの範囲が変更され、より多くの企業に影響が及ぶものと考えられます。特に借手についてはオンバランス化が原則となるなど、日常的な会計処理にも変更点が多いため注意が必要です。

ここでは、新基準における会計処理のポイントについて、借手と貸手のそれぞれの観点から解説します。

なお、本記事は、2026年1月時点における情報に基づいて作成しています。

参考:
企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」|企業会計基準委員会
企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」 | 企業会計基準委員会

目次

新リース会計基準の貸手の会計処理

新リース会計基準の導入後も、貸手(レッサー)側の会計処理は、現行の「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の区分による処理が基本的に維持されます。

借手側では区分が廃止されて原則すべてのリースが資産計上の対象となりますが、貸手側には引き続き「リスク経済価値アプローチ(リスクと便益が移転しているか)」に基づく分類が適用されるためです。ただし、収益認識会計基準との整合性や定義の明確化により、実務上の処理手順はより厳密になります。特にファイナンス・リースについては、売買取引に準じた処理が求められます。

貸手:ファイナンス・リースの仕訳例(売上高を計上しない方法)

ファイナンス・リース(所有権移転外)において、リース会社などが一般的に採用する「売上高を計上せずに、利息相当額を期間配分する方法」の仕訳です。

Point【具体例の前提条件】
  • リース物件の購入価額:1,000,000円
  • リース料総額:1,200,000円(年額240,000円×5年)
  • 取引形態:製造・販売以外の事業(一般的なリース会社)

① リース開始時(資産の振替)

物件を購入し、貸し出した時点で「現金」を「リース投資資産」に振り替えます。

借方科目金額貸方科目金額
リース投資資産1,000,000現金預金1,000,000

※「売上高」は計上しません。

② リース料受取時(元本回収と利息認識)

リース料を受け取った際は、全額を収益にせず、「元本回収」と「受取利息」に分けます。

借方科目金額貸方科目金額
現金預金240,000リース投資資産220,000
受取利息20,000

※利息相当額(20,000円)のみがP/L上の収益となります。

貸手:ファイナンス・リースの仕訳例(売上高を計上する方法)

ディーラーやメーカーが、販売の一環としてリースを行う場合など、「売上高を計上する方法」を採用するケースです。

【具体例の前提条件】
  • リース物件の現金販売価額:1,000,000円
  • 原価:800,000円
  • リース料総額:1,200,000円

① リース開始時(売上の計上)

リース債権の計上とともに、売上高と売上原価を認識します。

借方科目金額貸方科目金額
リース債権1,000,000売上高1,000,000
売上原価800,000製品800,000

② リース料受取時

回収額を「リース債権の回収」と「受取利息」に分けます。

借方科目金額貸方科目金額
現金預金240,000リース債権220,000
受取利息20,000

貸手:オペレーティング・リースの仕訳例

ファイナンス・リースの要件(解約不能かつフルペイアウト)を満たさない取引は、オペレーティング・リース(賃貸借処理)として処理します。貸手は資産を貸借対照表に計上し続け、減価償却を行います。

【具体例の前提条件】
  • リース物件の購入価額:1,000,000円
  • 月額リース料:20,000円
  • 減価償却費(月額):15,000円

① リース開始時

貸手は物件を「自社の固定資産」として計上します。

借方科目金額貸方科目金額
貸与資産1,000,000現金預金1,000,000

② リース料受取時

受取額の全額を「受取リース料(売上)」として計上します。

借方科目金額貸方科目金額
現金預金20,000受取リース料20,000

③ 決算時または月次(減価償却)

保有資産として減価償却を行います。

借方科目金額貸方科目金額
減価償却費15,000貸与資産15,000

※貸借対照表には「貸与資産」が残り、損益計算書には「受取リース料」と「減価償却費」が計上されます。

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新リース会計基準の貸手の注意点

貸手の会計処理は基本的に現行維持ですが、新リース会計基準の導入に伴い、判定基準や収益認識のタイミングに関して従来よりも厳密な対応が求められる領域が存在します。

特に、転リース(サブリース)を行っている企業や、変動リース料を設定している契約については、会計処理方針の再検討が必要です。

転リース(サブリース)の判定基準の変更

今回、貸手にとって最大の影響があるのが「転リース」です。中間貸手(転貸人)がサブリースを分類する際、従来は「原資産(物件そのもの)」を基準にしていましたが、新基準ではヘッドリースによって取得した「使用権資産」を基準に判定します。

これにより、従来はオペレーティング・リースとしていた転貸取引が、ファイナンス・リース(売買処理)に分類変更される可能性が高まります。ファイナンス・リースとなった場合、使用権資産を取り崩してリース債権を計上し、転リース損益を一括計上する処理が必要になります。

収益認識会計基準との整合性

オペレーティング・リースにおける収益認識(リース料の計上)については、契約に基づく支払期日だけでなく、時間の経過とともに収益化されるという実態を反映し、原則として定額法などで計上することが明確化されています。これまで支払期日基準で処理していた場合は、未収金や前受金の管理フローを見直す必要があります。

変動リース料の取り扱い

売上歩合などに基づく「変動リース料」については、発生した期に収益として計上します。固定リース料部分と変動部分を明確に区分し、それぞれの収益認識タイミングを管理する必要があります。

新リース会計基準適用に向けた貸手の実務対応

2027年の強制適用に向け、貸手企業は既存契約の再判定やシステム改修、借手への説明方針の策定など、多角的な準備を計画的に進める必要があります。

新リース会計基準への対応は一朝一夕には完了しません。以下のステップに従って、余裕を持った準備を行いましょう。

既存契約の棚卸しと再分類

現在保有しているすべてのリース契約および賃貸借契約をリストアップし、新基準の定義に照らして分類(ファイナンス/オペレーティング)が適切かどうかを再確認します。特に「転リース」に該当する取引は、判定基準の変更により区分が変わる可能性が高いため、優先的に抽出してシミュレーションを行います。

会計システムの改修とデータ整備

ファイナンス・リースとして処理すべき契約が増える場合や、利息相当額の配分計算(利息法)を厳密に行う必要がある場合、既存の会計システムや販売管理システムでは対応できない可能性があります。特に、転リース処理の変更に対応できるか、借手のリース期間の変更情報を反映できるかなど、機能要件の洗い出しを早期に行うべきです。

借手への説明と契約の見直し

借手側では、オンバランス化による自己資本比率の低下や、事務負担の増大が懸念されています。貸手としては、顧客である借手の負担を軽減するための契約形態(短期リースの活用や、サービス契約への転換など)を提案できるよう、営業部門と連携して準備を進めることも重要な戦略となります。

新リース会計基準の借手の会計処理

新リース会計基準では、借手(レッシー)の会計処理が抜本的に変更され、従来の「賃貸借処理(オフバランス)」が原則廃止となります。

借手は、リース契約を「資産(使用権)の取得」と「分割払いによる負債」のセットとして捉え、すべてのリースについて「使用権資産」と「リース負債」を計上する「使用権モデル」を採用します。これにより、これまで簿外にあったオペレーティング・リースもB/Sに計上されることになります。

借手:原則的な仕訳例(使用権資産とリース負債の計上)

借手の仕訳は、ファイナンス・リースであれオペレーティング・リースであれ、原則として統一されます。

【具体例の前提条件】
  • リース料総額の現在価値:2,941,000円
  • 年間支払額:1,000,000円
  • 割引率:1%
  • リース期間:3年

① リース開始時の仕訳

契約開始日に、算出した現在価値で資産と負債を両建て計上します。

借方科目金額貸方科目金額
使用権資産2,941,000リース負債2,941,000

※前払リース料や初期費用がある場合は、使用権資産に加算します。

借手:リース料支払時の仕訳例(利息法)

支払額(1,000,000円)を「利息相当額」と「元本返済額」に分けます。

利息 = 期首リース負債(2,941,000)× 1% ≒ 29,410円
借方科目金額貸方科目金額
リース負債970,590現金預金1,000,000
支払利息29,410

※元本返済額 = 支払額 - 利息

借手:決算時の仕訳例(減価償却)

使用権資産をリース期間(3年)で定額償却します。

計算式:2,941,000 ÷ 3 ≒ 980,333
借方科目金額貸方科目金額
減価償却費980,333使用権資産累計額980,333

借手:短期リース・少額リースの仕訳例(簡便法)

事務負担を考慮し、以下の場合は従来通りの「賃借料(費用処理)」が認められます。

  • 短期リース:リース期間が12ヶ月以内の契約。
  • 少額リース:1件当たりのリース料総額が300万円以下(または重要性が低い資産)の場合。
借方科目金額貸方科目金額
賃借料20,000現金預金20,000

新リース会計基準の借手における注意点

借手にとっての変更点は、単に仕訳が変わるだけではありません。財務数値へのインパクトや、これまでリースと認識していなかった契約(SaaSや不動産)の取り込みなど、経営管理全体に関わる課題が生じます。

財務諸表へのインパクト(自己資本比率の低下)

これまでオフバランスであったオペレーティング・リース(特に不動産賃貸借)がオンバランス化されることで、総資産と総負債が同時に膨らみます。これにより、自己資本の額が変わらなくても自己資本比率が低下し、ROA(総資産利益率)が悪化する可能性があります。

リースの識別(クラウド・SaaSの判断)

契約書に「リース」と書かれていなくても、実質的に「資産が特定」され「使用の支配権」が移転している場合はリースとして処理が必要です。

特に、専用サーバーを利用するクラウドサービス(IaaS等)は、サーバーという資産を顧客が支配しているとみなされ、リースの対象となる可能性があります。一方で、一般的なSaaS(アクセス権のみ)は対象外となるケースが多いです。

リース期間の決定(延長オプション)

リース期間は、契約上の期間だけでなく、「延長オプションを行使することが合理的に確実」な期間を含めて決定します。特に店舗やオフィスの賃貸借では、容易に移転できない事情(経済的インセンティブ)がある場合、契約期間よりも長い期間をリース期間として見積もる必要があります。

リース構成部分と非リース部分の区分

借手は、原則として契約内の「リース部分」と「サービス部分(共益費や保守料)」を分けて処理する必要があります。ただし、事務負担軽減の簡便法として、これらを区分せずに一体としてリース処理することも認められています。

貸手のリース期間の決定方法と借手との関係

貸手がファイナンス・リースかオペレーティング・リースかを判定する際、「リース期間」の見積もりは非常に重要な要素となりますが、新リース会計基準では、このリース期間の算定においても、借手側の状況との整合性が強く意識されます。

借手の「解約不能期間」と「オプション」

貸手におけるリース期間は、原則として「借手側のリース期間」と同じ方法で決定されます。

つまり、借手側で「延長オプションを行使することが合理的に確実」と判断された場合、貸手側もその期間を含めてリース期間を設定し、ファイナンス・リース判定(フルペイアウト判定)を行う必要があります。貸手は、借手の事業計画や撤退可能性について、これまで以上に深い理解が求められます。

再リース期間を含めるかどうかの判断

再リース期間については、「借手が再リースする意思が明らかである場合」に限り、貸手のリース期間に含めることができます。

例えば、借手がその設備を製造ラインの中核として使用しており、再リース以外の選択肢(買い替えや返却)が経済的に不合理である場合などが該当します。この判断が甘いと、ファイナンス・リースの要件を満たすかどうかの判定が変わってしまうため注意が必要です。

借手と貸手の会計処理の不一致について

新リース会計基準の導入により、借手が原則オンバランス処理を行う一方で、貸手はオペレーティング・リース判定(賃貸借処理)を行うケースがあり、同一取引でも会計処理が一致しないことがあります。

処理が食い違うメカニズム

  • 借手: 「使用権モデル」により、原則すべてのリースをオンバランス計上(資産・負債)します。
  • 貸手: 「リスク経済価値アプローチ」により、オペレーティング・リース(賃貸借処理)と判定するケースが多く残ります。

この結果、一つの取引に対して、借手は「減価償却費と支払利息」を計上しているのに、貸手は「受取リース料(売上)」として処理しているという状況が生まれます。

実務上のコミュニケーションと契約交渉

この不一致自体は会計基準上認められたものですが、実務上のコミュニケーションには注意が必要です。

例えば、貸手(営業担当者)が借手に対して「この契約ならオフバランスにできますよ」といった従来のセールストークを使うことは、誤解を招く恐れがあります。借手にとっては、貸手がどう処理していようと、新基準適用下では原則オンバランスとなるからです。貸手企業の担当者は、自社の処理だけでなく、借手が置かれている「原則オンバランス」という厳しい状況を理解した上で、適切な提案や契約条件の提示を行う必要があります。

新リース会計基準の仕訳処理に向けた実務上の課題

新リース会計基準では借手の原則オンバランス化など、これまでと異なる複雑な仕訳処理が求められるため、企業の実務への影響が懸念されます。株式会社マネーフォワードは、企業のバックオフィス担当者を対象に新リース会計基準に関する調査を実施しました。

契約の分類とリース負債計算における負担

現在対応を進めている、またはこれから検討する予定の企業に対応完了時期を質問したところ、「2026年上半期中」が63.0%と多数を占めました。強制適用に向けて準備が進む一方で、新リース会計基準への対応について負担を感じている割合は合わせて約8割に上ります。

その中で負担に感じる業務として特に多かったのは、リース契約の洗い出し・分類・整理でした。適切な仕訳処理を行うには契約ごとの正確な分類が不可欠ですが、リース契約情報の管理における主な課題は紙での管理であり、手作業によるミスも発生しています。今後のリース負債の計算や残高管理に向けて、新たにシステムを入れ替えすると回答した割合は約4割でした。複雑な仕訳や計算をスムーズに行うには、紙での管理から脱却し、システムの活用を進めることが重要です。

出典:マネーフォワード クラウド、新リース会計基準の対応完了時期や課題【新リース会計基準に関する調査】(回答者:現在の勤務先で「経理部門」「情報システム部門」「総務部門」「法務部門」「経営企画部門」のいずれかに所属する方(個人事業主を除く)660名、集計期間:2025年3月11日(火)~3月17日(月))

新リース会計基準への対応は貸手・借手双方の連携が鍵

2027年4月の強制適用に向け、新リース会計基準は借手だけでなく貸手にも重要な影響を与えます。

貸手は転リースの判定変更や借手との処理の不一致を理解し、借手は全リースのオンバランス化に向けた準備を進めなければなりません。

  • 貸手: 転リースの判定変更に注意し、ファイナンス・リースの処理フローを整備する。
  • 借手: 原則オンバランス化に対応し、300万円基準などの免除規定を賢く活用する。
  • 共通: 契約の棚卸しを行い、システム改修や業務フローの見直しを早期に進める。

特に影響が大きいのは、不動産賃貸借を含むオペレーティング・リースのオンバランス化です。直前になって慌てないよう、まずは社内の契約書を網羅的に集め、「何が対象で、何が除外できるか」を整理することから始めてください。

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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