- 更新日 : 2025年2月20日
売上高当期純利益率とは?計算式や目安・平均を解説
売上高に対する利益率を表す指標の一つに、売上高当期純利益率があります。売上高当期純利益率を把握することに、どのようなメリットがあるのでしょうか。この記事では、売上高当期純利益率でわかることや計算方法、目安としての平均値、売上高当期純利益率が低いときの改善方法、売上高当期純利益率がマイナスの意味について解説します。
目次
売上高当期純利益率とは
売上高当期純利益率は、当期の売上高に対して当期純利益がどの程度あるかを示す値です。当期純利益は当期における最終的な利益で、売上高当期純利益率を算出することで企業の総合的な収益力を把握できます。
当期純利益には、通常の営業活動では発生しない特別損失や特別利益も計算に含まれることに注意が必要です。事業年度によって大きく変動する可能性もあります。
売上高当期純利益率の計算式・求め方
売上高当期純利益率は、以下の計算式で求められます。
計算で必要なのが、当期純利益の額です。当期純利益は、ある期間における会社の最終的な利益を表します。当期純利益を求める計算式は、以下のとおりです。
※法人税等調整額は、税効果会計を適用した場合の、将来的に増加するまたは減少する法人税などを表したものです。
当期純利益は、売上高から原価や営業にかかる費用を減算し、営業以外の損益や特別損益などを考慮して求めます。損益計算書における最終的な利益の額です。
売上高当期純利益率でわかること
売上高当期純利益率でわかることは、企業の収益力と経営効率です。それぞれについて解説します。
企業の収益力
収益力とは、稼ぐ力のことです。売上高当期純利益率でわかるのは、企業活動全体で最終的に得られた稼ぎです。売上高当期純利益率が同業他社などと比較して高い場合は、企業全体の稼ぐ力が高いということです。
企業の経営効率
売上高当期純利益率は、企業の経営効率も表します。経営効率とは、企業が有する資本や人材などの経営資源を利用して生み出された成果のことです。売上高当期純利益率が高いと、経営効率が良好で、資源をうまく活用して経営ができていると判断できます。
売上高当期純利益率の平均と目安
全体の平均値も、売上高当期純利益率の目安になります。
「経済産業省企業活動基本調査/2023年企業活動基本調査確報(2022年度実績)」によると、売上高当期純利益率の全体の平均は5.28%でした。
下表の値は、主な業種の売上高当期純利益率を経済産業省企業活動基本調査より計算したものです。業種によって、売上高当期純利益率は大きく異なることがわかります。例えば、電気・ガス業、小売業、飲食サービス業などは全体の平均を下回っています。
| 業種 | 売上高当期純利益率 |
|---|---|
| 製造業 | 6.75% |
| 電気・ガス業 | 1.04% |
| 情報通信業 | 7.42% |
| 卸売業 | 4.68% |
| 小売業 | 1.94% |
| クレジットカード・割賦金融業 | 6.87% |
| 物品賃貸業 | 4.95% |
| 飲食サービス業 | 2.71% |
| 生活関連サービス業・娯楽業 | 4.55% |
出典:「経済産業省企業活動基本調査 / 統計表一覧-確報(データ)/ 2023年企業活動基本調査確報(2022年度実績)」を元に作成
売上高当期純利益率が低い場合の改善方法
売上高当期純利益率が競合他社などと比較して低い場合は、経営効率が良くないと考えられます。改善方法の例をいくつか紹介します。
リピート率を高める
リピート率を高める方法は、売上を伸ばすことで、結果的に当期純利益を増やして売上高当期純利益率を高める改善策です。
リピート率とは、新規顧客のうちリピーターになった割合のことです。リピート率が高いと固定客が多くなるため、売上拡大や安定につながります。商品やサービスの利用をリピートした顧客は、次も利用する可能性があるためです。リピート率を高める取り組みには、以下のようなものがあります。
- 消耗するタイミングやメンテナンスの時期にアプローチする
- リピーター向けに限定商品や特別割引を用意する
- ポイントカードを発行する
- 会員制度と会員特典を設ける
- 紹介制度でクーポンを発行する
など
仕入を見直す
仕入の見直しは、売上に対するコストを削減することで、結果的に当期純利益を増やす改善策です。売上の増加に比例する変動費の見直しになるため、売上が拡大するほど削減効果が高まります。
仕入の見直しには、以下のようなもの方法があります。
- 大量発注により仕入単価を下げる
- 仕入回数を見直す
- 仕入ルートを見直す(仲介する卸売業者を減らすことで仕入単価を下げられないか検討する)
- 原材料を変更する
- 支払方法を現金に変更し、仕入代金の値引きを交渉する
など
広告宣伝を最適化する
広告宣伝は、コストパフォーマンスの高い広告媒体に厳選することで、売上に貢献しつつコストを削減できます。結果として、当期純利益の増加にもつながります。
広告宣伝の最適化のためにまず実施するのが、効果のある広告の絞り込みです。自社が利用している広告媒体がターゲット層にリーチできているか、ーゲット層に届きやすい広告媒体が他にないか調査します。
Web広告であれば、コンバージョン率や広告の閲覧数などのデータから広告の効果測定ができます。アンケートを実施して、広告の認知度を調査するのもよいでしょう。
効果測定やコストを調査した結果、効果の低い広告を止めて、コストパフォーマンスの高い広告に注力することで適正化を図ります。
営業力を強化する
営業力の強化は売上拡大につながるため、結果として当期純利益の増加にも役立ちます。営業力は、営業担当者の提案力など個人スキルの向上だけでなく、営業部門全体の改善も含めて検討することが重要です。
営業力を向上させる策として、以下の方法が考えられます。
- 営業戦略を営業担当者全員に共有する
- 顧客情報や営業のノウハウを社内で共有する
- 営業プロセスを統一する
- プレゼンテーションスキルなど営業力を向上させるセミナーや研修を実施する
- マーケティング部門との連携を強化する
など
生産性を向上させる
生産性とは、人員や労働時間(稼働時間)に対しての成果のことです。生産性を向上させるとは、限られた人員でより良い成果を上げていくことです。生産性を向上させる取り組みには、以下のようなものがあります。
- 無駄なプロセスの削減
- 作業の標準化
- システムやツール導入による情報共有の強化
- レイアウト変更による動線の改善
- 機械装置導入による作業時間の短縮
- システム導入によるデータ収集や分析の強化
- 作業マニュアルの作成
- 人材配置の最適化
など
売上高当期純利益率がマイナスになる場合とは
売上高当期純利益率がマイナスになるのは、当期純利益がマイナスになっているときです。つまり、当期純損失が発生している場合です。
当期純損失が発生している場合、その事業年度は企業全体で赤字になっていることがわかります。ただし、赤字になる原因はさまざまであるため、売上高当期純利益率がマイナスになっているという事実だけで経営状況を判断することはできません。
損益計算書の各科目や前期・前々期の売上高当期純利益率と比較することで、マイナスになっている原因を把握できます。一時的に発生した特別損失が当期に多く計上されていたことによりマイナスになっている場合は、次年度以降は発生しない可能性が高いため、直ちに経営状況が悪化しているとは判断できません。
売上高当期純利益率で収益力や経営効率を確認しよう
売上高当期純利益率は、売上高に対する当期純利益の割合です。企業全体の稼ぐ力がどれくらいあるか、企業が経営資源をうまく活用できているかがわかります。売上高に対する利益の割合として、売上高営業利益率や売上高経常利益率などと比較することで企業の経営状態を把握しやすくなります。
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