- 更新日 : 2025年2月19日
製造原価と売上原価との違い、内訳や計算方法、報告書について解説
製造原価とは、製品を作る際にかかった原価の合計を表しますが、英語では”Manufacturing cost”などといい、また当期製品製造原価となると英語では”Cost of products manufactured”などと表現するようです。
この記事では、製造原価と売上原価の違いや、その計算方法、さらには製造原価報告書の意義についても解説します。
目次
製造原価とは?

製造原価とは、製造業において製品の製造にかかった費用のことを指します。
製造原価報告書をCRと表すことがありますが、これは”Cost Report”の略です。
製造原価と製造費用は非常に似かよっていますが、製造原価は完成品に係る当期の製造費用であるのに対し、製造費用には当期完成品と未完成品の費用が含まれています。製造原価報告書で違いを確認しましょう。
製造原価を低く抑えることは、売上高の増大とともに製品販売における利益の増大に直結します。
そのため、いかに効率的な原価要素を構成とするかが製造業における課題の一つとなります。
製造原価と売上原価の違い
製造原価と売上原価との関係を式で表すと、
= 期首仕掛品棚卸高 + 当期総製造費用 - 期末仕掛品棚卸高
となります。
期首の仕掛中の製品に当期の材料費、労務費、経費(製造費用)を加え、そこから期末時点において仕掛中の製品を差し引いたものが当期の製造原価になります。
さらに製造原価と売上原価の違いについて詳細に知りたい場合には、こちらをご参照下さい。
製造原価の種類と内訳
製造原価における材料費、労務費、経費そして仕掛品

製造原価の構成要素には3つの費用があります。
まず1点目が、商品を製造するための材料費や燃料費などの「材料費」です。
2点目に、製品製造に係わった従業員への給与や賞与、賃金などの「労務費」です。
3点目は、材料費や労務費以外の原価である減価償却費や家賃、光熱費などの「経費」です。
これら3つを合計したものが「製造費用」であり、当期のすべてという意味で、「当期総製造費用」といいます。
この「当期総製造費用」に前期末時点での仕掛品を加えたものから、当期末の仕掛品を差し引いて「製造原価」を求めます。
この当期の製品を作るための原価を「当期製品製造原価」といいます。
製造原価における直接費と間接費

また、製造原価は「直接費」と「間接費」に大別することができます。
その製品の製造に必要となる材料費や、製造過程における労務費などは「直接費」に含まれます。
直接費が、特定の商品の原価として「直接消費された」と関連づけることができるのに対して、特定の商品と直接的に関連づけることが難しい費用が「間接費」に含まれます。
具体的には、その商品だけでなく、他にも複数の製品を扱っている工場での減価償却費や家賃、管理部門の労務費などが挙げられます。
一般的に間接費は直接費と比べると、管理が難しいとされています。直接費はその製品に賦課されるが、間接費は定められた配賦基準に従い、各製品に配分する必要があります。
製造原価の計算方法

製造原価は、損益計算書の売上原価を構成するものです。製造費用の状態を示す「製造原価報告書(CR)」で報告が行われます。
製造原価を求めるためには、構成要素である材料費、労務費、経費を合計します。
その際、材料費については前期末在庫がある場合には、
という計算によって当期の材料費を求めます。
次に、当期総製造費用は次の式で求めます。
さらに、期末に仕掛品がある場合には、仕掛品の棚卸高を求めて、当期製品製造原価を求めます。
また、その会社が採用している原価計算ルールによっては、予め計画していた原価と、実際製造に使った原価(実際原価)とに差額が発生した場合、税務上はこの原価の差額のうち期末材料や期末仕掛品に対応する部分は、その期末材料や期末仕掛品の評価額に加算することとなります。
差額の大きさについては、製造原価の1%相当を超えた場合は調整を要するなど、社内における原価計算ルールを明らかにしておきます。
製造原価報告書とは?
製造業においては、当期に販売した製品の製造原価を明らかにし、外部の利害関係者などに報告するため、製造業特有の財務諸表である「製造原価報告書」を作成します。「製造原価明細書」とされる場合もありますが、内容は同じです。
製造原価報告書は損益計算書を補完するための資料として大切ですが、財務諸表等規則では損益計算書に添付しなければならないとしつつも、「連結財務諸表においてセグメント情報を注記している場合は、この限りでない」としています。
したがって、グループ企業等の財務諸表では「単体開示の簡素化」により、製造原価報告書の開示が不要となっています。
また、金融庁の財務諸表等ガイドラインにおいては、次のように記されています。
「当期の総製造原価を材料費、労務費、間接費(又は経費)に区分して期首仕掛品原価に加え、これから期末仕掛品原価を控除する等の方式により表示し、売上原価については、当該売上品の製造原価を材料費、労務費、間接費(又は経費)に区分する等の方式により表示するものとする。
原価差額を仕掛品、製品等に賦課している場合には、総製造原価又は売上原価の内訳項目として当該原価差額を示す科目を付加する等の方式により表示するものとする。」
したがって開示の問題は別として、基本的には製造原価報告書を作成する際、原価差額が含まれる場合には内訳科目として明示することを求めています。
製造原価報告書のひな形・テンプレート-無料ダウンロード
製造原価報告書の作成にはテンプレートの利用が便利です。
今すぐ実務で使用できる、製造原価報告書のテンプレート(エクセル)を無料でダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。
製造原価を会計ソフトで管理して業務効率化
会計ソフトにおける製造原価の管理の一例として、マネーフォワード クラウド会計を見ていきましょう。
まず、事業所の初期設定において「製造原価科目の利用」をありとした場合、製造原価科目が追加され各種の製造原価の科目を入力することができます。
そして、製造原価科目の利用の設定をしている場合には、決算書の中の一つとして製造原価報告書が作成されます。
製造原価報告書の作成もカンタン

マネーフォワード会計のメリットとして、決算書が下記のとおり貸借対照表から個別注記表までが横並びに示され、それぞれについてエクスポート機能も充実しているので、他の資料の作成にも役立ちます。
会計システムは製造原価報告書に限らず、決算の資料がわかりやすく表示され、見たいときにいつでも参照できることが大切ですので、マネーフォワード会計のような見やすい会計ソフトが大いに役立ちます。
製造原価報告書はエクセル等で管理するのではなく、損益計算書や貸借対照表とも連動し、修正や追加の多い決算業務において一括して最新情報が反映される会計ソフトの利用をおすすめします。
よくある質問
製造原価とは?
製造業において製品の製造にかかった費用のことを指します。詳しくはこちらをご覧ください。
製造原価の種類と内訳は?
材料費、労務費、経費、仕掛品があります。詳しくはこちらをご覧ください。
製造原価報告書とは?
当期に販売した製品の製造原価を明らかにし、外部の利害関係者などに報告するための、製造業特有の財務諸表です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
先入先出法での棚卸資産の評価・商品有高帳の記入例 移動平均法との違いも解説
決算においてその事業年度の売上原価を求めるには、今までに仕入れた商品や製品が期末にどれだけ残っているかを調査しなければなりません。 多くは、商品や製品が実際にある倉庫などで物理的に確認する必要があります。 よく簿記の教科書に「先入先出法」な…
詳しくみる研修費を経費にする場合の勘定科目と仕訳例まとめ
講習やセミナーなど、仕事の研修に関わる費用を研修費といいます。研修に関わる費用を支出した場合、どのような勘定科目で処理するのが適切なのでしょうか。研修費用で使われる勘定科目と仕訳例、研修費用を経費に計上できないケースについて解説します。 研…
詳しくみる未払消費税とは?計上時期や仕訳の解説
未払消費税とは、事業年度の末日における未納付の消費税について仕訳する勘定科目です。また、未払消費税の処理は、消費税の会計処理方法により異なります。 本記事では未払消費税の概要や決算書の記載、会計処理方法ごとの仕訳例についてご紹介します。 未…
詳しくみる固定資産売却損とは?仕訳方法から消費税の取り扱いまで解説
固定資産を売却した際に発生することがある固定資産売却損。どのようなケースで発生し、会計処理はどのように行えば良いのでしょうか。 ここでは、固定資産売却損の基本的な概要や仕訳方法について解説します。 固定資産売却損の基礎知識 土地や建物、車両…
詳しくみる社債利息とはどんな勘定科目?仕訳から解説
社債利息は、会社が発行した社債の利息などに関する勘定科目です。社債利息に関連してどのような会計処理が必要になるのか、社債利息に関連のある仕訳や社債利息の税率、社債利息の納税方法について解説します。 社債利息とは 社債利息とは、会社が発行した…
詳しくみる【タカタ リコールに学ぶ】回収・無償修理した際の会計処理方法
トヨタ、ホンダを始めとする日欧企業が、タカタ社製のエアバッグに関して「不具合を起こす可能性がある」との理由によりリコールを発表しました。 本来リコールとは自主的に製品の回収や修理を行うものですが、実際はそこに金銭的な負担が加わります。この場…
詳しくみる会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引
