- 更新日 : 2026年1月8日
一括償却資産とは?仕訳からわかりやすく解説
一括償却資産とは、通常の減価償却ではなく、取得価額を3年間で均等償却できる一定の資産のことです。財務諸表では、貸借対照表の資産の部の固定資産として表示されます。
法人だけではなく、個人事業主も一括償却資産の制度 対象ですが、その利用には、メリットとデメリットがあります。ここでは、一括償却資産の内容や仕訳について解説します。
目次
一括償却資産とは
減価償却は、年月の経過によって資産の価値が減少することにあわせて、資産の取得価額を年度ごとに経費として配分する会計処理です。
減価償却は通常、定額法、定率法などの方法で行いますが、取得価額が20万円未満の減価償却資産は、一括償却資産として3年にわたって均等償却することができます。以下、この償却方法を「一括償却資産の3年均等償却」と呼びます。
一般的な減価償却の方法については、次の記事で詳しく解説しています。こちらをご参照ください。
取得価額が10万円未満の減価償却資産についても、一括償却資産の3年均等償却をすることができますが、実務で採用することはまれです。取得価額が10万円未満の減価償却資産は、取得価額の全額を取得した年度の経費にできるからです。
一括償却資産の3年均等償却ができるかどうかは、1個または1組あたりの取得価額で判定します。
たとえば、応接セットはテーブルと椅子のそれぞれの価格ではなく、テーブルと椅子のセットで1組と考えます。また、カーテンは何枚か組み合わせることが通常であるため、1部屋の枚数ごとに1組と考えます。
一括償却資産の3年均等償却をする資産は、一括償却資産という勘定科目でまとめるほか、機械装置や器具備品などの固定資産の勘定科目で計上することもできます。
なお、2022(令和4)年の税制大綱では、少額の減価償却資産の取得価額における損金算入制度の改定が盛り込まれました。これは、減価償却資産の特例の対象資産から、貸付用に使っている資産を除くというものです。この改定の対象資産には、一括償却資産も含まれます。
一括償却資産のメリット・デメリット
一括償却資産の3年均等償却には、次のようなメリットとデメリットがあります。
資金繰りの改善などがメリット
取得価額を早期に経費にできると、一般に法人税や所得税などの税負担を抑えることができます。
また、事業用の資産に個別にかけられる償却資産税の対象外になることとあわせて、税負担が少なくなることで資金繰りが改善します。
資産の管理の面では、減価償却費の計算が簡単になる点もメリットです。一般的な減価償却方法では、資産の一つ一つについて減価償却費を計算する必要がありますが、一括償却資産ではその必要はありません。
個別に除却できないデメリット
デメリットには、個別に除却処理ができない点があげられます。
個別に減価償却費を計算しなくてもよいというメリットと表裏の関係にありますが、一括償却資産の3年均等償却を行っている資産を譲渡・除却しても、減価償却を打ち切ることはできません。
一括償却資産の仕訳
一括償却資産の減価償却の仕訳には「決算調整方式」と「申告調整方式」があります。それぞれの方式の仕訳例をご紹介します。
例:A社では、10万円以上20万円未満の取得価額の減価償却資産について、一括償却資産の3年均等償却を行っています。当期は1台15万円のパソコンを2台、18万円の応接セットを1組、合計48万円の資産を現金で購入しました。この場合、パソコン1台および応接セット1組の取得価額はいずれも10万円以上20万円未満であるため、一括償却資産の3年均等償却の対象となります。
仕訳例1 決算調整方式
【購入時の仕訳】
【決算時の仕訳】
1年目、2年目、3年目ともに同じ金額を減価償却費として計上します。年度の途中で取得した場合でも、減価償却費の月割計算は行いません。
仕訳例2 申告調整方式
【購入時の仕訳】
【決算時の仕訳】
仕訳なし
申告調整方式では、会社の会計帳簿ではなく、法人税の確定申告書で減価償却費を調整します。したがって、購入時は消耗品費などの勘定科目を使用し、一括償却資産勘定は使用しません。また、決算時の仕訳は不要です。
一方、資産を取得した年度の法人税の確定申告書で、2年目と3年目の経費にあたる32万円を加算調整します。また、2年目と3年目の法人税の確定申告書では、16万円を減算調整します。
※個人事業主の場合は、申告調整方式は利用できないため、決算調整方式で仕訳します。
個人事業主から法人成りした場合
一括償却資産は、3年間で均等償却する必要があります。では、個人事業主が法人成りした場合はどうなるのでしょうか。
この場合は、個人事業は廃業となります。一括償却資産は法人に引き継ぐ(売却)ことになりますが、本来、一括償却資産の償却費は、個人事業の経費にするべきものです。
そこで、個人事業主が法人成りした場合に、一括償却資産の未償却残高がある時は、そのすべてを個人事業の最後の年度の経費にします。
中小企業では取得価額30万円未満の資産は経費にできる
資本金の額が1億円以下の中小企業であって青色申告をしている場合は、1個(1組)あたりの取得価額が30万円未満の減価償却資産について、取得価額の全額を取得した年度の経費にすることができます。
ただし、経費にできるのは年間300万円までであり、中小企業であっても大企業の子会社である場合などは除きます。
この特例が適用できる中小企業では、取得価額が20万円未満の減価償却資産についても、3年で均等償却せず、取得した年度の経費にすることができます。
その場合、会計処理で一括償却資産勘定は使用しません。なお、この特例を適用した減価償却資産については、一括償却資産の場合と異なり、償却資産税の対象になる点にご留意ください。
メリットの多い一括償却資産の制度を活用しよう
一括償却資産は取得価額が20万円未満の減価償却資産のことで、3年にわたって均等償却することができます。一括償却資産の制度を活用することで、3年間で取得価額をすべて経費にでき、節税したり、資金繰りを改善したりするなどのメリットを得ることができます。
税金の支払いが発生する場合は、一括償却資産の制度を積極的に活用しましょう。
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よくある質問
一括償却資産とは?
一括償却資産とは、3年間で均等償却できる、取得価額が20万円未満の一定の固定資産のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
一括償却資産の仕訳のポイントは?
一括償却資産勘定などを用い、一般の減価償却資産と区別して仕訳します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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