• 更新日 : 2026年2月5日

法人事業税の税率や計算方法について解説!

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法人が納付する税金には法人税や法人住民税、特別法人事業税などのいくつかの種類がありますが、その中で法人事業税とはどのような税金なのか詳しく解説します。申告する際の税率や計算方法、外形標準課税が適用されるケースや計算する際に必要な所得割や収入割、付加価値割などが何を指すのかについても見ていきましょう。

また、複数の自治体で事業を行っているときの分割基準や非課税となるケース、納付期限に遅れそうなときにすべきことについても解説します。

法人事業税とは?

法人事業税とは法人が納める税金の一つです。なお法人が納めるべき主たる税金には、法人税と法人事業税、法人住民税の3つがあります。

法人事業税とは、法人は事業を行う際に利用している行政サービスや公共施設についての経費負担をすべきであるという考えに基づく税金です。地方税なので事業所が所在する自治体に納めましょう。また法人事業税は所得に応じて支払うため、法人事業税において外形標準課税を適用する企業等を除いては、法人の所得がマイナスのときは納付の必要がありません。

法人事業税は、その法人の事業所がある都道府県において課税されます。法人事業税額は支払をした事業年度の損金として算入できます。

参考:法人事業税・法人都民税|東京都主税局

法人事業税と法人税との違いは?

法人税とは各事業年度の所得に対して申告・納付を求められる国税で、税金を納める「納税者」と税金を負担する「担税者」はどちらも法人です。

法人税も法人事業税と同様、申告納税方式による税金なので、期限を忘れずに納めるようにしましょう。

法人税を計算する際のベースとなる金額は、原則として各事業年度の益金の額から損金の額を差し引いた課税所得と呼ばれるものです。法人税について詳しくは以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。

参考:法人税|国税庁

法人事業税と法人住民税との違いは?

法人に課せられる税としては、法人事業税や法人税以外に法人住民税もあります。法人住民税は法人事業税と同じく地方税ですが、法人が事業所を構えている所在地によって納付先が変わるため注意しましょう。

法人住民税は、納付先によって都道府県と市町村の2つに分類できます。なお、東京都においては特例的に東京23区内に事業所がある法人については2つをまとめて「法人都民税」として納付します。

また、法人住民税は「法人税割」と「均等割」の2つの種類によって構成されている点に注意しましょう。

法人税割とは法人税額に基づいて計算する税金です。標準税率については、法人都道府県民税の法人税割は法人税額の1.0%、法人市町村民税に関しては法人税額の6.0%に相当します。

一方で均等割は法人都道府県民税の場合は資本金等の額、市町村民税に関しては従業員人数と資本金等の額に応じて算出されるので、法人税額とは関係がありません。また所得がないときは納めなくてもよい法人事業税とは異なり、均等割に関してはたとえ赤字であっても納めなくてはいけません。

法人住民税の計算方法や納付時期については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧になり、法人住民税への知識を深めてください。

参考:法人住民税・法人事業税|総務省

法人事業税の納税義務者は?

法人事業税は法人が納める税金のひとつですが、すべての法人に納税義務があるわけではありません。法人の種類によっては納税義務があるかどうかが決まります。

法人の種類 法人の例 納税義務
普通法人 株式会社、特例有限会社、合名会社、合資会社、医療法人など あり
公益法人 財団法人、社団法人、学校法人、宗教法人など あり
協同組合等 信用金庫、農業協同組合、労働者協同組合など あり
人格のない社会団体 同窓会、PTAなど 収益事業を行わない限りは納税義務がない
公共法人 国立大学法人、国民金融公庫、地方公共団体など なし

例えば、同窓会やPTAなどは会費を集めるだけでは納税義務は発生しません。ただし、収益性のある事業を手掛ける場合には、法人事業税の課税対象となることがあります。

一方、国立大学法人や地方公共団体などの公共法人には、事業を行うかどうかにかかわらず法人事業税の納税義務はありません。収益が生じた場合にも非課税となります。

法人事業税の税率と計算方法は?

法人事業税の計算方法や用いる税率は、法人の区分で異なります。そのため、まずは法人事業税の計算上の区分(1号、2号、3号、4号)のうち、どれに該当するかを判断する必要があります。

大まかに言うと1号に区分されるのは、普通法人、公益法人や投資法人等、特別法人(協同組合や医療法人)です。
2号は電気供給業者、ガス供給業者、保険業者等(※ただし3号と4号に該当するものを除く)、3号は小売電気事業や発電事業などの電気供給業者、4号は特定ガス供給業者となります。

一般の株式会社などが該当するのは1号の区分です。

それぞれの区分における計算式は次のとおりです。

1号:所得割(+付加価値割+資本割)
※()内は原則として資本金の額が1億円超の法人のみ加算2号:収入割

3号:収入割+所得割
※原則として資本金の額が1億円超を超える法人は「収入割+付加価値割+資本割」

4号:収入割+付加価値割+資本割

参考:法人事業税・法人都民税 | 東京都主税局

法人事業税の計算要素

法人事業税の計算要素には、所得割または収入割、資本割、付加価値割の4つがあります。

所得割は法人の所得を課税標準(課税の基礎とする金額等のこと)とした税額のことで、収入割は法人の収入を課税標準とした税額のことです。
2~4号に該当する事業者は所得割が適当でないことから収入割で計算することとされています。

資本割は法人の資本金等の額を課税標準とした税額のことで、付加価値割は法人の付加価値額を課税標準とした税額のことです。

付加価値額とは、収益分配金に単年度損益(※繰越欠損控除前の税法上の所得)を加算した額をいいます。

収益分配額とは、「報酬給与額(給与や手当等の合計)+純支払利子(支払利子ー受取利子)+純支払賃借料(支払賃借料ー受取賃借料)」の額です。

資本割と付加価値割を合わせて「外形標準課税」といい、原則として資本金の額が1億円超の法人に課税されます。

法人事業税の税率

法人事業税の計算において、所得割、収入割、資本割、付加価値割の税率は、業種の区分(1号~4号)のほか超過税率や軽減税率が適用されるかどうかで変わってきます。

以下は、東京都の2022年4月1日以降開始する事業年度の普通法人と外形標準課税法人の法人事業税の税率です(※法人事業税の税率や軽減税率の適用要件などは各都道府県で異なります)。

種類 区分 標準税率 超過税率
1号 普通法人 所得割 軽減税率適用 所得年400万円以下 3.5 3.75
所得年400万円超800万円以下 5.3 5.665
所得800万円超 7.0 7.48
軽減税率不適用
外形標準課税法人
(※原則として資本金また出資金の額が1億円超の法人)
所得割 軽減税率適用 所得年400万円以下 1.0 1.18
所得年400万円超800万円以下
所得800万円超
軽減税率不適用
付加価値割 1.26
資本割 0.525

出典:法人事業税・法人都民税|東京都主税局(※2022年4月1日以降開始する事業年度の普通法人に関わる部分のみ抜粋して作成、2025年4月1日からは外形標準課税の対象法人の見直しがあります。後述、令和6年改正ご参照)

普通法人の法人事業税の計算の仕方

普通法人の場合、法人事業税の計算上、標準税率と超過税率のどちらが適用されるか、軽減税率は適用されるか、2段階で判定していく必要があります。

判定方法については、ここでは東京都を例に取り上げます。都道府県によっては、超過税率も軽減税率もどちらも適用していないところもありますので、各自治体で確認することをおすすめします。

(東京都の普通法人の法人事業税の判定)

  1. 標準税率と超過税率の判定

1)資本金の額が1億円超を超えている→超過税率
2)資本金の額が1億円以下で所得が2,500万円超または収入が2億円超→超過税率
3)1にも2にも該当しない→標準税率

  1. 軽減税率の適用の判定(※2022年4月1日以後開始の事業年度の場合)

1)外形標準課税法人(普通法人は資本金や出資金1億円超)→軽減税率不適用
2)1以外で資本金または出資金が1,000万円以上かつ事業所等のある都道府県が3以上→軽減税率不適用
3)1にも2にも該当しない→軽減税率適用

(法人事業税計算例 ※各税率は上記表より)

資本金の額5,000万円の普通法人で事務所は東京都のみ、所得金額2,000万円(収入1億円)の会社の場合

  • 判定:
    資本金1億円以下かつ所得2,500万円以下かつ収入2億円以下のため標準税率適用
  • 資本金1億円以下で事業所のある都道府県が東京都のみのため軽減税率適用
  • 所得の区分:
    400万円以下の所得:400万円
  • 400万円以上800万円以下の所得:800-400=400万円
    800万円以下の所得額:2000-800=1,200万円

計算:400万円×3.5%+400万円×5.3%+1,200万円×7.0%=1,192,000円

外形標準課税とは

外形標準課税とは法人の所得額だけでなく事業所の床面積や従業員数、資本金などの「外形」(外から判る基準)を税額計算に含める課税方式です。所得額以外の情報を税額計算に含めることで、法人の事業規模を反映することができます。

例えば東京都では、資本金もしくは出資金の金額が1億円を超える法人には外形標準課税が適用され、所得割(電気供給業者などは収入割)と付加価値割、資本割を合計して法人事業税の税額が決まります。

なお、所得割とは所得金額に比例して課税される税金です。また、付加価値割とは収益分配額と単年度損益を合算した金額(付加価値割額)に応じて課税される税金で、資本割とは資本金等の額に応じて課税される税金になります。

収入割とは電気供給業やガス供給業、保険業、貿易保険業の業種を営む法人のみに適用される課税方式です。事業で得た収入から業種に応じた控除金額を差し引き、課税対象額がきまります。

参考:法人事業税における外形標準課税|総務省

令和6年度税制改正による外形標準課税適用対象追加

令和6年(2024年)度税制改正においては、外形標準課税の対象となる法人について令和7年4月1日以後に開始の事業年度から見直しが行われることになりました。

大企業が減資等による法人事業税・外形標準課税逃れを考慮し、課税逃れを防止するための対応策を施すことになりました。

具体的には、前事業年度に外形標準課税の対象となった法人が、翌事業年度に資本金の額1億円以下となった場合でも、「資本金と資本剰余金の合計」が10億円を超える場合等には外形標準課税の対象となるなどの措置が取られます。

参考:令和6年度税制改正の大綱の概要|財務省

法人事業税の申告・納税方法は?

法人事業税は確定申告書で申告して納税します。

なお、納税期限は原則として会計期末から2ヶ月以内であるため、企業によって納税する時期が異なります。例えば、会計期が4月始まりの3月締めの企業であれば、5月末までには確定申告書を提出し、法人事業税も納付しなくてはいけません。

また、事業開始から6ヶ月を超え、なおかつ前事業年度で法人税額が20万円を超えている普通法人については、法人事業税の中間申告と納付も必要になります。該当する場合は年に2回の申告と納付が必要になるので、忘れずに実施しましょう。

法人事業税の分割基準について

法人によっては複数の自治体で事業を行っていることもあるでしょう。法人事業税は地方税なので一定の基準に基づいて所得を分配し、それぞれの地方自治体に法人事業税を納付しなくてはいけません。

なお、法人事業税の総額を関係する地方団体ごとに分ける基準を「分割基準」と呼びます。分割基準は法人の事業内容によって異なるので注意が必要です。例えば、非製造業等では従業員の数と事業所の数で法人事業税を分割します。

従業員の数とは給与を支払われるべき人の数(年度終了日現在の従業員数)で、事業所の数とは営業している月数(各月末現在の事業所数合計)です。例えば、A県とB県に事業所が1つずつあり、A県では通年事業を行い、B県では新しく事務所が設置されて3ヶ月のみ事業を行った場合は、A県での事業所数は12、B県での事業所数は3とカウントできます。

製造業は従業員の数で地方自治体ごとに分割することが一般的です。また、倉庫業とガス供給業は有形固定資産の価額、電気供給業は有形固定資産の価額と発電施設の価額、鉄道事業、軌道事業は軌道の距離で法人事業税の税額を分割できます。

なお、法人事業税の分割基準については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。

そのほか法人が納めるべき税金は?

法人に課せられている税金には、法人税・法人事業税・法人住民税などがあります。しかし、法人はこれらの税金のみを納めればよいわけではありません。これら以外にも、地方法人特別税の代わりに誕生した特別法人事業税があります。

さらに法人が納める税金としては、消費税も挙げられるでしょう。国内において事業として対価を得てサービスや商品を販売等をするときには、取引先から消費税を受け取ります。消費税は間接税で、実際に税額を負担するのは消費者です。消費者から預かった消費税を法人は正しく納税しなくてはいけません。

そのほかにも、一定の領収書や契約書などを発行する際に印紙税を納付します。印紙税は領収書や契約書に記載された金額に応じて課せられるため、正しい金額の印紙を貼付しましょう。

また、資産を所有している場合には固定資産税も発生します。固定資産税は資産を所有する限り毎年発生するので、資産の価値によっては負担が大きくなるでしょう。不動産が市街化区域内にある場合などには固定資産税に加え、都市計画税も納付する必要があります。都市計画税も固定資産税と同様、資産を所有する限り毎年発生するので、無理なく納付できるようにあらかじめ予算を振り分けておくほうがよいでしょう。

法人の税金については以下で詳しく解説しています。ぜひご覧になり、参考にしてください。

法人事業税の申告漏れがないようチェックしましょう

法人事業税は原則として決算期末から2ヶ月以内に申告・納税が必要な税金です。3月末が決算期末の企業であれば、5月末までには正しく申告し納付しなくてはいけません。

また事業開始から6ヶ月を超えており、なおかつ前の事業年度で法人税額が20万円を超えている普通法人については、法人事業税の中間申告と納付も必要になります。時期を間違えずに忘れずに申告するようにしましょう。

法人事業税において確定申告書の提出が申告期限より遅れると、軽微な場合で過去5年内に遅れたことがないときは、不申告加算金(納付すべき事業税額の5%に相当する金額)を納付しなくてはいけません。また決定を予告されたにも関わらず申告が遅れた場合は、15%に相当する金額の不申告加算金を納付することもあります。

申告書を提出した日の前日から5年前までの間に、不申告加算金等を一度でも徴収されたことがあるときは悪質と判断される可能性があるでしょう。そのようなケースにおいては、不申告加算金として10%が加算されることもあるかもしれません。

ただし、法人事業税は地方税なので、地方によってもルールが異なります。必ず納めるべき地方自治体のルールを調べ、遅滞しないように計画的に用意しておきましょう。地方自治体によっては、特別な状況であれば例外とみなされ、納付が遅れても不申告加算金が徴収されないことがあります。いずれにしても企業の信頼に関わることなので、納付が遅れる場合であっても、正しく申告することが大切です。

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