- 更新日 : 2026年1月8日
その他有価証券とは?仕訳とその他有価証券評価差額金について解説
有価証券は大きく分けて4つのグループに分かれます。「売買目的有価証券」「満期保有目的債券」「子会社株式・関連会社株式」の3つに該当しない有価証券を「その他有価証券」としてまとめているのです。ここではその他有価証券やその他有価証券評価差額金の概要、状況ごとの仕訳方法などについて詳しく解説します。
目次
その他有価証券とは
その他有価証券とは、売買目的有価証券や満期保有目的債券、子会社株式、関連会社株式以外の有価証券などのことです。株式や国債、社債などの有価証券は購入目的によって、その仕訳処理などが異なります。
| 分類 | 目的 | 科目 | 区分 |
|---|---|---|---|
| その他有価証券(1年以内に満期となる債券や売買目的、子会社株式・関連会社株式以外の株式限る) | 下記以外 | 有価証券 | 流動資産 |
| その他有価証券(1年を超える債券や売買目的、子会社株式・関連会社株式以外の株式) | 下記以外 | 投資有価証券 | 投資その他の資産 |
| 売買目的有価証券 | 短期間の価格変動による利益確保 | 有価証券 | 流動資産 |
| 満期保有目的の債券(1年以内に満期となる債券に限る) | 満期を迎えることを前提に保有 | 有価証券 | 流動資産 |
| 満期保有目的の債券(1年を超える債券) | 満期を迎えることを前提に保有 | 投資有価証券 | 投資その他の資産 |
| 子会社株式・関連会社株式 | 他の会社への影響力や行使力の保有 | 関係会社株式 | 投資その他の資産 |
満期保有目的の債券とその他有価証券のうち、債券には1年基準が適用されます。決算日の翌日を起点とし、1年以内に満期となる債券は「有価証券」として流動資産に表示しましょう。
一方で、1年を超えて満期となる債券は「投資有価証券」として、投資その他の資産(固定資産)に表示してください。ただし重要性の低い場合は「投資有価証券」としてまとめ、投資その他の資産に含めた表示も可能です。賃借対照表上では次の場所に表示されます。
【その他有価証券(1年以内に満期となる債券に限る)】

【その他有価証券(1年を超える債券)】

その他有価証券購買時の仕訳
その他有価証券50,000円分の購買時仕訳についても確認しておきましょう。会社がその他有価証券を購入した際は「その他有価証券」という勘定科目を使って仕訳をします。
資産の区分における仕訳は、増加した場合は左側の「借方」、減少した場合は右側の「貸方」に記帳してください。今回は購買時の仕訳のため、左側の借方に「その他有価証券 50,000円」と記入し、右側の貸方には代金として支払った「現金 50,000円」を記入しましょう。
その他有価証券評価差額金とは
その他有価証券評価差額金とは、売買目的有価証券や満期保有目的債券、子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券や合資会社・合同会社の出資、持ち合い株などに該当する時価評価の差額を、賃借対照表の純資産の部に計上するための勘定科目です。
なお、その他有価証券評価差額金には税効果会計が適用され、純資産の部に他の剰余金と区分し記載する必要があります。税効果会計とは会計上の税金と、実際の税金の間に生じる差異を調整するものです。
決算時に仕訳する場合
売買目的有価証券や満期保有目的の債券、子会社株式および関連会社株式以外の有価証券はすべて「その他有価証券」に分類されますが、保有の目的はそれぞれ異なり、目的ごとに評価をするのは難しいです。
よって、現行の会計基準では、売買目的有価証券や満期保有目的有価証券、子会社株式、関連会社株式以外の「その他有価証券」は、決算時に帳簿価額を時価に評価替えする処理を行います。
そこで生じた評価差額は、すべて「その他有価証券評価差額金」として処理し、貸借対照表の純資産の部に表示する方法が「全部純資産直入法」といわれるものです。
もう1つの方法として「部分純資産直入法」もあります。時価が取得原価を下回る場合に、評価差額を当期の損失として処理する方法のことです。原則的には全部純資産直入法を適用しますが、継続適用を条件にすれば、部分純資産直入法を適用しても問題ありません。
また、その他有価証券は決算において時価に評価替えを行うものの、税法上では時価評価が認められません。よって、会計上と税法上の簿価との差異が生じ、税効果会計を適用して処理します。
ここでは「時価が取得原価を上回る場合」「時価が取得原価を下回る場合」について、「全部純資産直入法」「部分純資産直入法」を用いた決算時の仕訳を解説します。
時価が取得原価を上回る場合
その他有価証券の時価が取得原価を上回る場合の仕分けを、以下の条件で確認しておきましょう。
なお貸借対照表には、その他有価証券は固定資産の区分に「投資有価証券」として表示しましょう。
時価が取得原価を下回る場合
続いてその他有価証券の時価が取得原価を下回る場合の仕訳も次の条件で確認しておきましょう。
- 取得原価¥50,000
- 期末時価¥45,000
- 法人税等の法定実効税率:40%
- 評価方法:全部純資産直入法
その他有価証券の貸借対照表価額は時価の¥5,000となり、「その他有価証券評価差額金」は純資産のマイナスとして扱います。
また、部分純資産直入法による仕訳は次のとおりです。
- 取得原価¥50,000
- 期末時価が¥55,000
- 法人税等の法定実効税率:40%
- 評価方法:部分純資産直入法
翌期首に仕訳する場合
翌期首に仕訳する場合、その他有価証券の評価差額を翌期首に振り戻しの処理します。この方法を「洗替法(あらいがえほう)」と呼びます。
また、もう1つの方法の「切放法(きりはなしほう)」による処理も可能です。切放法は、決算時点で時価に評価替えをした後、翌期首に振り戻しはせず、翌期の帳簿価額とする方法で翌期首においては仕訳なしとなります。
つまり、洗替法と切放法の違いは「評価損を翌期首に戻し入れるかどうか」にあるのです。
時価が取得原価を上回る場合
時価が取得原価を上回る場合は、前期末に計上した評価差額を振り戻し、翌期首の帳簿価額を取得原価に戻します。その方法は前期末の逆仕訳(最初に行った仕訳と借方・貸方が逆の仕訳)を行います。
- 取得原価:¥50,000
- 期末時価:¥55,000
時価が取得原価を下回る場合
時価が取得原価を下回る場合も同様に前期末の逆仕訳(最初に行った仕訳と借方・貸方が逆の仕訳)を行います。
- 取得原価:¥50,000
- 期末時価:¥45,000
- 評価方法:全部純資産直入法
その他有価証券について正しく理解しよう
その他有価証券は期末決算ではなく、時価評価とする点についてご理解いただけたかと思います。そこで生じる評価差額は、費用や収益ではなく純資産として扱い「その他有価証券評価差額金」を使って仕訳をしましょう。
なぜなら、その他有価証券は売買目的有価証券とは異なり、必ずしも売却するとは限らず、評価益を収益として計上することが難しいからです。よって、今回紹介した「決算時に仕訳方法」や「翌期首の仕訳方法」を活用し、多様な性格のものが含まるその他有価証券だからこそ正しく理解し、正確に仕訳を行いましょう。
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よくある質問
その他有価証券とは?
売買目的有価証券や満期保有目的債券、子会社株式、関連会社株式以外の有価証券を「その他有価証券」として扱います。詳しくはこちらをご覧ください。
その他有価証券評価差額金とは?
時価評価に伴う評価差額を損益計算には計上せず、税効果会計を適用した状態で純資産の部に計上するための勘定科目のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
その他有価証券の仕訳方法は?
その他有価証券は、「評価差額の合計額を純資産の部に計上」または「時価が取得原価を上回る銘柄に係る評価差額は純資産の部に計上、一方で時価が取得原価を下回る銘柄に係る評価差額は当期の損失として処理」の2つの形で仕訳をします。 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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