- 更新日 : 2025年2月20日
残業代計算、正しくできていますか?基本的な考え方と詳細な計算方法を解説!
残業代の計算は事業主なら誰もが頭を悩ませる問題です。支払う残業代が少ないに越したことはありませんが、計算を間違えて支払うべき残業代を支払っていないと、法的なトラブルにも発展しかねません。
ここでは正確に残業代を計算するための基礎的な知識から、休日残業や深夜残業など法律で定められている時間外労働の残業代の計算方法についても解説します。
残業代計算の基本
残業代の支払い義務について
労働基準法第37条に基づき、事業主は従業員を所定の労働時間以上に働かせたり、休日出勤等をさせた場合には通常の賃金に25%から60%の範囲内で上乗せした金額を支払う義務を負っています。
この義務を怠ると「労働基準法違反」となり、従業員側は会社に対して未払いの残業代を請求することができます(時効は2年間)。そのため正確に計算し、支払う必要があるのです。
時間外労働と法内残業
残業には2種類あります。
1つは「(法定)時間外労働」、もう1つは「法内残業」です。時間外労働とは労働基準法で定められた労働時間を超える残業を指します。労働基準法が定める労働時間とは第32条に記載のある時間のことで、休憩時間を除き1週間のうち40時間、1日8時間です。
法内残業とは会社で定められている所定の労働時間は超えているものの、労働基準法で定められた労働時間を超えない範囲の残業を指します。
例えば午前11時から午後7時までの勤務で休憩時間が1時間ある場合、一見すると労働時間は8時間です。しかし労働基準法に従えば休憩時間は労働時間ではないので、労働時間は7時間となります。
したがって午後10時まで残業したとすると、そのうち午後7時から午後8時までの残業は法内残業となり、午後8時から午後10時までの残業が時間外労働とみなされます。
この2種類の残業のうち、割増料金を支払い義務があるのは時間外労働についてのみです。法内残業については所定の賃金を支払う義務はありますが、割増賃金の支払い義務はありません。
残業計算のキーワード「月平均所定労働時間」
法内残業か所定の労働かを区別する基準となるのが「月平均所定労働時間」です。これを超えた分の労働時間が時間外労働と法内残業を含めた「残業」として計算されるため、あらかじめしっかりと把握しておく必要があります。月平均所定労働時間の計算は次の計算式を用います。
1年の間には28日までしかない月、30日または31日まである月、休日が多い月など各月で労働日数にばらつきが生じます。このばらつきを是正するために平均所定労働時間を算出し、それを基準に残業時間を計算するのです。
仮に年間所定休日数を125日、1日の所定労働時間を8時間とすると、月平均所定労働時間は160時間となります。
(365日−125日)×8時間÷12ヶ月=160時間
いろいろな残業代計算
残業代の計算式
こちらが残業代の基本的な計算式です。月給から家族手当などが差し引かれるのは、これらが法的に「月給」としてみなされないためです。他にも別居手当や子女教育手当、退職金などの臨時に支払われる賃金、ボーナスなども月給として計算されません。
これを月平均所定労働時間で割ると、1時間当たりの賃金が計算できます。そこに労働の種類に応じた割増率を掛け、最後に残業時間数をかければ残業代が算出されます。
各種労働に応じた割増率は以下の通りです。
| 労働の種類 | 割増率 |
|---|---|
| 法内残業 | 1 |
| 時間外労働 | 1.25 |
| 法定外休日労働 | 1~1.25 |
| 法内休日労働 | 1.35 |
| 深夜労働 | 0.25 |
休日労働の計算方法
労働基準法第37条には時間外労働だけでなく休日労働の割増賃金についても書かれています。
法律上の休日には「法定休日」と「法定外休日」の2種類があり、それぞれに応じた賃金を支払わなくてはなりません。法定休日とは労働基準法第35条が定める週1日の休日を指します。法定外休日はこれ以外に就業規則や雇用契約で定めた休日です。
土日や祝日など1週間に休日が数日ある場合、どの休日を法定休日とし、どの休日を法定外休日とするかは就業規則等で定めることができます。このうち法定休日における休日労働については、次の計算式で割増賃金を求めるよう法律で定められています。
※1時間当たりの賃金は前述計算式参照。
一方で法定外休日の休日労働については法律に定めがありません。そのため就業規則や雇用契約の決まりによって計算されることになります。
ただし法定外休日労働が時間外労働(週40時間を超える労働)に該当する場合は、その休日労働時間については1.25の割増率で賃金を支払わなくてはなりません。
深夜労働の計算方法
労働基準法における「深夜労働」とは午後10時から午前5時までの労働を指します。この時間の労働については通常の賃金の計算額の25%以上の率で計算した割増賃金を支払わなくてはなりません。
ただし通常の勤務時間が深夜労働に該当する場合は、通常の1時間当たりの賃金は月給の中にすでに含まれています。そのため深夜労働の割増賃金は以下の計算式を使って別で計算し、通常の賃金に上乗せする形で支払われます。
しかし深夜労働であり、かつ時間外労働である場合は月給の中に含まれていないので、割増率が1.5(1.25+0.25)となります。また深夜労働であり、かつ法定休日労働の場合は割増率が1.6(1.35+0.25)となります。
まとめ
ここで解説した内容は残業計算の基本的な考え方です。
変形労働時間制やフレックスタイム制、裁量労働制などを採用している企業の場合は専門家への相談が必要です。しかし基本的な用語や考え方を理解していれば、専門家への相談もより具体的になります。
残業代計算の正しいやり方を理解し、残業代の未払いや払い過ぎによるトラブルを未然に防ぎましょう。
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