- 更新日 : 2025年2月20日
消化仕入れとは?具体例や会計処理、仕訳をわかりやすく解説
消化仕入れとは、主に百貨店や大型ショッピングセンターで採用される仕入形態の1つです。この記事では消化仕入れの基本事項および具体例やメリット・デメリット、仕訳例をわかりやすく解説します。消化仕入れによる取引を検討している方や、消化仕入れの仕訳が必要な経理担当の方などは、ぜひ参考にしてください。
目次
消化仕入れとは?
消化仕入れとは、顧客に商品を販売した時点でその商品を仕入れたとする取引形態です。百貨店で多く見られ、売仕(うりし)や売上仕入れとも呼ばれます。消化仕入れと一般的な買取仕入れの特徴を以下で確認しましょう。
| 消化仕入れ | 買取仕入れ | |
|---|---|---|
| 概要 | 商品が顧客に販売された時点で、販売者は商品を買い取り仕入れを計上 | 商品が販売者の手元に到着した時点で商品を買い取り仕入れを計上 |
| 価格決定権 | サプライヤー(メーカー) | 販売者(百貨店など) |
| 所有権 | サプライヤー(メーカー) | 販売者(百貨店など) |
| 在庫リスク | サプライヤー(メーカー) | 販売者(百貨店など) |
消化仕入れでは、納品された商品を店頭で販売している時点の所有権や価格決定権、在庫リスクはサプライヤーに帰属します。この点が、買取仕入れとの大きな違いといえるでしょう。消化仕入れでは商品が売れたときに初めて仕入れが行われ、事前に設定した掛率分の手数料がサプライヤーから販売者に支払われます。
仮に、消化仕入れにより5万円の商品を掛率70で販売したとしましょう。販売者は1万5,000円(5万円×30%)を手数料として受け取り、メーカーは3万5,000円(5万円×70%)を売却代金として受け取ります。
消化仕入れと委託販売の違い
消化仕入れと似た取引形態に、委託販売があります。委託販売とは商品を仕入先から預かり、仕入先企業の代わりに販売する仕組みです。
預かった商品の販売実績に応じて、販売者はサプライヤーから販売手数料を受け取ります。富山の薬売りがルーツの取引方法で、現在では主に書籍販売で採用されています。
消化仕入れと委託販売の大きな相違点は、以下の2点です。
- 委託販売に仕入れはない
- 委託販売は納品後に保管責任が発生する
委託販売はあくまでサプライヤーから預かった商品を、サプライヤーに代わり販売する仕組みです。そのため、商品の仕入れ自体がありません。なお消化仕入れも委託販売も、納品時の所有権はサプライヤーにある点は共通しています。
消化仕入れ取引の具体例
消化仕入れでは、具体的にどのような取引が行われているのでしょうか。ここでは、消化仕入れの2つの例を紹介します。
例1.百貨店店舗にて顧客に販売
1つめの例は、百貨店店舗にて消化仕入れで納めた商品をお客さまに販売した場合です。1個1万4,000円の商品を、消化仕入れで仕入れたとしましょう。掛率70%とすると、販売価格は2万円(1万4,000円÷70%)です。
お客さまとの売買が成立すると、その時点でサプライヤーからの仕入れが発生します。売却が完了したら、原価である1万4,000円をサプライヤーに支払ってください。6,000円(2万円-1万4,000円)は、販売手数料として百貨店の利益になります。
例2.消化仕入れ契約で複数個の商品を仕入れ販売
2つめの例は、消化仕入れ契約で複数商品を仕入れて販売した場合です。仮に、1つ1万円の品物を消化仕入れで10個取引したとしましょう。その後、1個1万3,000円で4個売却した場合、販売会社は4万円(1万円×4個)を仕入代金としてサプライヤーに支払います。そして、1万2,000円(3,000円×4個)の販売手数料を受け取ります。
店舗に納品した商品は10個ですが実際に仕入れに計上する数は売却した4個分になる点が、消化仕入れのポイントといえるでしょう。なお売れ残った商品は、サプライヤーに返品可能です。
消化仕入れのメリット・デメリット
消化仕入れは、一般的な買取仕入れとは取引方法が大きく異なります。そのため、消化仕入れを導入するのであれば、ここで解説するメリット・デメリットをしっかりと確認したうえでスタートすることが肝心です。
消化仕入れのメリット
サプライヤーと販売者それぞれにおける消化仕入れの主なメリットは、以下のとおりです。
| サプライヤーのメリット | 販売者のメリット |
|---|---|
|
|
消化仕入れでは、納品時の所有権はサプライヤーが持ちます。そのため、納品後も商品を移動しやすいメリットがあります。消化仕入れによる取引をした店舗以外に、オンラインショップや他の店舗でも同じ商品を販売している場合、在庫状況に合わせて品物を動かせるため、ビジネスチャンスを逃すことなく販売ができるでしょう。
販売者のメリットは、在庫リスクを考慮せずにさまざまな商品を取り扱える点です。販売した分の仕入れ以外は発生しないため、多額の仕入れ資金が不要でコストを抑えながら取扱商品を充実させられます。
消化仕入れのデメリット
消化仕入れの主なデメリットは、以下のとおりです。
| サプライヤーのデメリット | 販売者のデメリット |
|---|---|
|
|
消化仕入れでは、サプライヤーに現金が支払われるまでに時間がかかるといった注意点があります。一般的に消化仕入れでは月末に在庫を締め、翌月以降に代金が支払われます。そのためサプライヤーの手元に現金が入るのは、早くても翌月以降になるケースがほとんどです。資金繰りが苦しくなることがないよう、サプライヤーはある程度の余裕資金を用意しておくことが重要です。
また消化仕入れは、販売者の在庫リスクや管理責任が発生しません。買取仕入よりも販売者側の負担が少ないぶん、利益率は一般的に低く設定されることは覚えておきましょう。
収益認識基準における消化仕入れ
収益認識基準とは「顧客との契約から生じた収益(売上)を、いつ、いくらで計上するか」を定めた会計基準です。2018年に企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」が公表され、2021年4月以降開始事業年度において本格的に適用がスタートしています。
収益認識基準では、消化仕入れの会計処理も明確化されました。収益認識基準適用後の消化仕入れの考え方のポイントは、以下のとおりです。
- 消化仕入れは代理人取引とし、収益は総額ではなく純額で計上する
消化仕入れの会計処理においてポイントとなるのは、販売者が自らサービスを提供しているといえるかどうかです。消化仕入れにおいて販売者は、在庫リスクや価格決定の裁量権を有していません。そのため収益認識基準適用後は、販売者は自らサービスを提供しておらず、代理人として商品を販売する立場とみなされます。
代理人とされた場合、販売者は販売手数料として受け取る金額以外を、売上高として計上できなくなりました。収益認識基準適用前は商品の販売により得られた対価のすべてを売上高として計上していたため、消化仕入れを導入していた販売者の多くは、基準適用に伴い売上高が減少しています。
売上が減少したことで、経営指標に影響がでたケースもあるようです。ここでは、売上高減少の影響を受けた経営指標の一例を以下で紹介します。
| 指標 | 概要 | 計算式 |
|---|---|---|
| 売上高総利益率 |
| (売上高-売上原価)÷売上高×100(%) |
| 総資本回転率 |
| 売上高÷総資産 |
売上高の減少により経営指標が変わると、経営状況が悪化したと判断される可能性もあります。場合によっては取引先や投資家、株主等の信頼低下につながる恐れがあることは押さえておきましょう。
参考:国税庁 「収益認識に関する会計基準」への対応について
参考:厚生労働省 経営指標の読み方
消化仕入れの仕訳例
最後に、消化仕入れの仕訳例を解説します。消化仕入れは、収益認識基準の適用により代理人取引とされることが多くなりました。ここでは、本人取引と代理人取引のそれぞれの仕訳例を確認しましょう。
仕訳例.1:本人取引の場合
消化仕入れによりA商店から納品した商品を売価10万円(掛率70%)で顧客に販売したときの仕訳は、以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | 適用 | ||
|---|---|---|---|---|
| 現金 | 100,000円 | 売上 | 100,000円 | 顧客に商品を販売して得た売上 |
| 売上原価 | 70,000円 | 買掛金 | 70,000円 | 商品の販売によって発生した、A商店からの仕入代金 |
本人取引では、売却代金の10万円すべてが売上として計上されます。
仕訳例.2:代理人取引の場合
消化仕入れによりA商店から納品した商品を、売価1万円(掛率80%)で顧客に販売したときの仕訳は、以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | 適用 | ||
|---|---|---|---|---|
| 現金 | 10,000円 | 買掛金 | 8,000円 | 商品の販売代金のうち、A商店に支払う仕入代金 |
| 手数料収入(売上) | 2,000円 | 商品の販売代金のうち、販売者の収益となる手数料額 | ||
代理人取引では、売上から仕入値を引いた手数料収入(純額)が収益となります。
消化仕入れの概要と仕訳のポイントを押さえ、正しい会計処理を実現しよう
消化仕入れとは、主に百貨店で採用される取引形態です。売上仕入れまたは売仕(うりし)とも呼ばれ納品時に仕入れは行わず、顧客に商品を販売した時点でその商品の仕入が発生します。
消化仕入れでは、価格決定権や所有権、在庫リスクはサプライヤーに帰属します。販売者はリスクを抑えてさまざまな商品の取り扱いができる一方で、利益率は一般的な買取仕入れよりも低くなる傾向があることは押さえておきましょう。
2021年4月から収益認識に関する会計基準が適用されたことで、消化仕入れの仕訳は代理人取引として行うことになりました。消化仕入れを検討している方は、代理人取引での仕訳方法を事前にしっかりと確認してください。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
電子帳簿保存法 徹底解説(2025年10月 最新版)
電子帳簿保存法は、1998年の制定以降、これまでに何度も改正を重ねてきました。特に直近数年は大きな改正が続いた上に、現在も国税庁による一問一答の追加・改定が続いており、常に最新情報の把握が必要です。
70P以上にわたるボリュームであることから、ダウンロードいただいた方から大好評をいただいている1冊です。
インボイス制度 徹底解説(2024/10 最新版)
インボイス制度は施行後もさまざまな実務論点が浮上し、国税庁によるQ&Aの追加・改訂が続いています。これを受けて、「結局どうすればいいのか、わからなくなってしまった」という疑問の声も多く聞かれるようになりました。
そこで、インボイス制度を改めて整理し、実務上の落とし穴や対応のヒントまで網羅的に解説した最新資料を作成しました。問題なく制度対応できているかの確認や、新人社員向けの教育用など、様々な用途にご活用いただける充実の資料です。
マネーフォワード クラウド会計Plus サービス資料
マネーフォワード クラウド会計Plusは、データの自動取得、自動仕訳、自動学習の3つの自動化で経理業務が効率化できる会計ソフトです。
仕訳承認フローや業務分担にあわせた詳細な権限設定が可能で、内部統制を強化したい企業におすすめです。
マネーフォワード クラウド経費 サービス資料
マネーフォワード クラウド経費を利用すると、申請者も承認者も経費精算処理の時間が削減でき、ペーパーレスでテレワークも可能に。
経理業務はチェック業務や仕訳連携・振込業務の効率化が実現でき、一連の流れがリモートで運用できます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
単一基準配賦法とは?原価計算例や複数基準配賦法への検討をわかりやすく解説
原価計算の第一歩として、中小企業を中心に採用されることが多い「単一基準配賦法」。計算がシンプルというメリットがある一方で、実は原価情報の誤差が経営判断に影響する可能性があります。な…
詳しくみる富山で経理代行サービスを依頼するには?依頼先や対応範囲、費用などを解説
富山県で事業を営む方々、日々の経理業務に追われ、本業に集中できないと感じることはないでしょうか。人材の確保や、インボイス制度・電子帳簿保存法といった度重なる法改正への対応は、特に中…
詳しくみる記帳には会計ソフトを使うべき?色々な方法がある
「会計処理」には多くの時間と手間を要します。しかし「会計処理」は事業をうまく運営し、税金の計算を正確に行うための大切な作業の1つです。 会計の精度は、事業の発展や拡大に大きく影響し…
詳しくみる葛飾区で経理代行サービスを依頼するには?依頼先や対応範囲、費用などを解説
葛飾区(東京都)で事業を営む方々、日々の経理業務に追われ、本業に集中できないと感じることはないでしょうか。人材の確保や、インボイス制度・電子帳簿保存法といった度重なる法改正への対応…
詳しくみる「自計化」って何だ?
会社を運営していると、本業への取り組みに注力するために、会計処理の全般を会計事務所に依頼するケースが多くあります。業績が順調に伸びていったり、経営方針上、業務内容が多岐にわたってい…
詳しくみるIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」とは?5ステップをわかりやすく解説
IFRS第15号とは、顧客との契約から生じる収益をどのように認識・表示・開示すべきかを定めた国際会計基準です。複雑な取引や製品保証の取り扱いも含むため、企業の経理担当者は適用範囲や…
詳しくみる会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引



