- 更新日 : 2024年9月6日
リカーリングレベニューとは?意味や具体例、活用方法を解説
リカーリングレベニューとは、継続的な契約で発生する定期的な収益のことです。リカーリングビジネスにより長期的に安定した収益が見込まれ、顧客との関係強化につなげられます。
本記事では、リカーリングレベニューの意味やサブスクとの違い、決済手段などを解説します。成功事例や最適化する方法も紹介しますので、参考にしてください。
目次
リカーリングレベニューとは継続的に発生する収益のこと
「リカーリングレベニュー(繰延収益)」とは、顧客との継続的な契約で生み出される定期的な収益のことです。「ARR(Annual Recurring Revenue・年間経常収益)」とも呼ばれます。
毎年継続して獲得する売上を示す数値であり、サービス導入時のみ発生する初期費用や一時的な売上は含みません。該当するのは、主にSaaSビジネスから得られる年間の売上です。リカーリングレベニューは、SaaSビジネスの成長性を測るための重要な指標とされています。
リカーリングレベニューのリカーリングには「繰り返す」「循環する」という意味があり、リカーリングビジネスは一度だけの販売ではなく、継続的に収益をあげる仕組みです。
リカーリングビジネスは主に、1つの商品を販売することで継続的な利益を生み出すビジネスや、商品を販売せず、サービスだけを継続的に提供して利益を生み出すビジネスに分けられます。
前者の代表例としては、プリンター機器を販売して補充のインクを定期的に販売するビジネスが挙げられます。後者の例は、通信や電気・ガスの供給、会員制サービスなど、毎月一定額の売上があるビジネスが代表的です。
リカーリングとサブスクの違い
リカーリングビジネスは、サブスク(サブスクリプション)と異なります。
リカーリングは顧客が機器本体を購入するか、もしくはプラットフォームと契約し、定期的に消耗品を購入したり、従量制のサービスを利用したりするビジネスを指します。
これに対し、サブスクリプションとは、月額や年額などの定額料金を支払い、決められた期間内で商品やサービスを利用できるサービスのことです。
リカーリングは使用状況に応じて料金が変動する従量課金のサービスであり、サブスクとは使用料が定額かそうでないかという点が異なります。
リカーリングビジネスの具体例
リカーリングビジネスについて理解を深めるために、具体例をいくつかみていきましょう。
KIRIN「ホームタップ」
KIRINの「ホームタップ」は、オーダーメイドのビールを届けるリカーリングのサービスです。最低契約期間(12ヶ月)の継続利用を条件に、専用開発のビールサーバーを無料でレンタルできます。ビールは自由に選べ、量が多いときはスキップできるほか、追加注文も可能です。
2021年3月に始まったサービスは8月10日時点で10万人に達し、当初の目標である2021年内を前倒しで達成する結果になりました。
SONY「PlayStation Plus 」
SONYの「PlayStation Plus 」は、会員制のリカーリングビジネスです。3つのプランを用意し、加入者限定のサービス割引やボーナスコンテンツなどを提供しています。
数年前まで赤字決算が続いていた同社は、2020年の連結決算で純利益を増やしており、その背景には全売上の4〜5割を占めるリカーリングの売上高があるとされています。
Amazon「Amazonプライム」
Amazonでは会員制の「Amazonプライム」は、年会費または月会費を支払うことで利用できるプログラムです。配送料無料や会員限定セールの開催、「Prime Video」で会員特典対象動画を見放題など、多くの特典をつけて会員数を増やしています。
特典の多い会員制での集客によりECサイトの利用も促進しており、継続的収益と一時的な収益の好循環を生み出している成功事例といえるでしょう。
リカーリングレベニューを得るメリット
ビジネスでリカーリングレベニューを得ることで、次のようなメリットがあります。
- 長期的に安定した収益
- 売上・収益の予測がしやすい
- 顧客との関係強化につながる
詳しくみていきましょう。
長期的に安定した収益
リカーリングレベニューによるビジネスは、継続利用が前提です。そのため、一度契約をしてもらえば顧客と継続的な関係性を築けるため、長期的な収益が得られます。
売り切り型のビジネスでは、取引が終わってから再度利用してもらうための施策が必要です。継続利用のリカーリングビジネスは、一度契約すると一定期間の継続購入が見込めることで、安定した収益を得られます。
売上・収益の予測がしやすい
継続的な収益を見込めるリカーリングビジネスでは、契約者数や解約率を測定し、売上・収益の予測や事業計画を立てやすいのもメリットです。
顧客はすべて自社の会員であり、売上データだけでなく、顧客の属性情報など幅広いデータを蓄積できます。
蓄積したデータは今後のサービス改善にも役立ち、精度の高い事業計画の策定につながるでしょう。
顧客との関係強化につながる
リカーリングビジネスは顧客との継続的な関係を維持しやすく、関係強化につながる点がメリットです。
近年は市場が成熟し、他社との差別化が難しいという状況があります。少しでも多くの消費者に自社を選んでもらうためには、継続的なコミュニケーションで関係性を築くことが大切です。
リカーリングビジネスにより見込み客とのつながりができれば、顧客の囲い込みが容易になり、自社への信頼や愛着を高める顧客ロイヤリティの醸成を促すこともできるでしょう。
リカーリングレベニューのリスクやデメリット
リカーリングレベニューを追求するビジネスには、リスクやデメリットもあります。以下で詳しく見ていきましょう。
初期投資が高額になりやすい
リカーリングレベニューを目指すビジネスは、初期投資が高額になりがちです。継続利用をする顧客を獲得するためには、広告やキャンペーンを行う必要があります。
高額な広告費用をかけても継続利用する顧客が集まらなければ、初期投資が回収不能となる可能性があるでしょう。
顧客に継続して利用したいと思ってもらえるサービスを提供するために、準備には十分な時間をかけなければなりません。
価格競争のリスクがある
リカーリングビジネスは注目を集めているビジネスであり、新規参入も多いという実情があります。他社と差別化できるサービスを提供できなければ、激しい価格競争に巻き込まれる可能性があるでしょう。
価格競争に入ってしまうと資金力の強い大企業に勝つのは難しく、いかに自社独自のサービスを考えるかがリカーリングビジネスで生き残るポイントになります。
リカーリングレベニューの決済方法
リカーリングレベニューを目指すビジネスでは、どのような決済方法を選ぶかが重要です。継続して利用してもらうためには、顧客にとって利便性の高い決算手段を採用しなければなりません。
月額制のサブスクとは異なり、毎月の利用料や課金が変動するリカーリングビジネスでは、定期的に、かつ柔軟に代金を回収できる決済手段が欠かせません。
リカーリングビジネスの決済手段として適しているのは、次のような決済手段です。
- クレジットカード
- 口座振替
- キャリア決済
とくにクレジットカードはインターネット上の決済で利用率が高く、リカーリングビジネスでも採用すべき決済手段です。
クレジットカードの所有率が低めな若年層や高齢層が顧客の場合は、口座振替が適しています。
また、各通信キャリアのIDや暗証番号を入力して支払いができるキャリア決済も、利便性の高い決済といえるでしょう。
リカーリングレベニューの請求処理パターン
リカーリングレベニューの請求処理は、主に都度請求と定期請求の2パターンに分かれます。
このうち、リカーリングレベニューを目指すビジネスで採用されるのは、定期請求です。
リカーリングレベニューの請求処理パターンについて解説します。
定期請求が主な請求パターン
都度請求とは顧客が商品・サービスを利用するたびに支払いの請求処理を行うものです。一度きりの取引や、1回ごとの決済内容が異なる商品・サービスに適しています。
これに対し、定期請求とは、継続的に取引を行う場合の請求処理です。請求の締め日に1ヶ月・1年など一定期間の売上を集計し、金額を確定させ請求処理を行います。リカーリングレベニューによるビジネスの決済では、定期請求で行うのが一般的です。
請求期間や請求項目
定期請求にはさまざまな請求期間や請求項目があります。売上を集計して請求金額を確定させる集計の対象となる期間は、1ヶ月や3ヶ月、半年、1年など、サービスの内容によってパターンは変わります。
継続的な請求処理では、前受金や未入金などの項目も必要になってくるでしょう。煩雑な請求処理をスムーズに行うためには、請求書の作成や発行を自動化できるシステムの導入を検討する必要もあります。
リカーリングレベニューの収益認識
リカーリングレベニューのビジネスは、「出荷・納品・検収」といったプロセスがなく、ほかのビジネスモデルとは収益認識基準が異なります。
収益認識基準とは、売上をどのように認識し、どのタイミングで財務諸表上に反映するかという会計基準のことです。
定期請求における請求期間と収益認識は、タイミングが異なる場合もあることを把握しておきましょう。
リカーリングレベニューを効果的に活用するには?
リカーリングレベニューによるビジネスを最適化するには、良質な顧客体験を提供するなど、いくつかのポイントがあります。
リカーリングビジネスを成功させる方法をみていきましょう。
CXを改善・向上する
リカーリングレベニューを最適化するためには、CX(カスタマーエクスペリエンス)の改善・向上が必要です。CXとは顧客体験と訳され、商品やサービスの利用における顧客視点での体験を指します。
多くのリカーリングビジネスがある中で自社のサービスを継続的に利用してもらうためには、良質な顧客体験の提供が欠かせません。
顧客の興味・関心をリサーチして効果的にアプローチし、快適に利用できるシステムの導入や役立つ情報の提供など、CXの質を向上させる取り組みが必要です。
データを活用する
CXの改善・向上には、データの活用も必要です。顧客の属性や課題、サービスの利用状況など、さまざまなデータを集めて分析・改善を重ねることで、より良質な顧客体験を提供できるようになります。
顧客からのフィードバックも、リカーリングビジネスの運用と改善に欠かせないデータです。アンケートの送付や直接のコミュニケーションによりフィードバックを収集し、サービスの改善に活かすことで、CXの向上が期待できます。
定期的なキャンペーンを行う
リカーリングレベニューによるビジネスを成功させるためには、定期的なキャンペーンやプロモーションの実施も欠かせません。
お試しキャンペーンや初回割引などで新規顧客を増やすとともに、利用後も継続してもらうために、ポイントプログラムの導入やステータスの付与、紹介キャンペーンなどの施策を積極的に行いましょう。
リカーリングレベニューは安定した収益が得られるビジネスの指標
リカーリングレベニューを目指すビジネスは、安定した収益が得られ、将来の売上を予測しやすいなどのメリットがあります。
リカーリングビジネスを成功させるためには、他社と差別化できる独自サービスの提供が必要です。顧客が利用し続けたいと思うようなCXの設計も欠かせません。
顧客の利便性を考えた決済方法の導入も考え、収集したデータを活用しながら改善に取り組みましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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