- 更新日 : 2025年3月13日
定額法と定率法による減価償却費の計算方法を解説
減価償却費は、償却期間に応じて毎期の償却額を決めます。この償却額を決める方法には定額法と定率法などの償却方法があり、状況に応じて正しい方法で計算しなくてはいけません。減価償却費の計算方法や仕訳方法について具体例を挙げてわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
定額法と定率法がある減価償却計算
減価償却費は、耐用年数と取得価額を用いて計算します。減価償却の計算に必要となる用語をいくつか紹介します。
<減価償却費>
減価償却することによって計上した費用のことで、固定資産の取得価額を耐用年数で按分し、その期の費用として計上するため、帳簿へ記載するときに用いる勘定科目です。
<法定耐用年数>
法定耐用年数とは、資産によって経済的な利益がもたらされると考えられる年数のことです。資産ごとに決まっており、国税庁のホームページで調べられます。
<取得価額>
資産の取得にかかった費用のことです。その資産そのものの価格だけでなく、購入手数料や運送保険料、関税なども含めた合計額をさします。
<事業供用日>
事業供用日とは、特定の資産が取得されてから実際に使用が開始される日を指します。
例えば機械を4月に取得した場合でも、実際にそれを使用し始めたのが6月であれば、減価償却が開始されるのは6月からとなります。取得した年度は月割りで減価償却を行う必要がありますので、事業供用日を確認して計算を行うことが重要です。
そもそも減価償却とは
減価償却とは、年月が経つことで価値が減っていく固定資産の価値を帳簿上に反映することを指します。例えば、建物は年数が経てば経つほど劣化するだけでなく、機能も低下し、価値は下がることが一般的です。減価償却を行うことで、本来の価値から下がったことを帳簿上に反映することが可能になります。
また、建物などの固定資産以外にも、ソフトウェアや特許権などの無形固定資産も減価償却の対象となります。
減価償却の必要性
では、なぜ煩雑で手間を伴う減価償却を行わなければならないのでしょうか。
それは「費用収益対応の原則」が存在するからです。この原則は、簡単にいえば「費用と収益を対応させなければならない」というものです。
当然ながら、固定資産を購入した時点では購入費用しか支出されておらず、収益はまだ発生していません。収益は固定資産を使用していく過程で発生するため、購入費用の発生と収益の発生との間にはタイムラグが生じます。固定資産の取得価格を一括して計上すれば収益がない状態で費用のみが発生し、企業の正確な損益計算が妨げられます。
適切な会計処理を行うためには、収益を得るために必要な耐用年数を考慮して段階的に費用処理を行う必要があります。そのため、固定資産の会計処理を適切に行うために減価償却が必要だとされているのです。
固定資産の種類
固定資産には「有形固定資産」と「無形固定資産」の2種類があります。
- 有形固定資産
有形固定資産とは、事業で長期間(1年以上)にわたって使用される資産です。
例えば、建物、建物に付属する設備、構築物、機械、船舶、土地、車両、工具、器具などが該当します。ただしこれらすべてが減価償却の対象ではなく、一部は除外されています。
減価償却の対象となる減価償却資産には、建物、建物付属設備、構築物、船舶、車両、工具、器具、機械などがあります。
また、原価償却の対象外となる非減価償却資産には、土地や美術品などが含まれます。
土地や美術品の価値は絶対的ではなく、時代や需要によって変動します。そのため、購入時と資産価値が同じか、それ以上に上がるという状況がよく発生します。
減価償却は長期間にわたって使用する資産の価値減少分を経過時間に応じて費用として計上するものです。そのため、価値が継続的に下がらないものは減価償却の対象になりません。
- 無形固定資産
無形固定資産とは目に見えない資産であり、漁業権、特許権、商標権などが該当します。
減価償却の主な計算方法は2種類
減価償却費を計算する方法としては、定額法、定率法、生産高比例法などがあります。しかし、実務で用いるのは主に定額法か定率法の2つです。
そのため、まずは定額法と定率法の2つの特徴と計算方法を押さえておくと、減価償却を算定できるようになります。その他の方法についても後ほど説明します。
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定額法と定率法それぞれの特徴や計算方法
定額法とは、毎年同じ額の減価償却費を計上する計算方法です。一方、定率法とは減価償却費が固定資産を取得した初めの年が一番多く、時が経過していくにつれて減少していく計算方法です。定額法と定率法の利用するケース、特徴、計算方法をご紹介します。
| 定額法 | 定率法 | |
|---|---|---|
| 利用するケース |
|
|
| 特徴 | 毎年同額を償却する |
|
| 計算方法 | 取得価額×定額法の償却率 |
|
平成19年3月31日以前に取得された減価償却資産については、「旧定額法」や「旧定率法」といった償却方法が適用されます。一方、平成19年4月1日以降に取得された減価償却資産には「定額法」や「定率法」といった償却方法が適用されます。
平成10年4月1日以降に取得された建物の場合、旧定額法または定額法のみが適用され、平成28年4月1日以降に取得された建物附属設備や構築物には定額法が適用されます。
ここでの取得には、購入や自己建設だけでなく、相続、遺贈、または贈与によるものも含まれます。
大まかに分けると、定額法は個人事業主が利用する計算方法、定率法は法人が利用する計算方法です。ただし、個人事業主であっても定率法を利用して減価償却費を計算したい場合は、あらかじめ税務署に「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を提出しておくことで定率法での計算が可能になります。
しかし、建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェアに関しては、常に定額法で計算することが義務付けられています。法人や、税務署に定率法の利用を届け出た個人事業主も、一様に建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェアについては定額法で計算しなくてはいけません。
また、機械設備、車両運搬具、工具器具備品については、個人事業主は定額法、法人は定率法で計算しますが、あらかじめ届出書を提出しておくことで法人も定額法での計算が可能になります。
定額法と定率法のどちらで計算するか決めかねるときは、それぞれの計算方法の特徴を知っておくことが役立ちます。
定率法のメリットとデメリット
定率法のメリットは、資産を取得した直後の減価償却費が大きいためその年の節税効果が期待できる点です。しかし、計算がやや複雑であることや時間が経過するにつれて減価償却費が減少するため、節税効果が薄れていくという側面も考慮すべきです。
また、当初の償却額は定額法よりも多くなるため、開業したばかりのタイミングでは赤字が増えすぎてしまうかもしれません。毎年コンスタントに減価償却する定額法のほうが向いていることはあります。
定額法のメリットとデメリット
定額法のメリットは、計算式が簡潔で理解しやすく、毎年同じ金額で減価償却するため会計処理が円滑に進むことです。
しかし一定額の減価償却を行うことから、資産を初期に購入した際の税金面での節税効果が薄いという側面があります。また、数年が経過しても減価償却額が変わらないため、利益が低下する期間でも償却費が一定であり、利益を押し下げる可能性もあります。
なお、定額法では取得価額と償却率をかけるだけで一律に減価償却費を算出できますが、定率法では未償却残高をベースに計算するため、1年ごとに別個に計算しなくてはいけません。また、後述しますが、償却保証額を下回ると計算方法が変わる点にも注意が必要です。
その他の計算法
定率法と定額法以外の計算方法である生産高比例法とリース期間定額法についても説明します。
- 生産高比例法
資産の使用割合に応じて減価償却費を計算する方法です。この方法では、生産高を配分基準として、資産の総利用量と当該期間に使用した量の割合から減価償却費を算出します。この手法は、自動車や航空機、鉱業用機械など、物理的な生産高を確定できる固定資産に限って利用されます。
生産高比例法の計算式は以下のとおりです。
減価償却費 = 取得価額 ÷ 見積総生産高 × 当期の生産高
- リース期間定額法
リース資産の減価償却に使用される計算手法です。リース資産の取得価額から残価保証額を引いた値をリース契約期間の月数で除した金額に、各事業年度で実際に利用した月数を乗じた金額を、その年度の償却限度額とする方法です。
リース期間定額法の計算式は以下のとおりです。
減価償却費 =(リース資産の取得価額 - 残価保証額)÷ リース期間の月数 × 当期のリース期間の月数
減価償却費の具体的な計算例
減価償却費は、定額法・定率法のいずれも「減価償却資産の償却率」を参考にして求めます。ここでは、ある不動産事業者が接客用のソファーを新品で30万円で購入した場合について、定額法・定率法の計算例を確認しておきましょう。
定額法による計算
不動産事業者が個人事業主、あるいは、工具器具備品について定額法で計算することを税務署に届け出ている法人の場合は、接客用ソファーは定額法で減価償却できます。
接客用ソファーを新品として購入した場合の耐用年数は5年になるため、毎年の償却額は以下の計算式より6万円となります。
取得価額×定額法の償却率=30万円×0.20=6万円
したがって、各年度の償却額は以下のようになります。
1~4年目の償却額:6万円/年
5年目の償却額:取得価額 - 1~4年目の償却額合計 - 1円 = 30万円 - 24万円 - 1円 = 5万9,999円
※資産が利用中であることを示すために全額を償却せず、1円を残す
定率法による計算
定率法で計算することを届け出た個人事業主、あるいは計算方法に関して特に届出を行っていない法人は、接客用ソファーは定率法で減価償却します。
新品の接客用ソファーの耐用年数は5年なので、以下のように毎年の償却額を求めます。
- 1年目の償却額:未償却残高×定率法の償却率=30万円×0.40=12万円
- 2年目の償却額:(30万円-12万円)×0.40=72,000円
- 3年目の償却額:(30万円-12万円-7.2万円)×0.4=43,200円
なお、定率法では、償却保証額を下回ると常に改定取得価額×改定償却率で減価償却費を求めることになります。償却保証額は取得価額×償却保証率で求めるので、この場合であれば30万円×0.108=32,400円となります。
3年目までは32,400円を上回るため、通常の計算方法で求めますが、32,400円を下回る4年目以降は改定取得価額×改定償却率である32,400円ずつ償却(5年目は1円残す)することが必要です。
- 4年目の償却額:(30万円-12万円-7.2万円-4.32万円)×0.5=32,400円
- 5年目の償却額:32,400円-1円=32,399円
※参考:5年のときの償却率:0.40、改定償却率:0.50、保証率:0.108
減価償却費の仕訳方法
減価償却の仕訳には直接法と間接法があります。それぞれについてこの章で説明します。
直接法
直接法は固定資産から減価償却費を直接引く仕訳の方法です。この方法では、減価償却費を借方に、「固定資産」を貸方に記入し、双方の金額は同じにします。
直接法では取得原価から減価償却費を直接差し引き、その差額を貸借対照表に記録します。これにより、固定資産の現在の帳簿価格を一目で確認できます。ただし取得原価を知るためには、帳簿価格とこれまでの減価償却費を合算する必要があります。
例えば100万円で取得した資産を耐用年数10年として定額法で償却する場合、仕訳は次のようになります。
借方)減価償却費 10万円 貸方)固定資産 10万円
この方法では、現在の固定資産の価値が明確になります。ただし、固定資産の価値が減少していくため、既に償却した分がどれだけかを把握することは容易ではありません。
間接法
間接法では、固定資産から減価償却費を直接差し引くのではなく、借方科目として「減価償却費」、貸方科目として「減価償却累計額」を用います。この方法では、貸方に1年間の償却額の合計を記入します。
間接法では直接減価償却費を差し引くことがないないため、貸借対照表には固定資産の取得原価がそのまま記載されます。したがって、帳簿価格を把握するには、固定資産の取得原価より減価償却累計額を差し引く必要があります。
直接法の例と同じ資産を定額法で償却する場合、仕訳は次のようになります。
借方)減価償却費 10万円 貸方)減価償却累計額 10万円
この方法では、固定資産の取得価額が帳簿上に残ります。したがって「取得価額 ― 減価償却累計額」の計算を通じて、固定資産の帳簿価額が明らかになります。一般的に使用されているのはこの方法です。
減価償却費の計算時に注意すべきポイント
有形固定資産・無形固定資産に関わらず、定額法・定率法が最初から決められているものがあるため注意は必要です。また、年度途中で購入した場合は、月割計算が必要になります。
中古の場合は、その固定資産の使用可能期間を合理的に見積もって耐用年数を決定するのが原則です。ただし、その中古品の購入価格が同じものの新品価格の50%を超えている場合は、耐用年数が新品と同じになります。
もし購入価格が新品価格の50%を超えず、使用可能期間の合理的な見積もりが難しい場合は、国税庁が規定する簡便法に基づいて年数を算出し、それを耐用年数として用います。具体的には以下の計算式で計算しましょう。
【法定耐用年数の一部を経過している場合】
【法定耐用年数の全部を経過している場合】
耐用年数を超えて資産を使用するときは、残存価額を0円ではなく1円にしておくことを忘れないようにしましょう。
減価償却費を正しく計算しよう
減価償却費の計算には、細かなルールが多数あります。しかし、適正な期間損益計算を行うためには、正しい減価償却費を計算することが必要です。ルールを覚え、正しく計算しましょう。
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よくある質問
減価償却の計算における定額法とは何ですか?
毎年同額ずつ減価償却費を計上する計算方法のことです。個人事業主は基本的に定額法で計算しますが、法人も建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェアに関しては定額法で計算します。詳しくはこちらをご覧ください。
減価償却の計算における定率法とは何ですか?
減価償却費が毎年逓減する計算方法のことです。ただし、法人であっても建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェアについては定額法で計算します。詳しくはこちらをご覧ください。
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