- 更新日 : 2024年8月8日
社員旅行を経費にする時の仕訳に使う勘定科目まとめ
レクリエーションや研修を目的とする社員旅行は、一定の条件を満たすことで経費になります。社員旅行にかかった費用は、福利厚生費などの勘定科目で仕訳するのが一般的です。他にもどのような勘定科目を使えるのか、また個人事業主も旅行を経費にできるのかについて説明します。
社員旅行を経費にできる条件
社員旅行にかかった費用は、すべて経費として計上できるとは限りません。例えば,
役員だけが参加する旅行代金は、経費として扱うことはできません。また旅行に行くか、お金を受け取るか従業員が選択できる場合も、経費として扱うことはできません。
その他にも、旅行の期間や人数、金額において国税庁で条件が定められています。社員旅行にかかった費用を経費計上することを予定している場合は、旅行の計画を立てる段階で条件に合致しているか確認するようにしましょう。
参考:国税庁 No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
旅行の期間
社員旅行として妥当な期間は、4泊5日以内とされています。海外に旅行する場合であれば、滞在期間が4泊5日以内が妥当です。往復の移動にかかる日数については、除外して考えることができます。
社員旅行の目的がレクリエーションではなく研修であるときは、4泊5日以内である必要はありません。研修の目的達成に必要な日数であれば、研修費として経費にすることが可能です。
旅行の人数
レクリエーション目的の社員旅行の場合は、全体の50%以上が参加することが経費計上の条件となります。工場や支店などの単位で旅行をするときは、それぞれの単位に含まれる人数全体の50%以上の参加が経費計上の条件です。
旅行の金額
社員旅行にかかる金額が、社会通念上、妥当とされる金額であることも経費計上の条件となります。通常の旅行と比べて少額のときは問題ありませんが、あまりにも高額な豪華旅行は経費として計上できません。
社員旅行の仕訳と勘定科目
社員の慰安やレクリエーションを目的とする旅行にかかった費用は、「福利厚生費」の勘定科目を使って仕訳ができます。例えば、参加割合100%、1人あたり2万円の1泊2日の社員旅行を開催したときは、以下のように仕訳をしましょう。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 福利厚生費 | 200,000円 | 現金 | 200,000円 | 社員旅行(従業員10人全員が参加) | |
レクリエーションが目的ではあるものの、日程の中に工場見学などの研修が組み込まれているときは、研修に関しては別途「研修費」などの勘定科目で仕訳をすることが必要です。
例えば1人あたり2万円の旅行を開催し、10人の社員全員が参加した場合について考えてみましょう。そのうち研修費が1人当たり2,000円(10人で2万円)かかったときは、以下のように勘定科目ごとに仕訳ができます。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 福利厚生費 | 180,000円 | 現金 | 180,000円 | 社員旅行(従業員10人全員が参加) | |
| 研修費 | 20,000円 | 現金 | 20,000円 | A工場で研修を実施 | |
個人事業主は旅行を経費にできる?
個人事業主も、旅行にかかった費用を経費にすることができます。例えば、出張などの事業関連で旅行をした場合であれば、宿泊費や交通費などを経費にすることが可能です。
従業員がいる場合には、従業員を対象とした慰安旅行にかかった費用を「福利厚生費」として経費計上できます。ただし家族を青色専従者としている場合、家族と事業主だけの旅行は家族旅行と変わらないため、経費にすることは難しいでしょう。
従業員と青色専従者、個人事業主本人が参加する旅行の場合、従業員の費用のみ福利厚生費として扱うことが一般的です。青色専従者と個人事業主にかかった旅行費用は、福利厚生費としては扱うことは基本的にはできません。
従業員の家族も参加できる旅行の場合、家族は従業員ではないため、家族の旅行費用に関しては福利厚生費として経費計上できません。家族にかかった費用は給与として扱うか、実費を従業員から徴収するようにしましょう。
社員旅行の費用が福利厚生費になるか条件を確認しておこう
社員旅行にかかった費用は「50%以上の社員が参加」し「滞在が4泊5日以内」、なおかつ社会通念上妥当な金額であれば、「福利厚生費」の勘定科目で経費として計上できます。
レクリエーション目的の社員旅行であっても、途中で研修が含まれるときは、研修にかかった費用は別途「研修費」の勘定科目で経費計上します。経費計上できる条件を理解し、旅行の日程や予算を決めるときに活かしましょう。
よくある質問
社員旅行は経費にできる?
4泊5日以内、50%以上の社員が参加の条件を満たし、なおかつ社会通念上妥当な金額であれば、福利厚生費として経費計上することができます。詳しくはこちらをご覧ください。
社員旅行の仕訳のポイントは?
原則としては福利厚生費の勘定科目で仕訳をします。ただし、研修などにかかった費用については、別途、研修費の勘定科目で仕訳をします。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
懇親会の会費は経費計上できる?個人事業主の場合や勘定科目について解説
クライアントを招待した懇親会の会費などは接待交際費として経費計上できます。ただし、接待交際費として計上するには条件があるため注意が必要です。 本記事では、懇親会の会費を経費計上できるのかについて解説します。従業員全員を対象とした場合や一部の…
詳しくみる机を購入した際の勘定科目は?仕訳方法も解説
会社の事務所で机を購入した場合、経費として仕訳することが可能です。そこで本記事では、机を購入した際に利用する簿記上の勘定科目と仕訳方法などを解説します。他の事務用品にも応用できる内容であるため、会社の経理・会計担当者の方はぜひ参考にしてくだ…
詳しくみる貸借対照表でよく使われる勘定科目まとめ
貸借対照表は財務三表の一つで、決済日現在の自社の財産や負債が分かる表です。その基本的な構造は、以下の3部で成り立っています。 資産の部:決算日現在の財産 負債の部:決算日現在の負債 純資産の部:決算日現在の資産と負債の差額(正味財産) 本記…
詳しくみる未収金(未収入金)とは?仕訳・勘定科目や決算処理、相殺の方法などを解説
未収金(未収入金)とは、商品やサービスの提供は完了しているものの、代金の支払いを受けていない債権のことです。 企業の経理担当者にとって、未収金の適切な管理は重要な業務です。本記事では、未収金の定義や仕訳・勘定科目、決算処理のポイント、買掛金…
詳しくみる定額小為替の仕訳とは?勘定科目や消費税の扱いを具体例つきで解説
定額小為替は、現在も公的書類の請求や少額の対外支払いなどで使われている送金方法です。金券としての性質を持ちつつ、購入時の手数料には消費税が課税されるなど、会計処理に迷いやすい点もあります。この記事では、定額小為替の購入・使用・受け取り時の仕…
詳しくみる前受金の返金が発生した!仕訳方法をわかりやすく解説
商品の注文時などに「前受金」を受領することがありますが、注文や契約がキャンセルされると、前受金を返却しなければなりません。前受金の返金時には、どのような仕訳をすればよいのでしょうか。本記事では、前受金を返金したときの会計処理について、キャン…
詳しくみる