- 更新日 : 2024年8月8日
水道光熱費とは?勘定科目、仕訳方法を理解して電気代等を経費に!
法人であっても個人事業主であっても、水道光熱費は代表的な経費のひとつです。節税のためにも水道光熱費は漏れなく計上する必要があります。特に個人事業主の場合は、特殊な計算が必要なケースもあります。
そこで、ここでは水道光熱費の処理方法について解説します。
水道光熱費とは
まず、水道光熱費とはどのような経費なのかを見ていきましょう。
水道光熱費とは経費の勘定科目
水道光熱費とは、会社の経営において使用される、水道代やガス代、電気代や熱供給に必要なエネルギーに要する経費のことです。
水道光熱費は、会社にとっては経費となるため、水道光熱費を抑えることができれば会社の利益を増やすことができます。水道光熱費はまとめて管理することもできますし、電気料金、水道料金、ガス料金として、分けて計上して管理することも可能です。
水道光熱費のどの科目の支出が多いのかなどを判断したい場合には、電気料金、水道料金、ガス料金として、分けて計上して管理するのもよいでしょう。
水道光熱費の按分について
個人事業主が水道光熱費を計上する場合、問題となるのが自宅を会社や事務所として使用している場合です。
仕事で使う水道光熱費とプライベートで使う水道光熱費を一緒に支払っているため、支払った水道光熱費のすべてを経費にすることができません。経費にできるものはあくまで仕事で使った水道光熱費のみです。
そこで、支払った水道光熱費を仕事で使ったものとプライベートで使ったものに分ける必要があります。仕事で使ったものとプライベートで使ったものに分けることを「家事按分」といいます。
水道光熱費では、仕事で使った金額がいくらとはっきり分けることはできません。そのため、一定の割合を使って按分します。一般的には使用時間や使用日数を目安に按分します。
例えば、1か月の電気代が2万円、仕事で使っている時間が全体の25%であった場合は、2万円×25%=5,000円が、その月の経費にできる金額となります。
家事按分の割合は法律で決まっているわけではないため、自分で割合を決める必要があります。後に税務署からの問い合わせがあっても明確な説明ができるように、基準を明確にしておくことが必要です。
水道光熱費の仕訳
水道光熱費の仕訳を行う際の勘定科目は「水道光熱費」を用います。水道光熱費は、法人の場合は「販売費及び一般管理費」区分、個人事業主の場合は「(必要)経費」区分の勘定科目になります。
具体例を見ていきましょう。
(例)法人の事務所の1か月のガス代 20,000円が普通預金より引き落とされた。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
水道光熱費 | 20,000円 | 普通預金 | 20,000円 |
(例)自宅兼事務所の1か月の電気代3万円が普通預金から引き落とされた。なお、全体の25%を仕事用で使っているため、3万円×25%=7,500円が経費になる金額である。
水道情熱費の家事按分の仕訳で問題となるのが、引き落とし口座がプライベートか、仕事用かで仕訳が異なるということです。それぞれの仕訳を見ていきましょう。
・引き落とし口座がプライベート用の場合
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
水道光熱費 | 7,500円 | 事業主借 | 7,500円 |
引き落とし口座がプライベート用の場合は普通預金の残高を帳簿に記載する必要がないため、経費になる部分のみ仕訳を行います。貸方勘定科目は、「事業主借」勘定を用います。
・引き落とし口座が仕事用の場合
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
水道光熱費 | 7,500円 | 普通預金 | 30,000円 |
事業主貸 | 22,500円 |
引き落とし口座が仕事用の場合は普通預金の残高を帳簿に記載する必要があるため、経費になる部分とプライベートで使った部分の両方を仕訳します。プライベートで使った部分の勘定科目は「事業主貸」勘定を用います。
水道光熱費を管理しよう
水道光熱費は、経費計上ができる重要な支出です。個人事業主で自宅を会社や事務所として使用している場合は家事按分を行い、仕事で使った分のみを、水道光熱費として計上する必要があります。
後で、税務署からの問い合わせが来てもあわてないように、普段からしっかりと管理しておきましょう。
よくある質問
水道光熱費とは?
会社の経営において使用される、水道代やガス代、電気代や熱供給に必要なエネルギーに要する経費のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
水道光熱費の按分割合は?
法律で定められていないため、税務署からの問い合わせに対して明確な説明ができるよう基準を明確にする必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
水道光熱費の仕訳は?
法人の場合は「販売費及び一般管理費」、個人事業主の場合は「(必要)経費」を用いて仕訳を行います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
適格合併の仕訳や会計処理とは?具体例でわかりやすく解説
会社の合併は、組織再編やグループ経営の見直しなど、経営の大きな転換点にあたる場面で行われます。その中で「適格合併」は、税務上課税関係が発生しない合併方法として、実務でもよく活用されます。しかし、会計処理では、合併法人と被合併法人それぞれで異…
詳しくみる分記法とは?三分法や総記法との違いや仕訳例を解説・簿記3級受験者必見!
簿記には分記法や三分法、総記法とよばれる記帳方法があり、仕訳方法によってメリットとデメリットが異なります。仕訳方法の種類を知ることは簿記の第一歩です。この記事では主に分記法の基本について詳しく解説するとともに、どのような会社が分記法に合って…
詳しくみる固定資産税を仕訳する場合の勘定科目を徹底解説
不動産や償却資産を所有している法人・個人事業主に発生する固定資産税は、事業を行う上で必要になる部分について、全額を経費計上できます。仕訳のときは租税公課(そぜいこうか)の勘定科目で処理するのが一般的です。 当記事では法人・個人事業主が固定資…
詳しくみる初穂料の勘定科目は?玉串料や祈禱料との違いも解説
法人が神社仏閣等に初穂料を支払った場合、寄附金あるいは雑費の勘定科目で経費計上できます。しかし、個人事業主は経費に計上できないとする判例があり、個人事業主が初穂料を支払った場合は事業主貸で仕訳しなければなりません。 本記事では初穂料の勘定科…
詳しくみる送料にかかる消費税や軽減税率を解説
モノやサービスを消費したときにかかる消費税は、普段の生活の中で関わることが多くさまざまな場面で課税されます。 身近な税金であるだけに課税対象や税率など仕組みを正しく理解しておくことが大切ですが、間違えやすく注意が必要なのが「送料にかかる消費…
詳しくみるしめ縄などの正月飾りを経費にする時の仕訳に使う勘定科目まとめ
しめ縄や門松などの正月飾りは、事業所のために購入したものであれば経費として計上できます。仕訳をするときは、消耗品費や雑費などの勘定科目を使うことが一般的です。具体的な例を提示して、仕訳の仕方について説明します。 正月飾りの仕訳に使える勘定科…
詳しくみる