- 更新日 : 2024年8月8日
害虫駆除費を経費にするときの仕訳に使える勘定科目まとめ
害虫駆除費は一定の勘定科目が割り当てられるわけではなく、状況に応じて科目を選ぶため、科目の判断に迷ってしまいがちです。本記事では、害虫駆除費を経費として処理する際に適切な勘定科目と仕訳例を、さまざまなケースに分けて紹介しています。害虫駆除費の仕訳に悩んでいる人は、具体例を参考にして実務にお役立てください。
目次
害虫駆除費の仕訳に使える勘定科目
事務所や工場など、事業に関係する場所の害虫駆除を行った場合、害虫駆除費は経費として処理できます。ひとことで害虫駆除といっても、内容はプロに依頼する害虫駆除から、ホームセンターで買った駆除剤散布、忌避剤の設置など、そのレベルや費用感もまちまちです。
そのため、勘定科目は衛生費、修繕費、支払手数料、施設維持費、消耗品費などから最適なものを使うことになります。
衛生費は施設の衛生状態を保つための費用という意味合いがあり、飲食店や倉庫のネズミ駆除の費用などに使われます。
修繕費は例えば、シロアリのせいで建物が傷ついたときなどに、建物を元の状態に戻す修理などに使うのが適切です。
消耗品費を用いる場合は、比較的軽微な金額のものが適切です。例えば、バルサンや市販の殺虫剤などを購入した場合は消耗品費を使うとよいでしょう。
処理業者に依頼して害虫駆除を実施した場合には、施設維持費や支払手数料を用いるとよいでしょう。ただし、支払手数料の場合は該当するものが多いため、あとで確認したときに分かるように摘要欄に記録を残しておくことをおすすめします。
雑費はなるべく使わない
雑費とは、支出した経費に適切な勘定科目がなく金額が軽微な場合や、少額で重要性の低い出費の場合に用いることが認められた勘定科目です。実務上では、適切な勘定科目が思い当たらない場合に一時的に雑費として処理するといった使い方もなされます。
「困ったらとりあえず雑費にしておこう」と考えてしまいがちな人もいるかもしれません。しかし、雑費はできるだけ少ない方が良い勘定科目です。安易に雑費で仕訳するのは避けましょう。やむなく雑費で処理する場合は、後から何にいくら使ったか把握できるようにするため、摘要欄に必ず詳細を記入しておくことが大切です。
継続的に発生する費用を雑費にするのは望ましくありませんので、害虫駆除費が毎年、毎月など定期的に発生する費用なのであれば新たに勘定科目を作って対応するのが理想的です。もしくは、既存の勘定科目(衛生費、施設維持費など)で仕訳するようにルールを決めましょう。
雑費として処理されるものが多すぎると、税務署からの印象も良くありません。「しっかりと帳簿をつけていない」と思われやすい勘定科目なのです。雑費でなくてもよいものは、なるべく個別の勘定科目で処理するよう心がけてください。
害虫駆除費を衛生費で仕訳する
ここからは、害虫駆除費の具体的な仕訳例を見ていきたいと思います。まずは、定期的に行う害虫予防のケースです。
仕訳例)害虫の発生を予防するため、殺虫剤5,000円を現金で購入した。
衛生費 | 5,000円 | 現金 | 5,000円 | 殺虫剤購入 |
ここでは、社内の衛生環境を維持するための費用として「衛生費」を用いています。
害虫駆除費を修繕費で仕訳する
次に、修繕費を使うパターンを紹介します。
仕訳例)白アリ被害が発生したため、被害があった部分の修繕と白アリ駆除を行った。代金は現金で支払った。
修繕費 | 100,000円 | 現金 | 100,000円 | 白アリ駆除 |
白アリが発生すると建物の柱などを食べて空洞ができるため、修繕工事が必要になります。この場合、建物の修繕という意味合いで「修繕費」を用いています。
害虫駆除費を消耗品費で仕訳する
市販の殺虫剤を購入したケースです。たまにしか購入しないもので、なおかつ金額がわずかな場合は、消耗品費として処理しても問題ありません。
仕訳例)ホームセンターで市販の殺虫剤を購入し、害虫駆除を行った。代金は現金で支払った。
消耗品費 | 1,000円 | 現金 | 1,000円 | 殺虫剤購入 |
消耗品費に分類されるものは多いので、必ず摘要欄に内容をメモしておきましょう。
害虫駆除費を支払手数料で仕訳する
害虫駆除業者などに作業を依頼した場合は、支払手数料として処理することもできます。支払手数料に分類されるものも多いため、必ず摘要欄に記録を残しておいてください。
仕訳例)事務所にコウモリが巣を作ったため、駆除業者にコウモリ駆除を依頼した。代金は現金で支払った。
支払手数料 | 100,000円 | 現金 | 100,000円 | コウモリ駆除 |
害虫駆除の勘定科目は状況に応じて選べばよい
害虫駆除費を処理するための一律の勘定科目はありません。害虫駆除の内容や状況に応じて、それぞれの企業に合った形で会計処理を行ってください。高頻度で発生する費用であれば専用の勘定科目を作るのが望ましいですが、そうでなければ既存の勘定科目を使って摘要欄に記録を残しておくだけでも十分です。
ただし、その場合でも雑費はできるだけ避けるようにしましょう。雑費が多い会計書類は、あとから内容が把握しづらいだけでなく、税務署の印象も良くありません。実情に応じて、しっかり勘定科目を割り振ることが大切です。
よくある質問
害虫駆除費は経費にできる?
事務所や工場など、事業に関係する場所の害虫駆除を行った場合、害虫駆除費は経費にできます。詳しくはこちらをご覧ください。
害虫駆除費を衛生費で仕訳するポイントは?
衛生費は施設の衛生状態を保つための費用で、飲食店だとネズミ駆除の費用などが該当します。市販の殺虫剤を購入する場合などは、消耗品費で処理しても問題ありません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
役員借入金の返済方法と仕訳はどうする?現金・相殺・振替のケースをわかりやすく解説
会社のお金が一時的に足りなくなったとき、経営者や役員が自分のお金を会社に貸すことがあります。これを「役員借入金」といいます。借りたお金はあとで返す必要がありますが、その返し方や会計処理は、経理の現場で迷うポイントのひとつです。 この記事では…
詳しくみる机を購入した際の勘定科目は?仕訳方法も解説
会社の事務所で机を購入した場合、経費として仕訳することが可能です。そこで本記事では、机を購入した際に利用する簿記上の勘定科目と仕訳方法などを解説します。他の事務用品にも応用できる内容であるため、会社の経理・会計担当者の方はぜひ参考にしてくだ…
詳しくみる個別法とは?原価法の棚卸資産評価方法のひとつ!仕訳例までわかりやすく解説
商品や製品などを取り扱っている事業者は、期末になると商品や製品などの棚卸しをする必要があります。棚卸しとは、簡単にいうと、期末に事業者が所有している商品などがいくらなのかを評価することです。 実は、棚卸資産の評価方法には、さまざまなものがあ…
詳しくみる商品輸入時の仕訳と会計処理を解説
昨今、副業を始める人が増えている中で、海外から商品を輸入仕入れし、日本国内で商品を販売する輸入業が注目を集めています。人気商品は多岐にわたるため個人でも参入しやすい一方、輸入による仕入れは国内での取引とは異なるため、仕訳や勘定科目に悩む人も…
詳しくみる保険料を経費にする場合の仕訳に使う勘定科目まとめ
法人や個人事業主が事業の継続に必要な生命保険や損害保険などの保険料を支出したとき、経費として処理できます。支出した保険料の仕訳は、保険の種類や内容、保険金の受取人によって勘定科目が異なるため、注意しましょう。 本記事では、保険料を支払って経…
詳しくみる懇親会の会費は経費計上できる?個人事業主の場合や勘定科目について解説
クライアントを招待した懇親会の会費などは接待交際費として経費計上できます。ただし、接待交際費として計上するには条件があるため注意が必要です。 本記事では、懇親会の会費を経費計上できるのかについて解説します。従業員全員を対象とした場合や一部の…
詳しくみる