- 更新日 : 2024年9月6日
準委任契約に検収は必要?サブスクでの利用や請負契約との違い、よくあるトラブルを解説
準委任契約は検収が不要であるのに対し、同じく業務委託契約の一種である請負契約では検収が求められます。
また、準委任契約はIT関連のサブスクビジネス契約・SES契約などで使われている契約です。支払い条件などによって、履行割合型や成果完成型に分類できます。
本記事で、準委任契約の特徴や検収との関係について確認していきましょう。
目次
準委任契約では検収は必要か?
準委任契約において、検収の実施は不要とされています。そのため、受注者は報酬を受け取るにあたって、取引相手から検収を受ける必要がありません。
そもそも、「検収」とは納品物(成果物)の数量や品質、仕様などが発注内容に沿っているかなどを確認する作業のことです。一般的に、「納品」が成果物を発注者に引き渡すこと(受注者側で実施する作業)を指すのに対し、「検収」は発注者の成果物に問題がないか確認すること(発注者側で実施する作業)を指します。
なお、準委任契約と異なり請負契約では検収が必要なため、基本的に受任者が報酬を受け取れるのは発注者の検収終了後です。準委任契約と請負契約の違いについては、後ほど詳しく解説します。
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準委任契約とは?
準委任契約とは、成果物の完成ではなく、特定の業務を実施することを定めた契約のことです。民法第10節(第643〜第656条)には「委任」に関する規定が設けられており、そのうち第656条で「準委任」についても準用することが記載されています。
準委任契約は、請負契約と同様に業務委託契約の一種です。業務委託契約とは、事業を営むため、ほかの事業者に物品の製造や役務の提供などを委託する契約を指します。
ここから、準委任契約の具体例や委任契約との違いについて確認していきましょう。
準委任契約の具体例
準委任契約の具体例として、医師への診療依頼が挙げられます。医師に診察してもらっても、病気が完治するとは限らないためです。
また、企業が経営コンサルタントへ依頼する場合も、一般的に準委任契約に該当します。経営コンサルタントは、仮に依頼企業の経営が改善しなかったとしても、善管注意義務を果たしている限り債務不履行責任を負うことはありません。
そのほか、SES契約(システムエンジニアリング契約)も、準委任契約に準ずる契約とされています。
委任契約と準委任契約の違い
委任契約と準委任契約の違いは、法律行為に関する依頼かそれ以外かという点です。
「準委任」について定めた民法第756条には、「この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する」との規定があります。つまり、医師や経営コンサルタントへの依頼が準委任契約に該当するのに対し、弁護士に訴訟の代理を依頼する場合や税理士に確定申告手続きの代行を依頼する場合などは、委任契約に該当するケースです。
なお、委託された相手が承諾することにより、効力を生じる点は、委任契約も準委任契約も共通しています。(民法第643条)。
準委任契約は「履行割合型」と「成果完成型」の2種類
準委任契約は、「履行割合型」と「成果完成型」の2種類に分類できます。それぞれの概要を確認していきましょう。
履行割合型
履行割合型とは、受任側の労働時間や工数に応じて委任者が報酬を支払う契約形態です。受任者は、委任事務を履行したあとに報酬を請求します(民法第648条第2項)。
委任者側の責任以外で業務を履行できなかった場合は、これまでに履行した割合に応じた分が、報酬の支払い対象です(民法第648条第3項)。一方、委任者の責任による場合は、全額を請求できます。
成果完成型
成果完成型とは、依頼の完了に伴い、委任者が報酬を支払う契約形態です。受任者は、成果物の引渡しと同時に報酬を受け取ります(民法第648条の2第1項)。
委任者側の責任以外で業務を履行できなかった場合、委任者が得る利益の割合に応じた部分が報酬の支払い対象です(民法第648条の2第2項)。委任者の責任による場合は、全額請求できます。
準委任契約が経理の業務に与える影響
準委任契約を締結する場合、経理担当者が「履行割合型」と「成果完成型」のどちらに該当するのかを把握しておかなければなりません。なぜなら、どちらの契約の種類であるかによって、報酬の計算が変わるためです。履行割合型による場合は労働時間や工数、成果完成型による場合は成果物を引き渡したタイミングなども確認しなければならないでしょう。
どちらの契約の種類かで、報酬が発生するタイミングも異なります。履行割合型では業務遂行時に報酬が発生するのに対し、成果完成型は成果物を引渡すタイミングです。
なお、履行割合型の場合も成果完成型の場合も、検収の作業は売上の計上に関係しません。そのため、経理担当者は検収を気にせず委任事務を履行したら売上を計上できます。
準委任契約と請負契約の違い
請負契約とは、請負側が依頼された仕事を完成させ、それに対して注文者が仕事の結果に応じて報酬を支払う契約です。検収の有無以外にも、準委任契約と請負契約にはいくつか違いがあります。
違いについて、以下の表にまとめました。
| 異なる項目 | 準委任契約 | 請負契約 |
|---|---|---|
| 契約期間 | 契約期間を明確にする必要がある | 契約期間を設定することが一般的 |
| 契約内容 | 一定期間特定の業務を実施する | 成果物を完成させる |
| 契約解除 | 双方がいつでも契約を解除できる *損害賠償発生する可能性あり | 委託者は損害賠償することで契約を解除できる |
| 完成責任 | 成果物の完成責任を負わない | 成果物の完成責任を負う |
| 支払条件 |
| 完成した成果物を引き渡す |
| 法律上の規定 | 民法第643条、民法第656条など | 民法第632条など |
請負契約は、システム開発や建築物の建設など明確な成果物が求められるシーンに適しています。他方、準委任契約は成果物よりも、依頼した業務の遂行が求められるシーンに適しています。
サブスクリプションビジネスで使用されることも
準委任契約は、サブスクリプションビジネスで活用されることもあります。サブスクリプションビジネスとは、ユーザーが定期的に料金を支払うことにより、製品やサービスを一定期間利用するサービスのことです。
ソフトウェアの保守管理やコンサルティングなどをサブスクリプションビジネスで提供する場合に、準委任契約を締結する場合があります。委任者側は安定的なサービスを得られ、受任者側は成果にかかわらず安定した収益を得られることが主な理由です。
準委任契約でよくあるトラブル
準委任契約では、以下のトラブルが発生することがあります。
- 偽装請負
- 中途解約
- 納期遅延
- 支払い・報酬
- 納品物の修正
とくに、契約書の不備がある場合に、トラブルにつながる可能性があるでしょう。ここから、準委任契約で生じうるトラブルについて、詳しく解説します。
偽装請負
準委任契約で、委任者が偽装請負を指摘される場合があります。
本来、準委任は発注者に指揮命令権がないことが前提です。それにもかかわらず、実際には発注者が受任者に対して細かく指示・監督するケースがあります。そこで「雇用関係」があるとみなされると、労働者派遣法や労働基準法に違反するものとして罰則の対象になるでしょう。
中途解約
中途解約について、委任者側と受任者側で揉めることもあるでしょう。
準委任契約では、委任者も受任者も原則として中途解約が可能です。ただし、相手に対して不利益を与える場合に、損害賠償請求されるケースもあるでしょう。
とくに、準委任の「成果完成型」は依頼された内容を完了することを目的としているため、中途解約することで委任者側から賠償請求される可能性があります。
納期遅延
納期の遅延も、委任者と受任者の間で生じるトラブルのひとつです。
準委任契約において、受任者は原則として成果物の完成義務を負いません。ただし、善管注意義務は負うことに注意しなければなりません。
善管注意義務とは、委任された人が客観的に見て当然要求される注意を払う義務のことです。納期の遅れが善管注意義務違反に該当する場合、委任者から損害賠償請求される可能性があります。
支払い・報酬
支払いのタイミングや報酬額でトラブルになることもあるでしょう。
契約書に明記されていないと、委任者側と受任者側で異なる認識を持つ可能性が高いです。業務を実施したあとで、それぞれの主張が食い違うと揉める原因になります。
関連して、業務の範囲が記載されていないこともトラブルの要因です。双方で責任の所在について異なる認識を持つ場合があります。
納品物の修正
納品物の修正に関して、トラブルにつながるケースもあります。
準委任契約では、契約書に明記されていない限り受注者に納品物の修正義務はありません。それにもかかわらず、委任者が納品物に対して修正を要求する場合があります。
また、修正について契約書に記載がある場合でも、追加料金が明記されていないと報酬面で委任者と受任者が揉める可能性が高いです。
準委任契約書の記載事項と書き方
一般的に、準委任契約書に記載する項目は以下のとおりです。
- 業務内容
- 契約期間
- 報酬
- 禁止事項・秘密保持
- 知的財産の帰属
- 損害賠償の有無
「業務内容」には、準委任契約で委任する業務を具体的に記載します。「契約期間」には、期間だけでなく更新方法の記載も必要です。
「報酬」は、金額に加えて支払い方法も記載します。「禁止事項・秘密保持」は、主に個人情報・機密情報の漏洩を防ぐための項目です。
「知的財産の帰属」は、成果物が誰に帰属するかを記載します。委任者側が自社に帰属することを記載しておくことが一般的です。
「損害賠償の有無」には、相手に損害を負わせた場合の賠償について記載します。膨大な賠償請求が発生することを避けるためには、責任の所在や金額の制限をあらかじめ決めておくことが大切です。
準委任契約書を締結する際のポイント
すでに説明したとおり、準委任契約のトラブルの多くは契約書の記載が不十分であることによって発生します。そのため、締結にあたって契約書に漏れがないかチェックすることがポイントです。
また、契約解除の条件や損害賠償などの内容を確認しておきましょう。あらかじめ把握しておくことで、イレギュラーな事案が発生した場合でも慌てずに対応できます。
さらに、曖昧な表現がある場合は、相手に確認しましょう。業務内容が曖昧な場合、委任者は「求めていた成果物を得られない」、受任者は「どこまで業務を進めるべきか判断できない」などの問題が発生する可能性があります。
なお、状況に応じて法務の専門家である弁護士に相談して問題ないか確認してもらうことも必要です。
契約内容を確認したうえで準委任契約を締結
準委任契約とは、成果物の完成ではなく、特定の業務を実施することを定めた契約のことです。請負契約と異なり、準委任契約では取引相手から検収を受けずに報酬を受け取れます。
準委任契約で発生しうるトラブルは、納期遅延に対して委任者から損害賠償請求される、本来必要ないにもかかわらず委任者から納品物の修正を求められるなどです。とくに、契約書に不備がある場合に、トラブルにつながる可能性があります。
委任者側の場合も受任者側の場合も、準委任契約を締結する際は契約内容をしっかりと確認しましょう。
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