• 更新日 : 2025年4月28日

一人親方が従業員を雇うには?必要な手続きや家族を雇う際の注意点など徹底解説

一人親方(個人事業主)として働いている方の中には、事業拡大の一環として従業員の雇用を検討する人もいるでしょう。この記事では、一人親方が従業員を雇う際の必要な書類や手続き、保険や税務関連の準備まで徹底解説します。

また、家族を雇用する場合の注意点や、一人親方自身の労災保険の見直しも含めて、従業員を雇用する際のポイントも紹介します。

一人親方(個人事業主)も従業員を雇える

個人事業主である一人親方でも、ビジネスの成長や業務の拡大に伴い、新たに人材を雇入れることが可能です。ただし、従業員を雇入れる際には、複数の法律や手続きを遵守する必要があり、これらに不慣れな方にとってはやや複雑に感じられることもあります。

具体的には、労働基準法、社会保険労務士法、雇用保険法など、従業員を雇用するにあたって適用される法律がいくつかあります。これらの法律を遵守することはもちろん、従業員に対する雇用契約書の作成や労働条件の明示、税務署や社会保険事務所への届出など、さまざまな手続きを行う必要があります。

一人親方が初めて従業員を雇用する際は、これらの手続きや法律について事前にしっかりと学んでおくことが重要です。必要に応じて、税理士や社会保険労務士などの専門家に相談することも一つの手段です。従業員を雇入れることで事業が拡大し、より多くの利益を生み出す可能性がありますが、そのためには事業主としての責任と義務を理解し、適切に対応することが不可欠になります。

一人親方が従業員を雇う方法

正社員として常用雇用する、アルバイトやパートを雇う、他の職人に業務を委託するいわゆる外注など、一人親方が従業員を雇う方法はさまざまあります。

正社員を雇えばじっくりと教育して専門的な技術や知識が求められる業務、責任ある業務を任せることができる一方で、人件費や保険料などのコストがかかるというデメリットがあります。一方、アルバイトやパート、外注は比較的低コストで不足している労働力を補えますが、任せられる業務の幅が限られてしまうのがデメリットといえます。

例えば、これから事業を拡大させていきたい、幅広い仕事を長期的に任せたいのであれば正社員、限定的な業務を任せたい場合や一時的な人手不足を補いたいのであれば外注というように、自分のニーズに合わせて雇用形態を検討してみましょう。

一人親方が従業員を雇う流れ

まずは採用計画を立てましょう。雇用形態や人数、労働条件(給料や労働時間、勤務地など)、任せたい業務の内容、選考方法などを決めます。その後、自分のホームページやハローワーク、人材採用サイト、広告などに求人情報を掲載しましょう。応募があれば書類選考や筆記試験、面接などを行って採否を決めます。

採用となったら労働条件を提示して雇用契約や業務委託契約を結びましょう。正社員、パートやアルバイト従業員を雇う場合は、労働保険や労災保険の手続きが、これに加えて常時5人以上を雇用する事業所では社会保険の手続きが必要です。また、従業員を雇う場合は給与に応じた納税額をあらかじめ差し引く源泉徴収を行う必要があり、税務署での手続きも必要となります。

従業員の各種保険への加入手続き

一人親方として従業員を雇用する際、適切な保険への加入が必須です。具体的には、労災保険、雇用保険、そして社会保険への加入が求められます。以下ではこれらの保険の重要性と加入手続きについて詳細に解説します。

労災保険

労災保険は、従業員が勤務中にケガをしたり、職業病にかかったりした場合に給付を提供する制度です。従業員を雇うと自動的に加入が義務付けられます。手続きは最寄りの労働基準監督署で行います。主に治療費の補償や休業給付、障害給付、遺族給付が行われ、この保険に加入することで、従業員が仕事中に事故に遭遇した際の経済的負担から事業主を保護します。

従業員を1人でも雇用していれば事業主は、手続きを行わなければなりません。保険関係が成立した日(労働者を雇用した日など)の翌日から起算して10日以内に、労働保険の保険関係成立届を所轄の労働基準監督署もしくはハローワーク(公共職業安定所)に提出します。そして、保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内にその年度内の概算保険料を申告・納付します。

雇用保険

雇用保険は、従業員が失業した際に給付金を受け取れるようにするための保険です。こちらも従業員を雇った際には加入が義務付けられています。手続きは最寄りのハローワークで行います。雇用保険に加入することで、従業員が失業した際に一定の保障を提供し、再就職を支援します。なお、雇用保険に関しても加入要件を満たす労働者が1人でもいれば加入しなければなりません。

初めて従業員を雇い雇用保険の適用事業所になった場合、設置の日から起算して10日以内に雇用保険適用事業所設置届を、資格取得の事実があった日(労働者を雇用した日など)の翌月10日までに雇用保険被保険者資格取得届を所轄のハローワークに提出します。なお、すでに適用事業所になっている場合は、雇用保険被保険者資格取得届のみを所轄のハローワークに提出します。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)

社会保険は健康保険と厚生年金保険のことを指し、事業主と従業員に共に加入義務があります。健康保険は病気やケガで病院に行った際の費用を、厚生年金保険は将来の年金を支えるものです。これらへの加入手続きは最寄りの日本年金機構、または健康保険組合にて行うことができます。社会保険に加入することにより、従業員だけでなく、その家族も保護される重要なメリットがあります。5人以上の従業員を雇用する個人事業主は社会保険に加入しなければなりません。

健康保険・厚生年金保険新規適用届を事実が発生してから5日以内に所管の年金事務センターもしくは年金事務所に提出します。

従業員の労務関連の準備

一人親方が従業員を雇用する際は、労務関連の準備も必要になります。従業員に対する通知や契約書の準備など、主な手続きをそれぞれ見ていきましょう。

労働条件通知書の発行

個人事業主が初めて従業員を雇用する際には、労働基準法に基づき、労働条件を明記した「労働条件通知書」の発行が必須です。

この通知書には、労働者の労働条件、すなわち労働時間、休日、給与、労働期間などの重要事項を記載し、従業員本人に交付する必要があります。正確かつ具体的に労働条件を明示することで、将来的なトラブルの回避にもつながります。

また、変更があった場合には、改めて通知書を発行して労働条件の変更情報を従業員に伝えることが法律で定められています。

労働条件通知書は以下のテンプレートを活用して作成されるのがおすすめです。

労働条件通知書のテンプレート

雇入通知書_労働条件通知書のテンプレート

雇用契約書の準備

雇用契約書の準備もまた重要な手続きの一つです。労働条件通知書とは別に、雇用契約の具体的な内容を明確にするために契約書を用意します。

この契約書には労働条件通知書の内容に加え、就業規則、退職条件など、より詳細な労働条件を含めることが望ましいです。雇用契約書を用意することで、従業員との間での合意形成を図り、労働関係における潜在的な問題に前もって対処できるようになります。

当サイトでは雇用契約書のテンプレートをご用意しております。また、書き方についても過去記事でご紹介していますので、ぜひそちらを参考に作成してみましょう。

雇用契約書(ワード)のテンプレート

36協定の締結と届出

個人事業主が従業員と残業などの時間外労働を行う場合、労働基準法第36条に基づく「36協定」(サブロク協定)の締結が必要です。

締結後は、所轄の労働基準監督署への届出が義務付けられています。36協定の締結には、従業員側の代表者との合意形成が不可欠なため、適切な手続きを踏むようにしましょう。

就業規則の届出(10人以上の従業員)

常時10人以上の労働者を雇用している事業所は就業規則を作成して労働基準監督署長に届出なければなりません。就業規則とは労働時間や休憩時間、休日、休暇、賃金、退職手続きなどの労働条件や職場の基本的なルールについて記載されている書類です。

当サイトでは就業規則の書き方についてもご紹介しており、テンプレートもご用意しています。

就業規則(ワード)のテンプレート

給与・税務関連の手続き

従業員を雇うことになった一人親方にとって、税務関連の準備は避けて通れません。必要な手続きを正しく行い、適切なタイミングで届け出ることが、トラブルを回避し事業をスムーズに運営するためには不可欠です。

税務関連の手続きで必要な書類としては以下のようなものがあります。

  • 給与支払事務所等の開設届出書
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

それぞれの提出先や提出期限については以下で詳しくご紹介していきます。

税務署への届出

従業員を雇うことになったら、まず税務署に対して以下の書類を提出する必要があります。

この届出は、従業員を雇い始める前に行う必要があります。また、事業の規模によっては「法人設立等届出書」を提出する必要がある場合もあります。届出を怠ると、税法違反に問われる可能性がありますので、忘れずに行いましょう。

必要な書類
  • 給与支払事務所等の開設届出書:
    給与の支払者が給与等の支払事務を行う事務所を開設した際に、その旨を税務署長に届け出るための書類です。事務所を開設した日から1か月以内に所管する税務署に提出します。国税庁のホームページに手続きの詳細が記載されており、書式をダウンロード可能です。参考:給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出|国税庁
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書:
    基本的に給与や退職手当、外注先の報酬・料金などから徴収した源泉所得税は、徴収日の翌月10日が納付期限となっています。しかし、給与を支払う従業員が10人未満の事業所は年2回にまとめて納付することが可能です。この特例を受けたい場合は「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を所管する税務署に提出する必要があります。なお、こちらに関しては特に期限は定められておらず、提出した翌月から適用されます。こちらも国税庁のホームページで手続きの方法や書式が確認できます。参考:源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請|国税庁
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書:
    従業員に扶養親族がいて控除を受ける場合に提出する書類です。その年の最初に給与を支払う日の前日までに当該従業員に必要事項を記載して提出してもらう必要があります。なお、本来であればそれから事業者が税務署長や市区町村長に申告書を提出する必要がありますが、実際は保管しておいて求められたときのみ提出すればよいということになっています。詳しい手続きの方法や書式については以下のリンクより確認してみましょう。参考:給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁

源泉徴収の対応

従業員から給与を支払う場合、源泉徴収を行う必要があります。源泉徴収とは、従業員の給与から税金を差し引いて国に納める制度です。

必要な書類

具体的には、給与所得の源泉徴収税額表に基づいて、従業員の給与から所得税を差し引きます。この操作には、適切な記録の保持が重要となり、「給与支払明細書」の交付が必要です。

また、年末には「源泉徴収票」を作成し、従業員に交付する必要があります。正確な源泉徴収の実施は適切な経理業務の基礎となりますので、正確に把握しておきましょう。

給与計算ソフトの検討

給与は労働時間を集計し、基本給や手当の支給額、控除額(雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料など)、源泉所得税額を計算し、それに基づいて控除したうえで支払わなければならず、計算に非常に手間がかかります。また、給与は従業員の大切な収入であり、税金の額が左右されるため、ミスは許されません。従業員を雇用する際には給与計算ソフトの導入も検討してみましょう。

給与明細書の発行

従業員には毎月給与明細を発行しなければなりません。給与明細書には基本給や手当などの支給額や、税金、保険料などの控除額、最終的に従業員に振り込まれる手取り額が記載されており、これによって給与の詳細が確認できます。

給与明細書はExcelやWordで作成することもできますが、やはり手間がかかることとミスが発生するリスクもあるため、専用のシステムを導入されることをおすすめします。給与明細書の作成・発行ができる給与計算ソフトを使えば、業務の効率化が図れるでしょう。

一人親方が家族を雇用する際に気をつけること

一人親方の皆さんが、ご家族を雇用する際の留意点について解説します。

同居する家族の雇用は従業員と見なされない

一人親方が家族を雇用する場合、その家族は「家族従事者」と呼ばれ、従業員とは異なる扱いを受けます。これは、一人親方が家族を雇用する場合、その家族は労働基準法に規定されている「労働者」に該当しないためです。

家族従事者が事業主と同居している場合、私生活と労働の関係を明確に区別することは難しいため、労働者とは見なされず、労働保険法や雇用保険法の適用を受けることができません。

これは、労働基準法の第116条第2項により、「この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない」と定められています。

例えば、社長の配偶者が経理を担当したり、社長の兄弟が労働者として働いている、あるいは子どもが新入社員として入ってきたりする場合などが挙げられます。

雇用保険の適用外となることが多い

家族従事者の場合、原則として「労働者」に該当しないため、雇用保険に加入できません。個人事業主と同じ扱いになります。したがって、仮に仕事を辞めた場合などにも雇用保険から「失業給付」を受けることは基本的にできません。また、「産前産後休業(産休)」「育児休業(育休)」も同様に取得する権利がないということになります。

労災保険には特別加入できる

一方で、労災保険への特別加入は認められています。労災保険の特別加入制度とは、家族従事者も含め一般的に労働者とは見なされない特定の者が、その業務の実態に応じて労働者に準じて労災保険の適用を受けることができる制度です。

特別加入制度の対象となるのは、以下のような方です。

  1. 中小事業主およびその事業に従事する労働者以外の者(役員など)
  2. 労働者を使用しないで次の事業を行う一人親方その他の自営業者およびその者が行う事業に従事する労働者以外の者(家族従事者など)
  3. 特定作業従事者
  4. 海外派遣者

    家族従事者は上記の2.に該当します。
    これにより、仮に家族従事者が業務中や労働中に事故に遭った場合でも、適切な補償を受けることが可能となります。

    なお、労災保険の特別加入制度は、一般的に労働者とは見なされない者(例えば一人親方や家族従事者など)を保護するための制度です。しかし、その一方で、この制度が「民業圧迫」、つまり他の事業者に対する不公平な競争を生むことがないように注意が必要です。

    具体的には、特別加入制度により労災保険に加入できると、一般的な労働者と同様の保護を受けることができます。これにより、事業主は労働者を雇う際のリスクを軽減できます。しかし、これがあまりにも手軽に行えると、事業主が労働者を雇う代わりに家族などを雇うことでコストを抑えようとする可能性があります。これによって利益が大きくなってしまうと、他の事業者との間で公正な競争環境を損なう可能性があります。

    医療保険は国民健康保険か建設国保が適用される

    医療保険については、家族従事者は国民健康保険か建設国保に加入することになります。

    国民健康保険は、日本に住むすべての人々が原則として加入しなければならない公的医療保険です。国民健康保険に加入していると、医療費が一部補助され、病気やケガをしたときに医療機関での治療費が3割自己負担に軽減されます。ただし、国民健康保険には「扶養」という概念は存在せず、家族全員がそれぞれ保険料を支払う必要があります。

    一方、建設国保は、建設業者のための国民健康保険組合で、全国で約12万人(令和6年2月末時点)の被保険者が加入しています。建設国保に加入すると、医療費が一部補助されます。家族の場合、基本的には年齢で保険料は変わりません。ただし、40歳~64歳までの介護保険第2号被保険者に当たる人がいる場合、1人につき1か月3,900円加算されます。

    これらの保険制度は、家族従事者が医療サービスを必要としたときに、その費用を補助するためのものです。どちらの保険に加入するかは、個々の家族従事者の状況によります。

    年金は国民年金になる

    家族従事者の年金保険については、一般的には厚生年金には加入できず、国民年金への加入となります。これは、家族従事者が通常「事業所に使用される者」に該当しないためです。

    20歳以上60歳未満の家族従事者は国民年金の加入義務があり、60歳以上の方は必要に応じて任意加入が可能です。

    家族が従業員と認められる条件

    家族従事者と従業員の主な違いは、家族従事者が「労働者性」を持つかどうかです。労働者性とは、その人が実質的に労働者といえるかどうかを指します。家族従事者が労働者性を持つ場合、その家族従事者は労働者として扱われ、各種の労働法規や社会保険の適用を受けることが可能になります。

    家族が従業員と認められる条件は、以下のようになります。

    • 事業主の指揮命令に従って業務を行うことが明確であること
    • 他の従業員と同様の働き方と賃金であること
    • 事業主が同居の親族以外の労働者を使用していること

      これらの条件を満たす場合、家族従事者は「労働者性」を持つと認められ、労働法規や社会保険の適用を受けることが可能になります。

      一人親方自身の労災保険の見直しも必要に

      労災保険は、労働者が業務中または通勤中の事故によって負傷したり、なんらかの要因で病気に見舞われたり、あるいは死亡した場合に被災労働者やその遺族を保護するために必要な保険給付を行う制度です。労災保険は、原則として一人でも労働者を雇用する事業は、業種の規模の如何を問わず、すべてに適用されます。

      一人親方自身も労災保険の特別加入制度を利用して労災保険に加入することができます。特別加入制度は、一般的に労働者とは見なされない者(例えば一人親方や家族従事者など)を保護するための制度です。

      しかしながら、一人親方が従業員を雇う場合、労災保険の切り替えが必要となります。これは、一人親方が従業員を雇うことで、事業主としての責任が生じ、労働者を雇用する事業所としての労災保険の適用が必要となるためです。

      具体的な手続きは、以下の通りです。

      1. 労災保険の切り替え:一人親方が従業員を雇うと、その従業員に対する労災保険の加入が義務付けられます。一人親方が年間100日以上にわたって労働者を雇うようになると、特別加入制度の労災保険から脱退しなければなりません。
      2. 中小事業主としての労災保険への切り替え:一人親方向けの労災保険ではなく、中小事業主という労災保険に切り替えて加入員証を発行してもらうことで、引き続き現場へ入ることを可能にする必要があります。
      3. 手続きの方法:この手続きは特別加入団体ではなく、労働保険事務組合に事務を委託して加入をし直すことが必要になります。

        従業員を雇う際の相談窓口

        一人親方が従業員を雇う際に相談できる主な窓口としては、以下のようなものがあります。

        • 都道府県労働局の雇用環境・均等室
          労働条件や労務管理、社会保険手続きなど雇用に関する総合的な相談に応じてくれます。
        • 公益財団法人 全国中小企業勤労者福祉サービスセンター
          中小企業向けの無料労務相談窓口を全国に設置しています。社会保険労務士労務管理全般について専門的な助言を受けられます。有料ですが、きめ細かい対応が期待できます。
        • 商工会議所や商工会
          地域の経営相談所があり、労務管理も含めた起業相談に応じてくれます。
        • インターネット上の労務相談サイト
          行政機関や民間団体が運営する無料の労務相談サイトもあります。

          初めての雇用は手続きが複雑なので、まずは無料の相談窓口を活用し、不明点を解消していくことをおすすめします。状況に応じて社会保険労務士の助力を検討するのもよいでしょう。

          一人親方の従業員の雇用・給与計算に関わる補助金・助成金

          従業員を雇用する際には採用活動費や職場環境を整えるための費用など、さまざまなコストがかかります。負担を軽減するためにも、以下のような補助金や助成金制度も活用を検討してみましょう。

          給与計算ソフトの導入:IT導入補助金

          前述の通り、給与計算ソフトを導入することで、給与計算や給与明細書の発行に関わる業務の効率化やミスの軽減が期待できます。給与計算ソフトを導入する際には、「IT導入補助金」という補助金制度が使えます。独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しており、給与計算ソフトを含め事業に必要となるソフトウェアやサービスを導入する際に、450万円を上限として導入にかかる経費の1/2までの金額について補助が受けられます。

          参考:IT導入補助金2025|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

          従業員の雇用に関する助成金

          国では雇用促進や安定化を目的として、さまざまな助成金制度を運用しています。一人親方が従業員を雇う際には、以下のような制度が使えます。

          • 人材開発支援助成金:
            雇用する従業員のキャリア形成を目的として、訓練などを計画的に実施した事業者を対象とした補助金制度です。参考:人材開発支援助成金|厚生労働省
          • トライアル雇用助成金:
            事情があって安定した職につくことが難しい労働者を一定期間雇用した際に支給される助成金です。参考:トライアル雇用助成金|厚生労働省
          • 特定求職者雇用開発助成金:
            高年齢者や母子家庭の母親、障がいがある方、就職氷河期世代など、雇用機会が少ない人を雇用した場合に支給される助成金です。参考:雇用関係助成金一覧|厚生労働省

          上記のほかにもさまざまな助成金制度があります。以下の記事も参考に活用を検討してみましょう。

          従業員と良好な関係性を築くために

          一人親方が従業員を雇用した際、事業成功のカギは従業員との良好な関係性にあります。信頼関係構築、効果的なコミュニケーション、そして働きやすい環境作りが重要です。

          従業員との信頼関係を築く

          従業員との信頼関係は、相互理解から始まります。そのためには、定期的な面談やフィードバックの機会を設け、従業員の意見や懸念を真剣に聞くことが重要です。

          また、約束やルールは公正に適用し、透明性を保つことで信頼を築くことができます。

          効果的なコミュニケーションを行う

          効果的なコミュニケーションは、誤解を避け、チームワークを促進するうえで不可欠です。定期的なミーティングの開催、明確で理解しやすい指示、そしてオープンな対話の促進が重要です。

          また、従業員の達成を認識し、適切に評価することも良心的な関係構築に寄与します。

          働きやすい環境を整える

          従業員が最大限のパフォーマンスを発揮するためには、働きやすい環境が不可欠です。これには、適切なツールや設備の提供、健康で安全な職場環境の確保、そして柔軟な働き方への対応などが含まれます。

          ワークライフバランスの重要性を認識し、従業員がプライベートと仕事のバランスを取りやすくする措置を講じることも大切です。

          従業員の成長を支援する

          従業員が自己実現を果たし、キャリアを通じて成長できる機会を提供することは、モチベーションの向上につながります。

          研修プログラムの提供、キャリアアップの機会、そして新しいスキルを学べる環境の整備などを適切に行うことで、従業員の満足度を高められるでしょう。


          ※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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