• 更新日 : 2024年7月11日

注文書とは?必要なケースや書き方をテンプレつきで紹介

注文書とは、商品やサービスの購入意思を示すために発行される書類です。注文書には、注文者情報や受注者情報、商品・サービスの詳細などを記載するため、双方の合意に基づいた取引を証明する役割があります。

この記事では、注文書の概要や注文書を発行するケース、具体的な記載内容などを詳しく解説します。

注文書とは?

注文書とは、商品やサービスの購入を意図する際に発行される書類です。発注書」と呼ぶこともあります。主にビジネス間取引(B2B)で用いられることが多いですが、ビジネスと消費者間(B2C)の取引においても使用されることがあります。

この文書は、購入者が売り手に対して具体的な商品やサービスを注文する意志を表明するためのもので、取引の詳細が記載されています。

注文書に含まれる主な内容

注文書には、主に下記のような内容を記載します。

  • 「注文書」の文言
  • 注文者情報
  • 受注者情報
  • 発注する商品またはサービスの詳細
  • 支払金額の内訳(小計、消費税、合計)
  • その他の条項(支払い条件、特記事項など)

それぞれの項目の具体的な書き方については、後述します。

ビジネスにおける役割

ビジネスにおける注文書の役割として、下記のような点が挙げられます。

  • 公式な取引記録:注文書は、双方の合意に基づいた正式な注文記録として機能します。これにより、後のトラブルや誤解を防ぐことができます。
  • 財務計画と予算管理:注文書は、企業がその財務状況を管理し、予算計画を立てる上で重要な役割を果たします。予算内での支出が確実に行われているかを追跡する手段として利用されます。
  • 在庫管理:商品の注文情報を元に、必要な在庫量を調整し、過剰在庫や在庫不足を防ぎます。

このように、注文書はビジネスの日々の運営において中核的な役割を担い、効率的な取引の進行と正確な記録保持を支援します。

建設業界で注文書を発行するケース

建設業界では、プロジェクトの性質上、注文書が非常に重要な役割を担います。ここでは、具体的にどのような場面で注文書が使用されるのかを詳しく見ていきます。

新規工事の開始時

新しい建設工事が始まる際、関連するすべての業者に必要な材料や作業の注文を正式に依頼するために注文書が発行されます。この段階では、プロジェクトの範囲、スケジュール、予算が明確化され、関係各所に共有されるため、注文書は非常に重要な文書となります。

初期段階での注文書には、工事の概要、要求する材料の単価や数量、金額、納品期日などが記載されており、これにより全体の計画が具体的な形で進行します。

追加作業の発生時

建設現場で予期せぬ追加作業が発生した場合、その作業内容と予算を明記した注文書を発行して、追加の承認を得ます。これにより、工事の延期やコスト増加を防ぎます。

追加作業が発生する主な原因として、地盤の問題、設計変更、材料の遅延があります。これらを効果的に管理するため、詳細な注文書の作成が不可欠です。

特注品やカスタム部品の注文時

プロジェクトに特有の特注品やカスタム部品が必要になった場合、それらの詳細と仕様を記載した注文書を通じて供給を依頼します。これにより、正確な仕様での製造が保証され、プロジェクトの品質が維持されます。

カスタムメイドの材料や部品は、特定の性能や寸法が要求されることが多いため、詳細な技術仕様が注文書に含まれることが重要です。

外部業者との契約時

注文書はサブコントラクター(下請業者)や材料の供給業者との間で、具体的なサービス契約を結ぶ際にも使用されます。注文書を用いることで、役務の内容、価格、納期などが明記され、双方の誤解を防ぎます。

詳細な契約書と注文書を組み合わせることで、後々の紛争を最小限に抑えられるケースもあります。

定期的な材料供給の確認

建設工事では定期的に材料が必要となるため、その都度、必要量と納期を記載した注文書が発行されます。これにより材料の連続供給が滞りなく行われ、プロジェクトの進行が確実に行われます。

注文書により、供給業者と建設業者間のコミュニケーションが改善され、供給プロセスがスムーズになります。

注文書のテンプレート

下記ページから、注文書のエクセルテンプレートを無料でダウンロードできます。ぜひご活用ください。

注文書に記載すべき項目

注文書に記載すべき項目を、それぞれ詳しく見ていきましょう。

注文日

注文が行われた具体的な日付を記載します。この日付は契約の有効性や納期の計算の基点となるため、正確さが求められます。

注文者情報

名前

注文者の法人名または個人名を明記します。

住所

注文者の詳細な郵便住所を記載します。配送や請求に必要な情報です。

連絡先

電話番号やメールアドレスなど、連絡可能な手段を記載します。

受注者情報

名前

受注者の法人名または個人名を明記します。

住所

受注者の詳細な郵便住所を記載します。配送や請求に必要な情報です。

連絡先

電話番号やメールアドレスなど、連絡可能な手段を記載します。

注文番号

注文書に一意性を持たせるための番号を記入します。この番号により、後の管理や照会が容易になります。

商品またはサービスの詳細

摘要

注文する商品やサービスの正確な名前を記述します。

数量

商品またはサービスの注文数量を具体的に記述します。この数量が契約履行の基準となります。

単価

商品またはサービスの単位あたりの価格を記載します。全体の計算の基盤となる重要な情報です。

納期

商品やサービスの提供予定日を記載します。納期は契約の重要な部分であり、遅延が発生した場合の取り決めも含めて明記することが望ましいです。

支払い条件

支払い方法

いつまでに支払いを完了させるかの期日を記載します。期限を明確にすることで、未払いリスクを低減します。支払いがどのように行われるか(例:銀行振込、クレジットカードなど)を明記したい場合、別途備考欄を設けて記載します。

注文書を作成する際の注意点

正確な情報の記載を確認する

注文書には注文内容が正確に反映されている必要があります。商品名、数量、価格など、注文の具体的な詳細を確実に記載し、誤りがないか厳重にチェックすることが重要です。

例えば、商品名が多少異なるだけで全く異なる商品が配送される可能性があるため、型番やスペックまで正確に記入します。

明確な支払い条件と期日の設定

支払い条件は注文書上で明確に記載しておくべきです。支払い方法(銀行振込、クレジット、現金等)、支払い期日を具体的に定め、両者の誤解やトラブルを未然に防ぎます。

支払い期日を明確にすることで、財務計画の精度を向上させることができます。

納品日の確認と記載

商品やサービスの納品日は、契約の重要な部分です。納品日が明確に記載されていることで、受取り側が準備を適切に行うことができます。納品の遅延が発生する可能性がある場合は、その旨を注文時に明確にすることが望ましいです。

連絡先情報の完全な記載

万が一の問い合わせやクレーム時に備えて、注文書には連絡先情報を詳細に記載することが重要です。担当者名、電話番号、メールアドレスなど、必要な情報を欠かさずに。

これにより、迅速かつ適切なコミュニケーションが可能となり、問題が発生した際の解決を助けます。

注文書を受け取った際に確認すべき項目

注文書を受け取る際には、正確に情報が記載されていることを確かめる必要があります。以下の項目を念入りにチェックすることをおすすめします。

注文者情報の確認

注文者の企業名または個人名、連絡先、住所が正しく記入されているかを確認してください。これは、後々のトラブルを避けるために重要なポイントです。

商品またはサービスの詳細

注文された商品やサービスの名称、型番、数量などが正確に記載されているかを確認することが重要です。商品によってはカラーなども指定されている場合があります。

価格と支払条件

商品やサービスの単価、総額、支払い方法、支払い期日などの金銭に関する情報が明確に記入されていることを確認してください。

納期の具体的な日付確認

納期が「3週間以内」などと曖昧に記載されている場合は、具体的な日付を問い合わせることで、予定を正確に立てることができます。

注文書の保管期間

注文書の適切な保管期間は税法・商法に従って原則7年の保管が必要です。しかし、社内規定を設定するにあたっては、税法・商法以外にも考慮すべきポイントがあります。

ここでは、注文書の保管期間に関する詳細なガイドラインと具体的な手法を解説します。

税務上の要件

税務調査の対象となることもありうるため、税法に基づく保管期間の遵守が必要です。例えば、消費税法では書類の保存期間を原則7年としています。これにより、税務調査時の資料提供がスムーズに行えます。

法的要件

注文書は法的証拠としての役割を果たすため、一定の期間は必ず保管する必要があります。具体的には、商法その他の関連法律に基づき、保管期間が定められていることが多いです。たとえば、商法では決算書類とともに取引関連の書類を確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する義務があります。

実務上の考慮

法的、税務上の要件をクリアした後も、商取引の履歴として注文書の参照が必要になる場合があります。継続的な取引のある業界では、過去の取引内容を確認することで新たな注文の精度を上げるためにも、保管期間を自社の基準で延長して考える企業も多いです。

デジタル保管の利点

電子帳簿保存法の改正により、紙の文書ではなく、デジタル形式での保管が増えています。これには、保管スペースの削減、アクセスの容易さ、検索性の向上など、多くの利点があります。重要なのは、保存データのバックアップとセキュリティ対策を怠らないことです。

保管期間の終了後の処理

法的および税務上の保管期間が終わった後、不要になった注文書はプライバシー保護と情報漏洩防止のため、適切に破棄する必要があります。

紙の文書の場合は、シュレッダーに掛けるなどして物理的に破壊し、デジタルデータはデータ消去ソフトウェアを用いて確実に削除します。

個人情報の適切な取扱い

特に個人情報を含む文書の場合、個人情報保護法に基づく厳格な破棄プロセスが求められます。法に則った方法で安全に破棄することが重要です。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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