• 更新日 : 2025年2月19日

受領書とは?書き方や注意点を解説【テンプレつき】

受領書とは、物品やサービスなどを受け取ったことを証明する書類です。
この記事では、受領書の概要から、ビジネス上はどのようなケースで受領書が必要になるか、適切に作成するための必要事項などを、テンプレートをもとに解説します。

受領書とは

受領書は、ある物品や書類、金銭などが一方の当事者から他方の当事者に正式に渡されたことを証明する書類です。この書類は、物品やサービスを受け取った側が発行し、提供した側に渡すことで、受け取りが完了したことを公式に記録します。

受領書の役割は以下の通りです。

  • 証拠としての機能:受領書は、物品やサービスが実際に受け取られたことの証拠として機能します。これにより、将来的な紛争や誤解を防ぐことができます。
  • 確認の役割:受領書は、取引が完了したことを両当事者が確認するための手段です。これにより、取引の透明性が保たれます。
  • 記録保持:受領書は、会計や税務の記録としても重要です。企業や個人は、受領書を使って支出や収入の記録を保持し、税務申告や監査の際に提出することができます。
  • 法的文書:場合によっては、受領書が法的な証拠として裁判所で使用されることがあります。例えば、契約の履行が争われた場合、受領書は契約が適切に実行されたことを示す証拠となり得ます。

受領書は、ビジネス取引だけでなく、日常生活においても様々なシーンで使用されます。例えば、郵便物や宅配便の受け取り、賃貸物件の家賃の支払い、中古品の売買などがあります。

受領書を発行するケース

ビジネス上、受領書の発行が必要となるケースには主に以下のようなものがあります。

  • 現金の受け取り: 事業者が顧客から現金を受け取った際、金額と日付を明記した受領書を発行します。これにより、支払いがあったことを証明できます。
  • 物品の受け取り: 事業者が顧客から物品を受け取った際、受領書を発行します。受領した物品の詳細や数量、受領日などを記載し、物品の受け渡しがあったことを証明します。
  • 書類の受け取り: 重要な書類(契約書、申請書、見積書など)を受け取った際、受領書を発行します。これにより、書類の受け渡しがあったことを証明でき、紛失や提出漏れを防げます。
  • 預り金の受け取り: 事業者が顧客から預り金を受け取った際、受領書を発行します。預り金の目的、金額、受領日などを明記し、受け渡しがあったことを証明します。
  • 支払いの一部受領: 分割払いや前払いなどで、支払いの一部を受け取った際に受領書を発行します。受領金額や残金、次回支払い予定日などを記載し、部分的な支払いがあったことを証明します。

これらのケースで受領書を発行することにより、金銭や物品の受け渡しを明確に記録し、トラブル防止につながります。また、経理処理や税務処理の際にも、受領書は重要な証拠資料となります。

受領書のテンプレート(ひな形)

受領書が必要になった際は、テンプレートをもとに作成すると効率的です。以下のページから、エクセル形式の受領書を無料でダウンロードできます。ぜひご活用ください。

受領書に記載すべき項目

受領書には、以下のような項目を記載するようにしましょう。受領書の様式は企業によって異なるため、自社の様式に合わせて必要項目を記載するようにしてください。

宛名

受領書の宛先となる個人や企業の正式名称を記載します。
例:「株式会社〇〇御中」「〇〇太郎 様」

発行日

受領書を発行した日付を記載します。通常、受領した日付と同じになります。
例:「2024年4月1日」

受領内容

受け取ったものが現金、物品、書類のいずれなのかを明記します。
例:「現金」「書類(契約書)」「物品(商品名)」

受領金額または物品の詳細

現金の場合は受領金額を数字で記載し、通貨単位を明記します。
例:「金100,000円(税込)」

物品の場合は、品名、数量、型番などを詳細に記載します。
例:「A4コピー用紙(500枚入り)x10箱」「デスクトップPC(型番:ABC-123)x1台」

書類の場合は、書類の名称と部数を記載します。
例:「請負契約書x2部」

但し書き

但し書きとして、受領した金銭や物品の目的を具体的に明記します。
例:「商品の購入代金として」「○○事業に関する予約金として」「△△工事の材料費として」

発行者情報

受領書を発行した事業者の正式名称、住所、電話番号、担当者名などを記載します。
例:「株式会社×× 東京都新宿区西新宿1-2-3 03-1234-xxxx 営業部 マネフォ一郎」

署名または記名押印

受領書の発行者が署名するか、会社の公式印鑑で記名押印します。
例:「株式会社×× 営業部 マネフォ一郎 (印)」

備考

必要に応じて、追加の情報を備考欄に記載します。 例:「残金50,000円は2023年5月末日までにお支払いください」「次回打ち合わせは4月15日を予定しております」

受領書を作成する際の注意点

受領書を作成する際には、正確な記載と適切なフォーマットが非常に重要です。以下に主要な注意点を詳述しますので、確認しながら慎重に作成してください。

正確な日付と時間の記載

受領書における日付と時間の記録は、その文書の法的な強度を左右します。受領した正確な日付と時間を記載することで、後日のトラブルを避けることができるとともに、監査や確認作業が迅速かつ正確に行えるようになります。

当事者の正確な情報

受領書には、発行者と受領者の正確な名前と連絡先が記載されている必要があります。情報に誤りがあると、受領書が無効とみなされるケースもあるため、クリアな識別が可能なように注意深く確認してください。

具体的な受領内容の詳細

受領した物またはサービスの具体的な内容を詳しく記載しましょう。数量、状態、色、型式、製品番号など、可能な限り詳細に情報を追加することが重要です。これにより、具体的なトランザクションが証明され、後々の誤解を防ぎます。

受領書のフォーマットと構造

受領書は一般に認知されている標準的なフォーマットに従って作成すべきです。フォーマットが不明瞭な場合は、専門家に相談するか、信頼できるテンプレートを参照すると良いでしょう。これにより、受領書がすべての関係者にとって明確かつ理解しやすいものになります。

署名と押印

文書の正式性を高めるため、発行者と受領者はそれぞれ署名と押印を行うことが推奨されます。これにより、受領書の認証が強化され、法的な力が増します。特に大きな取引の場合、このプロセスは無視できません。

コピーの保存

受領書を発行した後は、その原本とコピーを保管することが重要です。受け取った側だけでなく、発行した側もコピーを保存することで、将来的な紛争の際に有力な証拠となり得ます。また、紛失のリスクを軽減するためにデジタルフォーマットでの保存も検討してみてください。

受領書を受け取った側が確認すべき項目

受領書を受け取った際、まず宛名が正しく記載されているかを確認しましょう。個人名や会社名が間違っていると、受領書の効力が問われる可能性があります。

次に、発行日を確認し、実際に金銭や物品を受け渡した日付と一致しているかをチェックします。受領内容については、受け取ったものが現金なのか、物品なのか、書類なのかが明確に記載されているかを確認します。現金の場合は受領金額が正しいか、物品の場合は品名、数量、型番などが詳細に記載されているかを確認します。受領した金銭や物品の目的が具体的に明記されているかも重要です。

また、受領書の発行者情報が正確に記載されているかを確認します。会社名、住所、連絡先などに誤りがないかをチェックします。署名または記名押印が適切になされているかも確認が必要です。個人の署名の場合は本人のものかどうか、会社の印鑑の場合は公式のものかどうかを確認します。

最後に、備考欄に追加の重要な情報が記載されている場合は、その内容を確認します。例えば、残金の支払い期日や次回の打ち合わせ日程などが記載されている場合があります。

記載内容に誤りや不明点がある場合は、速やかに発行者に確認し、必要に応じて修正を求めるようにしましょう。

受領書の保管期間は?

受領書の保管期間は、法律や企業の内部規定によって異なりますが、税務関係書類を原則として7年間保管することが定められています。受領書は、経費の証明書類として税務処理に使用される可能性があるため、税務調査に備えて7年間保管することが望ましいです。

ただし、下記のような点を考慮して、別途会社の経理規定で期間が定められているケースもあります。

  • 民法上の時効期間:受領書は、債権債務関係の証拠となる書類です。民法の債権の消滅時効は原則として10年とされているため、トラブルに備えて、関連する債権債務が確実に消滅するまでの期間(10年以上)は保管することが安全です。
  • 商習慣上の保管期間:業種や取引内容によっては、商習慣として一定期間の保管が求められる場合があります。例えば、建設業では、建設工事の完成後10年間は関連書類を保管するのが一般的です。

なお、書類の電子化が進んでいる現在、受領書を電子的に保管することも可能です。電子帳簿保存法では、一定の要件を満たせば、電子データを原本として保管することが認められています。ただし、電子化した受領書も、上記の保管期間と同じ期間保管する必要があります。

基本的には税法上の7年間を最低限の保管期間とし、民法上の時効期間や商習慣、企業の内部規定なども考慮して、十分な期間保管するようにしましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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