- 作成日 : 2025年1月30日
一人親方の年収は高い?職人別ランキングや増やすポイントを解説
一人親方の平均年収は約546万円となり一日あたりの賃金は21,848円になります。例えば、防水職人の年収は618万円で日本の平均給与と比べると大きく上回ります。全体として、一人親方の賃金は年々上昇しています。この記事では一人親方の職種別年収ランキングや月に負担する費用、年収を増やすポイントについて解説します。
目次
一人親方の年収は高い?
全建総連東京都連合会の賃金調査報告書によると、一人親方の賃金は年々増加傾向にあります。一人親方の2023年の一日あたりの賃金は21,848円で、2022年の21,731円に比べて117円の増加が見られます(材料持ちの場合)。年収に換算すると約546万円となり、日本の平均給与が約461万円であることを考慮すると、一人親方の年収はこれを大きく上回っています。実際の年収は、稼働日数や休暇の取り方、業種や地域によっても異なるため、あくまで目安としての金額になりますが、一人親方の賃金水準は他の労働者よりも高いことが分かります。
一人親方の年収ランキング
職種別に一人親方の年収・1日当たりの賃金を表でまとめたものは以下の通りです。
職種 | 平均年収 | 日当 | |
---|---|---|---|
1位 | 防水 | 618万円 | 24,727円 |
2位 | 設備 | 617万円 | 24,693円 |
3位 | 配管 | 568万円 | 22,730円 |
4位 | 内装 | 558万円 | 22,321円 |
5位 | 塗装 | 546万円 | 21,845円 |
6位 | 電工 | 543万円 | 21,728円 |
7位 | 大工 | 530万円 | 21,223円 |
8位 | 土木 | 516万円 | 20,652円 |
9位 | 解体 | 499万円 | 19,967円 |
10位 | 左官 | 487万円 | 19,503円 |
※年収は1年間の労働日数を250日とした場合の計算
参考:2023年(R5年)賃金調査報告書 図表 22|全建総連東京都連合会
上位5位まで、詳しく見ていきましょう。
1位:防水
第1位となったのは、防水で、平均年収は618万円、1日当たりの賃金は24,727円です。
防水職人は、建物や構造物に対して水漏れや浸水を防ぐための防水処理を行います。屋上や外壁、バルコニー、地下室などの防水工事が主な作業で、さまざまな防水材料を使用します。高い技術が要求される職種です。
2位:設備
第2位の設備は、平均年収617万円、日当24,693円となっています。
設備工事の一人親方は、建物内の配管、空調、給排水、ガス、電気など、インフラとなる設備の設置やメンテナンスを行います。新築やリフォームの現場での仕事が多く、設備のトラブル対応なども行います。
3位:配管
第3位の配管は、年収568万円、日当22,730円です。
配管工事は、水道やガスの配管、冷暖房用のダクト、排水設備の設置や修理を行う仕事です。新築住宅やビルなどでの工事が多く、機械や道具を使って管を加工し、適切な配管システムを設置します。
4位:内装
年収558万円、日当22,321円で第4位にランクインしています。
内装工事の職人は、建物の内装仕上げを行います。壁紙貼り、床材施工、天井や壁の下地作り、仕上げの取り付けなど、室内空間をデザインし、住環境を整えるための幅広い作業を担当します。
5位:塗装
第5位の内装は、年収546万円、日当21,845円です。
塗装職人は、建物や構造物に塗料を塗ることで美観や耐久性を高める仕事です。外壁や内装の塗装、防錆塗装、防水塗装など、用途に応じた塗料を選び、丁寧に施工します。塗装の下地処理も重要な作業の一つです。
一人親方の月額の自己負担額の平均
一人親方は、仕事する上で必要な費用を自己負担している場合が多く見られます。これには、材料費や燃料代、作業に必要な用具などが含まれます。2023年のデータによると、一人親方が月額で負担する代表的な費用は以下の通りです。
- 釘・金物代: 25,055円
- 現場の駐車場代: 14,815円
- ガソリン・燃料代: 22,122円
- 電車・バス代: 10,220円
- 高速料金: 15,469円
- 作業安全用品: 11,311円
参考:2023年(R5年)賃金調査報告書 図表 33|全建総連東京都連合会
これらの費用は、一人親方が事業を運営する上で避けられないコストであり、特に釘・金物代やガソリン・燃料代が大きな割合を占めています。釘・金物代は工事や作業の種類によって使用量が変わり、燃料代は移動や重機の使用に関連して増減します。
また、作業安全用品も重要な費用で、作業環境や安全対策に関連する部分が大きいです。安全用品の購入や、必要に応じて補助作業員を雇うことも、一人親方の事業にとっては大きな投資となります。
一人親方の年収を増やすポイント
技術を磨き、実績を積む
一人親方としての年収を増やすためには、何よりもまず技術を磨くことが重要です。実績が豊富であればあるほど、顧客からの信頼も厚くなり、仕事の依頼が増えるからです。
技術を向上させるためには、業界団体の研修に参加したり、専門学校で資格を取得する方法などがあります。
また、顧客や同業者からの意見に積極的に耳を傾け、自分の技術やサービスを見直し、改善していきましょう。特に以下のポイントに注意します。
- 施工後に顧客に感想を聞く
- 同行業者からのアドバイスを受ける
- オンラインレビューや評価を確認する
これらのフィードバックを基に、自分の技術の向上に努め続けることが、長期的な成功へとつながります。
建設キャリアアップシステムに登録する
建設キャリアアップシステムとは、建設業界における技能者の技能や実績をキャリアを見える化するための制度です。国土交通省により推進されており、以下のようなメリットがあります。
- スキルの証明
スキルや経験を客観的に証明することができ、信頼性が向上します。 - 案件の獲得に有利
登録者には多くの建設会社からの信頼が寄せられ、仕事の機会が増えることがあります。 - 知識の向上
定期的に研修や講座が提供され、最新の技術や知識を学ぶことができます。
参考:建設キャリアアップシステム|一般財団法人建設業振興基金
人脈を大切にする
一人親方として成功するためには、技術や実績の向上だけでなく、人脈の構築も非常に重要です。人脈を大切にすることで、将来的に仕事の依頼が増えたり、情報交換がスムーズになったりするため、結果として年収向上につながります。また、相手に対して誠実に接し、信頼を得ることで、長期的な関係を築きやすくなります。
人脈を広げるための具体的な方法をいくつかご紹介します。
- 業界イベントに参加する
建設業界の展示会やセミナーに参加することで、同業者や潜在的な顧客との接点を増やすことができます。 - SNSを活用する
FacebookやインスタなどのSNSを利用して、自分の実績や活動をアピールし、人脈を築いていくことができます。 - 地域の団体に加入する
地域の業者団体や商工会に参加することで、同じ業界の人々と繋がりやすくなります。
経費を見直しをする
無駄な出費がないか、必要な経費と不必要な経費を把握しましょう。経費を削減することで、実質的な手取りが増え、その分収入を増やすことにもつながります。具体的な経費の見直し方法についてご紹介します。
- 購入先の見直し
資材や工具の購入先を見直すことで、コストを削減できる場合があります。複数の業者から見積もりを取り、比較することで、よりお得な価格で仕入れることが可能です。また、同業者とのまとめ買いや共同購入を行うことで、更なる割引を受けられることもあります。 - 固定費の見直し
固定費についても、見直しを行うことが欠かせません。例えば、事務所の賃貸料や通信費などは、契約内容をチェックし、より安価なプランや場所への変更を検討してみてください。 - 経費の記録と管理
経費を見直すためには、何にどれだけお金を使っているかを把握することが必要です。定期的に経費を記録し、月ごとの支出を比較して分析することで、無駄を発見しやすくなります。経費の管理には、エクセルや会計ソフトを活用すると便利です。
経費の見直しは、一時的な作業ではなく、継続的に行うことが重要です。定期的に見直すことで、常に最適な形を維持し、経営の効率化を図ることができます。
営業スキルを身につける
自分の技術やサービスを効果的にアピールすることで、より多くの顧客を獲得し、安定した収入を得ることが可能になります。営業の基本は、顧客との信頼関係にあります。信頼を得るためには、以下のポイントを意識することで、リピーターや口コミによる新規顧客の紹介が期待できます。
- 誠実な対応を心がける
- 約束を守る(納期、品質、口約束、契約など)
- アフターフォローを怠らない
また、相手が理解しやすいように伝えることで、より効果的なアピールができます。
営業スキルを身につける以外にも、積極的に営業活動を行い、人脈を広げましょう。業界イベントやセミナーに参加し、名刺交換やお礼の連絡を大切にすることで、新たなビジネスチャンスを生む源泉につながります。
一人親方が年収を上げる際の注意点
常用契約ではなく請負契約にする
常用契約は、雇用契約の一種であり、特定の企業で働く契約形態です。一方、請負契約は特定の仕事やプロジェクトに対して報酬を得る契約形態です。
労災保険に加入する
労災保険は、労働者が業務上の事由によって負傷、病気、障害、死亡した場合に、医療費や休業補償、遺族補償を支給する制度です。危険を伴う作業を行う建設業には特に重要です。
一人親方の場合、労災保険の特別加入制度の利用が認められています。加入は任意ですが、仕事中の怪我や病気に対する補償として、労災保険の加入がすすめられています。
老後への備えをする
一人親方として働く中で、将来の経済的不安を軽減するためには、老後への備えが非常に重要です。年収が安定しているときは特に、将来に向けた資産形成や保険の活用を意識することが求められます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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