• 作成日 : 2024年8月29日

労働保険適用事業場検索とは?検索すべきケースや事業場が見つからない場合の対応を解説

労働保険適用事業場検索は、事業所が労働保険(雇用保険・労災保険)に加入しているかを確認できる厚生労働省のシステムです。事業主は一般的に従業員1人以上で加入が義務づけられています。

この記事では、検索システムの使い方や見つからない場合の対応、建設業の労災保険での検索方法について解説します。

労働保険適用事業場検索とは?

労働保険適用事業場検索とは、厚生労働省が提供するシステムで、労働者が働く事業所が労働保険の適用を受けているかどうかを確認するための検索システムです。

労働保険には、労働者災害補償保険(労災保険)雇用保険が含まれます。

労働保険適用事業場検索とは?検索すべきケースや事業場が見つからない場合の対応を解説

引用:労働保険適用事業場検索|厚生労働省

労働保険の申請が必要になる条件

労働保険は、雇用保険と労災保険の2つがあり、労働者が働く上で安全と安心を保障するための制度です。基本的に、従業員を1人でも雇用している事業主は、労災保険と雇用保険への加入が義務付けられています。これには正社員、パートタイマー、アルバイトなど、雇用形態に関わらず適用されます。

事業主の方は、従業員を雇い始めたら、速やかに労働保険の手続きを行う必要があります。

雇用保険

雇用保険は、雇用の安定と失業者の生活安定及び再就職を図るための制度です。以下の条件を満たす事業主は、雇用保険の適用を受けることができます。

  • 事業主が1人以上の労働者を雇用していること
  • 労働者が週20時間以上働いていること
  • 31日以上の雇用見込みがあること

労災保険

労災保険は、労働者が仕事中に事故に遭った場合や職業病にかかった場合の治療費や休業補償を行う制度です。以下の条件を満たす事業主は、労災保険の適用を受けることができます。

  • 事業主が1人以上の労働者を雇用していること
  • 特別加入制度:一人親方や家族従業員などの一部の労働者は適用除外だが、一定の要件を満たす場合には「特別加入」が認められている。
  • 建設業の場合は、元請けの事業主が労災保険に加入する必要がある。

労働保険の適用を受けるためには、事業主が労働保険事務所に申請を行う必要があります。

労働保険適用事業場検索を利用するケース

労働保険適用事業場検索は主に以下のようなケースで利用されます。

  • 労働者が就職先の労働保険加入状況を確認する
    新しい職場に就職する際や転職を考えている場合、労働保険適用事業場検索を利用して、その事業所が適切に労働保険に加入しているかを確認することができます。
  • 事業主が自社の労働保険加入状況を確認する
    事業主は、自社の労働保険加入状況を把握するために、この検索システムを利用することがあります。自社が正しく加入手続きを行っているかを確認するのに役立ちます。
  • 建設業の下請け労働者(一人親方を除く)が元請け事業主の労災保険を確認する
    建設業界では、元請け事業主が下請け労働者(一人親方を除く)分の労災保険にも責任を負うため、下請け労働者は労働保険適用事業場検索で、元請け事業者の労災保険加入状況を確認することがあります。

労働保険適用事業場検索の使い方

まず、労働保険適用事業場検索のウェブサイトにアクセスします。次に、検索ボックスに事業主名や法人番号を入力します。これらの情報は、事業主が提供する労働条件明示書や雇用契約書に記載されています。

検索結果が表示されたら、該当する事業場をクリックします。そうすると、その事業場の労働保険の加入状況や加入期間などの詳細情報が表示されます。これにより、労働者は自分が働く事業場が適切に労働保険に加入しているかを確認できます。

また、建設現場の労災保険については、元請けの事業主で検索することが推奨されています。これは、建設業では元請け事業主が下請け労働者に対する労災保険の責任を負うためです。

所在地

事業所の住所や都道府県、市区町村名などを入力することで、該当する事業所の情報を確認できます。ただし、支店や営業所など、複数の事業所がある場合は注意が必要です。

事業主名

法人の場合は正式名称を、個人事業主の場合は氏名を入力すると、該当する事業所が表示されます。同じ名称の事業所が複数ある場合は、所在地などの情報も確認しましょう。

法人番号

法人番号は、法人として登録されている事業主に対して、国が発行する13桁の固有の番号を指します。法人番号は、国税庁法人番号公表サイトで検索するか、法人番号指定通知書で確認することができます。法人番号指定通知書とは、国税庁が法人番号を定めた時や、法人が新たに設立された時に、国税庁から法人番号指定通知書が送付されます。

建設現場の労災保険は元請けの事業主で検索

建設業界では、建設現場で働く労働者の労災保険は、元請けの事業主が加入することが求められています。

これは、建設業界では多くの事業主が下請けとして働くため、元請けの事業主が全体の安全管理を担当し、下請け労働者に対する労災保険の責任を負うからです。

したがって、建設現場で働く労働者が労働保険適用事業場検索を行う際には、元請けの事業主名で検索することが推奨されています。

労働保険適用事業場検索で出てこない場合

時には、労働保険適用事業場の検索で自社の事業所情報が見つからない場合があります。そのような場合、以下の点を確認してみてください。

店舗名ではなく法人名などで検索する

労働保険適用事業場検索では、事業主名で検索することが一般的です。しかし、事業主名が店舗名と異なる場合があります。そのため、店舗名で検索しても結果が得られない場合は、法人名や事業主名で検索してみてください。

事業所の名称や所在地が変更になった場合

事業所の名称や所在地が変更になった場合、労働保険適用事業場の情報が更新されていないことも考えられます。

この場合は、最新の事業所情報で再度検索することをおすすめします。

法人番号の届出がない場合

法人番号で検索する場合、法人番号の届出がない事業場については、加入事業場であっても検索結果が表示されない場合があります。

労働保険の手続きを行っていない場合

事業主が労働保険の手続きを全く行っていない場合、検索結果に表示されません。

業務委託の個人事業主の事業者

雇用に見えても、実際には業務委託の個人事業主のグループである場合、労働保険の適用がないため検索結果に表示されません。

データベースが反映されていない

労働保険の手続きが完了しても、データベースに反映されるまでに時間がかかることがあります。そのため、手続き直後に検索しても結果が表示されない場合があります。

新しく事業を始めた場合

新しく事業を始めた場合は、事業所の情報がまだ登録されていない可能性があります。

事業を廃止した場合

事業を廃止した場合、労働保険適用事業場の情報から削除される必要があります。

ただし、手続きが済んでいない場合は、検索結果に残っている可能性があります。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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