- 作成日 : 2024年7月16日
検収書とは?書類の役割や発行するケース、書き方を解説【テンプレつき】
検収書は、取引の対象となる商品が発注者の注文内容に合致しており、不備がないことを証明する書類で、発注者が作成・発行します。
この記事では、検収書がどのような書類か紹介した上で、検収書が必要になるケースや、作成時のポイントについて解説します。エクセル形式の検収書テンプレートも提供しているので、ぜひご活用ください。
目次
検収書とは
検収書は、商品やサービスが注文通りに納入されたことを確認し、その事実を記録する文書です。主にビジネス取引において使用され、品質や数量、納期などが合意された通りであることを検収(検査受け入れ作業)の後に発行されます。
検収書の役割
検収書は、取引の透明性を保ち、後のトラブルや誤解を防ぐ役割を果たします。
具体的には、受け取った商品やサービスが契約条件に準じていることの証となり、後の支払い処理の根拠ともなります。商品やサービスが契約に沿って提供されたことが確認されることで、正当な支払いが行われるべきだとの合意が形成されます。
また、検収書は合意された品質基準が守られているかどうかを記録し、仕入れから支払いまでの全プロセスにおいて信頼性の高い証明書として機能します。
検収書と受領書の違い
検収書と受領書はしばしば混同されがちですが、明確な違いが存在します。受領書は商品の受け取りを証明する書類であるのに対し、検収書はその商品が契約条件に合致しているかどうかを確認し、記録した書類です。
したがって、検収書は受領書よりも詳細な情報を含むことが一般的です。
例えば受領書には通常、受け取った商品の種類、数量、受取日などの基本的な情報が含まれます。一方で検収書には、受領書の情報に加え、商品の品質や規格が契約通りかどうかの詳細な検証結果が記載されています。
建設業界において検収書を発行するケース
新設建物の完成時
新しい建物の建設が完了し、その構造と施工品質が契約の要求を満たしていることを証明するために検収書が発行されます。
完成した建物に関しては、建築基準、材料の品質、施工の正確さが詳細に記録され、最終的には注文主と施工者が確認して署名します。この過程では、通常の検査よりも厳密なチェックが行われ、建築法規に違反していないか等も検討されます。
大規模リフォーム後
大幅な改修やリフォームを行った既存の建物に対しても、改修が契約書に従って適切に行われたかを確認するために検収書が必要です。改修には通常、構造の変更、電気設備や配管の更新などが含まれることが多く、これらの作業が安全基準に則って適切に行われたかを検収書で確認します。
また、リフォーム後の建物がさらなる使用に耐えうるかどうかの評価も含まれます。
設備の追加または更新時
建物に新しい設備を追加したり、既存の設備を最新のものに更新する際にも、その設備の機能と安全性を確認するために検収書を作成します。
例えば、エレベーターや空調システムの更新は、特に検収書でその正常動作が保証され、不具合が無いことを証明する必要があります。これにより、設備投資の有効性が担保され、使用者の安全が確保されます。
災害復旧工事の完成時
地震や台風などの自然災害により破損した建物の修復が完了した後、修復工事が契約に従って適切に実施されたことを明示する検収書が作成されます。この検収書は、保険の請求や法的な問題が発生した際に重要な証拠となりえます。
また、将来的に同じような災害が発生した際の備えとして、工事の質を評価する基準にもなります。
定期的な建物メンテナンス後
建物の長期的な利用には定期的なメンテナンスが不可欠です。屋根の点検、外壁の塗り替え、設備の点検といった定期保守を終えた後、その全ての作業が契約書に従って正確に行われたことを確認するために検収書が発行されます。
この検収書により、建物管理者は保守作業が適切に行われたことを証明でき、万が一の事態に備えて証拠を保持できます。
検収書のテンプレート-無料ダウンロード
マネーフォワードでは、下記ページでエクセル形式の検収書テンプレートを提供しています。無料でダウンロードできるので、ぜひご活用ください。
検収書に記載すべき項目
基本情報
- 検収日:商品やサービスが提供された日付。これにより、取引が正式に完了したことが証明されます。
- 検収者の氏名:検収を承認した人の名前。これがあることで、誰が検収の責任を持ったかが明確になります。
- 会社名と住所:検収を行った会社の正式名称と所在地。これにより、検収書の法的有効性が保証されます。
商品またはサービス情報
- 商品名またはサービスの内容:取引された商品または提供されたサービスの詳細名称。
- 数量や単位:提供された商品やサービスの量とその単位。
- 単価と合計金額:取引された各商品やサービスの単価と、それに基づいた合計金額。
追加情報
- 注文書番号:対応する注文書の参照番号。この番号により、検収書と注文書との対応関係が証明されます。
- 契約書や納品書へのリファレンス:これにより、すべての取引文書が互いにリンクし、追跡可能となります。
法的要求事項
- 保証期間:商品やサービスに適用される保証の条件と期間。この期間中に発生した問題は、保証範囲内で解決される可能性があります。
- 支払条件:支払いの方法と期日。これにより、販売者と購入者間の金銭的取引がスムーズに進行します。
その他の注意事項
- 特記事項:検収において特に注意すべき点や特例。これにより、特定の条件下での取引特性が明確にされます。
- 連絡先情報:問い合わせ先の電話番号やメールアドレス。何か問題が発生した際に、迅速に連絡を取ることができます。
検収書を作成する際のポイント
明確な内容の確定
検収書を作成する際には、対象となる商品やサービスの具体的な内容を明確に記載することが重要です。
これには数量、品質、価格、納期などが含まれます。例えば、建設資材の検収書では、使用される材料の種類、品質基準、必要量、納入予定日を詳細に記入します。これにより、受け取り側と提供側の誤解を避け、スムーズな取引が可能になります。
適切なフォーマットの選定
業界や取引の性質によって、適切な検収書に記載すべき項目が異なる場合もあります。どのような情報が必要なのか事前に確認し、必要に応じてカスタマイズすることがポイントです。
たとえば、建設業では、作業完了日、安全検査合格証の番号、担当者の署名などが必須項目となることが一般的です。一方でデジタル製品の取引では、ソフトウェアのバージョンやライセンス情報を含めるケースもあります。
取引の内容に応じて、適切なフォーマットを選択するようにしましょう。
正確なデータ入力
誤った情報が記載されていると、後のトラブルの原因となることがありますので、データの入力は慎重に行いましょう。特に、数値や日付の確認は徹底してください。データ入力ミスは、不要なコストの発生やプロジェクトの遅延を引き起こす原因となります。
入力ミスを避けるため、入力後は必ず確認作業を行うなど、対策を講じるようにしましょう。
迅速な発行と通知
検収作業が完了したら、速やかに検収書を発行し、関係者に通知することが重要です。これにより、プロジェクトの進行がスムーズになります。検収の結果を遅延なく伝えることで、次の作業段階に移行する準備が整います。
基本的には商品の配送が確認された直後に検収書を作成し、迅速に関係者への通知を行うようにしましょう。関係者への通知には電子メール、専用の業務用チャットツールを使用するなど、迅速かつ確実に情報を共有できる手段を選びます。
商品・サービスが納入された際に注意すべきこと
内容の正確性の確認
商品・サービスが納入された際は、その商品やサービスが契約内容と一致しているかをチェックするようにしましょう。特に数量や品質、価格が契約書通りかを検証してください。
例えば、発注した商品が100点の場合、実際に100点が届いているか、それぞれの商品が指定された品質基準を満たしているかなどを細かく検査することが重要です。
検収の適切なタイミング
商品の到着時や工事が完了した直後に検収を行うことが望ましいです。これにより、もし問題が見つかった場合に迅速に対応でき、誤って不良品や不適切なサービスを受け入れるリスクを低減できます。
例として、建設材料が到着した際には、すぐに品質チェックを行い、必要な検査証明書があるかも確認します。時間を置かずに検収を行うことで、問題が後日発覚した場合にも発注元と業者との間で明確な責任の所在を設けやすくなります。
異常があった場合の対応
商品に不備がある場合や、契約内容と異なる場合はすぐに発注者や業者に連絡を取り、その事実を明確に伝えます。不具合の詳細を文書で記録し、可能であれば写真やビデオを撮影しておくと、後の主張の根拠となります。
連絡する際は、具体的な不具合の内容や発生した状況、期待していた製品やサービスの条件などを明確に記載し、対応要請を具体的に行いましょう。
署名と記録
検収書に署名する前に、全ての項目が正確であることを再確認してください。これにより、後日発生するかもしれない誤解や紛争を防ぎます。検収が完了した証として、署名された検収書のコピーを保管することをお勧めします。
検収書の保存期間
検収書の保管期間は、法人と個人事業主で異なります。
- 法人の場合:原則として、検収書を含む帳簿書類は7年間の保管が義務付けられています。ただし、欠損金の繰り越しがある事業年度は10年間の保存が必要になります。
- 個人事業主の場合:青色申告・白色申告を問わず、検収書を含む帳簿書類は5年間の保管が必要です。
これらの期間は、検収書が電子帳簿保存法の対象書類であるため、適切な保存が求められます。保管期間が過ぎた後も、必要に応じて保管を続けることは可能ですが、最低限上記の期間は保管することが推奨されます。
例えば建設業では、竣工後の検収書を最少10年間保存することが推奨されています。この長期間保存は、施工に関わる可能性のある設計ミスや建材の問題など、後に発覚するかもしれない問題への対応のためです。
保存方法と保管のポイント
検収書を含む重要文書の保存に際しては、湿度と温度が適切に管理された場所を選ぶようにしましょう。デジタルデータの場合は、定期的なバックアップ取得とデータの暗号化が必要不可欠です。
保存期間の延長を要するケース
訴訟や調査など、特定の法的事情により文書の保存期間が通常の期間を超えて延長されることがあります。この場合、関連する全ての文書は、問題が解決し法的にクリアとされるまで、適切に保管し続ける必要があります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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