• 更新日 : 2024年7月6日

再下請負通知書とは?作成が必要なケースや書き方のポイントを解説

再下請負通知書は建設業におけるグリーンファイル(安全書類)の一つです。建設工事における下請契約の状況を上位の注文者に報告するための重要な書類で、下請業者が作成し元請業者に提出します。建設工事の着工前に提出が必要とされ、工事の安全管理を確保するための書類の一つとなっています。

この記事では、再下請負通知書の必要性や記入方法、ハンコの有無など注意点について解説していきます。

再下請負通知書とは?

再下請負通知書とは、建設業において下請業者が元請業者に提出するグリーンファイル(安全書類)の一つです。

元請会社から一次下請会社へ、そして下請会社からさらに下の業者へと仕事が委託される際に必要となります。これは、元請会社が下請けの存在を把握し、適切な安全管理が行われていることを確認するためのものです。

再下請通知書は誰が作成するのか、いつ提出するのか、それぞれ見ていきましょう。

再下請負通知書は下請業者が作成する

再下請負通知書は、下請業者が作成し、元請業者に提出します。元請業者から直接工事を請け負った下請業者だけでなく、さらにその下請業者から工事を請け負った業者(二次下請業者)も、この通知書を作成する必要があります。三次下請業者以降も同様で、全ての下請業者は再委託を行う際に通知書を提出しなければなりません。

再下請通知書はいつ提出するか

再下請負通知書は、工事が始まる前に提出しなければならない書類です。元請会社との契約が成立した後、工事が開始される前に下請業者が元請会社に提出します。

再下請負通知書の作成が求められるケース

再下請負通知書の作成が必要になるのは、主に以下のようなケースです。

  • 元請業者から工事の委託を受けた下請業者が、さらに再下請業者へと工事の一部を委託する場合。
  • 再下請業者が、さらに再々下請業者へと工事の一部を委託する場合。

再下請負通知書は、工事の内容、工期、請負金額等を明確にし、元請業者、下請業者、再下請業者の三者間で権利義務関係を明確にするために作成されます。これにより、工事の適正な施工品質の確保、支払いトラブルの防止等が図られます。

なお、再下請負通知書の作成・提出が必要となるのは、工事に関する下請契約を締結した場合に限られます。例えば資材を納入する会社や現場の警備を担う会社などは工事に関する下請け業務を締結している会社にはあたりません。よって、再下請負通知書作成の義務はありません。

一人親方の場合でも、多くの場合は再下請負通知書の提出を求められます。一人親方も他の下請業者と同じく、元請会社から仕事を受ける立場にあるからです。

再下請負通知書の書き方のポイント

再下請負通知書の作成は、建設業法に基づいて行う必要があります。再下請負通知書の形式は、元請負会社が指定する場合が一般的ですが、国土交通省のホームページからもフォーマットや記入例をダウンロードいただけます。

参考:施工体制台帳、施工体系図等|国土交通省、再下請負通知書の記載例|国土交通省

冒頭:前付けの項目の書き方

前付けの項目は、通知書の基本情報を正確に記入する部分です。

「直近上位注文者名」とは、この再下請負通知書を作成する会社に下請けの依頼をした事業者のことです。具体的には、一次下請の場合は元請業者が該当し、二次下請の場合は一次下請が該当します。

「報告下請負業者」の欄には、この再下請負通知書を作成・提出する会社の住所・名称・代表者名を記載します

≪自社に関する事項≫の項目の書き方

下請け業者自身に関する工事の事項について記載します。

工事名称及び工事内容は、自社が請け負った建設工事の名称と内容を指すものであり、建設工事全体の名称ではありません。

たとえば、建設工事全体の名称が「○○駅前ビル建設工事」である場合、下請業者は「○○駅前ビル建設工事 鉄筋加工組立工事」などと記載します。

また、工期については、自社が実際に工事を行う期間を記入します。 作成時点では見込みの期間を記載しますが、工事の進捗状況によって工期が延長されることがあれば、その延長が確定した時点で再度作成し直す必要があります。

注文者との契約日には、直前の上位注文者と自社が契約した日を記載します。

このように、再下請負通知書の各項目は、自社が請け負った工事の情報を中心に記載することが重要です。建設工事全体の概要ではなく、自社の担当範囲に関する内容を正確に記入する必要があります。

≪再下請負関係≫の項目の書き方

再下請負関係の項目では、自社が再下請負人に依頼した建設工事の内容に関する情報を記載します。

基本的な記載項目は、《自社に関する事項》と同様ですが、自社が再下請負人に委託した工事の詳細を記述することがポイントとなります。

具体的には、再下請負人の商号名称と所在地、工事名称および内容、工期、契約日、建設業の許可、技術者の氏名や資格などを記入します。

これらの情報は、自社と再下請負人との契約内容に基づいて記載するため、《自社に関する事項》とは異なる可能性があります。

事実に即した正確な情報を必ず記入しましょう。

また、自社より下に再下請負人がいない場合は、《再下請負関係》の全体に斜線を記載するなどして、その旨を明示する必要があります。

再下請負通知書にハンコは必要?

建設業法では、再下請負通知書への押印については特に定められていません。つまり、押印は法令上の義務ではありません。

再下請負通知書を作成した後の流れ

二次以下の下請業者は、一次下請業者に提出します。一次下請業者は、再下請負通知書を集めて、「下請負業者編成表」を作成し、最終的に元請会社に提出します。

再下請負通知書は、工事着工前に元請会社へ提出する必要があります。提出方法は、メールや郵送、持参するなど元請会社の指定に従います。

提出期限は、元請会社との契約内容や工事の規模によって異なりますが、工事着工の2週間前までには提出するのが一般的です。期限に遅れると、工事の開始に影響が出る可能性があるので注意が必要です。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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