• 作成日 : 2024年6月14日

第三者行為災害とは?定義や具体例、労災申請の方法などを解説

第三者行為災害とは、職場外の第三者に起因する労働災害のことです。この記事では、第三者行為災害の定義から具体例、労災申請の方法までを網羅的に解説します。

交通事故や同僚による事故、さらには動物が原因の災害など、さまざまなケースを取り上げ、発生時の対処法や注意点も併せて紹介します。

第三者行為災害の定義

第三者行為災害とは、労働者本人や事業者の過失ではなく、第三者(政府、事業主及び労災保険の受給権者)の故意または過失によって引き起こされた災害のことを指します。

例えば、労働者が業務上の移動中に交通事故に遭い、それが第三者によるものだった場合、この事故は第三者行為災害に該当します。

労働災害としては少数ですが、こうした第三者の故意や過失による災害も労働安全衛生法で認められており、労災保険の対象となります。事業者は第三者に対する損害賠償請求が可能ですが、被災労働者への補償は労災保険から支払われます。

第三者行為災害の具体例

交通事故によるケース

従業員が業務中に外部の第三者による交通事故に遭遇し、負傷した場合、これは第三者行為災害と認識されます。

例えば、配達中の郵便局の従業員が交差点で信号待ちをしている際に後ろから車に追突されたとします。この場合、従業員の負傷は業務執行中に起きた事故とみなされ、労災の適用対象となり得ます。

同僚が原因の災害

仕事中に同僚の不注意や故意による行動が原因で負傷した場合も、第三者行為災害に該当することがあります。

例えば工場作業中に同僚が機械操作を誤り、その結果、別の従業員が怪我をした例がこれに該当します。このケースでは、負傷した従業員は第三者行為災害による労災保険の申請が可能です。

動物が原因の災害

業務中に野生動物やペットなどの動物によって負傷した場合も、第三者行為災害として扱われます。

例えば、農作業中に突然現れた野生のイノシシに襲われて負傷したケースや、訪問介護中にクライアントのペットに噛まれたケースなどがこれに当たります。これらの事例では、従業員は動物の所有者や管理者が第三者とみなされ、労災保険の適用を受けることができます。

第三者行為災害が起きた時の対処法

第三者行為災害が発生した際には、迅速かつ適切に対処することが重要です。ここでは、その対処法について詳しく解説します。

事故現場の安全確保

まず最初に行うべきことは、事故現場の安全を確保することです。事故によって第二の被害が発生しないよう、安全な状態を確認してください。これには、事故現場周辺の危険物の除去や、必要に応じて交通の規制も含まれます。

証拠の保全

事故に関する証拠を保全することも大切です。現場の写真を撮影する、目撃者の証言を確保するなど、後の手続きで有利に働く情報を集めてください。特に写真は、事故の状況がよくわかる角度から複数枚撮影することが推奨されます。

警察への報告

事故の発生を警察に報告します。交通事故の場合は、警察に事故の詳細を正確に伝え、事故証明を発行してもらう必要があります。これは、後の労災申請や損害賠償請求の際に必要な書類となるため、忘れずに行ってください。

会社への報告

事故が発生したことを速やかに勤務先に報告します。第三者行為災害として扱うためには、職場に事故の発生を知らせ、必要な手続きの指示を仰ぐことが必要です。

また、事故状況の詳細を記録した書類を提出することも求められることがあります。

専門家への相談

第三者行為災害の場合、法律的な問題や労災申請など、専門的な知識が必要となることがあります。そのため、弁護士や労災保険に精通した専門家に相談することが望ましいです。専門家の助言によって、適切な補償を受けるための手続きがスムーズに進むでしょう。

第三者行為災害による労災申請の方法

申請に必要な書類

第三者行為災害による労災申請には、いくつかの書類が必要です。

まず、労災保険請求書に加え、医師の診断書が必要です。これらの基本的な書類のほかに、事故が第三者によるものであることを示す証明書や、警察の事故証明書など、事故の状況を説明する書類が求められることがあります。

これらの書類をそろえることで、労災保険請求の過程がスムーズに進行し、正当な補償を受けることが可能になります。

申請方法

第三者行為災害が発生した場合、労災申請のプロセスは次のように進行します。

まず、事故発生後速やかに所属する労働基準監督署に連絡を取り、事故の報告を行います。

報告後、前述した必要書類を準備し、これらを添付して労災保険請求書を労働基準監督署に提出します。提出方法は、直接訪問するか、郵送で行うことができます。

労働基準監督署による書類の審査が行われ、問題がなければ労災保険の給付が開始されます。このプロセスでは、書類の正確性が非常に重要となりますので、申請前には詳細な確認が必要です。

第三者行為災害が起こった際に注意すべきこと

直ちに報告する

第三者行為災害が発生した際は、直ちに雇用主や労働基準監督署に報告することが重要です。迅速な対応は、後の労災申請や第三者への損害賠償請求においても有利に働くため、事故発生後は速やかに関係機関に連絡を取りましょう。

証拠の収集

第三者行為災害が発生した際には、可能な限り多くの証拠を収集してください。事故の写真や目撃者の証言、医療記録などが含まれます。

これらの証拠は、労災申請や第三者に対する損害賠償請求の際に、事故の状況を明確に示すために非常に重要です。

医療機関での診断を受ける

事故に遭遇した後、たとえ軽症であっても、医療機関で正式な診断を受けることをお勧めします。

これは、後に労災保険の申請をする際の証拠として、また、将来的に症状が悪化した場合のための予防措置としても役立ちます。

損害賠償請求の検討

第三者の行為によって災害に遭った場合、損害賠償請求の可能性を検討することが重要です。

これには、直接的な損害だけでなく、仕事を休むことによる収入の損失や治療費など、さまざまな要素が考慮されます。適切な賠償を受けるには、法的な手続きや専門家の助言が必要になることがあります。

労災保険との併用

第三者行為による労働災害が認められた場合、被害者は労災保険の給付を受ける権利を有します。また、第三者に対する損害賠償請求と労災保険給付を併用することが可能です。

ただし、労災保険から支払われる給付と第三者から受け取る賠償金の間には調整が行われるため、専門家のアドバイスを求めることが望ましいです。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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