• 更新日 : 2026年4月1日

工事請負契約書とは?テンプレートをもとに記入例や締結方法、書き方を解説

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工事請負契約書は、建設工事を行う際に発注者と受注者の間で交わされる重要な書類です。この記事では、工事請負契約書の意味や締結するケース、テンプレートを基にした記載例、印紙の要否、管理方法などを詳しく解説します。

工事請負契約書の書き方や注意点を理解することで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズに工事を進めることができるでしょう。

工事請負契約書とは?

工事請負契約書とは、建設工事などにおいて、発注者と受注者の間で交わされる重要な契約書で、法律で契約書の作成が義務付けられています。

この契約書には、工事の内容、期間、金額、支払方法、遅延した場合の損害金、不具合が見つかった時の責任(瑕疵担保責任)など、工事に関する重要なルールが詳しく書かれています。

工事請負契約書を交わすことで、発注者と受注者の間のルールが明確になるため、トラブルを未然に防ぐことができます。もし、万が一トラブルが発生した場合にも、契約書に基づいて解決することができるため、工事請負契約書は建設工事に欠かせない書類といえます。

工事請負契約書の作成は、通常、工事を請け負う側(請負人)が作成します。しかし、契約の内容によっては、工事を依頼する側(発注者)が作成することもあります。

工事請負契約書を締結するケース

工事請負契約書は、建設工事だけでなく、様々な工事で締結されます。以下のようなケースが代表的です。

  • 新築工事: 新築住宅やビル、マンションなどの建設工事においては、工事請負契約書が必要となります。これは、工事の内容、工事期間、工事費用などを明確にするためです。
  • リフォーム工事: 既存の建物を改修または改装する場合も、工事請負契約書が必要です。これは、改修や改装の範囲、工事期間、工事費用などを明確にするためです。
  • 設備工事: 電気、水道、ガスなどの設備工事においても、工事請負契約書が必要となります。これは、設備の種類、工事期間、工事費用などを明確にするためです。
  • 外構工事: 庭や駐車場などの外構工事においても、工事請負契約書が必要となります。これは、工事の内容、工事期間、工事費用などを明確にするためです。

工事請負契約を締結する流れ

1. 工事内容と条件の確認

発注者と請負人は、工事の内容や条件について詳細に確認し、合意します。工事の目的、範囲、期間、費用、支払い方法などを明確にしておくことが重要です。

特に、工事の範囲については、図面や仕様書を用いて具体的に確認し、双方の認識に齟齬がないようにします。また、工事期間については、天候や資材調達の遅れなどを考慮し、余裕を持った設定が必要です。

現場調査の実施

工事内容を確認する際には、必要に応じて現場調査を実施します。現場の状況を直接確認することで、工事の難易度や特殊な条件の有無を把握できます。これにより、より適切な工事計画の立案と費用の見積もりが可能になります。

関連法規の確認

工事内容が建築基準法や労働安全衛生法などの関連法規に適合しているか確認します。法規に違反した工事を行うと、後から問題が発生する可能性があります。必要に応じて、専門家に相談し、適切な対応を取ることが重要です。

2. 見積書の提出と交渉

請負人は、工事の内容と条件に基づいて見積書を作成し、発注者に提出します。見積書には、材料費労務費、諸経費などの内訳を明記します。発注者と請負人は、見積書の内容について交渉し、必要に応じて修正を行います。

複数の見積書の比較検討

発注者は、複数の請負人から見積書を取得し、比較検討することが望ましいです。単に価格の安さだけでなく、工事の品質や請負人の実績なども考慮して、最適な請負人を選定します。

見積書の内容の詳細確認

見積書の内容について、発注者は詳細に確認し、不明な点があれば請負人に説明を求めます。特に、安全対策や品質管理に関する費用が適切に計上されているか確認することが重要です。

3. 工事請負契約書の作成

発注者と請負人が合意した内容を基に、工事請負契約書を作成します。契約書には、工事の内容、期間、費用、支払い方法、責任範囲、免責事項などを明記します。契約書は、トラブルが発生した際の重要な根拠となるため、細かい点まで漏れなく記載することが重要です。

4. 工事請負契約書の確認と修正

作成した契約書は、発注者と請負人の双方が内容を十分に確認し、必要に応じて修正を行います。特に、リスク分担や責任範囲については、双方の解釈に相違がないようにすることが重要です。契約書の内容について、法律の専門家に相談することも検討すべきでしょう。

5.工事請負契約の締結

契約書の内容に問題がないことを確認した上で、発注者と請負人が契約書に署名し、捺印します。署名と捺印は、契約の成立を示す重要な行為です。契約書は、発注者と請負人が各1部ずつ保管します。

工事請負契約書のテンプレート

工事請負契約書を作成する際には、適切なテンプレートを活用することで効率的に契約書を作成することができます。
以下より、工事請負契約書を無料でダウンロードいただけます。自社に合わせて適宜調整してご利用ください。

工事請負契約書の記載項目

工事請負契約書は、建設業法第19条第1項により、記載が義務付けられている事項があります。その主な内容は下記のとおりです。

契約当事者

発注者と請負人の名称、住所、代表者名を記載します。個人の場合は、氏名と住所を記載します。これにより、契約の主体が明確になり、責任の所在が明らかになります。例えば、発注者が「株式会社◯◯ 代表取締役 山田太郎」、請負人が「□□建設株式会社 代表取締役 鈴木次郎」といった具合です。

工事の内容

工事の具体的な内容・場所・仕様や期間などを詳細に記載します。曖昧な表現を避け、できる限り具体的に記述することが重要です。図面や仕様書がある場合は、それらを添付し、契約書本文中で参照することを明記します。

工事名称

契約対象となる工事の名称を記載します。例えば、「○○ビル新築工事」や「××マンション改修工事」といった具合です。

工事場所

工事を行う場所の住所や地番を記載します。例えば、「東京都港区△△1-2-3」や「福岡市中央区□□町4-5-6」といった具合です。

工事期間

工事の開始日と終了日を記載します。天候や資材の調達状況などにより、工期が変更される可能性がある場合は、その旨を記載しておきます。例えば、「着工日:2023年4月1日、完成日:2023年9月30日(ただし、天候不順等により変更の可能性あり)」といった具合です。

工事を施工しない日や時間帯

工事を施工しない日や時間帯を定める場合は、その内容を記載します。

請負代金の額

工事の対価として発注者が請負人に支払う金額を記載します。請負金額は、消費税を含めた金額を記載する必要があります。また、支払い方法や時期についても明確に記載します。

工事内容の変更・中止の場合の措置

工事の内容を変更・中止する場合の条件と、それに伴う請負代金や工期の変更方法を記載します。また、発注者の都合による工事の変更・中止によって請負人が損害を被った場合の損害賠償についても明記します。

原材料や機械の調達と費用負担

工事を行うにあたり、原材料の調達費用や建設機械の貸与について、発注者と請負人のどちらが用意するのか、費用を誰が払うのかをあらかじめ決めておく必要があります。
原材料は発注者が調達することが一般的ですが、請負人が調達する場合は、事前に発注者の承諾を得る必要があります。その際の費用負担は、発注者が負担するのが原則です。

工事完成後の検査

工事完成後の検査の時期と検査の方法、検査結果の通知方法を記載します。また、検査結果の通知をもって、工事目的物の所有権が請負人から発注者へ移転することを明記します。
不可抗力(自然災害など)による工事の中止

工事を進めていく上で不可抗力(自然災害・テロなど)による工事の中止や、発注者の責任で工事の中止があった場合の措置を定めます。

民法のルールでは、不可抗力による工事の中止が生じた場合、発注者は請負代金の支払いを拒むことができます。一方、発注者の責任で工事が中止された場合は、発注者は請負代金を支払わなければなりません。ただし、請負人が工事の中止によって利益を得た場合は、その利益を発注者に償還する必要があります。

これらのルールは、契約の定めによって変更することも可能です。変更する場合は、変更後の内容を明確に記載しましょう。

不可抗力(自然災害など)による工事の遅れ

工事を進めていく上で不可抗力(自然災害・テロなど)による工事の遅れがあった場合は、請負人は責任を負わないことを明記するのが一般的です(別のルールを定めることもできます)。請負人不可抗力の事由が生じた場合、請負人は速やかに発注者に報告すべき旨を定めましょう。

請負代金の変更

物価の急激な変動や、工事内容の追加・変更があった場合に、発注者が請負代金の変更を請負人に求めることができる旨を記載します。

第三者への損害賠償

工事の施工によって第三者に損害を与えた場合の責任について定めます。原則として、請負人がその損害を賠償しますが、発注者の指示に基づく施工で損害が生じた場合は、発注者が責任を負います。

契約の解除

発注者および請負人が契約を解除できる条件を列挙します。支払停止、仮差押、破産申立てなどがあった場合や、相手方に重大な契約違反があった場合などが該当します。

違約金

請負人が期日までに工事を完成できなかった場合の違約金について、その金額と支払い方法を記載します。

合意管轄

契約に関して紛争が生じた場合に、どの裁判所で裁判を行うかを取り決めます。

工事請負契約書で特に注意したい内容

工事の内容と範囲を明確にする

工事請負契約書では、発注者が求める工事の内容を明確に記載します。工事の範囲や仕様が曖昧だと、後々トラブルに発展する可能性があります。

具体的な工事内容、材料、工法などを詳細に記述し、双方の認識に相違がないようにしましょう。

例えば、「東京都新宿区西新宿1-1-1の敷地内における、地上3階建て、延床面積200平方メートルの木造住宅の新築工事一式」のように、工事場所、建物の規模、構造、用途を明記します。また、「第1種換気システムを採用し、全室24時間換気を行うこと」など、設備面での要求事項も漏れなく記載しておくことが大切です。

工期と完成期日を定める

工事の開始日と完成期日を明確に定める必要があります。工期が遅れた場合のペナルティや、天候不順等による工期延長の取り扱いについても、あらかじめ取り決めておくとよいでしょう。

例えば、「着工日は2023年8月1日とし、完成期日は2024年3月31日とする。ただし、天候不順や自然災害等の不可抗力による工期延長については、発注者と請負人で協議の上、決定するものとする。」といった記述が考えられます。また、工期遅延の場合のペナルティとして、「完成期日を過ぎた場合、1日あたり請負代金の0.05%を違約金として請負人が発注者に支払うこと」など、具体的な条件を明記しておくことをおすすめします。

請負代金の支払条件

請負代金の支払方法や時期を明記します。一般的には、着手金、中間払い、完成時の支払いなどに分割して支払うことが多いですが、事前に取り決めておきましょう。

例えば、「請負代金は次の通り分割して支払うものとする。着手時:請負代金の30%、上棟時:同30%、完成時:同40%」のように、支払いのタイミングと金額を明確にしておきます。

また、追加工事が発生した場合の費用負担についても言及しておくことが重要です。「追加工事が生じた場合、請負人は発注者に適切な見積書を提出し、発注者の承認を得た上で工事を実施する。追加工事費は発注者が負担するものとする」など、手続きと負担割合を決めておくとよいでしょう。

契約不適合責任(工事完成後の欠陥の補修など)の範囲

契約不適合責任とは、工事完成後に見つかった欠陥について、請負人が一定期間、無償での修補などを行う責任です。

建設工事では、引き渡し後に欠陥が発見されることがあります。例えば、基礎の沈下、屋根の雨漏り、壁のひび割れなどです。このような欠陥に対する請負人の責任範囲を契約書で明記しておくことで、工事完成後に不具合が見つかった場合の対応方針を予め定めておくことができます。

これにより、発注者と請負人の間でのトラブルを未然に防ぎ、円滑な欠陥の修補などが可能となります。

工事請負契約書に印紙は必要?

工事請負契約書に印紙が必要なケース

工事請負契約書は課税文書とされており、請負金額に応じた印紙の貼付が義務付けられています。

印紙とは収入印紙のことで、課税が必要な契約書や領収書などに貼ることで、税金を納めたことを証明するものです。ただし、収入印紙を貼り付けておくだけでは印紙としては無効で、割印があってはじめて印紙税を納税したと認められます。印紙に押印する割印は、印鑑だけでなく署名でも有効とされます。

工事請負の契約金額に応じた印紙税額は以下のようになります。ただし、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの期間に作成する建設工事請負契約書については税額が軽減されます。

契約金額 印紙税額(軽減前) 印紙税額(軽減後)
1万円未満 非課税 非課税
1万円以上100万円以下 200円 200円
100万円超200万円以下 400円 200円
200万円超300万円以下 1,000円 500円
300万円超500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超1億円以下 6万円 3万円
1億円超5億円以下 10万円 6万円
5億円超10億円以下 20万円 16万円
10億円超50億円以下 40万円 32万円
50億円超 60万円 48万円
契約金額の記載のないもの 200円 200円

出典:No.7102 請負に関する契約書|国税庁、No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税庁

工事請負契約書に印紙が不要なケース

取引金額が1万円未満の場合

印紙税は取引金額に応じて課されます。したがって、取引金額が1万円未満の場合は非課税となり、収入印紙を貼る必要はありません。

電子契約の場合

電子契約とは、電子データのみで契約を締結する方法です。「紙」に記載された文書が課税対象となるため、電子契約を採用する場合、印紙の貼付は必要ありません。

工事請負契約書の管理方法

工事請負契約書は、工事の内容や条件を明確にし、トラブルを防止するために重要な書類です。適切に管理することで、必要な時にすぐに取り出せるようにしておくことが大切です。

工事請負契約書の保管期間

工事請負契約書をはじめとするすべての契約書や文書は、適切な期間保管することが大切です。取引の証明や税務調査への対応、トラブル解決のための証拠提出など、さまざまな場面で必要になるからです。

税法上、工事請負契約書を含む取引関連書類の保存期間は、原則として7年とされています。ただし、欠損金が生じた事業年度に締結したものについては、10年間の保存が必要です。
契約トラブルが発生するリスクを考慮しても、締結後10年間程度は工事請負契約書を保存することが望ましいでしょう。

電子化を検討する

工事請負契約書を電子化すれば、保管スペースを節約できるだけでなく、検索性も向上します。さらに、電子化された契約書はパスワードや暗号化などのセキュリティ対策を施すことで、不正アクセスや情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。

加えて、電子化された契約書はクラウドサービスなどを活用することで、簡単にバックアップが取れます。これにより、災害などの不測の事態にも対応することができるのです。

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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