- 作成日 : 2025年2月20日
一人親方の日当の相場はいくら?業種別ランキングや上げる方法も解説
一人親方は、独立して働く職人や事業主を指し、特に建設業界で多く見かけます。彼らの収入は、日当制度に基づいており、地域や業種によって大きく異なります。本記事では、一人親方の日当の相場について詳しく解説します。地域ごとの相場や業種別に見た日当の差、相場を決定する要因、そして日当を上げるためのポイントについて、具体的なデータやランキングを交えてご紹介します。これにより、一人親方としての収入を考える上での参考となる情報をお届けします。
目次
一人親方の日当とは?
一人親方の日当は、その日の仕事や作業に対して支払われる報酬のことです。一人親方の日当の相場が決まる基準は主に3つあります。
- 職種
- 地域
- 経験年数や技能
一人親方の日当は、業種や地域、経験年数によって違いがあります。
建設業を例に挙げると、解体工事、塗装、配管工事など、業務内容によって日当の幅が大きく異なります。専門性が高い作業ほど報酬は高い傾向にあり、大工や資格が必要な電気工事士、消防設備士などは他の職種に比べても高い水準が見込まれます。
また、都市部では生活費や物価が高いため、日当もそれに応じて高めに設定される場合が多く、特に東京や大阪といった大都市圏では、地方と比べて数千円以上の差が出ることも珍しくありません。
さらに、経験豊富な一人親方ほど高い評価を受けやすく、保有する技能や資格、過去の実績が日当を上げる交渉材料となります。特に公共工事に関しては、令和5年と比べて、6%ほど上昇しています。
一人親方の日当相場はいくら
全建総連東京都連合会が実施した2023年の賃金調査によると、一人親方の日当相場は平均21,848円で、前年の21,731円と比べると、117円上昇しています。また、常用労働者(建設会社や工務店と直接雇用契約を結んでいる労働者)の平均日当は17,929円、手間請負(工事単位での請負契約)では22,871円という結果になりました。
1989年からの賃金の推移を見ると、2010年以降に上昇傾向ではあるものの、1992年のピーク時の平均日当26,611円と比較すると、依然として低い水準にあります。この差は約4,700円で、30年以上経過しても賃金は完全な回復には至っていないことが分かります。
また、一人親方の平均年収は、2022年で約521万円と前年比より10.8万円ほど上昇しています。
参考:2023 年(R 5 年)賃金調査報告書|全建総連東京都連合会
一人親方の職種別・日当の相場ランキング
一人親方の日当は職種によって異なります。日当相場の高い職種を知っておくことで、自身のスキルや経験を活かせる分野に特化したり、より収益性の高い仕事を選ぶ判断材料にすることができます。
1位:防水:平均24,727円
防水の仕事内容は、建物の屋根や外壁、ベランダなどに防水処理を施し、雨漏りや水の浸入を防ぐ作業です。防水シートや塗膜など、建物の特性に応じた施工が求められます。
2位:設備:平均24,693円
設備は、給排水管や空調システムの設置、修理、メンテナンスを行う作業です。建物の機能性や快適性を支える重要な役割を担います。
3位:配管:平均22,730円
配管とは、建物や施設内外において、液体・気体・固体を輸送するための管(パイプ)を設置・接続する作業、またはその仕組みを指します。配管は、建築設備やインフラ整備に欠かせない要素です。
4位:内装:平均22,321円
内装は、室内の壁や床、天井の仕上げ工事を行う作業です。クロス張りやフローリングなど、美観と機能性を両立させる施工が求められます。
5位:塗装:平均21,845円
塗装は、建物の外壁や内壁に塗料を塗り、美観を整えるとともに、防水性や耐久性を高める作業です。仕上がりの品質が顧客満足度に直結します。
6位:電工:平均21,728円
電工の仕事内容は、電気配線や照明設備の取り付け、コンセントの設置など、建物の電気設備全般を担当する作業です。電気工事士資格が必要な専門性の高い職種です。
7位:大工:平均21,223円
大工は、木材を加工して住宅や建物の骨組みを作るほか、家具や内装の工事を行う作業です。設計図に基づく精密な施工が求められます。
8位:土木:平均20,652円
土木の仕事内容は、道路や橋、トンネル、河川などのインフラ整備を行う作業です。基盤工事を支える重要な役割を担います。
9位:解体:平均19,967円
解体の仕事内容は、古い建物や構造物を取り壊す作業です。手作業や重機を使って、安全かつ効率的に分解・撤去を行います。
10位:左官:平均19,503円
左官の仕事内容は、モルタルや漆喰を用いて、建物の壁や床を仕上げる作業です。熟練した技術が求められ、美しい仕上がりが重要とされます。
一人親方の日当を上げるには?
一人親方の日当を引き上げるためには、スキルアップや顧客との関係構築が重要です。
日当を上げるための方法はいくつかありますが、まずは技術的なスキルを向上させることが基本です。より高度な技術を習得することで、他の業者よりも高い報酬が得られる可能性が増します。例えば、最新の建築技術やデザインのトレンドを学ぶことで、提案できるサービスの幅が広がります。
次に、顧客との信頼関係を構築することが挙げられます。直接的なコミュニケーションを重視し、顧客の要望や苦情に丁寧に耳を傾ける姿勢が求められます。また、口コミやリピート客を得るためには、依頼された仕事を丁寧に行い、満足度を高める努力が欠かせません。良好な関係を築くことで、価格改訂を行いやすくなる場合もあります。
さらに、営業のスキルを養うことも必要です。自分のサービスを適切に分かりやすく説明できることで、契約を得るチャンスが増えます。これによって、新たな顧客を獲得し、安定した収入を確保できるでしょう。加えて、ネット上でのプレゼンスを強化することも一つの方法です。SNSや自社のウェブサイトを利用して、自分の実績や提供可能なサービスを広く発信することで、集客につながります。
これらのポイントを踏まえて、一人親方としての価値を高める努力をすることが、日当を向上させるための第一歩となります。
一人親方の日当の決め方
一人親方は、独自のビジネスを運営する際に、いくつかのコストを把握することが重要です。これにより、自己の経営状況をより良く理解し、適切な日当設定に繋がります。ここでは、一人親方が考慮すべきコストの詳細を説明します。
直接的な運営コスト
一人親方にとって、直接的な運営コストは日々の活動に欠かせない要素です。具体的には、材料費や工具の購入費用、人件費などが含まれます。これらのコストは、プロジェクトごとに変動するため、事前に見積もりを行うことが望ましいです。特に、急な材料価格の変動にも対応できるように、一定の予算に余裕を持たせることが大切です。
間接的なコスト
また、間接的なコストも見逃せません。例えば、事務所の賃料や光熱費、通信費、場合によっては保険料も考慮しなければなりません。これらは直接的なプロジェクトの遂行には関与しないものの、ビジネスを運営する上で必要不可欠な費用です。特に、少しずつでも積み重なることで大きな金額になるため、継続的な管理が求められます。
ただし、一人親方は事業主であるため、特別労働災害保険への加入は必要です。特別労働災害保険に加入していないと、作業現場に入ることができなくなります。
税金や社会保険料
さらに、税金や社会保険料も忘れてはいけないコストです。所得税や消費税、営業に関する税金は、事業形態によって異なるため、一人親方として留意したいポイントです。また、健康保険や年金などの社会保険料も必要になります。これらの支出は、将来の安心に繋がるため、正確に計算し、確保しておくことが賢明です。
予備費用の確保
最後に、あまり知られていないかもしれませんが、予備費用の設定も重要です。予想外のトラブルや急な支出に備えて、一定の資金を用意しておくことが、ビジネスの継続的な成功に寄与します。特に、業界の動向や過去の経験を踏まえて適切な額を設定しておくと、安心して業務を推進できるでしょう。
一人親方の日当を上げるために技術向上とコストを正確に把握しよう
一人親方の日当相場は、労働市場や業種によって大きく影響を受けます。その中で、収入を向上させるには、自身の経験やスキルを最大限に活かし、適正な相場を理解することが欠かせません。また、専門技術を磨き、顧客との信頼関係を築くことも、日当アップに必要なポイントです。さらに、各種コストを正確に把握し、適切な価格設定を行うことで、安定した収益を確保し、より強固な経済基盤を築くことが可能になります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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