• 更新日 : 2026年4月1日

間接工事費とは?費用の計算方法や例をわかりやすく解説

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間接工事費とは、建築や土木工事において工事の進行に必ず必要な費用のことです。例えば、足場の設置や資材の運搬、防音対策、管理費用などを指します。

この記事では、直接工事費との違いや具体的な内訳、計算方法についてわかりやすく解説します。間接工事費を適切に計上しないと、工事原価の積算が正確にできず、利益がなくなるなど、経営に問題が生じる可能性もあります。適切に計上し効果的に管理することが重要です。

間接工事費とは?

間接工事費は、建設工事において直接的な施工に関わらない費用のことを指します。例えば、資材の運搬費用や足場の設置費用、近隣への防音対策などが含まれます。また、現場で働く作業員ではないものの、工事にかかわる従業員の給与は間接工事費に含まれます。

間接工事費と直接工事費との違い

建設工事の総費用は、大きく分けて直接工事費と間接工事費から構成されています。直接工事費が実際の建設作業に直接関わる費用であるのに対し、間接工事費は工事全体を円滑に進めるために必要な支援的な費用です。

工事費の構成は以下のようになっています。

  • 直接工事費:材料費労務費、直接経費(水道光熱電力料、機械経費)など
  • 間接工事費:共通仮設費、現場管理費、一般管理費

これらの費用を適切に見積もり、管理することで、建設プロジェクトの成功につながります。

間接工事費の例

間接工事費には様々な項目が含まれます。具体的な例としては以下のようなものがあります。

  • 仮設事務所の設置・維持費
  • 工事現場の警備費用
  • 安全管理や環境対策の費用
  • 工事保険料
  • 現場に関わる管理者や事務員の人件費
  • 各種申請手続きの費用
  • 会社の一般的な経費(本社経費)

これらの費用は、直接的な建設作業には関わりませんが、工事を安全かつ効率的に進めるために不可欠なものです。

間接工事費の内訳:3つの費用

共通仮設費

共通仮設費とは、工事現場で一時的に設置され、工事終了時には撤去される仮設物の費用のことを指します。これには、足場や管理事務所、従業員の休憩所などの設置費用、仮設物に関わる光熱費、排水工事、備品代、撤去費用などが該当します。

共通仮設費の具体的な項目は以下のとおりです。

費用項目 内容
準備費 工事開始前の現場準備に関連する費用
工事用地の調査・測量費、工事用地の整地費、工事用地の除草費、建設廃棄物等の搬出費、建設廃棄物等の処分費など
仮設建物費 工事現場に設置される仮設建物(事務所、倉庫、作業員の更衣室など)に関わる費用
仮設建物の建築費、仮設建物の解体費、仮設建物の保守・管理費など
工事施設費 工事現場に設置する特定の施設に関する費用
仮囲いの設置費、仮囲いの撤去費、工事用道路の舗装費、工事用道路の撤去費など
環境安全費 現場の環境保護と作業員の安全確保に関連する費用
粉塵対策費、騒音対策費、振動対策費、落下物対策費、安全標識費、安全用具費など
動力用水光熱費 工事現場での電力、水道、照明などのエネルギー利用に関わる費用
工事用電気料金、工事用水道料金、工事用ガス料金など
屋外整理清掃費 現場の整理整頓と清掃にかかる費用
工事現場周辺のゴミ清掃費、工事現場周辺の雑草刈り費など
機械器具費 工事で使用される各種機械や器具の購入、レンタル、維持管理に関する費用
クレーンなどの重機のレンタル費、コンプレッサーなどの小型機械のレンタル費、建設機械の購入費など
その他 警備を担うガードマン、試掘費、地下水対策費、防災費など

現場管理費

現場管理費は、工事現場の運営や管理に必要な経費です。主に職人以外の従業員の人件費や福利厚生費、仮設事務所、事務経費、車両の損害保険料などが含まれます。

現場管理費の具体的な項目は以下のとおりです。

費用項目 内容
労務管理費 作業員にかかる賃金以外の費用
募集や解散にかかる費用、慰安・娯楽費用、作業用具や作業着の費用など
租税公課 税金や公的な団体に支払う負担金の全般
固定資産税、都市計画税、自動車税、不動産取得税、印紙税、登録免許税などの税金や、反則金など
保険料 社会保険料などの保険制度を維持するための費用
健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の保険料
作業員の給料手当 作業員に支払われる給料や手当
現場手当、職務手当、能力手当、勤怠手当、成果手当など
退職金 従業員が退職する際に支払われる一定の金額
法定福利費 法律に基づいて従業員に提供しなければならない福利のための費用
社会保険料や労働保険料、厚生年金などの負担が含まれる
福利厚生費 従業員が働きやすい環境をつくるため、会社が支給する物品や癒しの機会といった福利厚生に関する支出
事務用品費 事務作業を円滑に行うために必要な用品や消耗品にかかる費用
ノート、ペン、ファイルなどの文具類や、プリンターのインクやトナーカートリッジなどの消耗品
通信交通費 通信に要した費用や通勤にかかる費用
電話やインターネットを使用する際の通信料金やはがきや切手代などの郵便料金、通勤にかかる交通費など
交際費 取引先に対する接待などの支払い
接待飲食費など
補償費 事故や災害などによる損害を補償するための費用
外注経費 外部の専門家や業者に業務を委託するための費用
工事登録等に要する費用 工事の登録や許可を取得するための費用
動力用水光熱費 動力として使用する電力やガス、水道などの費用
公共事業労務費調査に要する費用 公共事業の労務費を調査するための費用
雑費 他の項目に該当しない、事業運営に必要なその他の費用

一般管理費

一般管理費は、企業全体の経営に関わる間接的な費用です。本社機能の維持や経営管理に必要な費用が含まれます。

一般管理費の具体的な項目は以下のとおりです。

費用項目 内容
人件費関連 本社や営業所の従業員への給与、福利厚生費(社会保険料・退職金・健康保険組合)など
物件費用 本社や支社の賃料や修繕費用、光熱費、固定資産の減価償却費、無形資産の償却費など
税金 事業税や印紙税、固定資産税、登録免許税などの税金
ただし、法人住民税はその利益に対して付されるものなので、一般管理費には計上できません
その他雑費 インターネットなどの通信費、事務用品費、一時的な機材等のレンタル費用や事務所の引越しにかかった費用、振込手数料、クレジットカードの年会費、掃除やクリーニング等の手数料など

間接工事費の計算方法

国土交通省の基準をもとに計算する

間接工事費の計算において、国土交通省が定めた基準は重要な指針となります。この基準は、工事の種類や規模に応じて適切な間接工事費を算出するための指標を提供しています。

国土交通省の基準には、以下のような特徴があります。

  • 工事の種類別に細分化された計算式
  • 工事規模に応じた補正係数
  • 地域特性を考慮した調整項目

具体的な計算手順は以下の通りです。

  1. 工事の種類を特定する
  2. 直接工事費を算出する
  3. 工事規模に応じた補正係数を選択する
  4. 地域特性による調整を行う
  5. 基準に定められた計算式に数値を代入する

この方法は、公共工事や大規模な民間工事で広く採用されており、客観的かつ公平な間接工事費の算出が可能です。

過去実績に基づいた比率で計算する

建設会社や設計事務所などでは、過去の工事実績をデータベース化し、それに基づいて間接工事費を算出することがあります。この方法は、特に類似した工事を繰り返し行う場合に効果的です。

過去実績に基づく計算方法の利点:

  • 自社の実情に即した精度の高い見積もりが可能
  • 迅速な概算見積もりが可能
  • 工事の特性や難易度を反映しやすい

具体的な手順は以下の通りです。

  1. 類似工事の過去データを抽出する
  2. 直接工事費に対する間接工事費の比率を算出する
  3. 現在の工事の直接工事費を見積もる
  4. 算出した比率を適用して間接工事費を計算する
  5. 必要に応じて、現在の経済状況や工事特性による調整を行う

この方法は、企業独自のノウハウを活かせる反面、市場の変化や新しい工法の導入に対応しきれない可能性があるため、定期的な見直しが必要です。

積み上げ方式による詳細計算

より精密な間接工事費の算出が必要な場合、各項目を個別に積み上げて計算する方法があります。この方式は手間がかかりますが、最も正確な結果が得られます。

積み上げ方式の特徴:

  • 各費用項目を詳細に検討できる
  • 工事の特殊性を反映しやすい
  • コスト削減の余地を見つけやすい

計算の手順は以下の通りです。

  1. 間接工事費の各項目をリストアップする
  2. 項目ごとに必要な数量や単価を見積もる
  3. 各項目の費用を個別に計算する
  4. 全ての項目の費用を合計する
  5. 直接工事費との整合性を確認し、必要に応じて調整する

この方法は、大規模プロジェクトや特殊な工事で特に有効です。ただし、計算に時間がかかるため、簡易な工事や概算段階では適していません。

間接工事費の計算は、工事の成否を左右する重要な要素です。適切な方法を選択し、正確な計算を行うことが、建設プロジェクトの成功につながります。また、定期的に計算方法を見直し、最新の市場動向や技術革新を反映させることも重要です。

間接工事費の計算例

小規模工事の計算例

小規模工事における間接工事費の計算例を見てみましょう。直接工事費が500万円の場合を想定します。

  • 共通仮設費:直接工事費の3%と仮定すると、15万円(500万円 × 0.03)
  • 現場管理費:直接工事費の10%と仮定すると、50万円(500万円 × 0.10)
  • 一般管理費:直接工事費の5%と仮定すると、25万円(500万円 × 0.05)

この場合、間接工事費の合計は90万円(15万円 + 50万円 + 25万円)となります。全体の工事費は590万円(直接工事費500万円 + 間接工事費90万円)です。

中規模工事の計算例

次に、中規模工事の計算例を見てみましょう。直接工事費が2,000万円の場合を想定します。

  • 共通仮設費:直接工事費の2.5%と仮定すると、50万円(2,000万円 × 0.025)
  • 現場管理費:直接工事費の8%と仮定すると、160万円(2,000万円 × 0.08)
  • 一般管理費:直接工事費の4%と仮定すると、80万円(2,000万円 × 0.04)

この場合、間接工事費の合計は290万円(50万円 + 160万円 + 80万円)となります。全体の工事費は2,290万円(直接工事費2,000万円 + 間接工事費290万円)です。

大規模工事の計算例

最後に、大規模工事の計算例を見てみましょう。直接工事費が1億円の場合を想定します。

  • 共通仮設費:直接工事費の2%と仮定すると、200万円(1億円 × 0.02)
  • 現場管理費:直接工事費の6%と仮定すると、600万円(1億円 × 0.06)
  • 一般管理費:直接工事費の3%と仮定すると、300万円(1億円 × 0.03)

この場合、間接工事費の合計は1,100万円(200万円 + 600万円 + 300万円)となります。全体の工事費は1億1,100万円(直接工事費1億円 + 間接工事費1,100万円)です。

工事規模による間接工事費の変動

上記の例から、工事規模によって間接工事費の割合が変動することがわかります。一般的に、工事規模が大きくなるほど、直接工事費に対する間接工事費の割合は小さくなる傾向があります。これは規模の経済が働くためで、大規模工事ではより効率的な管理が可能になるからです。

地域による間接工事費の違い

間接工事費は地域によっても異なります。例えば、東京都と地方都市では、人件費や資材費の違いにより、間接工事費の計算結果が変わってきます。東京都の場合、地方都市と比べて以下のような違いが生じる可能性があります。

  • 共通仮設費:用地借上げ費用が高くなる可能性がある
  • 現場管理費:労務費が高くなる傾向がある
  • 一般管理費:本社経費が高くなる可能性がある

これらの要因により、同じ規模の工事でも東京都の方が間接工事費が高くなることがあります。

工事の種類による間接工事費の違い

工事の種類によっても間接工事費は変動します。例えば、建築工事と土木工事では、以下のような違いがあります。

建築工事の場合:

  • 共通仮設費:仮設建物の設置費用が高くなる傾向がある
  • 現場管理費:専門的な技術者の配置が必要となり、人件費が高くなる可能性がある
  • 一般管理費:設計変更が多いため、管理コストが高くなることがある

土木工事の場合:

  • 共通仮設費:広域にわたる仮設道路の整備費用が発生することがある
  • 現場管理費:天候の影響を受けやすいため、工程管理に関するコストが高くなる可能性がある
  • 一般管理費:長期にわたる工事が多いため、全体的な管理コストが高くなることがある

季節による間接工事費の変動

工事を行う季節によっても間接工事費は変動します。特に、冬季と夏季で大きな違いが生じることがあります。

冬季の場合:

  • 共通仮設費:防寒対策や除雪作業のための費用が追加で必要になる
  • 現場管理費:作業効率の低下により工期が延びる可能性があり、人件費が増加する
  • 一般管理費:冬季特有のリスク管理のためのコストが発生する

夏季の場合:

  • 共通仮設費:熱中症対策のための設備費用が必要になる
  • 現場管理費:作業時間の制限により工期が延びる可能性があり、人件費が増加する
  • 一般管理費:夏季特有の安全管理コストが発生する

工期による間接工事費の変動

工期の長さによっても間接工事費は変動します。一般的に、工期が長くなるほど間接工事費は増加する傾向にあります。

短期工事(3ヶ月未満)の場合:

  • 共通仮設費:仮設備の設置期間が短いため、費用が抑えられる
  • 現場管理費:集中的な管理が可能なため、効率的な人員配置ができる
  • 一般管理費:短期間のため、全体的な管理コストを抑えられる

長期工事(1年以上)の場合:

  • 共通仮設費:仮設備の維持管理費用が長期にわたり発生する
  • 現場管理費:長期的な人員配置が必要となり、人件費が増加する
  • 一般管理費:長期間の管理が必要となり、全体的なコストが増加する

間接工事費の計上における注意点

間接工事費を計算する際は、以下の点に注意する必要があります。

  • 工事の特性を十分に考慮する
  • 過去の類似工事のデータを参考にする
  • 地域の特性や季節要因を加味する
  • 工期の変動可能性を考慮する
  • 発注者との協議を十分に行う

これらの点を踏まえ、適切な間接工事費を算出することが、工事の円滑な進行と適正な利益確保につながります。

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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