- 更新日 : 2024年8月11日
印鑑不鮮明とされる範囲は?にじみやかすれの程度や失敗の原因、訂正方法を解説
印鑑の不鮮明さは、にじみやかすれ、文字の欠けなどが原因で、銀行などで不備が生じたり、書類が受理されたりしないことがあります。
この記事では、印鑑が不鮮明とされる範囲や原因、実印と認印の違い、不鮮明な印鑑の訂正方法、きれいに捺印するコツ、印鑑と朱肉の正しい保管方法について解説します。これらを理解することで、印鑑トラブルを未然に防ぎ、スムーズな手続きが可能になるでしょう。
目次
印鑑が不鮮明とされる範囲は?
印影が不鮮明だと、銀行などの金融機関で書類を提出する際に書類が受理されず、不備となる場合や、手続きが滞ってしまう可能性があります。
では、具体的にどのような状態が不鮮明とみなされるのでしょうか。
朱肉のにじみ
印鑑を押す際に、朱肉の量が多すぎると、印影の周囲に朱肉が広がり、印影がにじんでしまうことがあります。にじみが大きい場合、印影の輪郭がぼやけて判別しづらくなり、不鮮明と判断されることがあります。
印鑑の文字がはっきりと認識できる程度のにじみであれば、許容範囲内とされますが、印影の周囲に朱肉が広がり、印影そのものがぼやけて不明瞭になっている状態は適切ではないと判断されることが多いです。印影の鮮明さは、文字の読みやすさと輪郭の明確さによって判断されます。
特に、実印の場合は、認印よりも厳しい基準が適用されるため、にじみには十分注意が必要です。
例えば、銀行で預金口座を開設する際に、届出印として使用する印鑑の印影にじみが1mmを超えると、再提出を求められるケースがあります。適量の朱肉を使用し、にじみを最小限に抑えることが大切です。
印影のかすれ、薄れ
反対に、朱肉の量が少なすぎたり、印鑑の押し方が弱かったりすると、印影がかすれたり薄くなったりします。かすれや薄れが著しいと、印影の一部が欠けて見えたり、判別が困難になったりします。特に、印鑑の表面が汚れていたり、古くなって劣化していたりすると、このような問題が起こりやすくなります。
かすれや薄れが、印鑑の文字が明確に判読できる程度であれば、問題ないとされますが、印影全体が薄く、文字の判読が難しい場合は不明瞭と見なされます。
適度な力で印鑑を押し、くっきりとした印影を残すようにしましょう。
文字の欠け
印鑑の文字が欠けると印鑑は不鮮明とされ、銀行や公的機関での手続きに不備が生じる可能性があります。
印鑑の文字が明確に判読できる程度の軽微な欠けは許容される場合もありますが、文字の一部が完全に欠けている場合は、不鮮明とみなされます。
印鑑に欠けが生じていないか定期的に確認することが重要です。
上下逆さま
印鑑を上下逆さまに押してしまっても、印影が鮮明であれば有効とされます。つまり、印鑑が上下逆さまであっても、印影がはっきりとしていれば、銀行や公的機関での手続きに不備は生じません。
しかし、印鑑が上下逆さまで、かつ印影が不鮮明である場合は無効とされる可能性があります。
とはいえ、契約などの場面では、できれば上を向くようにきちんと訂正しておくことをおすすめします。契約には必ず相手がいるため、余計な詮索をされてしまう可能性があるからです。
印鑑不鮮明の許容範囲は実印か認印かでも異なる
実印と認印は、その使用目的と法的な効力により、不鮮明さの許容範囲が異なります。実印は、契約書や重要な書類に使用され、法的な効力を持つため、印影がはっきりとしていることが求められます。
わずかなにじみやかすれも許容されない場合もあります。一方、認印は、日常的な業務で使用されることが多く、印影が多少不鮮明でも許容されることがあります。
印鑑が不鮮明な場合の訂正方法
印鑑を押したけれど、にじんだりかすれたりしてしまい、印影がしっかりと出なかった場合、訂正し印鑑を押し直します。
まず、間違えて押した印影の上からボールペンなどで二重線を引き、印影を打ち消します。次に、横などの空いている場所に、正しく印鑑を押し直します。最後に、二重線を引いた印影の一部にかかるように、訂正印を押します。この訂正印は同じ印鑑を使用しても構いません。これで、訂正したことと訂正者がわかります。
訂正をする際は、修正液や修正テープを使うのは避けましょう。誰が間違えを訂正したのか分からず、文書の信頼性が低下したり、改ざんが疑われたりする可能性があります。
また、認印の中には、小さいサイズの「訂正印」と呼ばれるハンコがありますが、これは押印を訂正する際の訂正印とは意味合いが異なります。小さいサイズの「訂正印」と呼ばれる認印は、主に簿記や社内文書の訂正などに使用されるものであり、印鑑の訂正には使えません。
印鑑のきれいな(捺印)押し方のコツ
スムーズな手続きのために、印鑑を押すのが苦手な方でもすぐに実践できる、印鑑のきれいな押し方をご紹介します。
朱肉の選び方
朱肉には「練り」と「スポンジ」の2種類があります。スポンジタイプは速乾性が高く、にじみにくいとされています。一方、練り朱肉は高級感があり、大切な書類に使用する場合におすすめです。
朱肉の価格は、スポンジタイプの朱肉が比較的安価で、練り朱肉は高価な傾向があります。
印鑑を清掃し美しい印影を保つ
古い朱肉が印面に付着していると、鮮明な印影になりません。使用前に印面を拭き取りましょう。朱肉が残っている場合は、印鑑専用のブラシや、毛先の柔らかい歯ブラシを使って、印鑑を優しく磨きます。
また、印鑑を使用した後は、柔らかい布やティッシュで朱肉をしっかりと拭き取ります。
ただし、印鑑の素材によっては水洗いが適さない場合があります。特に木材や角の素材の印鑑は水分を吸収しやすく、水洗いによって劣化する可能性があります。素材に応じた適切なお手入れ方法を選びましょう。
捺印マットがない場合は、厚めの本で代用
1回で押印が成功するように捺印マットを敷くのが最適ですが、手元にない場合は、できるだけ分厚い本などを敷くようにしてください。そうすることで、印鑑を安定して押すことができます。
ただし敷くものが柔らかすぎると、印鑑を押した時に沈みすぎてしまって、印影がにじんだり、ぶれてしまったりする可能性があるため、適度な硬さのあるものを選びましょう。
垂直に押印し、適度な力加減で
印鑑を押す際には、印鑑が紙面に対して垂直になるように注意しましょう。印鑑が傾いてしまうと、一部が薄くなったり欠けたりする可能性があります。
また、印鑑を押す力加減も重要です。力を入れすぎると、印影がにじんだり、紙が破れたりする可能性があります。逆に力が足りないと、印影が薄くなってしまいます。適度な力加減で、印鑑全体が均一に紙面に接触するように押しましょう。目安は、印面全体に均等に力がかかる程度の力加減です。
試し押しで印影を確認する
大切な書類に押印する前に、試し押しをすることをおすすめします。試し押しで印影の状態を確認し、必要に応じて朱肉の量や押印の力加減を調整しましょう。
印鑑の種類によって適切な押印方法は異なるため、自分の印鑑の特性を知ることも重要です。
印鑑や朱肉の保管の仕方
印鑑を長持ちさせるために、印鑑はケースに入れて、直射日光や高温多湿を避けて保管しましょう。風通しの良い冷暗所が最適な保管場所と言えます。
朱肉の保管は、スポンジタイプの場合、特別なメンテナンスは必要ありません。ただしインキが少なくなってきた場合には、補充の必要があります。
練りタイプの朱肉の場合は、温度変化や乾燥に弱いため、直射日光や湿気のある場所は避け、温度差の激しいところも避けましょう。
また、練り朱肉は長く使用してると朱肉の真ん中が凹んできます。金属製の肉ベラやバターナイフのようなものを使用して練りこみ、上から押して平らにします。定期的なメンテナンスにより、押印で綺麗な印影を残せるようになります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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