• 作成日 : 2024年6月21日

注文請書とは?テンプレートを基に書き方や収入印紙の要不要を解説

注文請書とは、商品やサービスの発注内容を明確にするための重要な書類です。この記事では、注文請書の意味や役割、注文書との違い、発注から支払いまでの流れ、テンプレートや書き方、注意点、収入印紙の必要性などについて詳しく解説します。

注文請書とは?

注文請書(ちゅうもんうけしょ)とは、商品やサービスを発注する際に発注内容を明確にするための書類です。注文請書には、発注者と受注者の情報、注文内容、数量、金額、納期など、取引に必要な情報が記載されます。

注文請書の役割は、発注内容を明文化し、発注者と受注者の間で認識を共有することです。これにより、トラブルを防止し、スムーズな取引を行うことができます。特に、建設業界や工務店など、大規模な取引が行われる業界では、注文請書の作成が必須となっています。

注文書と注文請書の違い

注文書と注文請書は、ともに発注内容を明確にするための書類ですが、役割が異なります。注文書は、発注者が受注者に対して発注内容を伝える書類であり、受注者の承諾を得る前に発行されます。一方、注文請書は、受注者が注文書に基づいて発注内容を確認し、承諾した後に発行される書類です。

つまり、注文書は発注者から受注者への申込書であり、注文請書は受注者から発注者への承諾書と言えます。注文請書には、注文書の内容に加えて、受注者が確認した注文内容や金額、納期などが記載されます。

見積もりから支払いまでの流れ

建設業界や工務店では、発注から支払いまでの流れを理解し、適切な書類を作成することが重要です。ここでは、建設業のプロジェクトの工事契約から完了までの一連の流れと、発注者と受注者が作成する必要な書類をわかりやすくまとめました。

工程発注者が作成する書類受注者が作成する書類
① 見積もり見積依頼書見積書
② 注文・発注注文書注文請書
③ 契約工事請負契約書
④ 工事受領書納品書・工事完了報告書
⑤ 検査・検収検収書(受領書)
⑥ 支払い領収書請求書

それぞれの工程を、詳しく見ていきましょう。

見積もり

発注者が工事内容を検討し、受注者に見積もりを依頼する工程です。
発注者は見積依頼書を作成し、受注者に提出します。これは、工事内容や条件を明記し受注者に伝えるための文書です。受注者は見積依頼書を基に見積書を作成し、発注者に提出します。

注文・発注

見積もりを検討した発注者が、受注者に正式に工事を依頼する工程です。
発注者は見積書を確認し、内容に問題がなければ工事を依頼するため、発注書(注文書)を作成し受注者に発行します。受注者は発注書の内容を確認し、合意することで契約が成立し発注書に対する承諾の意思表示として発注請書(注文請書)を作成・発行します。

契約

発注者と受注者が工事請負契約を締結する工程です。
双方が合意した内容を基に、発注者は工事請負契約書を作成します。これは、工事の詳細な内容や条件、費用などを明記した法的な文書です。

工事

受注者が契約に基づいて工事を実施する工程です。
受注者は契約に基づき、工事を開始します。工事が完了したら、受注者は納品書・工事完了報告書を作成し、発注者に提出します。発注者はこれを受け取り、受領書を作成します。

検査・検収

工事完了後、発注者が工事内容を確認し、検収する工程です。
発注者は商品やサービスを検査(検収)し、問題がなければ受け入れ、検収書(受領書)を作成します。

支払い

検収後、発注者が受注者に工事代金を支払う工程です。
発注者は受注者に対して、契約に基づく支払いを行います。受注者は請求書を作成し、発注者に提出します。発注者は支払いを確認した後、領収書を作成します。
以上が、工事契約から完了までの一般的な流れです。ただし、具体的な手続きは取引の内容や双方の合意により異なる場合がありますので、ご注意ください。

注文請書のテンプレート

注文請書は、業種によって記載内容が異なる部分もありますが、単価や納期、個数など、定型で決まっている項目もあります。テンプレートを利用して必要部分を加筆・削除していくことで、漏れなく効率的に注文請書を作成できるでしょう。

発注書(注文書)のテンプレートは以下のページからダウンロードができます。

注文請書の書き方

注文請書は、発注者と受注者の間で取り交わされる重要な書類です。発注内容を明確に伝え、トラブルを防止するために、正しく書きましょう。

注文請書に記載する項目

  • 宛先:発注先の正式な会社名を記入し、「御中」を添えます。
  • 発注番号:注文請書の管理番号を記入します。通常、連番や日付を組み合わせた番号を使用します。
  • 発注日:書類を発行した年月日を記入します。
  • 件名:業務やプロジェクトの名称を記入します。
  • 納期:納品や工事完了の期日を記入します。
  • 納品場所:納品先や工事の場所を記入します。住所や施設名などを明記します。
  • 支払条件:支払方法、支払期日など
  • 摘要:摘要(品名)は、注文内容の詳細説明や特記事項を記入します。必要に応じて、仕様、材質、色、サイズなどを明記します。摘要欄を活用し、注文内容の詳細や特記事項を記入することで、発注者と受注者の認識を一致させることができます。
  • 数量、単位、単価、金額:それぞれ正確に明記します。
  • 小計・消費税・合計:発注内容の小計、消費税額、合計金額を記入します。
  • 注文者情報:注文者の会社情報を記入します。会社名、住所、電話番号、担当者名を明記します。

注文請書に関する注意点

必要事項を漏れなく記載する

注文請書には、発注者と受注者の情報、注文内容、数量、金額、納期など、取引に必要な情報を漏れなく記載しましょう。記載漏れがあると、トラブルの原因になります。

内容を確認し、双方が合意する

注文請書の内容は、発注者と受注者の両者が確認し、合意する必要があります。内容に誤りや齟齬がある場合は、修正や再発行が必要です。

書面で作成し、証拠として保管する

注文請書は、口頭での合意ではなく、書面で作成することが重要です。また、後日のトラブルに備えて、証拠として一定期間保管しておきましょう。保管期間は、個人事業主の場合は、注文請書の保管期間は原則5年です。ただし、消費税の課税事業者であれば、注文請書の保管期間は7年となります。

法人の場合は、注文請書の保管期間は7年と定められています。ただし、欠損金が発生する事業年度においては、保管期間が10年に延長されることもあります。
また、紙で発行・受領した注文請書は、原本をスキャンして電子データに変換してから保存することができます。ただし、スキャナ保存する際の要件が細かく定められているので確認が必要です。

署名・捺印する

注文請書には、業界の商慣習や取引先との取り決めにより受注者の署名と捺印を付すケースもあります。これにより、受注者が注文内容を確認し、承諾したことを明示します。社印や実印など、適切な印鑑を使用し、捺印済みの注文請書は、両者が1部ずつ保管します。

電子化する場合はルールを確認する

注文請書を電子化する場合は、事前に発注者と受注者の間でルールを確認しておく必要があります。電子署名の方法や、データの保管方法などを決めておきましょう。

注文請書には収入印紙が必要?

注文請書は、印紙税法上の「請負に関する契約書」に該当し、一定の要件を満たす場合は印紙税の課税対象となります。注文請書の内容が請負契約に該当し、取引金額が1万円以上の場合は、収入印紙の貼り付けが必要です。印紙税の額は、契約金額に応じて定められています。

印紙代は発注側・受注側どちらが負担する?

印紙代の負担については、多くの場合、注文請書の発行者(受注者)が負担します。しかし、特に取引金額が大きい場合などは、収入印紙代の支払いを折半する会社や話し合いによって決める会社もあります。後になってトラブルになる事態を避けるために、事前にどちらが負担するかを話し合っておくことが推奨されています。

電子化した注文請書は印紙税が不要

電子化した注文請書については、収入印紙の貼り付けは不要となります。
電子メールで送信した後に現物の交付がなされない場合、課税文書を作成したことにはならないため、印紙税の課税原因は発生しないとされています。ただし、電子メールで送信した後に現物を別途持参するなどの方法により相手方に交付した場合には、課税文書の作成に該当し、現物の注文請書に収入印紙が必要です。

また、電子化した注文請書の保管方法は、電子帳簿保存法の改正により、そのまま電子データとして保存することが義務付けられています。紙での保存は認められていません。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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