- 更新日 : 2026年4月1日
工事台帳をエクセルで作成するには?無料テンプレートをもとに作り方を解説
工事台帳は、建設業者が行う工事の記録を管理するための文書で建設業法により作成が義務付けられています。本記事では、工事台帳をエクセルで作成する方法や、メリット・デメリットについて解説します。また、工事台帳を効率よく作成するための便利なエクセルテンプレートも無料でダウンロードいただけます。
工事台帳とは?
工事台帳は、工事現場ごとの取引内容を詳細に記載し、原価を集計した台帳です。工事台帳は、正式には「施工体制台帳」と呼ばれます。現場によっては「工事管理台帳」や「工事原価台帳」「工事原価管理帳」と呼ばれることもありますが、内容や用途は基本的に同じです。
工事台帳は建設工事を請け負う全ての建設業者の情報、各業者の施工範囲や内容および工期、各業者の技術者氏名、各業者の社会保険加入状況に至るまで、工事の進行状況を全て把握し、コストを管理するために重要な文書となります。
工事台帳の作成は義務?
工事台帳の作成は、建設業法で義務付けられている経営事項審査に必須な書類です。工事台帳は、工事の着工前に元請業者が作成し、工事の目的物を発注者に引き渡すまでの間、現場に備え置く必要があります。
公共工事と民間工事で異なる工事台帳
工事台帳の作成ルールは、公共工事と民間工事で異なります。
- 公共工事の場合:工事の金額に関わらず、下請け発注を行った場合には工事台帳の作成が必要となります。これは、公共工事が税金を用いて行われるため、その透明性を確保するための措置といえるでしょう。
- 民間工事の場合:下請け発注の総額が税込みで4,500万円以上となる場合にのみ、工事台帳の作成が必要となります。これは、民間工事が個々の契約に基づいて行われるため、その規模に応じてルールが設けられています。
工事台帳の保存・管理
工事台帳は工事完了後も5年間保存する義務があります。ただし、発注者と締結した新築住宅の建設工事に係るものは10年間の保存が必要です。
工事台帳をエクセルで作成するメリット
工事台帳をエクセルで作成することには、コスト削減・ファイル共有など多くのメリットがあります。以下では、主要なメリットについて詳しく解説します。
使い慣れている
多くの事務職員や現場管理者にとって、エクセルは日常的に使用するソフトウェアです。そのため、新しいシステムやソフトウェアを導入する必要がなく、既存のスキルを活かして工事台帳を作成できます。
エクセルの基本機能を使いこなせれば、複雑な操作を覚える必要もなく、すぐに工事台帳の作成に取り掛かることができます。これにより、導入時の学習コストを大幅に削減できるのが大きなメリットでしょう。
無料で作成できる
Microsoft Office製品は、多くの企業や個人事業主が所有しています。そのため、追加のソフトウェア購入費用を必要とせず、手持ちのエクセルを使って工事台帳を作成できます。
特に小規模な建設会社や個人事業主にとっては、専用のソフトウェアを購入する予算がない場合も多いため、エクセルを活用することで、コスト面での負担を大きく軽減できます。
ファイルを共有できる
エクセルファイルは、メールやクラウドストレージを通じて簡単に共有できます。これにより、現場と事務所、あるいは協力会社との間で、リアルタイムに情報を共有することが可能です。
また、クラウドサービスを利用すれば、複数人で同時に編集することも可能となり、チームでの作業効率が大幅に向上するため、情報の一元管理が実現できます。
関数やマクロが利用できる
工事台帳を手書きで作成すると、記入ミス、入力ミス、計算ミスなどが発生する恐れがあります。その点、エクセルであれば各種関数やマクロを導入することによって原価の計算が素早くできるため、作業の効率化が図れるでしょう。
工事台帳をエクセルで作成するデメリットや注意点
工事台帳をエクセルで作成するメリットは大きい一方で、デメリットも生じる恐れがあります。以下でデメリットを詳しく解説します。
データ量の増加に応じて処理速度が低下する
工事件数が増加するにつれ、エクセルファイルのサイズも大きくなります。大容量のファイルは処理速度の低下やシステムの不安定化を引き起こす可能性があります。
専門的な知識やスキルが必要
エクセルで複雑な計算や分析を行う場合、専門的な知識やスキルが必要となります。特に、エクセルの関数やマクロを使って自動化を行う場合はプログラミング思考が求められます。また、このような高度な機能を駆使して作成したシートは、作成者以外には修正が困難になりがちです。
セキュリティ面での懸念
工事台帳には機密情報が含まれることが多いため、セキュリティ面での懸念があります。エクセルファイルはパスワード保護が可能ですが、ハッキング技術によって解読される可能性も否定できません。また、メールやUSBメモリでの共有時にデータが漏洩するリスクも高くなります。クラウドサービスを利用する場合も、適切なセキュリティ設定が必要となり、管理の手間が増えます。
バックアップと復旧の課題
エクセルファイルのバックアップは手動で行う必要があり、定期的なバックアップを忘れるリスクがあります。また、ファイルの破損や誤削除が発生した際の復旧作業も複雑になる可能性があります。クラウドストレージを利用する場合でも、適切な設定と運用管理が必要となり、専門的な知識が求められるでしょう。大規模な災害や機器故障時のデータ損失リスクも考慮する必要があります。
モバイル対応の制限
建設現場では、モバイルデバイスの活用が進んでいますが、エクセルで作成した工事台帳はスマートフォンやタブレットでの閲覧や編集が困難な場合があります。例えば、画面サイズの制限や操作性の問題により、現場での迅速な情報確認や更新が難しくなったり、オフライン環境での作業や同期をする際に問題が発生しやすくなったり、リアルタイムでの情報共有が妨げられたりなどが挙げられます。
工事台帳をエクセルで作成する方法
次に、エクセルシートで作成した工事台帳を紹介します。
上記テンプレートを例に、エクセルで工事台帳を作成する際の必要な項目、注意すべきポイントについて解説します。
基本情報の作成
工事台帳で使用する基本項目名は、以下の通りです。
- 作成日時
- 工事名
- 元請(発注元)
- 担当者
- 現場住所
- 受注日付
- 現場責任者
- 工期
売上情報の作成
工事台帳で使用する売上・粗利・実行予算は、以下の通りです。
- 受注金額
- 実行予算
- 粗利益
- 請求金額
- 実支払額
- 実粗利
- 予算差異
原価情報の作成
工事台帳で使用する原価は、以下の通りです。
マクロと関数を追加
基本情報、売上情報、原価情報の項目を入力したら、必要なマクロと関数を追加していきます。
使用頻度の高い関数として、指定した範囲のセルにある数値のみを合計してくれる、SUM関数を使うとよいでしょう。
まとめ
工事台帳は、建設業法で義務付けられている経営事項審査に必須な書類。工事ごとの収支と利益率を把握し、工事の進捗確認や経営判断にも役立つものです。
必要項目をエクセルシートに入力し、マクロと関数を使用することによって効率的で正確な工事台帳を無料で作ることができます。さらに効率化を図りたい人は、無料テンプレートを活用してみましょう。
【無料】合わせて読みたいおすすめガイド4選
よく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。マネーフォワード クラウド開業届は、簡単3ステップでミスなく開業届を提出いただけます。
見積書の法定福利費、明示できていますか?
国土交通省は元請・下請のすべてに、見積書への法定福利費記載を義務付けています。
「労務費総額×法定保険料率」の計算方法、労務費に占める約15%の内訳、事業主と本人負担分の区別、法定福利費と福利厚生費の勘定科目の違い、標準見積書での記載方法を解説しています。
青色申告の65万円控除、満額で受けるには?
事前の届出期限を過ぎると、その年は青色申告の適用を受けられません。
届出の手続きから日々の帳簿づけ、決算書・確定申告書の作成、提出までを簡潔にまとめて紹介。初めて青色申告に取り組む方におすすめです。
迷いやすい勘定科目を一覧で整理
科目選びに一貫性がないと、正確な所得の把握が難しくなります。
仕入・荷造運賃、外注工賃と業務委託費、消耗品費、車両費、地代家賃など、取引区分ごとに勘定科目を整理。自宅兼店舗の家事按分にも触れ、日々の経費処理を確認できる資料です。
使える控除、すべて申告できていますか?
所得税・住民税・社会保険料を合わせると、収入の3〜4割が差し引かれることもあります。
ふるさと納税やiDeCo、小規模企業共済、青色申告特別控除、経営セーフティ共済などの節税方法を25項目収録。一人親方や個人で事業を営む方が自分に合う制度を選べる内容です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
バックオフィス業務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
-
# 契約・書類
会社の実印とは?会社設立に必要なはんこの種類や選び方
会社の実印とは、会社の正式な意思であることを証明する印鑑のことを指します。この印鑑は法務局に登録され、法的な拘束力を持ちます。この記事では、どのような場面で会社実印が必要になるのか…
詳しくみる -
# 契約・書類
タイムスケジュール表とは?無料テンプレートやアプリの紹介【建設業界向け】
タイムスケジュール表とは、時間と行動を組み合わせて一定の計画を立てることを指します。特に一人親方や建設業に従事する方々にとって、プロジェクトの進捗管理や日々の業務スケジュールを明確…
詳しくみる -
# 契約・書類
作業員名簿とは? 書き方や記入例、一人親方の場合を解説(テンプレート付き)
作業員名簿とは建設現場で働く作業員の情報を管理する名簿で、作成が義務付けられています。建設現場の安全を確保するための施工管理台帳の一部として下請け会社が作成し元請け会社へ提出されま…
詳しくみる -
# 契約・書類
割印とは?適切な押し方やビジネスで利用するケースを解説
割印とは、印鑑を用いて文書の正確性や一貫性を証明するために行う行為のことを指します。割印は、複数の関連する文書間で一貫性を確認する際に特に重要です。 今回は割印の概要や、適切な押し…
詳しくみる -
# 契約・書類
設計・施工一括発注方式とは?メリット・デメリットから流れ・契約形態を解説
建築プロジェクトの発注方式にはさまざまな種類がありますが、その中でも注目されているのが「設計・施工一括発注方式」です。設計と施工を同じ業者に一括して依頼することで、工期の短縮やコス…
詳しくみる -
# 契約・書類
労働者供給事業とは?労働者派遣との違いや偽装請負となるケースを解説
労働者供給事業とは、他の企業に労働力を提供する事業を指します。この記事では、労働者供給事業にあたる事業の詳細を紹介し、労働者派遣との違いについて解説します。 また、偽装請負にあたる…
詳しくみる





