• 作成日 : 2025年2月26日

建設業の常用単価とは?一人親方の相場や職種の違い、上げるコツを解説

常用単価とは、労働者に支払われる1日あたりの賃金のことを指します。一般的に8時間労働を基準として設定され「労務単価」や「日当」とも言います。

この記事では、職種による労務単価の相場の違いや単価を上げるためのコツについて詳しく解説します。建設業に携わる方々が、適切な単価設定や交渉を行うための知識が得られます。

常用単価とは?

常用単価とは、建設現場で働く労働者に支払われる1日あたりの賃金のことを指します。常用単価は、一般的に8時間労働を基準として設定されています。

常用単価は、「労務単価」や「日当」とも言います。
大工や塗装工、とび工、左官、作業員、運転手など職種により労務単価は異なり、年々変化しています。また常用単価は全国一律ではなく、地域によって大きく異なります。

常用単価に含まれるもの

常用単価は単純な時給ではなく、複数の要素から成り立っています。主な構成要素には以下のようなものがあります:

  • 基本給
  • 各種手当(時間外労働、休日手当、深夜労働手当など)
  • 賞与
  • 社会保険
  • 退職金積立金

これらの要素を総合的に考慮し、一日あたりの労働対価として算出されるのが常用単価です。

常用単価と請負単価の違い

常用単価が労働者個人に対する日当を示すのに対し、請負単価は特定の作業や工程全体に対する単価を指します。請負単価には、労務費だけでなく、材料費や経費なども含まれるため、常に常用単価よりも高くなります。

また、常用単価が作業時間に応じた報酬であるのに対して、請負単価は工事の成果に応じた報酬です。

例えば、ある建築作業の常用単価が15,000円/日だとしても、その作業の請負単価は材料費や諸経費を含めて30,000円/日になる可能性があります。この違いを理解することで、適切な見積もりや予算管理が可能となります。

一人親方と労働者(従業員)の常用単価の違い

一人親方は会社に雇われて働くよりも、賃金が高い傾向があります。全建総連東京都連2023年賃金調査報告書」によると、労働者の賃金の平均は17,929円、一人親方の平均は21,848円です。また、現場別にみると「プラント」が最も高く、労働者が22,518円、一人親方が24,500円です。専門性の高い現場では高い賃金が支払われる傾向があります。
参照:全建総連東京都連2023年賃金調査報告書

一人親方の常用単価の職種による違い

建設業は職種によって常用単価も変わります。全建総連東京都連2023年賃金調査報告書」のアンケート結果をもとに解説していきます。

大工の常用単価

一人親方の大工の常用単価は、21,223円です。建設業界の中でも比較的高い水準にあります。経験年数や技術レベルによって大きく異なりますが、特に熟練の大工や特殊な技能を持つ大工は、さらに高い単価を設定できることがあります。

電気工事士の常用単価

一人親方の電気工事士の常用単価は、21,728円です。第一種電気工事士の資格を持つ熟練技術者や、大規模な電気設備工事を担当できる技術者は、より高い単価を設定できる可能性があります。

内装工の常用単価

一人親方の内装工の常用単価は、22,321円です。高級住宅や商業施設などの内装を担当する技術者や、特殊な内装材を扱える職人は、より高い単価を設定できることがあります。

塗装工の常用単価

一人親方の塗装工の常用単価は、21,845円です。特殊な塗装技術や高所作業を伴う外装塗装などの場合は、これより高い単価になることがあります。また、環境に配慮した特殊塗料の使用や、デザイン性の高い塗装技術を持つ職人は、より高い単価を設定できる傾向にあります。

配管工の常用単価

一人親方の配管工の常用単価は、22,730円です。配管工の仕事は、建物の給排水設備や空調設備の設置、修理、メンテナンスなど多岐にわたります。高度な技術を要する工業用配管や、特殊な材質の配管を扱う場合は、これより高い単価になることがあります。また、省エネ性能の高い給湯システムの設置や、複雑な建築物における配管設計の経験がある職人は、より高い単価を設定できる傾向にあります。

配管工の仕事は建物の機能に直結するため、信頼性と技術力が重視されます。

常用単価の調査方法

国土交通省による調査データを参照する

国土交通省は毎年「公共工事設計労務単価」を発表しています。この調査は全国の公共工事を対象に、各職種の労務単価を調査し、その結果を公表するものです。この調査結果は、公共工事の積算や民間工事の単価設定の参考としても広く活用されています。

参照:令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価について

インターネットの情報を活用する

インターネット上には、多くの求人サイトや給与比較サイトがあり、そこで得られる情報を利用することも一つの方法です。ただし、これらの情報は個々の企業やユーザーが提供したものであるため、その正確性や信頼性には注意が必要です。

業界団体や労働組合の情報を参照する

建設業界などの業界団体や労働組合は、その業界や職種特有の賃金情報(常用単価)を持っています。これらの情報は、その業界や職種の実情を反映しているため、参考にする価値があります。

建設業者に問い合わせる

建設業の会社に直接問い合わせて、常用単価を確認することも可能です。具体的な職場の状況を直接知る最も確実な方法です。

常用単価を上げるには?

スキルアップと資格取得

建設業界で常用単価を上げるための最も効果的な方法は、スキルアップと資格取得です。専門的な技術や知識を身につけることで、より高度な業務を任せてもらえるようになり、結果として単価の上昇につながります。

特に注目すべき資格としては、以下のようなものがあります:

  • 一級建築士
  • 一級土木施工管理技士
  • 電気工事士
  • 建設機械操作資格

これらの資格を取得することで、責任ある立場での仕事が増え、常用単価の上昇が期待できます。

経験を積む

建設業界では、経験が非常に重要視されます。様々な現場で多くの経験を積むことで、問題解決能力や効率的な作業方法を身につけることができます。これらの経験は、雇用主にとって貴重な資産となり、常用単価の上昇につながります。

経験値を効果的に蓄積するためには、以下のような取り組みが有効です:

  • 異なる種類の建設プロジェクトに参加する
  • 新しい建設技術や材料の使用に積極的に取り組む
  • 先輩作業員から技術や知識を学ぶ
  • 建設業界の最新トレンドに常に注目する

人脈を広げる

例えば、研修や地域の集まりなどに積極的に参加することで、人脈広げることができます。人脈が広がると仕事の受注ができ、仕事でうまく対応することで評価が上がり、単価上昇につながる可能性が考えられます。

キャリアアップシステムに登録する

これらの方法を組み合わせて実践することで、建設業界での常用単価を段階的に上げていくことが可能となります。ただし、単価上昇には時間がかかる場合もあるため、長期的な視点を持って取り組むことが重要です。

常用単価を上げる際の注意点

常用契約は締結しない

常用契約は、決められた時間内で仕事を行うことになる契約であり、単価が低くなる傾向になる可能性があります。

税金も増えることを考慮する

単価が上がると、売上・利益も増加します。利益が増えると、その分、納めるべき税金も高くなるため、経費計上や節税の意識を高める必要が生じます。

保険に加入する

建設業者が500万円以上の工事を請け負う場合、社会保険への加入が建設業許可の取得要件の一つとなっています。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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