• 更新日 : 2024年7月25日

現金出納帳とは?エクセルテンプレートをもとに書き方や注意点を解説

現金出納帳とは、企業や個人事業主が現金の受け取りと支払いを記録するための帳簿のことです。現金出納帳を適切に運用することで、日々の現金の流れを把握し、適切な資金繰りや無駄な支出の抑制につなげることができます。

この記事では、現金出納帳の概要や必要性、テンプレートをもとにした正しい記入方法、注意点などを詳しく解説します。

現金出納帳とは?

現金出納帳とは、企業や個人事業主が日々の現金の収支を記録するための帳簿です。現金の収入と支出を日付ごとに記録することで、現金残高の確認や資金管理がしやすくなります。

具体的には、現金出納帳には以下のような情報が記載されます。

  • 日付
  • 取引の内容
  • 収入額(現金の増加)
  • 支出額(現金の減少)
  • 残高

現金出納帳を記録することで、企業や個人事業主は現金の流れを一目で確認することができます。また、現金出納帳は税務署への申告や税務調査等の際にも必要となるため、適切に管理することが求められます。

金銭出納帳との違い

現金出納帳と類似する帳簿に、金銭出納帳というものがあります金銭出納帳は現金だけでなく、預金やその他の金銭の収支を記録する帳簿です。一方、現金出納帳は現金の収支のみを記録するものです。

したがって、金銭出納帳は企業の全ての金銭の流れを把握することができるのに対し、現金出納帳は現金の流れのみを把握することができます。

また、金銭出納帳は一般的に企業の経理担当者が管理・記録する帳簿ですが、現金出納帳は個人事業主や小規模企業の経営者自身が管理・記録することが多いです。

このように、金銭出納帳は企業全体の資金管理に適しているのに対し、現金出納帳は個人事業主や小規模企業の現金管理に適していると言えます。

現金出納帳の種類

現金出納帳には、主に以下の2種類があります。

単式簿記の現金出納帳

単式簿記では、現金の収支のみを記録する現金出納帳を使用します。シンプルな構成で、小規模な事業や個人事業主に適しています。単式簿記の現金出納帳は、日付、摘要、収入、支出、残高の項目で構成されており、現金の収支を記録するだけのシンプルな帳簿です。

例えば、個人事業主の田中さんは、自宅で小さな雑貨店を営んでいます。田中さんは、単式簿記の現金出納帳を使用して、日々の売上や仕入れ、経費の支払いなどを記録しています。現金出納帳を付けることで、田中さんは、店舗の収支を適切に管理し、必要な資金を確保することができます。

複式簿記の現金出納帳

複式簿記では、現金の収支に加えて、取引の相手勘定も記録します。より詳細な記録が可能で、企業の経理に用いられます。複式簿記の現金出納帳は、単式簿記の現金出納帳よりも複雑な構成となっており、現金の収支だけでなく、取引の相手勘定も記録します。

建設業界において現金出納帳を作成するメリット

建設業界では、請負契約や材料購入、労務費の支払いなど、現金の出入りが頻繁に発生します。

資金繰りが把握できる

現金出納帳には、収支の記録が詳細に残されるため、事業の収支状況を把握しやすくなります。赤字や資金繰りの悪化といった経営上の課題を早期に発見でき、適切な対策を立てることができます。

税務申告に役立つ

現金出納帳は、確定申告の際に必要となる重要な帳簿書類です。勘定科目ごとの収支状況が明確に記録されているため、正確な申告が行えます。また、税務調査の際にも、出納帳の記録を提示することで、スムーズな対応が可能になります。

不正防止につながる

現金出納帳には、現金の入出金がすべて記録されるため、現金の流用や着服といった不正行為を防ぐことができます。経営者や管理者が常に現金の動きを把握できるので、透明性の高い経営が実現できます。

融資申請時の有利な材料となる

金融機関に融資を申請する際、現金出納帳の記録は、事業の収支状況を示す有力な証拠資料となります。経営状態が明確に示されるため、融資の審査において有利な条件を引き出すことができます。

現金出納帳の無料テンプレート

マネーフォワードでは、税理士が監修した現金出納帳のエクセルテンプレートを無料で提供しています。以下のページからダウンロードできるので、自社の業務に合わせてカスタマイズしてご活用ください。

また、現金出納帳は「金銭出納帳」と呼ばれることもあります。金銭出納帳のテンプレートは、下記からダウンロードできます。

現金出納帳の書き方

現金出納帳では収支の内容と金額を正確に記録し、残高を管理することが重要です。記入漏れや計算ミスがないよう、細心の注意が必要です。定期的なチェックも欠かせません。

現金出納帳のテンプレートをもとに、各項目の書き方やポイントを解説します。

  • 日付: 取引の発生日を記入します。年月日は正しく記入しましょう。
  • 区分: 取引の種類を記載します。たとえば、「入金」や「出金」などの区分を設け、取引の内容を明確にします。
  • 勘定科目: 取引の内容を具体的に示すための項目です。例えば、「資材費」や「人件費」など、取引の内容に応じて適切な勘定科目を選択します。
  • 摘要: 取引の詳細を記入します。必要に応じて補足説明を加えましょう。
  • 入金:現金での収入があった場合、その金額を記入します。入金額は、現金出納帳の右側の列に記入します。
  • 出金: 現金での支出があった場合、その金額を記入します。出金額は、現金出納帳の左側の列に記入します。
  • 残高: 取引後の現金の残高を記載します。残高は常に正確に管理する必要があります。

現金出納帳の書き方のポイント

現金出納帳は、企業の健全な経営に欠かせない重要な管理ツールです。正確な記録と適切な活用により、現金の収支状況を把握し、適切な資金繰りや経費管理を行うことができます。

収支を正しく記入する

現金出納帳は、日々の現金の出入りを正確に記録するためのものです。したがって、受け払いの記入は非常に重要です。具体的には、取引があった日付、取引の内容、取引の相手、取引の金額を正確に記入します。

記入のタイミングを守る

出納帳は毎日の収支を正確に記録するため、都度記入を行うことが重要です。記入が遅れると領収書やレシートを紛失する可能性が高まり、正確な記録が難しくなります。

例えば、毎日仕事の終わりに記入を行う習慣をつけると良いでしょう。月末や年度末にまとめて記入することは避け、日々の処理を徹底することが大切です。

現金残高を管理する

現金出納帳のもう一つの重要な役割は、現金残高の管理です。現金出納帳に記載された残高と、実際の現金残高が一致しているかを定期的に確認します。これにより、現金の管理が正確に行われ、不正などのリスクを回避することができます。

記入の漏れやミスの確認

現金出納帳の記入には細心の注意が必要です。記入の漏れやミスがあると、現金の管理が煩雑になり、正確な財務状況が把握できなくなります。

記入の漏れやミスがないかを定期的に確認し、必要に応じて修正します。

領収書やレシートを保管する

出納帳に記入する際には、対応する領収書やレシートを必ず保管します。これにより、万が一のトラブルや税務調査の際にも対応が容易となります。

保管の際は日付順、取引先別、金額別などで整理し、デジタル化(スキャンしてPDF化)も推奨されます。保管した領収書はしっかりとラベルを付けたファイルに入れ、紛失を防ぐために定期的に確認を行います。

定期的な見直しと照合作業を行う

出納帳の内容を一定期間ごとに見直し、実際の現金残高と一致するか確認する「照合作業」を行います。理想的な頻度は週に一度や月に一度ですが、特に多くの取引がある場合は毎日行うことをおすすめします。

この作業により記録の漏れや誤記入を早期に発見し、修正することで精度の高い記録管理が可能となります。

現金出納帳の記入を効率化する方法

会計ソフトを利用する

会計ソフトを利用することで、現金出納帳の記入時間を大幅に削減できます。「マネーフォワード クラウド会計」などの会計ソフトは、自動で様々な帳簿を生成する機能があります。

これにより、手動での入力ミスを減らし、効率的に帳簿管理が可能です。

テンプレートを活用する

エクセルやGoogleスプレッドシートなどのテンプレートは必要な項目が事前に設定されており、入力するだけで簡単に現金出納帳を作成できます。マネーフォワードでも、下記のサイトでエクセル形式の現金出納帳テンプレートを無料で提供しています。

現金出納帳の運用を効果的に行うためには、定期的に記帳方法やテンプレートを見直すことが重要です。

 


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

バックオフィス業務の知識をさらに深めるなら

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事