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  3. 勘定科目の福利厚生費とは?経費計上の条件や事例、課税対象になる基準まで解説!
  • 更新日 : 2026年7月23日

勘定科目の福利厚生費とは?経費計上の条件や事例、課税対象になる基準まで解説!

監修:安木 識晃(公認会計士準会員)
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Point福利厚生費を経費にできる要件や上限はどう定まる?

福利厚生費は要件を満たすと経費計上でき、節税にもつながります。

  • 法定福利費と法定外福利費に分かれる
  • 給与でなく現物支給であることが原則となる
  • 項目ごとに非課税の上限額が設定される

要件を外れた支出は給与扱いとなり所得税の対象となります。

福利厚生費は給与や賞与以外で従業員のために支出する費用です。一定の要件を満たすと経費として計上でき、税負担の軽減にもつながります(ただし、福利厚生費と認められなければ経費として計上できないわけではありません)。福利厚生費の定義、計上要件、項目別の上限、勘定科目の使い分けや仕訳例まで、経理担当者が押さえておきたい論点をまとめます。

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目次

  • 勘定科目「福利厚生費」とは?
    • 法定福利費と法定外福利費に分けられる
    • 福利厚生費と交際費・給与・消耗品費との違い
  • 福利厚生費を経費計上するための条件
    • 給与・賞与ではないこと
    • 現金や換金性の高いものではないこと
    • 基本的に全従業員が対象であること
    • 金額が社会通念上妥当であること
  • 福利厚生費に該当する主な費用と項目別の上限
    • 通勤手当(マイカー通勤の距離別非課税限度額)
    • 社宅・社員寮
    • 健康診断・人間ドック
    • 食事補助
    • 出張手当
    • 慶弔見舞金
    • 慰安旅行(社員旅行)
    • 新年会・忘年会・親睦会
    • 残業時の食事代
    • 保養所・別荘
    • その他(永年勤続記念品・サークル活動補助など)
  • 福利厚生費に該当しない費用の例
    • 記念品と一緒に渡す現金や商品券
    • 無利息や低利息での貸付金の利息
    • 高額な人間ドック
  • 税務調査で福利厚生費として否認されないために
    • 否認されやすい3つのケース
    • 福利厚生規程の整備が税務調査の備えになる
  • 福利厚生費の勘定科目と仕訳例
    • 勘定科目の使い分けの基本ルール
    • 慰安旅行を実施した場合の仕訳例
    • 忘年会の費用をクレジットカードで支払った場合の仕訳例
    • 健康診断費用を支払った場合の仕訳例
    • 社会保険料(法定福利費)の仕訳例
  • 個人事業主が福利厚生費を計上できる条件
  • 勘定科目や福利厚生費の判定は多くの経理担当者の課題に
    • 勘定科目判定の負担を軽減するために
  • 福利厚生費は従業員のモチベーションアップや節税につながる

勘定科目「福利厚生費」とは?

福利厚生費は、給与や賞与とは別に企業が従業員の福利厚生のために支出する費用を指します。ただし、従業員に対する支出であっても、その内容が実質的に給与や賞与に当たる場合は、従業員側では給与課税と源泉徴収が必要になります。会社側では、その場合も給与として損金算入できる可能性が高いですが、「福利厚生費」として非課税に処理できるわけではありません。

法定福利費と法定外福利費に分けられる

福利厚生費は、法律で企業に義務付けられている法定福利費と、企業が任意に整える法定外福利費の2種類に分けられます。

法定福利費は会社負担が法律で義務付けられている費用で、健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・雇用保険料・労災保険料・子ども子育て拠出金などの会社負担分があてはまります。

一般に「福利厚生費」と呼ばれて税務上の判断が問題になるのは、後者の法定外福利費(社宅、食事補助、社員旅行、慶弔見舞金など)です。これらは、従業員に対する給与や賞与ではなく、福利厚生として扱えるかどうかを、対象者、支出内容、金額、社内規程、利用実態などを踏まえて判断します。

本記事も主に法定外福利費を中心に解説します。

福利厚生費

福利厚生費と交際費・給与・消耗品費との違い

福利厚生費と似た勘定科目には交際費・給与・消耗品費があり、対象者と業務との関連性で見分けます。

それぞれの違いは次のとおりです。

勘定科目 対象者 業務との関連性 例
福利厚生費 自社の従業員 業務に関連するもの、直接は関係しないもの双方(※1) 社宅の家賃補助(※2)、慰安旅行費
交際費 取引先など社外の人 業務に関連する 取引先との会食、贈答品
給与 従業員 労働の対価 住宅手当などの現金支給
消耗品費 対象者を問わない 業務に直接必要 一般にPC、文房具など(10万円未満)

※1 健康診断、残業時の食事、業務上必要な社宅など、業務関連性がある場合も多い。
※2 現金の住宅手当、家賃補助は原則として給与となる。

参照:No.5261 交際費等と福利厚生費との区分|国税庁

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福利厚生費を経費計上するための条件

福利厚生費は、支出の内容に応じて下記のような個別の要件を満たす必要があります。
ただし、福利厚生費の判断は「現物支給かどうか」だけでは決まりません。通勤手当、通常必要な出張旅費、慶弔見舞金などは、一定の条件を満たせば現金支給でも給与課税されない場合があります。

反対に、現物支給であっても、商品券のように換金性が高いものや、特定の役員だけが利用する高額なサービスは、給与として課税される可能性があります。個別の費目ごとに要件を確認しましょう。

  1. 賃金ではない(給与・賞与ではない)
  2. 現金や換金性の高いものではない
  3. 全従業員を対象範囲としている
  4. 金額が社会通念上、妥当である

範囲についての定めはありません。

給与・賞与ではないこと

福利厚生費は労働の対価ではない支出であることが前提となります。

労働に対する対価として支払う給与・賞与・住宅手当などは、たとえ生活支援の目的があっても福利厚生費にはあたりません。給与にプラスして支給される住宅手当も給与の一部として扱われます。

現金や換金性の高いものではないこと

現金、商品券、ギフトカードなど換金性の高いものを支給すると福利厚生費として認められない可能性が高くなります(給与として課税される可能性があります)。

例えば食事代を給与に上乗せして毎月一律で支給する「食事手当」は、現物ではなく現金支給にあたるため給与課税の対象となります。創業記念や永年勤続表彰で配る商品券も同様の扱いです。ただし、通勤手当と一部の慶弔見舞金は現金支給でも非課税となる例外があります。

基本的に全従業員が対象であること

機会の平等性は税務調査でも特に確認されやすい論点です。

制度として全従業員が利用できる状態にあれば、結果的に利用したのが一部だけであっても要件は満たされます。一方、役員だけが対象の保養所、特定部署にしか付与されない手当などは、制度設計の段階で要件を外れるため福利厚生費とは扱えません。

金額が社会通念上妥当であること

金額の妥当性は支出の種類ごとに国税庁が目安を示しています。

明確な金額基準が法令で定まる項目もあれば、社会通念に照らして判断する項目もあります。一般的な企業の福利厚生水準と比べて著しく高額なものは、給与または交際費として課税される傾向にあります。項目別の上限の目安は次の章で整理します。

参照:第3節 保険料等|国税庁(法人税基本通達)

福利厚生費に該当する主な費用と項目別の上限

福利厚生費として認められる代表的な費用には、通勤手当・社宅・健康診断・食事補助・出張手当・慶弔見舞金・慰安旅行・新年会等・残業時の食事・保養所などがあります。各項目には非課税となる上限額や要件が個別に定められています。

通勤手当(マイカー通勤の距離別非課税限度額)

通勤手当は公共交通機関で月15万円まで、マイカー通勤は片道距離に応じた上限まで非課税となります。

電車・バス等の公共交通機関を利用する場合は、最も経済的かつ合理的な経路の運賃で1か月当たり15万円までが非課税です。マイカーや自転車などで通勤する場合は、令和7年11月20日施行の所得税法施行令の改正により、令和7年4月1日に遡及して非課税限度額が引き上げられました。改正後の片道距離別の限度額は次のとおりです。

片道の通勤距離 1か月当たりの非課税限度額
2km未満 全額課税
2km以上10km未満 4,200円
10km以上15km未満 7,300円
15km以上25km未満 13,500円
25km以上35km未満 19,700円
35km以上45km未満 25,900円
45km以上55km未満 32,300円
55km以上65km未満 38,700円
65km以上75km未満 45,700円
75km以上85km未満 52,700円
85km以上95km未満 59,600円
95km以上 66,400円

通勤手当は要件を満たせば現金支給でも非課税となる例外的な扱いです。マイカー通勤の場合、限度額を超えて支給した部分は給与として課税されます。

参照:No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当|国税庁

社宅・社員寮

会社が物件を借り上げて従業員に貸し出す場合、賃貸料相当額の50%以上を従業員から受け取っていれば給与課税されません。

賃貸料相当額は次の3つの合計で算出します。

① その年度の建物の固定資産税課税標準額 × 0.2%

② 12円 ×(その建物の総床面積㎡ ÷ 3.3㎡)

③ その年度の敷地の固定資産税課税標準額 × 0.22%

① + ② + ③ = 賃貸料相当額

たとえば賃貸料相当額が6万円の物件で、従業員から月3万円(50%)を受け取っていれば差額分給与として課税対象にはなりません。一方、住宅手当として現金で支給する家賃補助や、従業員自身が大家と直接賃貸借契約を結んでいる場合は、社宅の貸与とは認められず給与として課税されます。

参照:No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき|国税庁

健康診断・人間ドック

定期健康診断の費用は、希望者全員が受診できる仕組みになっていれば福利厚生費として計上できます。

労働安全衛生法では、企業に従業員への健康診断の実施が義務付けられています。診断費用を福利厚生費として処理する際の主な要件は次のとおりです。

  • 希望者全員が対象となる仕組みであること

年齢で診断項目を区別するなど合理的な制限は問題ありません。なお、過度に高額な人間ドックや一般的でない検査項目を含むコースは、社会通念上の妥当性を欠くとして給与扱いになる場合があります。

食事補助

食事補助は令和8年4月以降、会社負担の上限が月7,500円(税抜)に拡大されました。

社員食堂や弁当の現物支給による食事補助は、次の2つの要件を満たせば非課税となります。

  • 役員や従業員が食事の価額の半分以上を負担している
  • 会社の負担額(食事の価額 − 従業員負担額)が1か月当たり7,500円(消費税および地方消費税の額を除く)以下

なお、令和8年3月31日以前の支給分はこれまで通り月3,500円が上限となります。要件を外れた場合は、食事価額から従業員負担額を控除した残額が給与として課税されます。

深夜勤務者などへの夜食を現物で支給できない場合に限り、令和8年4月1日以降は1食650円(税抜)までの現金支給が認められます(改正前は300円)。食事代を給与に上乗せして毎月一律で支給する「食事手当」は現金支給とみなされるため、夜食の特例を除き福利厚生費にはあたりません。

参照:No.2594 食事を支給したとき|国税庁

出張手当

出張時の日当は、一般に「旅費交通費」または「出張旅費」として計上できます。

出張手当(日当)については法令で明確な上限が定められていません。同業他社や同規模企業の水準から大きく外れない範囲であれば、宿泊費とは別に日当を支給しても差し支えありません。

前提として、出張旅費規程を整備しておくことが税務調査の場面でも欠かせません。規程がない状態で支給した日当は、税務調査で経費計上が否認されるおそれがあります。

慶弔見舞金

慶弔見舞金は現金支給でも、慶弔見舞金規程に基づき、社会通念上相当な金額を支給する場合、福利厚生費として処理できることが多いです。

結婚祝金、出産祝金、死亡弔慰金、災害見舞金、傷病見舞金などが慶弔見舞金に含まれます。

法令上の明確な上限額はなく、社内で定めた規程に沿って一律の基準で支給するのが原則です。慶弔見舞金規程を整備し、対象事由・金額・申請手続きを明文化しておきましょう。

なお、役員や従業員本人だけでなく、その家族の慶弔に対する見舞金も対象に含めることができます。

慰安旅行(社員旅行)

慰安旅行は4泊5日以内かつ参加率50%以上であれば、原則として福利厚生費に計上できます。

国税庁は次の要件をいずれも満たす場合、原則として旅行費用を給与としなくてもよいとしています。

  • 旅行の期間が4泊5日以内であること(海外の場合は現地での滞在日数)
  • 旅行に参加した人数が全従業員の50%以上であること(支店ごとに行う場合は各支店の50%以上)

不参加者に金銭を支給した場合は、参加者・不参加者ともその金額が給与とみなされる点に注意が必要です。1人あたりの旅行費用について法令上の上限はありませんが、実務上は1人10万円程度を1つの目安として設計するケースが多くみられます。

参照:No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行|国税庁

新年会・忘年会・親睦会

新年会や忘年会は、全従業員に参加機会があり常識的な金額であれば福利厚生費として認められます。

参加対象が全従業員に開かれていること、欠席者にも事後に手当を支給しないこと、領収書や案内資料を保存しておくことが基本的な要件となります。

社員数の多い企業で支店・部署ごとに開催する場合は、すべての部署に開催機会が平等にあり、その部署内では相当数が参加していることが求められます。毎年特定の部署だけが繰り返し開催している場合は、要件を外れて交際費・給与として扱われるケースもあります。

残業時の食事代

残業時に提供する食事は、勤務時間外の業務に対するもので内容が常識の範囲内であれば福利厚生費として処理できます。

勤務後の軽食程度であれば福利厚生費に計上できますが、飲酒を主目的とする会食や、特定の従業員だけを対象とする高額な飲食は、 福利厚生費として扱えない場合もあります。なお、勤務時間内の食事提供については、食事補助の章で説明した「従業員負担半分以上、会社負担月7,500円以下」の要件を満たす必要があります。

保養所・別荘

会社が保有または借り上げた保養所・別荘は、全役員と従業員が利用できる仕組みであれば無償または低額での利用でも福利厚生費に計上できます。

実際の利用状況がわかる記録を残しておくことが税務上の留意点です。利用申請書や使用記録簿などを整備し、誰がいつ利用したかを後から確認できるようにしておきましょう。

その他(永年勤続記念品・サークル活動補助など)

永年勤続記念品・サークル活動補助なども、全社員が利用できる範囲かつ社会通念上妥当な金額であれば福利厚生費にあたります。

永年勤続表彰の記念品は、おおむね10年以上勤続している人を対象とし、2回目以降の表彰は前回からおおむね5年以上の間隔があいていることが要件です。

創業記念品は処分見込価額が1万円(税抜)以下、おおむね5年以上の間隔で支給することが求められます。いずれも記念品の代わりに現金や商品券を支給した場合は、その全額が給与として課税されます。

参照:No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき|国税庁

福利厚生費に該当しない費用の例

従業員のための支出であっても、現金支給・換金性のあるもの・低利貸付の利息差額・著しく高額な人間ドックなどは福利厚生費に計上できません。代表的な例をみていきましょう。

記念品と一緒に渡す現金や商品券

創業記念品や永年勤続表彰記念品と一緒に渡す現金・商品券は、その全額が給与として課税されます。

記念品自体が要件を満たしていても、これとセットで支給される現金・商品券は別途給与扱いとなります。また、従業員が記念品を自由に選べる仕組みになっている場合も、その記念品の価額は給与とみなされます。

無利息や低利息での貸付金の利息

従業員への低利貸付による利息の差額は、原則として給与として扱われます。

例外として、災害・病気など臨時の生活資金が必要なケースで、合理的な利率を社内で定めている場合は、利息差額分を福利厚生費に含めることが認められます。これ以外の通常の貸付では、市場利率との差額が経済的利益として給与課税の対象となります。

高額な人間ドック

オプション付きや一般的でない検査項目を含む人間ドックは福利厚生費として計上できません。

希望者全員を対象とし、内容が一般的な範囲に収まる人間ドックであれば福利厚生費にあたります。一方、PET検診や遺伝子検査など著しく高額で一般的でないコースは、社会通念上の妥当性を欠くため給与として課税される傾向にあります。

税務調査で福利厚生費として否認されないために

税務調査では、機会の平等性・金額の妥当性・現物支給の3点が特に確認されます。要件を外れる支出は給与として再認定され、追徴課税の対象となるため事前の備えが欠かせません。

否認されやすい3つのケース

税務調査で否認される福利厚生費の典型パターンは、対象者の偏り・金額の過大・現金支給の3つです。

①一部の役員・従業員しか利用できないケース

役員だけのゴルフ・海外旅行、特定部署のみが利用できる保養所、希望者のみが受け取れる手当などは、機会の平等性を欠くため給与とみなされます。「結果として一部しか利用しなかった」のは差し支えありませんが、「制度上一部しか対象にしていない」のは要件違反となります。

②社会通念上、金額が高すぎるケース

1名あたり数十万円規模の海外旅行、高額なブランド品の記念品、役員社宅の家賃を全額会社負担とするなど、一般企業の水準を大きく超える支出は否認の対象となりやすい傾向にあります。

③現金や換金性の高いものを支給しているケース

通勤手当・慶弔見舞金などの例外を除き、現金・商品券・ギフトカードを支給した場合は、給与課税の対象となります。

福利厚生規程の整備が税務調査の備えになる

福利厚生規程を整備しておくことで、税務調査の場面で支出の正当性を説明しやすくなります。

規程には次の事項を明記し、全従業員に周知しましょう。

  • 目的
  • 対象者
  • 利用条件
  • 支給内容・金額の上限
  • 申請手続き

社内で統一されたルールに基づいて運用していることを示せれば、機会の平等性と金額の妥当性の両方を客観的に裏付けられます。出張旅費規程・慶弔見舞金規程など、項目ごとに個別の規程を整備するケースもあります。

福利厚生費の勘定科目と仕訳例

従業員のために任意で支出する費用は勘定科目「福利厚生費」で処理し、社会保険料・労働保険料の会社負担分は「法定福利費」を使って区別するのが一般的です。

勘定科目の使い分けの基本ルール

会社負担が法律で義務付けられた費用は「法定福利費」、企業が任意で行う支出は「福利厚生費」で区別します。

両方を「福利厚生費」でまとめて処理するケースもありますが、財務分析や税務上の整理を考えると分けて処理するのが一般的です。社員旅行や慶弔見舞金は福利厚生費、健康保険料や厚生年金保険料の会社負担分は法定福利費という具合に、支出の性質ごとに勘定科目を選びましょう。

慰安旅行を実施した場合の仕訳例

全社員の慰安旅行50万円を普通預金から支払った場合の仕訳は次のとおりです。
※参加対象・旅行内容・会社負担額が社会通念上相当であり、従業員への給与課税が生じないことを前提とします。

借方 金額 貸方 金額
福利厚生費 500,000円 普通預金 500,000円

忘年会の費用をクレジットカードで支払った場合の仕訳例

忘年会20万円をクレジットカードで決済し、後日普通預金から引き落とされたケースは2段階で記帳します。

カード決済日の仕訳

借方 金額 貸方 金額
福利厚生費 200,000円 未払金 200,000円

普通預金からの引き落とし日の仕訳

借方 金額 貸方 金額
未払金 200,000円 普通預金 200,000円

健康診断費用を支払った場合の仕訳例

健康診断費用を医療機関に直接支払った場合は、その全額を福利厚生費で処理します。

従業員5名分の健康診断費用5万円を普通預金から医療機関へ支払った場合:

借方 金額 貸方 金額
福利厚生費 50,000円 普通預金 50,000円

健康診断費用を従業員が立て替えて後から会社が現金で精算する方法だと、給与とみなされる場合もある点には留意しましょう。

社会保険料(法定福利費)の仕訳例

給与から預かった社会保険料の従業員負担分は、給与支給時に「法定福利費」または「預り金」で処理します。

給与30万円から従業員負担分の社会保険料2万円を控除して支給する場合

給与支給時

借方 金額 貸方 金額
給与 300,000円 普通預金 280,000円
預り金 20,000円

会社負担分の計上時

借方 金額 貸方 金額
法定福利費 20,000円 未払費用(例示) 20,000円

社会保険料納付時

借方 金額 貸方 金額
預り金 20,000円 普通預金 40,000円
未払費用(例示) 20,000円

個人事業主が福利厚生費を計上できる条件

個人事業主自身や家族のみで事業を営んでいる場合、福利厚生費は計上できません。家族以外の従業員を雇用している場合に限り、その従業員のために支出した費用を福利厚生費として処理できます。

法人と同様に、社会保険料や交通費・出張手当、社宅補助、慰安旅行や忘年会などのイベント費用が対象となります。家族以外の従業員を雇用していて、慰安旅行などを行う場合、事業主本人や従業員として働く家族の参加費も社会通念上妥当な範囲であれば福利厚生費に含められます。

確定申告でも経費として申告できる点は法人と同じですが、家族専従者だけしか雇っていない個人事業主の場合は福利厚生費の対象外となります。

勘定科目や福利厚生費の判定は多くの経理担当者の課題に

福利厚生費を経費計上する際、その支出が条件を満たしているか、あるいは非課税対象になるかといった判断に迷うことは少なくありません。株式会社マネーフォワードが実施したアンケート調査では、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている(ボトルネックとなっている)作業は「適切な勘定科目や消費税区分(課税・非課税等)の判定」で、36.8%でした。次いで「銀行明細やクレジットカード明細と帳簿の突合作業」で、34.5%となっています。

勘定科目判定の負担を軽減するために

経費精算や仕訳業務をスムーズに進めるためには、福利厚生費の条件や要件を正しく理解し、迷わないように社内規定や運用ルールを整備しておくことが重要です。また、過去のデータから勘定科目を自動推測するような会計ソフトなどを活用することで、毎回の判断に迷う時間を削減し、定型業務の負担を軽減できると考えられます。

出典:マネーフォワード クラウド、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業【勘定科目に関する調査データ】(回答者:アンケート回答者881名のうち、「自分で仕訳作業を行っている(39.3%)」「メンバーが行った仕訳内容の確認・承認を行っている(28.4%)」「自分で仕訳作業を行い、かつ他者の確認・承認も行っている(14.0%)」と回答した方、集計期間:2026年3月実施)

福利厚生費は従業員のモチベーションアップや節税につながる

福利厚生費は従業員の福利厚生に役立つ費用です。従業員のモチベーションアップによる生産性向上、法人税負担の軽減等の効果が期待できます。

福利厚生費として適切に処理するためには、対象者、支給内容、会社負担額、利用条件、申請方法、証憑の保存方法を社内規程で明確にし、制度どおりに運用することが重要です。

特に、通勤手当、食事補助、社宅、健康診断、慶弔見舞金、社員旅行などは個別の要件があるため、支出前に給与課税の要否を確認しましょう。

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経理業務はチェック業務や仕訳連携・振込業務の効率化が実現でき、一連の流れがリモートで運用できます。

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よくある質問

福利厚生費とは?

給料や賞与以外に会社が従業員のために支出する費用のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

福利厚生費を経費計上するための条件は?

賃金ではないこと、全従業員を対象範囲としていること、金額が社会通念上妥当であることを満たすものが福利厚生費と認められます。詳しくはこちらをご覧ください。

福利厚生費が課税対象となる基準は?

一部の従業員だけを対象にしていたり、社会通念上妥当ではない場合は、課税対象となります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
  • 監修:安木 識晃(公認会計士準会員)

    公認会計士準会員。監査法人にて4年弱、外資系保険会社などの財務諸表監査・内部統制監査に従事。その後、FAS(財務アドバイザリー)領域にてIPO支援(事業計画・資本政策・内部統制構築)、M\&AにおけるPPA・無形資産評価などを担当。スタートアップ企業のCFOとして、経理財務体制の構築、資金調達、海外展開支援にも従事。現在は都内のFASコンサルティングにて、IPO準備企業や成長企業の財務支援を行う傍ら、ライティング・記事監修業務も精力的に実施。専門分野に根差した実務的かつ分かりやすい情報発信を得意とする。

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