勘定科目に関する実態調査
作成日:2026年6月3日
1. 調査概要
本レポートは、企業の経理担当者を対象とした勘定科目・仕訳業務の運用実態に関する調査結果をまとめたものです。仕訳業務の主軸となる運用手段、月間の仕訳件数や所要時間、最もボトルネックとなっている工程などを明らかにしており、自社の経理体制の設計・運用改善にお役立ていただけます。
- 調査時期:2026年3月実施
- 調査対象:自分で仕訳作業を行う、または他者の仕訳内容の確認・承認を行う経理担当者
- 有効回答数:881名(うち仕訳業務に関与する層がメイン対象)
- 回答者属性:自分で仕訳作業を行っている(39.3%)、メンバーの仕訳内容の確認・承認を行っている(28.4%)、自分で仕訳作業を行いかつ他者の確認・承認も行っている(14.0%)
回答者の勤務先従業員規模
- 1,001名以上:19.7%
- 11名~50名:18.4%
- 101名~300名:16.4%
- 51名~100名:14.6%
- 501名~1,000名:10.5%
- 301名~500名:9.9%
- 10名以下:9.8%
- わからない/答えられない:0.8%
2. 調査結果サマリー
4つのポイント
- 仕訳業務の主軸となる運用手段は「クラウド型会計ソフトへの直接入力(28.6%)」と「オンプレミス型会計ソフトへの直接入力(27.6%)」が拮抗し、「表計算ソフトで集計しインポート(22.2%)」も多い一方、「自動連携機能の活用」は14.3%にとどまり、完全な自動化はまだ浸透していない。
- 仕訳作業で最も工数がかかる工程は「適切な勘定科目や消費税区分の判定(36.8%)」がトップで、次いで「明細と帳簿の突合作業(34.5%)」「インボイス制度への対応(27.2%)」「証憑の回収と内容確認(25.2%)」と、判断・目視確認・法制度対応に負担が集中している。
- 月の総仕訳件数は「101件~500件」が29.8%で最多、1ヶ月の所要時間は「10時間を超え20時間以下(29.6%)」が最多だが、20時間を超える層も合計で約3割(30.4%)存在し、一定の業務負荷がかかっている。
- 年代や経験によってボトルネックと感じる工程に差があり、若手層では「勘定科目・税区分の判定」、中堅〜ベテラン層では「明細との突合作業」への負担が強く出ている。
3. 調査結果の詳細
3-1. 仕訳業務において最も主軸となっている運用手段
現在、勤務先での仕訳業務において最も主軸となっている運用手段を尋ねました。
- クラウド型会計ソフトへの直接入力:28.6%
- オンプレミス型(インストール型)会計ソフトへの直接入力:27.6%
- 表計算ソフト(Excel等)で集計し、会計ソフトへ一括インポート:22.2%
- 会計ソフトの自動連携機能(銀行明細・カード明細等)の活用:14.3%
- 外部(税理士事務所・記帳代行会社等)へのアウトソーシング:3.7%
- 紙の伝票や台帳による手書き管理:3.5%
- その他:0.1%
「クラウド型会計ソフトへの直接入力」が最多となりましたが、オンプレミス型への直接入力もほぼ同水準であり、依然として直接の手入力や表計算ソフトを利用する運用が多くを占めています。年代別では、20〜29歳(男女)で「オンプレミス型会計ソフトへの直接入力」が約31%(男性31.8%、女性31.5%)と最多で、若手層が配属される現場で従来型システムが稼働しているケースが多いことが推測されます。一方、男性30〜49歳・女性40〜49歳では「クラウド型会計ソフトへの直接入力」が30〜35%台となり、全体平均より高い利用率となっています。
3-2. 月間の平均的な総仕訳件数
月間の平均的な総仕訳件数を尋ねました。
- 101件~500件:29.8%
- 501件~1,000件:21.4%
- 1,001件~3,000件:14.9%
- 100件以下:12.4%
- 3,001件~5,000件:8.9%
- 5,001件以上:6.9%
- わからない/覚えていない:5.7%
「101件~500件」が最多となり、500件以下が全体の約4割を占める一方、1,001件を超える企業も3割強存在しています。仕訳件数には企業規模に応じて幅広い分布が見られます。
3-3. 1ヶ月あたりの仕訳関連業務の総所要時間
1ヶ月あたりの仕訳関連業務(入力・証憑確認・突合・修正・承認等)に費やしている総所要時間(概算)を尋ねました。
- 10時間を超え20時間以下:29.6%
- 5時間を超え10時間以下:23.3%
- 20時間を超え40時間以下:20.1%
- 5時間以下:11.0%
- 40時間を超え80時間以下:7.9%
- わからない/覚えていない:5.7%
- 80時間を超える:2.4%
「10時間を超え20時間以下」が最多で、回答者の約半数が10時間から40時間の範囲で業務を行っています。20時間を超える層も合計で約3割(30.4%)存在し、一定の業務負荷がかかっていることがわかります。属性別では、女性20〜29歳で「10時間を超え20時間以下」が46.6%と全年代の中で突出して多く、実務担当として一定の業務量を抱えている層であることがうかがえます。
3-4. 仕訳作業で最も工数がかかっている作業(複数回答)
仕訳作業の工程において、最も工数がかかっている(ボトルネックとなっている)作業を尋ねました。
- 適切な勘定科目や消費税区分(課税・非課税等)の判定:36.8%
- 銀行明細やクレジットカード明細と帳簿の突合作業:34.5%
- インボイス制度(適格請求書発行事業者の確認等)への対応:27.2%
- 証憑(領収書・請求書)の回収と内容の確認:25.2%
- 電子帳簿保存法に準拠した形式でのデータ保存・管理:17.7%
- 仕訳ミス(入力誤り・重複等)の発見と修正対応:15.8%
- 部門別・プロジェクト別配賦などの管理会計上の処理:13.6%
- 特になし:6.2%
- 申請者への確認や差し戻しなどのコミュニケーション:4.2%
- その他:0.1%
「適切な勘定科目や消費税区分の判定」が最多となり、判断業務や突合作業、法制度対応に伴う負担が多く挙がりました。年代や経験によってボトルネックと感じる業務に大きな差が見られ、女性20〜29歳の若手層では「勘定科目や消費税区分の判定」が63.0%と全年代の中で突出して最多となっており、業務経験が浅い層にとって税区分や勘定科目の判断が大きなハードルになっている様子がうかがえます。一方、男性40代〜50代の中堅〜ベテラン層では「明細と帳簿の突合作業」が37〜44%台と比較的高く、入力後の正確性の担保や確認作業にまつわる工数負担をより強く感じている傾向が見られます。
4. 調査結果から見える課題と対策
本調査の結果から、仕訳業務の運用において、3つの課題と、その対策の方向性が浮かび上がりました。
課題①:自動化が浸透しきらない「中途半端なシステム化」
会計ソフトは導入されているものの、自動連携機能の活用は14.3%にとどまり、手作業での直接入力(合計56.2%)やExcel集計+インポート(22.2%)が根強く残っています。このシステム化の中途半端さが、人的な判断や目視作業といったボトルネックを生み出す一因となっています。
対策の方向性:銀行・カード明細の自動連携や勘定科目の自動推測機能を活用し、手入力・Excel経由の運用から脱却することで、目視作業や判断の負担を構造的に減らすことが有効です。
課題②:判断・目視確認に集中する工数
最も工数がかかる工程は「勘定科目・消費税区分の判定(36.8%)」と「明細と帳簿の突合作業(34.5%)」であり、特に若手層では判定が、ベテラン層では突合が大きな負担となっています。属人的な判断と目視確認が業務効率を下げています。
対策の方向性:勘定科目・税区分の判定マニュアルや過去データに基づく自動推測を整備し、突合作業を自動連携に置き換えることで、経験差によらず安定した処理を実現することが望まれます。
課題③:法制度対応による確認作業の増大
インボイス制度への対応(27.2%)や電子帳簿保存法に準拠したデータ保存・管理(17.7%)、証憑の回収・確認(25.2%)が、ただでさえ煩雑な確認作業に追い打ちをかけており、経理担当者の負担となっています。
対策の方向性:適格請求書の確認や電帳法対応を支援する仕組みを業務フローに組み込み、法対応に伴う確認工数を削減することで、本来の業務に集中できる体制を整えることが求められます。
5. まとめ
本調査からは、会計ソフトの導入が進む一方で自動連携のフル活用には至らず、勘定科目・税区分の判断や明細の目視突合といった人的作業が業務のボトルネックとなっている実態が明らかになりました。さらに、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応が確認作業を増大させ、月20時間以上を費やす層も約3割存在しています。
- 中途半端なシステム化:自動連携の活用が14.3%にとどまり手入力・Excelが根強い → 判断・目視作業のボトルネック化
- 判断・目視確認への工数集中:勘定科目判定や明細突合に負担が偏在 → 経験差による処理品質のばらつきと業務効率の低下
- 法制度対応の負荷増大:インボイス制度・電帳法対応や証憑確認の煩雑化 → 本来業務を圧迫する確認工数の増加
これらの課題に対しては、自動連携機能や自動推測の活用による脱・手入力、勘定科目・税区分の判定支援、法制度対応を組み込んだ業務フローの整備を進めることが、経理担当者の負担を軽減し業務を効率化する鍵となります。
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出典
マネーフォワード クラウド、勘定科目に関する調査データ(回答者:881名のうち仕訳業務に関与する層、集計期間:2026年3月)
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