- 作成日 : 2025年1月30日
決算書と別表の関係は?作成する際のポイントや添付書類を解説
法人が確定申告を行う場合、別表と呼ばれる書類を提出します。しかし、書き方がいまいち分からない、添付すべき書類が分からないという方もいるのではないでしょうか。
そこで、今回は決算書の別表について詳しくご紹介します。決算書との関係、作成のポイントを押さえて、スムーズに確定申告を済ませましょう。
目次
別表(税務申告書)とは
別表とは何のことか、および別表の種類について押さえておきましょう。
法人税の確定申告に別表を提出する
別表とは「税務申告書」のことです。法人税の確定申告時に提出します。税務申告書は別表1~20まであり、事業の内容や申告したい内容に応じて提出します。なお「別表1」は確定申告書となっているため、全ての法人が提出しなければなりません。
別表の一覧
別表の種類は100種類以上ありますが、全ては紹介しきれないため、一般的な法人の確定申告で多く使われるものをご紹介します。
書類名 | 書類の内容 |
---|---|
別表1 | 各事業年度の所得に係る申告書-内国法人の分 (青色申告) |
別表2 | 同族会社等の判定に関する明細書 |
別表4 | 所得の金額の計算に関する明細書 |
別表5(1) | 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書 |
別表5(2) | 租税公課の納付状況等に関する明細書 |
別表6(1) | 所得税額の控除に関する明細書 |
別表7(1) | 欠損金又は災害損失金の損金算入に関する明細書 |
別表8(1) | 受取配当等の益金不算入に関する明細書 |
別表11(1) | 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書 |
別表14(2) | 寄附金の損金算入に関する明細書 |
別表15 | 交際費等の損金算入に関する明細書 |
別表16(6) | 繰延資産の償却額の計算に関する明細書 |
別表16(7) | 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書 |
別表16(8) | 一括償却資産の損金算入に関する明細書 |
決算書と別表(税務申告書)の関係は?
決算書とは、企業の経営状態、財務状態を示すものです。具体的には以下の書類が決算書となります。
決算書を元に別表を作成する
法人が決算を迎えたら、まずは当期の帳簿を元に決算書を作成します。その後、決算書を元に別表の作成を行います。
先に述べた通り、「別表1」は青色申告の事業者であれば作成は必須です。その他、所得金額の計算に関する明細書である「別表4」などがよく使われます。その他の別表は事業や申告内容に合わせて作成しましょう。
確定申告の際に別表へ決算書を添付する
別表の作成が完了したら、決算書や必要書類を添付して確定申告を行います。確定申告の期限は事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。
決算書を正確に作成するポイント
ミスがない確定申告のためには決算書を正確に作成する必要があります。決算書作成のポイントを押さえておきましょう。
資料を漏れなくそろえる
決算書を作成するためには、正しい記帳をすることが重要です。正しい記帳のためにも資料を漏れなくそろえておきましょう。準備すべき資料には以下のようなものがあります。
■ 領収書綴り
全ての法人で作成が義務付けられています。何にお金を使ったかをはっきりさせておくために必要なものです。また、税務調査等でも確認される場合があります。法人の場合、保存期間は7年です。
■ 総勘定元帳
勘定科目ごとの取引が記録されたものです。全ての法人で作成が義務付けられています。法人の場合、保存期間は7年です。
■ 賃金台帳
従業員に支払った給与・源泉所得税、社会保険料等を記載した帳簿です。
■ 前期の決算書
売上等が前期とどう変わったかを確認するために必要です。
残高試算表を日頃から確認しておく
勘定科目ごとの貸方と借方の差を記載しているのが残高試算表です。残高試算表を作成すると法人の経営状況を確認することができます。
また、残高試算表の貸方と借方の合計は必ず一致するようになっています。日頃から確認することで、記帳の間違いにも気付きやすくなるというメリットがあります。正しい決算書を作るためにも、確認を怠らないようにしましょう。
勘定科目内訳明細書を適切に作成する
勘定科目内訳明細書とは、勘定科目の内訳が記載されている書類のことです。確定申告の際は必ず提出しなければなりません。勘定科目内訳明細書では、法人の取引の実態や財務状況を確認できます。
勘定科目内訳明細書は16種類の勘定科目ごとに作成します。ただし、16種類全ての作成が義務付けられているわけではありません。自社の事業内容や取引状況に応じて必要な部分のみ作成しましょう。
別表(税務申告書)を正確に作成するポイント
決算書が完成したら別表を作成します。別表の作成ポイントも確認しておきましょう。
決算書の情報を漏れなく転記する
別表には決算書の情報を漏れなく転記しましょう。転記後は間違いがないか複数人でチェックしてください。
自社に必要な別表を正しく選別する
自社に必要な別表を選ぶことも重要です。もし、分からないという場合は、早めに税務署や税理士に相談しましょう。
なお、法人の確定申告に対応した会計ソフトで申告書類を作成するのであれば、ソフトが自動的に正しい別表を選択します。
不明点があれば専門家に相談する
別表を作成する上で不明点がある場合は、税理士等の専門家に相談しましょう。法人の確定申告作業は煩雑になりがちです。また、申告にも期限があります。余裕を持って書類作成に入り、不明点は早めに相談するようにしてください。
別表(税務申告書)の提出に添付する書類
完成した決算書と別表を提出する際は、以下の書類も添付する必要があります。
- 勘定科目内訳明細書:
勘定科目の内訳を記載します。16種類ありますが全てを作成する必要はありません。自社の事業内容や取引に合ったものだけを作成してください。 - 法人事業概況説明書:
事業の内容、国内外の支店や子会社の数、従業員数、パソコンの利用状況、海外との取引状況、経理の状況などを記載します。
別表について理解し、正しく確定申告しよう
法人が確定申告を行う際は、決算書とは別に別表(税務申告書)が必要です。別表は多くの種類がありますので、自社の事業内容等に合ったものを選んで使ってください。
もし、どの別表を使ったらいいのか迷うのであれば、申告期限に間に合うよう早めに税務署や税理士に相談しましょう。
また、確定申告時は「勘定科目内訳明細書」「法人事業概況説明書」等の書類も添付しなければなりません。これらについても忘れないよう、別表作成と同時に進めていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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