- 更新日 : 2026年1月28日
雇用管理責任者になるには?資格は不要?講習の受講義務や届出方法を解説するには?
結論として、「雇用管理責任者」は国家資格ではなく、事業主によって選任される役職(役割)です。そのため、試験を受けて資格を取得する必要はありません。雇用管理責任者になるには、事業主から選任された後、当該事業所において雇用管理責任者を選任した旨周知する努力義務があります。
この記事では、中小企業の経営者の方にも分かりやすく、雇用管理責任者の役割や目的、選任から届出までの具体的な流れ、そして受講が義務付けられている講習の内容について詳しく解説します。
目次
雇用管理責任者とは何か?(資格との違い)
雇用管理責任者とは、国家試験などを経て取得する「資格」ではなく、建設業などの事業所ごとに、労働者の適切な雇用管理を行うために選任される「責任者(役職)」のことです。 この点が、施工管理技士のような国家資格との最も大きな違いといえるでしょう。
労働者の雇用環境を守る
雇用管理責任者制度は、「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」に基づき、特に建設業界で働く労働者の雇用環境を安定させ、その福祉を向上させることを目的としています。具体的には、労働関係法令の遵守、適切な労働条件の確保、キャリアアップ支援などを通じて、労働者が安心して働ける環境を整備する中心的な役割を担います。
資格ではなく「選任される役職」
多くの方が「雇用管理責任者資格」という言葉で検索されるため混同しがちですが、これは試験に合格して得るライセンスではありません。あくまで、事業主が自社の従業員の中から、あるいは事業主自身が「この事業所の雇用管理を担当します」と定め、その役割を担う人のことを指します。
したがって、「資格取得の方法」は存在せず、「選任されるための手順」があると理解するのが正確です。
誰が選任する必要があるか?
建設業を営む事業主は、労働者を雇用する事業所ごとに雇用管理責任者を選任することが義務付けられています。対象は建設業に限られ、他業種には直接の義務はありません。
雇用管理責任者になるにはどうすればよいか?
事業主が責任者としてふさわしい人物を選任し、選任された者が「雇用管理責任者講習」を修了することで、正式に就任できます。 手続きは大きく分けて3つのステップで進みます。
STEP1:事業主による選任
まず、事業主が雇用管理責任者となる人物を社内で選びます。 選任されるための特別な学歴や実務経験などの要件はありません。人事労務に関する知識がある方が望ましいですが、必須ではありません。中小企業では、事業主本人(社長)や人事担当者、総務部長などが選任されるケースが一般的です。
STEP2:雇用管理責任者講習の受講
雇用管理責任者に選任された人は、都道府県労働局が実施する「雇用管理責任者講習」を無料で受講することができます。 これは「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」第5条3項にて「事業主は、雇用管理者に必要な研修を受けさせる等、知識の習得及び向上を図るように努めなければならない」と努力義務を課しています。講習未受講による罰則もありません。、講習の詳細は後述します。
STEP3:職場への周知
雇用管理責任者を選任(または変更)した際は、雇用管理責任者の氏名を事業所に掲示する等により、当該事業所の建設労働者に周知する努力義務があります。届出義務はありません。
雇用管理責任者講習の概要は?(内容・費用・受講方法)
雇用管理責任者講習は、責任者として必要な労働関連法規や雇用管理の実務知識を学ぶための、1日で完了する公的な研修です。 多くの場合、無料で受講することができます。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 実施機関 | 各都道府県労働局、またはその委託団体 |
| 講習内容 | ・労働基準法、労働安全衛生法などの関係法令 ・雇用保険、労働者災害補償保険、社会保険 ・募集、採用、配置、能力開発 ・建設業における雇用改善事例 など |
| 時間・日数 | 1日(約5〜6時間程度) |
| 費用 | 原則無料(一部の委託団体ではテキスト代などが必要な場合も) |
| 申込方法 | 各都道府県労働局のウェブサイト等で案内される日程を確認し、指定の方法で申し込みます。 |
この講習は、責任者としての基礎知識を体系的に学べる貴重な機会です。罰則がないからといって受講を怠るのではなく、企業の労務管理レベルを向上させるためにも積極的に参加することが望ましいでしょう。
雇用管理責任者の主な職務内容は何か?
雇用管理責任者の職務は、労働者の募集から退職まで、雇用に関するあらゆる事項を適切に管理・運用することです。 その内容は多岐にわたります。
- 募集・採用・配置に関する管理:求人内容の確認、採用選考の適正化、入社後の適切な配置など。
- 各種帳簿の整備:労働者名簿、賃金台帳、出勤簿などを法令に則って作成・保管。
- 各種届出の履行:雇用保険や社会保険の資格取得・喪失手続きなどを遅滞なく行う。
- 労働環境の改善:労働時間や休日の管理、安全衛生の確保、福利厚生の充実など。
- 労働者からの相談対応:雇用に関する悩みや苦情を受け付け、その解決を図る窓口となる。
よくある質問(社長でもなれるか?不要なケースは?)
社長や個人事業主本人も雇用管理責任者になることができます。また、労働者を一人も雇用していない場合は、選任は不要です。
社長や代表者も選任可能か?
可能です。 特に、従業員数が少ない中小企業においては、経営者が雇用管理責任者を兼任するケースは非常に多く見られます。経営者自らが最新の労働法規を学ぶ良い機会にもなります。
選任が不要なケースとは?
その事業所に、雇用する労働者が一人もいない場合は、雇用管理責任者を選任する必要はありません。 例えば、社長一人だけで経営している会社や、外部の職人を下請契約で利用しているだけで直接雇用の従業員がいない一人親方などがこれに該当します。あくまで「労働者を雇用する」ことが選任義務の発生要件です。
適切な雇用管理は、企業の信頼と成長の土台
この記事では、「雇用管理責任者」が資格ではなく役職であること、そしてその選任方法や講習について解説しました。雇用管理責任者を正しく選任し、その役割を機能させることは、法令遵守はもちろんのこと、従業員の満足度向上や人材の定着につながります。それは結果として、企業の生産性向上と持続的な成長の基盤となるでしょう。まずは自社の選任状況を確認し、未選任の場合は速やかに手続きを進めることをお勧めします。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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