- 更新日 : 2024年7月1日
親方とは?意味や使い方、棟梁や子方との違い、親方になる条件を解説
建設業界における「親方」とは、工事現場の責任者や職人集団の頭取のことを指します。親方は、工事現場を統括し職人たちを指揮・管理する立場にあります。この記事では、棟梁や子方などとの比較や、親方になるための条件やスキルについて触れていきます。
目次
親方とは?
建設業界での「親方」の意味
建設業界における「親方」とは、工事現場でチームまたは班を率いる職人のリーダーや管理者を指します。
具体的には、親方は、工事の工程管理、品質管理、安全管理などの責任を負っており、職人たちの技術指導や教育も行います。また、発注者との折衝窓口としての役割も担っています。つまり、工事に関する重要な意思決定を行い、職人たちの作業を取りまとめる中心的な存在なのです。
相撲業界での「親方」の意味
相撲業界における「親方」とは、部屋を切り盛りする立場の人物を指します。相撲部屋の経営、力士の育成、試合の出場管理など、部屋の運営全般を統括する役割を果たしています。一部は相撲協会の運営にも関与することがあります。親方の存在は部屋の運営だけでなく、力士の日常生活やメンタルケアにも大きく影響を及ぼします。
親方の使い方・例文
建設業界や相撲業界において、上司や指導者を敬う意味合いで「親方」と呼ぶことが一般的です。
例えば、「親方、工程が遅れそうなので対策をお願いします」や「親方の指導の下、職人たちは見事な仕事ぶりを見せてくれました」、「相撲部屋の親方は、力士の技術向上に尽力している」などのように使われます。
建設現場の親方と棟梁、その他の呼び方との違い
棟梁(とうりょう)
棟梁(とうりょう)は、建築現場の主任技術者のことを指します。工事の品質管理、安全管理、生産性の向上などを担当し、現場の統括責任者としての役割を果たします。
一方、親方は棟梁よりも上位の立場にあり、工事全体の管理や職人たちの指揮・育成などを行います。つまり、親方は棟梁を統括する立場にあると言えます。
例えば、大規模なビル建設プロジェクトでは、棟梁が設計図の解析、材料の選定、作業スケジュールの管理、安全管理など、プロジェクトの成功に不可欠な多くの任務を担います。
棟梁になるためには、まず現場での豊富な経験を経て、技術資格を取得し、最終的にはその技能と実績を認められることが必須です。一部のプロジェクトでは、特定の資格や認定が求められることもあります。
頭(かしら)
頭(かしら)とは、工事現場の中間管理職的な存在です。具体的には、大工棟梁やプロジェクトマネージャーなどが頭に該当します。
頭は現場の品質管理や安全管理を行い、親方の指示を職人たちに伝達する役割を担っています。つまり、親方と職人の間に位置する中間管理職と言えるでしょう。
「かしら」になるには、一定の技術力とともに、チームメンバーからの人間関係構築能力が求められます。地位は非公式なものであることが多く、実績と信頼により自然とこの役割が担われることが一般的です。
親父(おやじ)
親父(おやじ)は、職人たちからの親しみを込めて使われる呼び方です。親方ほど公式的な呼び方ではなく、職人たちとの信頼関係が深いことを示しています。
親父は、単なる上司ではなく、職人たちを慈しむ父親のような存在として認識されているのが特徴です。
建設現場の親方と子方との関係
建設現場における親方と職人の関係は、まさに師弟関係といえるでしょう。
親方は、職人たちの指導役としての位置づけがあります。職人たちは、親方から技術を学び、実践を通して磨き上げていきます。また、親方は職人たちの能力を見極め、適切な仕事を割り振ります。
この親方と職人の関係を、建設業界では「親方と子方」と呼びます。
「子方」とは、親方の指導の下で技術を磨く若手職人のことを指します。親方が長年にわたって培った経験と技術を、子方に継承していく仕組みが構築されているのが特徴です。
つまり、建設現場では親方と子方が協力し合いながら、高度な技術を維持・向上させていくのが一般的なのです。
親方と子方の業務内容の違い
親方の業務内容
- 技術指導:親方は、自身が持つ技術や知識を子方に伝える役割を果たします。これには、具体的な技術の指導だけでなく、職人としての態度や思考方法なども含まれます。
- 作業管理:親方は、作業の進行を管理し、必要に応じて指示を出します。これには、作業のスケジューリングや、作業の品質を確保するためのチェックなどが含まれます。
- 安全管理:親方は、作業現場の安全を確保するための管理も行います。これには、安全ルールの遵守や、危険な状況を未然に防ぐための対策などが含まれます。
子方の業務内容
- 技術の習得:子方は、親方から技術や知識を学びます。これには、具体的な技術の習得だけでなく、職人としての態度や思考方法なども含まれます。
- 作業の実施:子方は、親方の指導のもとで日々の作業を行います。これには、具体的な作業の実施だけでなく、作業の品質を確保するための自己チェックなども含まれます。
- 安全確保:子方もまた、作業現場の安全を確保するための役割を果たします。これには、安全ルールの遵守や、自身の安全を確保するための対策などが含まれます。
建設現場の親方になるためには?
建設業の親方になるには、幅広い技術的な理解力が求められます。具体的には、工事に必要な道具や作業の種類など、職種に関する知識を深く理解している必要があります。
また、工事の進捗状況を把握し管理する作業進行管理のスキル、様々な職種の人々との良好な関係を築く人間関係のスキル、工事費用の管理など経済的な理解力も不可欠です。
必要な資格や経験
- 経験:親方になるためには、発注者から直接4,500万円以上の金額で請け負った工事において、2年以上の指導監督的な実務経験があること。
- 資格:親方になるためには、「職長・安全衛生責任者教育」と各職種の「作業主任者資格」の取得などが求められます。
- 建設業許可:親方になるためには、建設業許可が必要です。
建設現場の親方として成功するためのポイント
親方として成功するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 開業の準備を抜かりなくする:開業の準備をしっかりと行うことが大切です。税務署に開業届を提出したり、事業用口座を作成したり、確定申告の準備をしたり、特別労災に加入したりするなど、開業に向けた準備を進めましょう。
- 仕事を切らさない:仕事を切らさずに早い段階で売り上げ・収入を確保することが重要です。スケジュール管理スキルが欠かせません。
- 仕事の単価を上げる:スケジュールが埋まって収入に余裕が出てきたら、徐々に仕事の単価アップを目指しましょう。
- 営業・交渉スキルを身に付ける:新規の仕事の獲得を増やしたり、一件あたりの単価を高くすることができれば安定して高い収入を得ていくことが可能となります。
- 従業員を雇う:仕事量・単価がアップし一人親方として十分な収入が得られるようになったら、従業員の雇用も検討しましょう。
- 元請けを目指す:元請け仕事は下請けより利益が大きく、価格競争から抜け出すことで売り上げも伸ばすことができます。
これらのポイントを押さえ、自身のスキルや経験を活かしながら、親方としてのキャリアを築いていくことが求められます。親方として成功するためには、技術力だけでなく、マネジメント力や営業力、人脈なども重要となります。
一人親方とは?親方との違い
一人親方とは、労働者を雇用せずに自分自身と家族だけで建設業を営む個人事業主のことを指します。一人親方は、元々は職人をまとめて仕事ができる能力をもっているという職階を示す言葉でしたが、現代では事業者の位置づけとされています。
一人親方になるためには、確定申告や社会保険加入などの手続きが必要で、建設業許可も取得する必要があります。また、一人親方として働く場合、法定福利費等の労働関係諸経費の削減を意図して、実態は雇用労働者でありながら、名目上請負契約を結び、個人事業主として扱われることがあります。これは、会社が社会保険料や労働保険料を負担するのが困難で従業員を独立させ、一人で仕事を請け負っている形式にしてしまうというものです。
一人親方と親方との違い
親方は、特定の職種や業界、特に建設業界などで使われる言葉で、技術的な作業を行いながら、同時に他の職人(子方)への技術指導や作業管理などを行う役割を持つ人を指します。親方は、自身が持つ技術や知識を次世代に伝え、職人としての成長を促す役割を果たします。
一方、一人親方は、労働者を雇用せずに自分自身と家族だけで事業を行う個人事業主のことを指します。一人親方は、自分自身のみで、あるいは自分を含めた家族とだけで業務を行っている人が一人親方の代表例です。一人親方は、自分の専門分野の技術的な作業を行い、自分自身の事業の運営と管理を行います。
親方と一人親方の主な違いは、親方が他の職人(子方)への技術指導や作業管理などを行う役割を持つのに対し、一人親方は自分自身のみ、または家族とだけで事業を行うという点です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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