- 更新日 : 2026年3月19日
【図解】総資産とは?決算書のどこを見る?計算方法や経営分析を解説
総資産とは、決算日時点で会社が保有する現金・建物・権利など「すべての資産」の合計額です。
決算書における総資産とは、決算日時点で会社が保有しているすべての資産を合計した金額であり、貸借対照表(B/S)の左側すべてを足し合わせたものです。資産は、その性質により、流動資産・固定資産・繰延資産の3つの種類の資産に分けられます。総資産は会社の規模を表す指標にもなり経営分析においても活用されます。
この記事では実務で役立つ知識をわかりやすく解説します。
目次
総資産とは?
総資産とは、決算日時点で会社が保有しているすべての資産を合計したものです。現金や預金だけでなく、販売前の商品(在庫)、自社ビルや工場、機械、さらには貸付金や特許権などもすべて含まれます。
貸借対照表の左側の「資産の部」に表示される資産はすべて総資産に含まれ、貸借対照表の最下部にある「資産の部合計」は総資産の金額を指します。
また、総資産の金額は負債と純資産の合計金額と一致します。
貸借対照表の右側には「負債の部」と「純資産の部」が表示されています。総資産の金額は負債と純資産を合計した金額と必ず一致します。つまり、貸借対照表の借方(左側)と貸方(右側)が必ず均衡状態にあることから、「貸借対照表(バランスシート)」と呼ばれます。
総資産は会社が保有する資産総額を示すため、会社の規模を示す指標として使われます。財務諸表の重要な項目として認識されているだけでなく、企業ランキングなどにおいても重要な指標として使われることがあります。
総資産の内訳は?
総資産は、現金化のしやすさや性質によって、流動資産、固定資産、繰延資産の3つに分類されます。
それぞれの資産の特徴について解説します。
1. 流動資産:1年以内に現金化
流動資産とは、決算日から1年以内に現金化できる資産、または通常の営業サイクル(仕入→販売→回収)の中で発生する資産のことです。
会社の支払い能力(資金繰り)を判断する上で、最も注目すべき項目です。
2. 固定資産:1年を超えて保有・使用
固定資産とは、1年を超えて保有する資産のことです。
さらに固定資産は、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産の3つの種類に分けられます。
いずれも1年を超えて保有することが前提となる資産です。固定資産が多い企業は、設備投資に積極的である一方、資金が固定化されやすいため、資金繰りに注意が必要です。
3. 繰延資産:支出効果が将来に及ぶ
繰延資産とは、すでに代金の支払いは済んでいるものの、その効果が将来にわたって続くため、一度に費用とせず資産として計上し、数年かけて償却するものです。換金価値はありませんが、会計上は資産として扱われます。
なお、繰延資産に含まれる資産は、会社法と税法では異なります。
| 繰延資産の種類 | 繰延資産の例 |
|---|---|
| 会社法における繰延資産 | |
| 税法における繰延資産 |
|
総資産は決算書のどこに記載される?
総資産の額は、財務三表の1つである貸借対照表(バランスシート)で確認できます。
総資産は貸借対照表(B/S)で確認できる
総資産とは、会社に投下されているすべての資産の価額のことです。貸借対照表には、資産、負債、純資産に区分される項目とその価額が記載されることから、総資産の価額は貸借対照表で確認できます。
流動資産+固定資産+繰延資産の合計が総資産になる

上の図のように、総資産の額は、貸借対照表に記載される、流動資産、固定資産、繰延資産を合計した金額です。貸借対照表の借方(左側)の最後に、資産の部の合計額として総資産の金額が表示されます。
総資産を経営分析に活用するには?
総資産の大きさを見れば、会社のおおよその規模が把握できます。また、総資産を用いて計算することで、売上効率を分析することも可能です。主な指標と分析方法を紹介します。
総資産回転率で「売上の効率性」を測る
総資産回転率とは、企業が保有する総資産を利用してどれだけ効率良く売上を上げているか調べる指標です。以下の計算式で求めます。
1年間で総資産と同額の売上を得られた場合は、総資産回転率は1(回転、回)となります。業種にもよりますが、1を超えていると効率良く総資産を活用していると判断することが一般的です。業種による目安は以下をご覧ください。
| 業種 | 総資産回転率 |
|---|---|
| 卸売業、小売業 | 1.7程度 |
| 建設業 | 1.3程度 |
| サービス業、運輸業 | 1.2程度 |
| 製造業、情報通信業、飲食・宿泊業 | 1.0程度 |
| 不動産業 | 0.3程度 |
自己資本比率で「倒産リスク」を判断する
自己資本比率とは、総資本(=総資産)のうち、返済不要な純資産(自己資本)がどれくらいの割合を占めるかを見る指標です。なお、この総資本の額は総資産の額と同額になります。
総資本(=総資産)における純資産の割合で計算します。
自己資本の割合が多いと負債が少ないと考えられるため、自己資本比率が高ければ倒産の可能性が低いと判断されることが一般的です。業種や企業規模にもよりますが、自己資本比率が30~40%以上あることが望ましいとされています。
逆に10%を切ると資金繰りが危険水準にある可能性があるため、早期の対策が必要です。
ROA(総資産利益率)で「稼ぐ力」を分析する
ROA(Return On Assets)は、会社がすべての資産を使って、どれだけの利益を生み出したかを見る「総合的な収益性」の指標です。
以下の計算式で求めます。
なお、総資産利益率は単独では評価できません。数年間の数値の変化や、同業他社と比較することで、経営効率を判断します。
投資家や金融機関が企業を評価する際、最も重視する指標の一つです。一般的に、5%以上あれば優良企業と判断されます。ROAが低い場合、「資産の割に利益が出ていない」ことを意味します。
ROAを高めるためには「利益率」か「回転率」を改善する
ROAを分解すると、以下のようになります。
もしROAが低い場合、改善のアプローチは2つあります。
- 利益率を上げる(付加価値を高める)
商品単価を上げる、原価を抑える、無駄な経費を削減して利益を残す。 - 回転率を上げる(資産をスリム化する)
長期間滞留している在庫を処分する。
稼働していない機械や遊休地を売却し、総資産を減らす(分母を小さくする)。
売掛金の回収を早め、キャッシュフローを良くする。
近年では、あえて総資産を減らして効率を上げる「持たざる経営(アセットライト)」も、ROAを高める有効な手段として注目されています。
総資産と純資産の違い
純資産は、貸借対照表の右下部分に表記される返済義務のない資産です。資本金や資本剰余金、自己株式、新株予約権、評価・換算差額などを含みます。
一方、総資産の金額は純資産と負債を合計した金額と一致します。貸借対照表の左側全体に表記され、返済義務のある負債が含まれる点が純資産とは異なります。
正確な決算書で総資産を把握するための課題と対策
総資産を正確に把握するためには、決算書の土台となる日々の帳簿付けや残高の確認が不可欠です。しかし、マネーフォワードが実施した調査では、決算業務において「確定前の数値に誤りや修正が時々発生している」、または「頻繁に発生している」と回答した割合は、合わせて69.4%でした。
手入力のミスと残高照合が課題に
決算数値の誤りや修正が発生する主な原因について、最も多いのは「手入力によるミス(入力漏れ、桁間違いなど)」で、40.8%でした。また、誤りや修正が発生しやすいプロセスについて、最も多いのは「各勘定科目の残高照合・照合確認」で、29.1%でした。次いで「日次の仕訳・記帳」が29.0%となっています。
総資産の金額は、現金預金や売掛金、固定資産など、すべての資産項目の積み重ねです。手作業による入力はミスを誘発しやすく、残高照合のプロセスでつまずく要因となります。
総資産回転率やROAなどの経営分析に決算書の数値を正しく活用するためにも、会計システムなどを導入して手入力の負担を減らし、日々の仕訳を正確に行う環境を整えることが大切です。
出典:マネーフォワード クラウド、決算数値の誤りや修正が発生する頻度・決算数値の誤りや修正が発生する主な原因・誤りや修正が発生しやすい主なプロセス【決算に関する調査データ】(回答者:870名(有効回答:決算業務に関与している667名、数値の誤りや修正を経験している層635名)、集計期間:2026年2月実施)
日々の帳簿付けを正確に行おう
総資産は決算日時点での資産を指します。総資産を正確に記載するには、日々の帳簿付けを正確に行うことが大切です。項目ごとに正確に分け、丁寧に記載するようにしましょう。
また、総資産は会社の規模を示す指標としても使えます。自己資本比率や総資産利益率などを利用し経営分析を行うことで、会社の状態を正確に把握することに役立てましょう。
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