- 更新日 : 2025年2月19日
修繕引当金と特別修繕引当金とは?
修繕引当金や特別修繕引当金は、決算整理仕訳で計上される勘定科目です。日常的に使用される勘定科目ではないため、扱い方がよく分からない経理担当者も多いのではないでしょうか。本記事では、修繕引当金や特別修繕引当金の考え方を仕訳例も交えて紹介します。分かりやすく解説していますので、ぜひ実務に役立ててください。
修繕引当金とは
修繕引当金とは、建物や機械などメンテナンスが必要な固定資産の機能を維持するために準備する修繕費用のことです。修繕に備えてあらかじめ準備しておくため、引当金として取り扱われます。
修繕引当金が発生するのは、毎年行われる修繕が何らかの理由があって当期に行えなかったとき、または修繕が必要な状況になっても何らかの理由により当期中に修繕ができなかったときなどです。当期に修繕ができないとしても費用は当期に属させるべきものと考えられるため、翌期にかかる修繕費用を見積もって当期の費用として引当金に計上します。
来期にかかる修繕費用をなぜ当期に見積もるのか、不思議に感じる人もいるでしょう。その理由は、修繕が必要な事実は当期に発生しており、発生主義に基づけば当期の費用として処理することが適切だと考えられるからです(これを発生主義と呼びます)。借方科目は「修繕引当金繰入」(費用)、貸方科目が「修繕引当金」(負債)となり、修繕引当金は決算仕訳で計上されます。
修繕引当金が用いられる業種は、大規模な工場設備を所有する企業や、定期的に修繕が必要な固定資産を持つ産業が中心です。例えば、重化学工業や装置型産業がその代表的なものといえます。
修繕引当金は、必ず修繕をすべきという義務はないため、企業の判断で計上されるものです。大規模な修繕が必要な企業は修繕費用が決算に与える影響が大きいため、あらかじめ修繕費用を見積もって計上しておくのが一般的といえるでしょう。
修繕引当金は負債の部の流動負債に計上されます。以下の図で赤く囲まれているのが該当部分です。

特別修繕引当金とは
特別修繕引当金は毎年ではなく数年おきに行われる大規模な設備修繕に備えた引当金のことで、引当金の一種として負債の部に計上されます。船舶や溶鉱炉、ガスホルダーなどの装置を所有する産業で主に使われる勘定科目です。1年以内に修繕が行われない場合は、固定負債に計上します。
修繕を行うのが当期ではない場合も、修繕が必要な事実は当期に発生していると考えて当期の費用として引当金計上します。発生主義の考え方にもとづいて計上されるのは、先ほど説明した修繕引当金と同様です。
修繕引当金と特別修繕引当金の違い
修繕引当金と特別修繕引当金の違いは、想定される修繕の頻度や時期にあります。
修繕引当金は毎年行う修繕が事業年度内に実施できなかった場合に計上するものであることに対し、特別修繕引当金は、数年おきに行われる大規模修繕に備えて各事業年度に相当する分を分割して計上しておく性質のものです。
1年以内に行われる予定の修繕費用は修繕引当金に、1年以上先に行われる予定の修繕費用は、特別修繕引当金に分類すると理解しておきましょう。
特別修繕引当金の仕訳例
特別修繕引当金を決算期に計上し、支払いを行うまでの流れの仕訳例を紹介します。
(仕訳例1)
2021年度決算期に、5年後の2025年に行われる溶鉱炉の定期修繕に備えて特別修繕引当金1,000万円を繰り入れた。
1年以内に実施される予定のない修繕のため、特別修繕引当金(固定負債)に計上します。
(仕訳例2)
2024年度決算期にも同様に、2025年の定期修繕に備えた特別修繕引当金1,000万円を繰り入れた。また、翌年度(1年以内)に修繕が行われる予定のため、貸借対照表上の表示区分を固定負債から流動負債に変更した。
まずは特別修繕引当金に当期分を計上します。次に、上記仕訳に加えて修繕の実施が1年以内に迫っているため表示区分を流動負債に変更します。
(仕訳例3)
2025年度に予定通り定期修繕が行われ、修理代金5,000万円を現金で支払った。4年間積み立てた特別修繕引当金を取り崩し、差額は当期の費用として修繕費を計上した。
引当金で不足する分は、当期の費用として修繕費を計上します。
修繕引当金は来期以降に備えて積み立てておくもの
修繕引当金や特別修繕引当金は計上が義務付けられているものではないため、企業の判断で計上されるものになります。大型設備のメンテナンスは経営に与える数値的インパクトが大きいため、必要額を適切に見積もって計画的に計上しておくことが大切です。
修繕自体は数年に1回だとしても、修繕の原因は当期に発生していると考えて計上する「発生主義」が採用されていることも意識しておきましょう。
よくある質問
修繕引当金とは?
修繕引当金とは、所有する建物や機械などの固定資産の機能を維持するために行われる修繕用の引当金。修繕の頻度や時期によっては、特別修繕引当金と使い分けられる。 詳しくはこちらをご覧ください。
特別修繕引当金とは?
毎年ではなく数年おきに行われる大規模な設備修繕に備えた引当金のこと。船舶や溶鉱炉、ガスホルダーなどの大型の設備を必要とする装置産業で主に使われる。 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
裏書譲渡した手形の会計処理や仕訳とは?具体例でわかりやすく解説
受取手形を使った支払いの場面では、「裏書譲渡(うらがきじょうと)」という方法が使われることがあります。裏書譲渡とは、取引先から受け取った手形を第三者への支払いに使う方法で、現金を使わずに決済できる点が特徴です。ただし、会計処理は少し特殊で、…
詳しくみる自動車保険を経費にする場合の仕訳に使う勘定科目まとめ
車両を事業用に使用するのであれば、自動車保険を経費にできます。一方、生命保険や地震保険と異なり、年末調整や確定申告での控除は対象外です。 自動車保険を仕訳する際は、「車両費」や「損害保険料」を使います。本記事で、自動車保険の仕訳例を確認して…
詳しくみる繰り越しヘッジ損益とは?デリバティブの定義から解説!
繰延ヘッジ損益勘定は、先物取引やオプション取引といったデリバティブについて、期末時点での時価評価による差額を翌期以降に繰り延べるときに使用する勘定科目です。 財務諸表では、貸借対照表の純資産の部の評価・換算差額等として表示されます。 デリバ…
詳しくみる勘定科目 通信費とは?仕訳から解説
取引先や顧客との通信手段にかかる費用は、通信費の勘定科目を用いて経費計上します。通信費は、携帯電話料金やインターネット利用料、切手代など、さまざまな項目を含むため、何を通信費として計上してよいか迷ってしまう方も多いでしょう。今回は、通信費と…
詳しくみる会社分割の仕訳とは?新設・吸収分割の例や税務処理をわかりやすく解説
会社分割は、事業を切り出して別の会社に引き継がせる組織再編の方法で、事業承継やグループ再編などで活用されています。 ただし、税務上、会社分割の内容は「適格」か「非適格」かの判定が必要になり、会計処理も大きく変わります。さらに、承継会社と分割…
詳しくみるPCソフトやシステム等の保守料の仕訳に使う勘定科目
PCソフトやシステムなどの保守料は、修繕費や支払手数料、事務用品費、前払費用、長期前払費用などの勘定科目で仕訳をすることが可能です。それぞれの勘定科目の使い分けや選び方、具体的な仕訳例を提示しつつ解説します。 PCソフトやシステム等の保守料…
詳しくみる会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引