- 更新日 : 2024年8月8日
税務会計とは?財務会計、管理会計、企業会計との違い、法人税の計算方法
会計にはいくつもの種類があり、財務会計や管理会計に並んで税務会計があります。
税務会計は、主に所得税や法人税の税金計算のために行われる会計で、財務会計とは目的が違います。
この記事では、税務会計について、そもそもの目的、財務会計・管理会計・企業会計との違いを説明していきます。
目次
税務会計とは?
税務会計とは、税金計算を目的とした会計です。
定義はありませんが、税務会計の意味として以下の3つのうちのどれかで使われることが多い用語です。
- 税金計算のために会計(帳簿付け)を行うこと
- 法人税の計算や申告書を作成すること
- 税効果会計のこと
税務会計が対象とする税金の種類は、主に法人税・所得税・消費税があります。
法人税では、財務会計で計算した利益を法人税の課税所得に調整していく手続きを行っていきます。この手続きには税効果会計が含まれることもあり、税務会計ということがあります。
また、個人事業主は決算書の公表はしないため、所得税の計算目的で帳簿付けを行うことが多いです。消費税も同様ですが、税抜き経理方式で帳簿付けを行います。
このようなそもそも決算書の公表を前提としないで、税金計算のために帳簿付けを行うことを税務会計ということがあります。
税務会計の目的
税務会計の目的は、税金を計算することです。
この目的のために帳簿付けの方法として2つあります。
1つは、税務会計に特化して帳簿付けを行う方法です。
具体例として、所得税を計算するためだけに帳簿付けを行うことが考えられます。
所得税のみを想定するため、決算の公表はありません。したがって会計基準よりも税法を優先して会計処理を行っていきます。
もう1つは、財務会計の結果を税金計算のために調整する方法です。
具体例として、決算の公表があり法人税を支払う会社が考えられます。
まず、財務会計で正しく財産や利益の計算を行い決算書の公表を行います。財務会計で計算される利益は法人税の課税所得と必ずしも一致しないため、法人税の計算のために調整する手続きを行います。
税務会計と財務会計・管理会計・企業会計の違い
税務会計のその他の会計と比較していきましょう。
主に違うのは、目的、ルール、決算書や申告書の利用者です。
税務会計と財務会計の違いとは
税務会計と財務会計を比較すると以下になります。
| 税務会計 | 財務会計 | |
|---|---|---|
| 会計の目的 | 税金計算 | 財産や利益の計算 |
| ルールや法律 | 税法 | 会計基準 |
| 利用者 | 税務署 | 株主や債権者、投資家など |
税務会計と財務会計は厳密に区別できるものではありませんが、税務会計は申告書を作成することや課税所得を計算するために益金や損金(※)を計算することが税務会計です。
税務会計は税金計算が目的のため、法人税法や所得税法などの法律がルールになり、計算結果である申告書を税務署に提出しなければいけません。
※財務会計の収益と費用を法人税では益金と損金といいます。
それに対して、財務会計は会計基準を遵守して、財産や利益を正しく計算することが目的です。違いが生じる例として、財務会計では利益を正しく計算するために引当金を計上することがありますが、税務会計では引当金が基本的に認められません。
つまり財務会計では費用にできるものの、税務会計(法人税)では損金にすることができません。
補足として、税効果会計という分野があります。
税効果会計は、財務会計でもあり税務会計であるともいえます。内容は法人税等の影響を会計に取り込むものですが、中身は法人税の計算に近い内容です。
税効果会計は会計基準で定められているため、財務会計ともいえますが中身を見ると税金計算に近いため税務会計ともいえます。
税務会計と管理会計の違いとは
税務会計と管理会計を比較すると以下になります。
| 税務会計 | 管理会計 | |
|---|---|---|
| 会計の目的 | 税金計算 | 経営管理に役立つ情報の提供 |
| ルールや法律 | 税法 | なし、各事業者の任意 |
| 利用者 | 税務署 | 経営者や管理者 |
管理会計は、経営管理に役立つ情報の提供を目的として、各事業者が任意に行う会計です。
代表的なものは資金繰りや予算管理などがあります。当然のことながら管理会計を行っても税金計算に直接影響することはありません。
また、管理会計は各事業者が任意に行う会計のため厳密な定義や範囲はありません。ただし、原価計算を管理会計の1つとする場合は、売上原価や商品の金額に影響するため財務会計と関係があることになります。
まとめると、税務会計と管理会計はまったく別の会計と考えて問題ありません。
税務会計と企業会計の違いとは
企業会計は、定義があるわけではありませんが、広い意味と狭い意味合いがあります。
広い意味では、企業会計は企業が行うすべての会計という意味になるため、文字通り財務会計・管理会計・税務会計などの企業が行うすべての会計が含まれることになります。つまり税務会計は企業会計の一部になるという関係です。
また、狭い意味で企業会計は、財務会計と同じ意味です。一般的に企業会計は財務会計と同じ意味合いで使われることが多いです。会計基準や企業会計原則などでは、財務会計と同じ意味として「企業会計」が使用されています。
企業会計を財務会計と同じ意味とすると企業会計と税務会計との違いは、上記の税務会計と財務会計の違いと同じ内容です。
個人事業主のほとんどは税務会計
個人事業主は、所得税で事業所得などを計算するために帳簿付けを行いますが、決算を公表せず所得税計算のためだけに行っているため、税務会計になります。
つまり、所得税のルールに基づいて帳簿付けを行っているということです。
個人事業主が税務会計で帳簿付けを行うことは悪いことではありません。
財務会計で求められる正しい利益や財産計算しても決算を公表しないため、特にメリットがないためです。
法人は財務会計と税務会計
法人は、上記で述べた個人事業主とは違い決算を公表する義務があることがほとんどです。
したがって財務会計で求められる利益や財産を正しく計算し決算書を作成する必要があります。
さらに、法人は法人税も計算し納付しなければいけません。
つまり、財務会計と税務会計を取り入れることになります。
このように2つの会計を取り入れるからといって、財務会計のために帳簿を1つ作成し、さらに税務会計のために帳簿を1つ作成するということはしません。理由は事務負担が大きすぎるためです。
現実的には、財務会計のために帳簿を1つ作成し、財務会計の結果を法人税の計算のために調整するという手順を取ります。
法人税の計算は税務会計に基づく
法人税の計算は、以下の手順で行います。
上記の手順の法人税の仮計算を行うことで、法人税が確定します。
法人税の計算では、財務会計の収益と費用を法人税の益金と損金に調整していきます。このような調整を行うことで財務会計の利益を法人税の課税所得に変換することができます。
税効果会計について
上記の法人税の仮計算の結果から、税効果会計を適用していくことになります。
1つ例をあげると、財務会計の減価償却費が大きすぎる場合は、減価償却費の一部を法人税の損金にすることができません。このような財務会計の考え方と法人税の考え方から生じる差異について税効果会計を適用して財務会計で調整を行っていきます。
税効果会計について詳しくは以下のリンクが参考になります。
税務会計の基礎を理解しよう!
税務会計は、厳密な定義はありませんが、税金計算のために行う会計です。
具体的に税務会計の内容は、所得税のために帳簿付けを行うことや、法人税の計算のための一定の手続きを指すこともあります。さらに、税効果会計も含まれることもあります。
税務会計も重要ですが、税金を考える前には必ず収益や費用、利益を確定していなければいけません。特に法人税では会計の数値がどうなっているのかが前提にあり、そのうえで法人税の考え方で制限がかけられます。
【期間限定】会計ソフト移行で最大70万円ポイント還元!
オンプレミス型・インストール型をご利用の企業様へ。 移行作業をプロに任せる「導入支援サービス(サクセスプラン)」の費用相当額が、最大70万円分ポイント還元されるお得なキャンペーンを実施中です。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
電子帳簿保存法 徹底解説(2025/10 最新版)
電子帳簿保存法は、1998年の制定以降、これまでに何度も改正を重ねてきました。特に直近数年は大きな改正が続いた上に、現在も国税庁による一問一答の追加・改定が続いており、常に最新情報の把握が必要です。
70P以上にわたるボリュームであることから、ダウンロードいただいた方から大好評をいただいている1冊です。
インボイス制度 徹底解説(2024/10 最新版)
インボイス制度は施行後もさまざまな実務論点が浮上し、国税庁によるQ&Aの追加・改訂が続いています。これを受けて、「結局どうすればいいのか、わからなくなってしまった」という疑問の声も多く聞かれるようになりました。
そこで、インボイス制度を改めて整理し、実務上の落とし穴や対応のヒントまで網羅的に解説した最新資料を作成しました。問題なく制度対応できているかの確認や、新人社員向けの教育用など、様々な用途にご活用いただける充実の資料です。
マネーフォワード クラウド会計Plus サービス資料
マネーフォワード クラウド会計Plusは、データの自動取得、自動仕訳、自動学習の3つの自動化で経理業務が効率化できる会計ソフトです。
仕訳承認フローや業務分担にあわせた詳細な権限設定が可能で、内部統制を強化したい企業におすすめです。
マネーフォワード クラウド経費 サービス資料
マネーフォワード クラウド経費を利用すると、申請者も承認者も経費精算処理の時間が削減でき、ペーパーレスでテレワークも可能に。
経理業務はチェック業務や仕訳連携・振込業務の効率化が実現でき、一連の流れがリモートで運用できます。
よくある質問
税務会計とは何ですか?
税金計算を目的とした会計を税務会計といいます。詳しくはこちらをご覧ください。
税務会計と財務会計・管理会計・企業会計はどのような点が違うのですか?
会計の目的、ルールや法律、利用者が違います。詳しくはこちらをご覧ください。
法人はどの会計方法を用いればいいのでしょうか?
法人は法人税も計算し納付しなければならないため、財務会計と税務会計を取り入れることになります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
財務諸表の関連記事
財務会計の関連記事
新着記事
請求書支払いの効率化はどう進める?手順と自動化のポイントを解説
Point請求書支払いの効率化はどう進める? 請求書支払いの効率化は、業務フローの標準化とシステムによる自動化の組み合わせで実現できます。 受領形式をPDF等の電子データに統一 A…
詳しくみる請求書を一括で振込できる?マナーや手数料の負担、効率化の手順を解説
Point請求書を一括で振込できる? 同一取引先への複数請求書は、事前に合意があれば合算して一括で振り込めます。 内訳を明記した支払通知書の送付がマナー 振込先口座が異なる場合は個…
詳しくみる振込代行サービスとは?比較ポイントや手数料を安く抑える方法を解説
Point振込代行サービスとは? 企業の送金業務を外部へ委託し、手数料削減と経理業務の効率化を同時に実現する仕組みです。 大口契約の活用により手数料を半額以下に CSV連携で入力業…
詳しくみる振込代行サービスのセキュリティは安全?仕組みや管理方法を解説
Point振込代行のセキュリティは安全? 銀行同等の暗号化と法的な保全措置により極めて安全です。 全通信をSSL暗号化し盗聴・改ざんを防止 倒産時も信託保全で預かり金を全額保護 社…
詳しくみる振込手数料を削減するには?法人のコスト対策と見直し術を解説
Point振込手数料を削減するには? 振込手数料の削減には、ネット銀行への移行や振込代行サービスの活用が最も効果的です。 ネット銀行活用で窓口より約30〜50%のコスト削減が可能 …
詳しくみる振込作業を効率化するには?経理の支払い業務をラクにする方法
Point振込作業を効率化するには? 銀行APIや全銀データを活用し、会計ソフトと銀行口座をシステム接続することで実現します。 API連携で手入力とログインの手間を削減 AI-OC…
詳しくみる会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引




