• 更新日 : 2025年8月5日

ヘルメットで首が痛くなる原因は?ヘルメットの選び方も解説

建設現場や工事現場で一日中作業した後、首の痛みに悩まされたことはありませんか?その首の痛みの原因は、もしかしたら毎日身につけているヘルメットにあるかもしれません。ヘルメットは作業員の安全を守る上で欠かせない保護具ですが、不適切な選び方や使い方をしていると、首や肩に大きな負担をかけ、つらい痛みを引き起こす原因になります。

この記事では、建設現場や工事現場でヘルメットが首の痛みを引き起こす具体的な原因を解明し、長時間の着用でも首への負担を最小限に抑えるための正しいヘルメットの選び方を解説します。

ヘルメットで首が痛くなる原因

建設現場や工事現場での安全確保に不可欠なヘルメットですが、長時間の着用によって首の痛みに悩まされる方は少なくありません。この章では、ヘルメット着用時に首が痛くなる主な原因について詳しく解説します。

ヘルメット自体の物理的要因

ヘルメットの物理的な特性が、首への負担に直接影響を与えることがあります。

ヘルメットの「重さ」による首への直接的負荷

ヘルメットの重量は、首への大きな負担となります。一般的な工事用ヘルメットの平均重量は約400gですが、製品によってこれより重いものも軽いものもあります。頭部の重さにヘルメットの重さが加わることで、首周りの筋肉には常に負荷がかかり、長時間の作業では筋肉疲労やこりを引き起こし、痛みの原因となります。

フィット感の不一致

ヘルメットのサイズが頭に合っていないと、首の痛みを引き起こす原因となります。大きすぎるヘルメットは不安定になりやすく、無意識に首の筋肉でバランスを取ろうとするため負担がかかります。小さすぎるヘルメットは頭部を締め付け、血行不良から頭痛や首の痛みにつながることがあります。長時間連続で使用する際に痛みを覚える場合や、ヘルメットと頭の間に隙間がある、またはグラつく場合はサイズが合っていない可能性があります。

あご紐の締め付け不備

あご紐の調整も首の負担に影響します。緩すぎるとヘルメットがズレたり脱げたりする危険性があるだけでなく、首に変な力が入ることがあります。きつく締めすぎると首や顎周辺が圧迫され、不快感や血行不良から痛みを引き起こす可能性があります。指が1~2本入る程度の適切な締め具合が重要です。

ヘルメットの重心バランスの不具合

ヘルメットの重心バランスも首への負担を左右します。ヘルメットの重心が高い位置にあると、テコの原理で首への負担が増大します。特に上部に部品が集中していたり、下部構造が簡素化されていると重心が高くなりやすく、実際の重量以上に首が疲れやすくなることがあります。

着用方法と作業環境に潜む原因

ヘルメットの着用方法や作業環境も、首の痛みに大きく関わっています。

不適切な着用方法

ヘルメットは、眉毛のすぐ上に来るように、まっすぐ深くかぶるのが基本です。斜めにかぶったり浅くかぶったりすると、保護性能が低下するだけでなく、重心が不安定になり首への負担が増します。

長時間同じ姿勢での作業による筋肉の緊張

建設現場では、長時間同じ姿勢での作業や前かがみの姿勢が続くことが多く、首や肩の筋肉に持続的な緊張をもたらし、血行不良や筋肉疲労を引き起こします。ヘルメットの重さが加わることで、この負担はさらに増大します。

振動や衝撃の繰り返しによる影響

作業中の振動や不意の衝撃も首への負担となり、繰り返しが首周りの筋肉や関節にダメージを蓄積させ、痛みを引き起こす可能性があります。

個人の身体的要因と既往症

個人の身体的な特徴や既往症も、ヘルメットによる首の痛みに影響を与えることがあります。

ストレートネックや猫背などの姿勢の問題

元々ストレートネックや猫背といった姿勢の問題を抱えている場合、ヘルメットの重さが首にかかる負担を増幅させやすい傾向にあります。これらの姿勢は頭の重さを分散しにくいため、首の筋肉に過度な負担がかかります。

頚椎ヘルニアなどの既往症

過去に頚椎ヘルニアなどの首の疾患を経験したことがある方は、ヘルメットの着用が症状を再発させたり、悪化させたりする可能性があります。

筋力不足や柔軟性の低下

首や肩周りの筋力不足や柔軟性の低下も、ヘルメットの重さを支えきれず、痛みが生じやすくなります。

ヘルメットによる首の痛みを軽減・予防する方法

ヘルメットによる首の痛みは、適切な対策を講じることで軽減・予防することが可能です。ここでは、具体的な対策方法について解説します。

ヘルメット選びと調整の最適化

首への負担を軽減するためには、まずヘルメット選びと調整が重要です。

軽量ヘルメットの選択とその効果

可能な限り軽量なモデルを選ぶことが推奨されます。一般的な工事用ヘルメットは約400gですが、最近では270g程度の超軽量モデルも登場しています。数十グラムの違いでも、長時間の着用では首や肩への疲労感に大きな差が出ます。

正しいサイズ選びとフィット感の重要性

購入時には必ず試着し、頭のサイズに合ったものを選びましょう。多くのメーカーではサイズ展開に加え、内装パッドで微調整可能なモデルもあります。適切なフィット感のヘルメットは、頭部全体で均等に重さを支え、首への負担を軽減します。

あご紐とヘッドバンドの正しい調整方法

ヘッドバンドは、ヘルメットがグラつかないよう、自分の頭の大きさに合わせてしっかりと調整します。ミドリ安全の「RAバンド」のようなラチェット式調整機能はフィット感を高めます。あご紐は、指が1~2本入る程度の隙間ができるように調整するのが理想的です。

インナーパッドの活用と効果

インナーパッドはフィット感や快適性を向上させます。汗吸収、消臭・抗菌、衝撃吸収、通気性向上など様々な種類があります。ただし、追加することでヘルメットがきつくなり頭痛を引き起こす場合もあるため、厚みには注意が必要です。

日常でできる首のケアと予防策

ヘルメットの工夫だけでなく、日常的なケアも首の痛みの予防には重要です。

作業前後のストレッチ

作業前後に首や肩周りの筋肉をほぐすストレッチを行うことは、筋肉の緊張を和らげ、血行を促進し、痛みの予防に繋がります。首筋ストレッチ、首の前側ストレッチ、肩甲骨はがしストレッチなどが効果的です。ゆっくりとした呼吸と動きを意識して行いましょう。

正しい作業姿勢の意識と改善

作業中はできるだけ背筋を伸ばし、首が前に突き出ないように意識することが重要です。定期的に姿勢を変えたり、休憩を挟んだりするよう心がけましょう。

定期的な休憩と身体のクールダウン

連続して長時間作業を行うことは避け、こまめに休憩を取りましょう。休憩中にはヘルメットを外し、首や肩を軽く動かしたり、水分補給をしたりすることが推奨されます。

専門家によるケア(整体・鍼灸など)の検討

セルフケアで改善が難しい場合や慢性的な痛みには、整体や鍼灸といった専門家のケアを検討するのも一つの方法です。トリガーポイント鍼療法などで症状が改善するケースもあります。

建設現場・工事現場でのヘルメットの選び方

建設現場や工事現場で毎日ヘルメットを着用する方々にとって、首への負担を軽減するヘルメット選びは非常に重要です。特に軽量性、フィット感、快適性に着目したおすすめヘルメットの選び方のポイントをご紹介します。

軽量性を追求したヘルメット

軽量性は最も重要な選択基準の一つです。

代表的な軽量モデル例
  • DICヘルメット「軽神」シリーズ
    業界最軽量クラスの270g~のモデルもあり、大幅な軽量化を実現しています。
  • 谷沢製作所(タニザワ)「かるメット」
    約360gの軽量モデルです。
  • 谷沢製作所(タニザワ)「エアライトS」
    約330g~365g。独自の衝撃吸収メカニズムで軽量化と高い通気性を両立しています。

可能であれば試着して体感的な軽さを確認しましょう。

フィット感と安定性

ヘルメットが頭にしっかりフィットし、ぐらつかないことは安全性と快適性の両面で非常に重要です。

注目すべき調整機能
  • ミドリ安全「RAバンド(ラチェットアジャスターバンド)」
    後頭部にぴったりフィットし、ヘルメットのぐらつきを防ぎます。
  • 谷沢製作所「EPA(エパ)ヘッドバンド」
    後頭部をしっかりホールドし、フィット感を高めます。

動作中の安定性も考慮し、調整システムが操作しやすいか確認しましょう。

快適性を高める機能

長時間の作業ではヘルメット内部の快適性も疲労軽減に影響します。

通気性(通気孔の有無と効果)

ヘルメット内部の蒸れは不快感や集中力低下、熱中症リスクに繋がります。

  • 通気孔付きヘルメット
    内部の熱や湿気を排出し、蒸れを軽減します。
  • 谷沢製作所「エアライト」技術
    発泡スチロールライナーを使用しない構造で、通気孔がない電気用ヘルメットでも高い通気性を実現します。

電気作業では通気孔のない「電気用」ヘルメットを選びましょう。

衝撃吸収ライナーの種類と特徴

衝撃吸収ライナーは安全性能の中核です。

  • DIC「軽神」の一体成型ライナー
    高い安全性を保ちながら軽量化を実現しています。
  • 谷沢製作所「エアライト」のブロックライナー
    発泡スチロールを使用せず、通気性向上や丸洗いが可能です。

作業内容に応じた保護性能の確認

軽量性や快適性も重要ですが、作業内容に適した保護性能が最優先です。主な保護区分は「飛来・落下物用」「墜落時保護用」「電気用」です。必要な安全規格を満たしたヘルメットを選びましょう。

おすすめ軽量ヘルメット比較表(建設・工事現場向け)

メーカー名製品名(シリーズ名)参考重量主な特徴
DICヘルメット軽神シリーズ(B3-AA17VHA5E3など)270g~業界最軽量クラス、インモールド工法、高いフィット感、通気孔付きモデルあり
谷沢製作所かるメット(B2-ST103JPZ)約330g軽量ベーシックモデル、野球帽スタイル
谷沢製作所エアライト(B2-ST01230JZなど)335g~発泡スチロールレス構造(ブロックライナー)、抜群の通気性、軽量、EPAヘッドバンドによる高いフィット感、丸洗い可能
ミドリ安全軽量ヘルメット(SC-M RA3αなど)(製品による)RAバンドによる優れたフィット感とズレ防止、αライナー搭載モデルあり

ヘルメットによる首の痛みが改善しない場合

さまざまな対策を試しても首の痛みが続く場合には、他の原因が隠れている可能性も考えられます。この章では、専門家への相談の重要性について触れておきます。

専門医への相談

対策を講じても首の痛みが改善しない、あるいは悪化する場合は、整形外科などの専門医を受診しましょう。頚椎ヘルニアや変形性頚椎症といった医学的な問題が原因の可能性もあります。専門医は正確な原因を特定し、適切な治療法を提案してくれます。早期受診が早期回復とQOL維持に繋がります。

労働災害(労災保険)の可能性について

業務が原因で発生した怪我や病気は、労働災害として労災保険の対象となる可能性があります。ヘルメット着用による首の痛みが業務に起因し、治療や休業が必要なほど重篤化した場合は、労災認定の可能性も考えられます。労災認定には業務遂行性と業務起因性の両方が認められる必要があり、個別の状況で判断されます。症状が深刻な場合は、勤務先の担当者や社会保険労務士などに相談することも選択肢です。建設業の一人親方は、労災保険の特別加入制度を利用できます。

原因を見つけてヘルメットによる首の痛みを解消しましょう

ヘルメット着用時の首の痛みは、ヘルメット自体の要因、着用方法、作業環境、個人の身体的要因などが複雑に絡み合って発生します。

しかし、原因を正しく理解し、適切な対策を講じることで、首の痛みは大幅に軽減・予防できます。軽量でフィット感の良いヘルメットを選び、正しく調整して着用することが基本です。加えて、作業前後のストレッチや正しい作業姿勢、定期的な休憩といったセルフケアも重要です。

この記事が、建設現場で働く皆様の首の痛みを解消し、より安全で快適な作業環境を築く一助となれば幸いです。痛みが改善しない場合は、我慢せず専門医にご相談ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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