• 作成日 : 2026年10月28日

決算整理後残高試算表とは?作り方・仕訳・決算整理前や精算表との違いを解説

Point決算整理後残高試算表とは何か?

決算整理後残高試算表とは、決算整理仕訳を反映した各勘定の残高一覧であり、貸借対照表・損益計算書を作成する基礎資料です。

  • 整理前試算表に決算仕訳を加減して作成
  • 収益・費用も残り、利益は別途計算する
  • 貸借一致でも記帳漏れ・重複を要確認

Q. 精算表との違いは何ですか?
A. 精算表は整理前残高から決算書への振り分けまで一覧で示す作業表ですが、整理後残高試算表は調整済み残高のみを集計した表です。

決算整理後残高試算表とは、決算整理仕訳を反映した後の勘定残高をまとめた表です。貸借対照表や損益計算書を作成する基礎資料となりますが、決算整理前残高試算表や精算表との違いが分かりにくいと感じる方もいるでしょう。

この記事では、整理後試算表の意味から作成手順、仕訳などを解説します。

決算整理後残高試算表とは?

決算整理後残高試算表は、期末の調整を反映し、決算書を作るための残高を一覧にした表です。 期中の記帳だけでは、売れ残った商品や翌期分の費用などが適切に反映されていない場合があります。

決算整理後残高試算表は決算整理仕訳を反映した各勘定の残高一覧

決算整理後残高試算表には、資産・負債・純資産・収益・費用の各勘定について、決算整理後の残高を記載します。決算整理とは、棚卸や減価償却などを通じて、期末の財産状況と当期の損益を適切に表すための調整です。この調整を仕訳として記録し、各勘定に反映した結果をまとめます。

作成するのは、収益・費用を損益勘定へ振り替える「決算振替仕訳」の前です。売上や給料、減価償却費などの残高も載ります。収益・費用の勘定を締め切った後の繰越試算表とは異なります。

決算整理前残高試算表・精算表とは作成時点や役割が異なる

整理前と整理後の試算表は調整の反映状況が異なり、精算表は調整から決算書への振り分けまでを示します。

書類 示す内容 役割
決算整理前残高試算表 決算整理を反映する前の勘定残高 期末調整の出発点となる
決算整理後残高試算表 決算整理を反映した後の勘定残高 決算書作成に使う金額を確認する
精算表 整理前残高、修正記入、損益計算書・貸借対照表への振り分け 決算作業の過程を一覧で整理する

精算表は作業過程を確認しやすい形式ですが、決算整理後残高試算表は、調整済みの残高に絞った形式です。両方を必ず順番に作るという関係ではありません。

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決算整理後残高試算表はどう作る?

作成の基本は、整理前残高を確認し、決算整理仕訳を反映して、各勘定の残高を再計算することです。 整理事項の金額を、そのまま試算表へ書き写すわけではありません。すでに計上されている金額との関係を確かめながら、必要な増減だけを反映します。最後に、借方と貸方の合計を照合します。

(1)整理前の残高と根拠資料を照合する

まず、決算整理前残高試算表の金額が、帳簿や取引資料と対応しているか確認します。

現金は実際の手元残高、預金は通帳や残高証明書、売掛金は取引先別の明細と照合します。請求書、領収書、契約書、固定資産台帳なども、残高や調整額を確認する資料になります。

未記帳の入金や経費、仮払金の精算漏れが見つかった場合は、その処理も反映します。元の残高が誤ったままでは、決算整理仕訳だけを正しく入力しても、正確な整理後残高にはなりません。

参考:帳簿の記帳のしかた|国税庁

(2)決算整理仕訳を総勘定元帳へ反映する

決算整理事項は借方・貸方をそろえた仕訳にし、総勘定元帳の該当勘定へ反映します。

たとえば、翌期分の家賃が当期の費用に含まれていれば、前払家賃を増やし、支払家賃を減らします。会計ソフトでは、決算整理仕訳として登録することで、通常の仕訳と区別して集計できる場合があります。

同じ勘定に複数の調整があるときは、すべての仕訳を反映してから残高を確定します。月次ですでに処理した減価償却費などを、決算でも重ねて計上しないよう確認しましょう。

(3)各勘定の差額を借方・貸方に記載する

残高試算表に記載するのは、各勘定の借方と貸方を差し引いた金額です。

借方残高の勘定なら「整理前の借方残高+整理仕訳の借方額-整理仕訳の貸方額」で整理後残高を求めます。同じ勘定の借方・貸方に、増減額を別々に残すわけではありません。

通常、資産・費用は借方、負債・純資産・収益は貸方に残高が現れます。ただし、減価償却累計額や貸倒引当金は、資産の控除項目として貸方に記載されます。貸方にある科目が、すべて負債とは限りません。

決算整理後残高試算表に反映する主な仕訳は?

代表的な決算整理仕訳は、売上原価の計算、減価償却、貸倒引当金の設定、収益・費用の期間調整です。 これらは、支払った金額をそのまま費用とするのではなく、当期に対応する金額へ整える処理です。

商品の棚卸によって売上原価を確定する

商品の売上原価は、期首商品棚卸高に当期仕入高を加え、期末商品棚卸高を差し引いて求めます。

たとえば、期首在庫20万円、当期仕入100万円、期末在庫30万円なら、売上原価は90万円です。ここでは、棚卸減耗や評価損などはないものとします。

商品売買を仕入・売上・繰越商品の三分法で記帳し、仕入勘定で売上原価を計算する場合、期首在庫を仕入へ振り替え、期末在庫を繰越商品へ振り替えます。その結果、整理後の「仕入」は売上原価、「繰越商品」は期末在庫を示します。

減価償却費と貸倒引当金を計上する

固定資産の当期使用分は減価償却費として、債権の回収不能見込額は貸倒引当金として反映します。

減価償却を間接法で処理する場合は、借方に減価償却費、貸方に減価償却累計額を計上します。整理後試算表では、備品などの取得原価と累計額を別々に確認できます。

貸倒引当金を差額補充法で設定する場合は、期末に必要な残高と、すでにある引当金残高との差額を計上します。必要額が3万円、既存残高が1万円なら、追加の繰入額は2万円で、整理後の引当金残高は3万円です。

前払い・未払いなどの期間のずれを調整する

当期に対応しない収益・費用を除き、当期に対応する未計上額を追加します。

翌期分の保険料を当期の費用に含めている場合は、原則として前払費用へ振り替えます。当期に発生した借入金利息が未払いなら、支払利息と未払利息を計上します。

収益側も同様です。先に受け取った翌期分の家賃は前受収益へ振り替え、当期に対応する未受取の利息などは未収収益として計上します。入出金の時期だけでなく、どの期間に対応する金額かを確認します。

決算整理後残高試算表の計算例は?

整理前残高へ仕訳を加減すると、調整後の金額と変化した理由を確認できます。 以下は、サービス業の法人を想定した学習用の例です。金額は万円単位で、消費税や中間納付などは省略します。法人税等10万円は説明用の仮定であり、実際の税率による計算結果ではありません。記載のない勘定残高はゼロとします。

決算整理事項を仕訳にする

この例では、減価償却、家賃の前払い、法人税等の計上という3つの仕訳を行います。

整理前の借方残高は、現金預金100万円、売掛金30万円、備品60万円、支払家賃24万円、給料36万円です。貸方残高は、未払金30万円、資本金100万円、売上120万円で、左右の合計は250万円になります。

未反映の決算整理事項を、次のように仕訳します。

決算整理事項 借方 貸方
備品の当期減価償却費12万円を計上 減価償却費 12 備品減価償却累計額 12
支払家賃のうち翌期分6万円を振替 前払家賃 6 支払家賃 6
当期の法人税等10万円を未払計上 法人税等 10 未払法人税等 10

家賃の振替では、当期費用を減らして資産を増やします。決算整理によって、必ず費用が増えるわけではありません。

整理前残高へ加減して完成表を作る

支払家賃は24万円から18万円へ減り、新たに前払家賃や減価償却費などの残高が生じます。

仕訳を反映した決算整理後残高試算表は、次のとおりです。金額の単位は万円です。

勘定科目 借方残高 貸方残高
現金預金 100 ―
売掛金 30 ―
備品 60 ―
前払家賃 6 ―
未払金 ― 30
未払法人税等 ― 10
備品減価償却累計額 ― 12
資本金 ― 100
売上 ― 120
支払家賃 18 ―
給料 36 ―
減価償却費 12 ―
法人税等 10 ―
合計 272 272

備品は間接法で減価償却しているため、60万円のまま記載し、累計額12万円を別に示します。また、前払家賃6万円は資産であり、当期の費用には含めません。

決算整理後残高試算表から決算書をどう作る?

収益・費用を損益計算書へ、資産・負債・純資産を貸借対照表へ振り分けます。 整理後試算表は各勘定をまとめた資料であり、その合計額が貸借対照表の総額になるわけではありません。収益と費用から利益を計算し、資産の控除項目を整理したうえで、決算書の表示に合わせて組み替えます。

収益から費用を差し引いて当期純利益を求める

損益計算書(P/L)では、当期の収益と費用を集計し、その差額から利益または損失を求めます。前の例では、収益は売上120万円です。費用は支払家賃18万円、給料36万円、減価償却費12万円、法人税等10万円で、合計76万円になります。

したがって、当期純利益は「120万円-76万円=44万円」です。実際の損益計算書では、売上総利益、営業利益などの段階に分けて表示します。この44万円を整理後試算表へ追加し、貸借を合わせる処理はしません。

資産の控除項目と利益を整理して貸借対照表へ反映する

貸借対照表(B/S)では、期末の資産・負債・純資産を表示し、当期純利益を純資産に反映します。前の例の備品は、取得原価60万円から減価償却累計額12万円を控除すると48万円です。資産の合計は、現金預金100万円、売掛金30万円、備品の差引額48万円、前払家賃6万円の計184万円になります。

負債は40万円、純資産は資本金100万円と当期純利益44万円の計144万円で、合計184万円と一致します。

この例では、もともとの繰越利益剰余金はゼロです。残高がある法人では、その金額に当期純利益を加えるなどして期末残高を求めます。整理後試算表の残高に、当期利益がすでに含まれていると思い込まないようにしましょう。

決算整理後残高試算表を作成するときの注意点は?

貸借の一致に加え、仕訳の網羅性、集計条件、適用制度を確認します。 左右の合計が合っていても、取引の記帳漏れや勘定科目の誤りが残る場合があります。また、会計ソフトの表示範囲によっては、登録した決算整理仕訳が集計されないこともあります。完成表だけでなく、その金額に至る過程も見直しましょう。

貸借が一致していても記帳漏れや重複を確認する

借方・貸方の一致は確認項目の一つですが、内容の正しさまで保証するものではありません。

経費の仕訳を借方・貸方とも記帳し忘れた場合や、同じ仕訳を二重登録した場合でも、貸借は一致します。科目を誤っていても、左右の金額が同額なら合計には差が出ません。

合計が一致しない場合は、まず転記漏れ、借方・貸方の取り違え、集計範囲を見直します。一致している場合も、元帳や根拠資料との照合を続けることで、金額以外の誤りを見つけやすくなります。

会計ソフトやExcelの集計対象を確認する

会計ソフトでは決算整理仕訳を含む集計条件を、Microsoft Excel(エクセル)では残高計算の範囲を確認します。

ソフトによっては、期末月を選ぶだけでは決算整理仕訳が含まれず、別途「決算」などの期間指定が必要です。対象年度と集計範囲を確かめてから、整理後残高を出力します。Excelで作成する場合は、整理前残高、整理仕訳の借方額・貸方額、整理後残高の欄を分けると検算しやすくなります。計算結果を手入力で上書きせず、修正の根拠も残しておきましょう。

適用事業年度を確認して法人税等を計上する

法人の税金は、当期に適用される制度で計算し、未払額まで整理後残高へ反映します。 学習用の仮定額や税率を実務へ流用せず、当期税額と中間納付額を照合します。

2026年4月1日以後に開始する事業年度からは、防衛特別法人税も確認します。税額が生じる場合は、原則として法人税等と同じ区分で会計処理し、未納分を未払法人税等などに反映します。適用の判断は決算日ではなく、事業年度の開始日を基準に行います。

参考:防衛特別法人税が創設されました|国税庁

決算整理後残高試算表は提出が必要?保存期間はどのくらい?

決算整理後残高試算表は、通常、確定申告時に提出する書類ではありません。 ただし、提出不要でも決算資料として保存します。

税務署への提出は原則不要だが、融資では確認する

法人税申告では貸借対照表や損益計算書などを提出し、試算表は通常添付しません。一方、融資審査では試算表の提出を依頼される場合があります。提出先に対象期間を確認し、期末の整理後試算表と直近の月次試算表を取り違えないようにしましょう。

法人は原則7年だが、10年保存となる場合もある

法人の決算関係書類は、税務上、原則として確定申告期限の翌日から7年間保存します。 青色欠損金が生じた年度などは原則10年間です。また、株式会社の事業に関する重要資料に当たる場合は、会社法上、帳簿閉鎖から10年間の保存対象となります。

個人の決算関係書類は青色申告7年・白色申告5年

決算関係書類として保存する場合、青色申告は7年間、白色申告は5年間です。白色申告でも収入・経費を記載する法定帳簿は7年間となります。電子データで保存する場合は、電子帳簿保存法の要件も確認しましょう。

決算整理後残高試算表の作成後に誤りが見つかったらどうする?

誤りを見つけたら、原因と決算・申告の状況を確認します。 決算確定前は仕訳の訂正が基本ですが、確定後は過年度の処理や申告内容の見直しも検討します。試算表だけを書き換えず、帳簿・決算書・申告書の整合を確かめましょう。

決算確定前は仕訳を訂正し、試算表と決算書を再作成する

元の仕訳を訂正するか、漏れた仕訳を追加して再集計します。 たとえば、減価償却費の計算ミスなら、正しい金額に直して整理後残高を求めます。訂正理由と根拠資料を残し、貸借の一致だけでなく、作成済みの決算書への反映も確認しましょう。

決算確定後は過年度の訂正方法と翌期への影響を確認する

確定後の誤りは、適用する会計基準に従って処理します。 過去の財務諸表の誤りを訂正して表示する「修正再表示」などの対応が生じる場合があります。税理士等に処理方法を確認し、翌期首残高への影響まで点検しましょう。

申告済みなら期限と税額に応じて申告内容も訂正する

申告期限内なら、正しい申告書を再提出します。 期限後は、申告した税額が過少なら修正申告、過大なら原則として法定申告期限から5年以内に更正の請求を行います。追加納税には延滞税などが生じる場合があります。

決算整理後残高試算表を正確な決算書につなげましょう

決算整理後残高試算表は、期末調整を終えた各勘定の残高をまとめ、決算書作成につなげる資料です。作成時は、整理前残高と根拠資料を確認し、仕訳による増減を反映したうえで、各勘定の差額を集計します。整理後試算表には収益・費用も残るため、当期純利益を別途追加して貸借を合わせるものではありません。合計の一致だけで判断せず、記帳漏れや二重計上、集計条件も見直し、貸借対照表・損益計算書へつなげましょう。

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