• 作成日 : 2026年10月28日

証憑とは?読み方や種類・保存期間を解説

Point証憑とは何か?種類・保存期間を解説

証憑とは、領収書・請求書・契約書など取引の事実を裏付ける資料の総称です。

  • 帳簿記録・税務調査の根拠資料になる
  • 法人は原則7年、個人は5〜7年保存
  • 電子受領の証憑は電子データで保存

Q. 証憑の保存期間は何年?
A. 法人は原則7年(欠損金がある年度は10年)、個人事業主は書類の種類によって5年または7年です。

証憑(しょうひょう)とは、取引が実際に行われたことや、その内容を裏付ける資料です。経理では、領収書や請求書、納品書、契約書などが代表的な証憑書類にあたります。

証憑は会計処理の根拠になるだけでなく、税務調査や監査で取引内容を説明する際にも使われます。

この記事では、証憑の意味や読み方、種類、請求書・領収書・帳簿との違いなどを解説します。

証憑とは?読み方と意味は?

証憑とは、取引や金銭の受け渡しなどの事実を証明する根拠となる資料です。 会計では「証憑書類」とも呼ばれ、帳簿へ仕訳を記録するときの根拠資料として利用されます。

領収書だけを指す言葉ではなく、請求書、納品書、契約書、注文書など幅広い書類が含まれます。取引形態のデジタル化に伴い、PDFや電子メールなどの電子データも証憑として扱われます。

証憑の読み方は「しょうひょう」

「証憑」は「しょうひょう」と読みます。 「憑」には、よりどころ、根拠といった意味があり、証憑という言葉自体には事実を証明する根拠という意味があります。会計実務では、企業内で発生した取引を裏付ける書類という意味で使われることが一般的です。英語では「voucher」などと表現されます。

たとえば、会社が文房具を購入して消耗品費として仕訳する場合、その購入が実際にあったことを示すレシートや領収書が証憑になります。

証憑書類は取引の事実を裏付ける資料

証憑書類の役割は、「いつ、誰と、何を、いくらで取引したのか」を客観的に確認できるようにすることです。帳簿に「消耗品費10,000円」と記録されていても、その記録だけでは実際に10,000円の備品を購入したかまでは確認できません。領収書や請求書などと照合することで、仕訳の根拠を確認できます。

証憑は経理担当者が記帳するときだけでなく、決算、税務調査、会計監査、社内チェックなどでも利用されます。

証憑にはどのような種類がある?

証憑には、領収書、請求書、納品書、契約書、注文書などさまざまな書類があります。 取引のどの段階を証明するかによって、役割も異なります。一つの取引について複数の証憑が作成されることも珍しくありません。注文書で発注し、納品書で商品を受け取り、請求書に基づいて支払い、領収書を受け取るという流れであれば、それぞれ異なる事実を裏付けます。

売上や仕入れを示す証憑

売上や仕入れに関する代表的な証憑には、請求書、納品書、注文書、注文請書などがあります。請求書は取引先に代金を請求した事実を示し、納品書は商品やサービスを納品した事実を確認する資料として利用されます。

また、注文書や発注書は取引の申し込み、注文請書は注文を受けたことを示す資料となります。取引の開始から請求まで一連の書類を関連付けて管理すると、後から取引内容を追いやすくなります。

支払いを示す証憑

代金を支払った事実を示す証憑には、領収書やレシート、振込明細などがあります。現金で商品を購入した場合、店舗から受け取ったレシートが支払いの根拠となります。銀行振込の場合は、請求書と振込記録を組み合わせることで、請求内容と実際の支払いを確認しやすくなります。

クレジットカードで購入した場合も、カード利用明細だけでは購入した商品の詳細が分からない場合があるため、レシートや利用伝票なども併せて保管すると取引内容を確認しやすくなります。

契約内容を示す証憑

契約書や注文書なども、取引条件を証明する証憑に含まれます。売買契約書、業務委託契約書、請負契約書などには、取引金額だけでなく、契約期間、業務内容、支払条件などが記載されています。

請求書や領収書だけでは取引の背景まで確認できない場合でも、契約書を併せて確認すれば、なぜその金額が支払われたのかを説明しやすくなります。

証憑と領収書・請求書・帳簿は何が違う?

証憑は取引を証明する資料の総称であり、領収書や請求書は証憑の一種です。 一方、帳簿は証憑などを根拠に取引内容を継続的に記録したものです。「証憑=領収書」という関係ではありません。証憑という大きなカテゴリーの中に、領収書、請求書、納品書などが含まれると考えると分かりやすいでしょう。

領収書や請求書は証憑の一種

領収書と請求書はいずれも証憑ですが、それぞれ証明する内容が異なります。請求書は、商品やサービスを提供した側が相手方に代金を請求する書類です。一方、領収書は代金を受領した事実を示します。

主な違いを整理すると次のようになります。

書類 主に証明する内容 証憑に該当するか
請求書 代金を請求したこと 該当する
領収書 代金を受領したこと
納品書 商品などを納品したこと
注文書 商品・サービスを注文したこと
契約書 契約内容・条件

このように、証憑は特定の様式や名称を指すものではありません。

証憑と帳簿は役割が異なる

証憑は取引を裏付ける資料であり、帳簿は取引内容を記録・集計するためのものです。仕訳帳や総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳などが代表的な帳簿です。たとえば、5,500円の備品を購入した場合、領収書は「5,500円の購入があった」という証拠になり、その内容をもとに会計帳簿へ消耗品費などの仕訳を記録します。

証憑と帳簿は別の資料ですが、両者を照合できる状態にしておくことで会計記録の正確性を確認できます。

証憑はなぜ保存するの?

証憑を保存する主な理由は、帳簿に記録した取引の根拠を残し、税務や会計上の確認に対応できるようにするためです。

法人税法や所得税法、消費税法などでは、一定の帳簿や取引関係書類について保存期間が定められています。社内で「経理が確認したから処分してよい」と判断するのではなく、適用される制度ごとに保存期間を確認します。

税務調査で取引内容を説明する資料になる

領収書や請求書などの証憑は、帳簿に計上した売上や経費の根拠を確認する資料になります。たとえば、帳簿上で広告宣伝費として50万円を計上している場合、請求書や契約書、支払記録などがあれば、誰に何の対価として支払った費用なのかを確認できます。

反対に、帳簿に金額だけが記録され、取引内容を裏付ける資料が残っていない場合には、後から取引の実態を確認することが難しくなります。

インボイス制度では仕入税額控除にも関係する

消費税の仕入税額控除を受ける場合、原則として一定事項を記載した帳簿と適格請求書等の保存が要件になります。インボイス制度では、一定の場合を除き、単に支払いの事実が分かればよいわけではありません。適格請求書発行事業者の登録番号や適用税率、消費税額など、制度上定められた事項を確認します。

請求書を「経費処理が終わったから不要」として処分すると、法人税や所得税だけでなく消費税の処理にも影響する可能性があります。

参考:No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)|国税庁

証憑の保存期間は何年?

証憑の保存期間は一律ではなく、法人か個人事業主か、どの税法に基づいて保存するかによって異なります。「領収書はすべて7年間保存すればよい」と説明されることがありますが、制度上は書類の種類や事業者の状況によって5年、7年、10年などの違いがあります。また、一つの請求書に複数の保存義務が関係する場合もあります。

法人は原則7年間保存する

法人は、帳簿と取引に関して作成・受領した書類を、原則として確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存します。対象には、仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿だけでなく、注文書、契約書、領収書などの取引関係書類も含まれます。ただし、青色申告書を提出した事業年度で欠損金が生じた場合など、一定の事業年度については10年間の保存となります。

法人では「通常は7年、一定の場合は10年」という区分を把握しておくと管理しやすいでしょう。

個人事業主は書類によって5年・7年に分かれる

個人事業主の場合、すべての証憑を一律に7年間保存するわけではありません。青色申告者では帳簿や一定の書類は原則7年間保存しますが、請求書、見積書、納品書、送り状などは5年間でよいものがあります。国税庁も、青色申告者の帳簿・書類について原則7年としつつ、一部の書類を5年間の保存対象としています。

白色申告者については、法定帳簿は7年間、任意帳簿や請求書・納品書・領収書などの書類は5年間とされています。

インボイスは原則7年間保存する

仕入税額控除のために保存する適格請求書等については、原則7年間の保存期間があります。課税仕入れに関する帳簿や請求書等は、所定の起算日から7年間保存します。国税庁では、帳簿についてはその閉鎖の日、請求書等については受領日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日を基準とする保存期間を示しています。

所得税上は5年間の保存対象となる請求書でも、消費税の仕入税額控除に利用する場合には、消費税法上の保存期間も踏まえて管理する必要があります。

証憑は紙で保存してもよい?

紙で受け取った証憑は紙のまま保存できますが、電子取引で受領したデータは電子帳簿保存法の電子取引データ保存ルールを確認しなければなりません。証憑の保存方法を考えるときは、「紙で受け取った書類」と「電子的に受け取ったデータ」を分けて考えると理解しやすくなります。

紙の領収書や請求書は紙のまま保存できる

紙で受領した請求書や領収書は、そのまま紙で保管できます。紙の証憑をスキャンし、一定の要件を満たして電子データとして保存する「スキャナ保存」を利用することもできます。スキャナ保存では、対象となる書類や保存方法によって満たす条件があるため、「スマートフォンで写真を撮れば元の領収書をすぐ捨てられる」と単純に判断するのは避けた方がよいでしょう。

電子取引の証憑は電子データで保存する

電子メールやWebサイトなどを通じて受け取った請求書・領収書などは、原則として電子データのまま保存します。電子取引データについては、従来のようにPDFなどを印刷し、その紙だけを保存する方法では電子帳簿保存法上の電子取引データ保存には対応できません。電子取引で受け取った元データ自体を保存します。

たとえば、メール添付で受信したPDF請求書、ECサイトからダウンロードした領収書、クラウドサービス上で発行された請求書などが該当します。国税庁から電子帳簿保存法Q&Aも公表されているため、電子証憑を運用するときは最新の要件を確認するとよいでしょう。

参考:電子帳簿保存法一問一答(Q&A)|国税庁

電子証憑はどのように保存すればよい?

電子証憑は、データを残すだけでなく、改ざん防止や確認・検索ができる状態を意識して管理します。電子帳簿保存法には電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引データ保存という異なる区分があります。PDF請求書をメールで受け取った場合などは、主に電子取引データ保存のルールが関係します。

改ざん防止とデータの確認環境を整える

電子取引データでは、真実性と可視性を確保するための保存方法が定められています。改ざん防止については、タイムスタンプを利用する方法のほか、訂正・削除履歴が残るシステムを利用する方法、不当な訂正削除を防止する事務処理規程を整備して運用する方法などがあります。

また、税務調査などでデータ内容を確認できる環境も整えておきます。保存環境や事業者の条件によって検索要件の扱いが異なるため、自社がどの要件に該当するかを確認します。

ファイル名や保存場所を統一すると管理しやすい

証憑の電子保存では、後から目的のデータを探せるように社内ルールを統一すると運用しやすくなります。たとえば「20260930_取引先名_110000_請求書.pdf」のように、日付、取引先、金額、書類種別などを一定のルールでファイル名に含める方法があります。

ただし、ファイル名だけで電子帳簿保存法のすべての要件を満たせるとは限りません。使用している会計システムや証憑管理システムの機能と併せて保存体制を設計します。

証憑を紛失した場合はどうする?

証憑を紛失した場合でも、直ちに取引自体が存在しなかったことになるわけではありませんが、取引を裏付ける別の資料を集めて事実関係を確認します。

再発行や取引履歴を確認する

請求書や領収書を紛失した場合は、まず取引先に再発行できるか確認する方法があります。再発行が難しい場合には、銀行振込の記録、クレジットカードの利用記録、注文履歴、契約書、納品書、電子メールなど、取引を確認できる資料を保存します。

ただし、これらの資料があれば必ず元の証憑と同じ税務上の効果を得られるとは限りません。消費税の仕入税額控除については、適格請求書等の保存が原則となるため、別途インボイス制度上の要件を確認します。

証憑と帳簿を紐づけて紛失を防ぐ

日頃から証憑と会計データを対応させておくと、紛失や二重計上を防ぎやすくなります。紙の領収書を担当者が長期間保管したままにしたり、PDF請求書を個人のメールボックスだけに残したりすると、経理部門が証憑を把握できないケースがあります。

紙の証憑を受け取った場合の提出先、電子証憑の保存先、ファイル名、会計処理後の確認方法などを社内で統一すると、経理処理から保存までの流れを整理できます。

証憑を正しく保存して会計処理の根拠を残そう

証憑とは、請求書、領収書、納品書、契約書など、取引の事実や内容を裏付ける資料です。帳簿を作成する際の根拠になるだけでなく、税務調査や監査、仕入税額控除の確認にも利用されます。

証憑書類の保存期間は一律ではありません。法人では原則7年間で一定の場合は10年間となり、個人事業主では書類によって5年または7年となります。また、インボイス制度では適格請求書等について原則7年間の保存ルールがあります。

さらに、PDF請求書など電子取引で受領した証憑は、紙に印刷するだけではなく電子データ自体を保存します。紙と電子を区別したうえで、自社に適用される保存期間と電子帳簿保存法のルールに沿って管理しましょう。

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